♪蘇州夜曲 (original) (raw)

服部良一が♪蘇州夜曲のイメージが浮かんだのは

杭州西湖だったと「昭和歌謡 作曲家・服部良一の神髄」でわかった。

驚いた。全然想像できなかった。

私は初めての蘇州の旅で同じ留学生の女子大生とデイトの約束をしていた。

自転車力車で蘇州見学をしていたその女性が帰って来るのを待っていた。

夕方帰ってきたその女性「今日は遅いから」と断られた。

私はがっかりした。その日は二人で蘇州の河畔を歩きながら、蘇州夜曲のムードを味わおうとしていたのだった。

♪君がみ胸に 抱かれて聞くは 夢の舟歌 鳥の歌

水の蘇州の 花ちる春を 惜しむか柳が すすり泣く

蘇州の夢ははかなくも打ち砕かれた。

翌日は杭州の旅だった。杭州では西湖の舟遊びを学校で計画してくれていた。

私はその女性とは別の船だったが、8ミリカメラでその女性が乗っている船を映した。

その女性が写されていることを自覚していることがカメラのファインダーでわかった。

私は年甲斐もなく8ミリカメラで彼女を追った。同船の留学生たちは苦々しい顔をしているように感じたが、私は恥ずかしい気持ちを抑えて写し続けた。そのあと杭州見学六和塔などに登った。そして杭州の旅を終えてホテルに帰るときに彼女を誘った。彼女がOKしてくれた。ホテル近辺を散歩した。ちょうどさだまさしの長江撮影隊も同じ杭州飯店に泊っていた。私は彼女を連れて草藪に入った。すぐ公安警察官に不審尋問された。そしてホテルに帰った。そんなエピソードを服部良一さんの杭州西湖船旅での♪蘇州夜曲イメージに結び付いた。

40年前のことだが、その8ミリ映像はDVDにダビングした。その日の状況が見事に映し出されている。いつの日かその女性にそのDVDを渡そうと思うが、もちろんその女性も今では60歳を過ぎている。そしてもし中国人民大学の同窓会があれば、カラオケで♪上海ブルースも唄おうと思っている。

♪ 涙ぐんでる上海の 夢の四馬路の街の灯

リラの花散る 今宵は 君を想い出す

何にも言わずに 別れたね君と僕

ガーデンブリッジ 誰と見る青い月