【赤と青のガウン】オックスフォード留学記のネタバレ感想 (original) (raw)
友人に勧められて読んだ「赤と青のガウン」
初めは、皇室の方が書かれた本はなんだか堅苦しくて読む気になれない。そう思っていました。
「赤と青のガウン」というタイトルもなんのこっちゃ?でした。
ですが日本のプリンセスがイギリスでは庶民的な暮らしをされ、知らなかった事が分かると面白くて楽しくてとても読みやすい本でした。
- 【赤と青のガウン】オックスフォード留学の感想
- 百川学海(ひゃくせんがっかい)
- 大信不約(たいしんふやく)
* 護衛について
* 苦学力行(くがくりっこう)
* 日常坐臥(にちじょうざが)
* 合縁奇縁(あいえんきえん)
* 一期一会(いちごいちえ)
* 千載一遇(せんじいちぐう)
* 危機一髪(ききいっぱつ)
* 多事多難(たじたなん)
* 奇貨可居(きかおくべし)
* 五角六張(ごかくろくちょう)
* 一念通天(いちねんつうてん)
* 日常茶飯(にちじょうさはん)
* 骨肉之親(こつにくのしん)
* 前途多難(ぜんとたなん)
* 一似貫之(いつをもってこれをつらぬく)
* 玉石混淆(ぎょくせきこんこう)
* 古琴之友(こきんのとも)
* 傾蓋知己(けいがいのちき)
* 忍之一字(にんのいちじ)
* 当機立断(とうきりつだん)
* 髄類応同(ずいるいおうどう)
* 七転八起(しちてんばっとう)
* 進退両難(しんたいりょうなん)
* 不撓不屈(ふとうふくつ)
【赤と青のガウン】オックスフォード留学の感想
「赤と青のガウン」オックスフォード大学博士号取得者だけがまとえるガウン。
そこに至るまでのオックスフォード留学体験記をまとめられた本は、日本で公務されている内容の他イギリスでは庶民と同じ日常生活を送られておられ、興味深く読むことができました。
またエリザベス女王とのティータイムもあって、皇室と自由そのギャップも気になりました。
各項目から興味のあった部分の感想です。
百川学海(ひゃくせんがっかい)
中国の格言「百川海に学んで海に至る、丘陵は山に学んで山に至らず」に由来する言葉。すべての川は海を目標に流れ、最後には海に至る。転じて、どんな人も立派な人を手本にしてつねに修行・努力すれば、大望を成し遂げることができるという意味。
オックスフォード大学から博士号を授与された彬子女王さまの留学記。
オックスフォード大学では学位によって着るガウンの色が違うことも今回初めて知りました。この章ではただ辛かったと書かれてありますが、最後まで読んでみるとその辛さがどれだけ苦しかったものかが分かります。
色々と悩まれた事も多かったそうですが、親というものは、子供の幸せを常に願うもの。
その度に背中を押してくれる父親の娘を想う様子が思い浮かびました。
大信不約(たいしんふやく)
中国古典「礼記」の一節で「大信は約せず」と訓読する。ほんとうの信義は約束などしなくても守られるもので、信頼関係のない約束や誓約は意味がない。また信義の厚い人は約束などしなくても、任務の遂行に全力を尽くすということ。
護衛について
皇族の方それぞれに護衛がつく事。(私は天皇陛下につくものだと思っていました)
そして留学をされる時には、EU圏内の場合、2週間以上の滞在は、護衛官は付かないそうです。
そもそも守る方法にも種類があるそうです。
皇族を守ることを警衛。
要人を守ることを警護。
モノを守ることを警備。
皇族の側にいて守ってくれる人達を側衛官(そくえいかん)。
警察庁の付属機関である皇宮警察本部に所属している皇宮護衛官。
私の様な庶民には馴染みがありませんが、守るという事でこんなお仕事もあるという事をこの本で知りました。
幼稚園の頃に、ご両親の代わりに側衛が迎えに来られる姿を見たお友達に「彬子ちゃんはお父さんがいっぱいいていいね」と言われた部分を想像しているとまるで映画の一部分のようでした。
苦学力行(くがくりっこう)
働いて学費を稼ぎながら勉学に励むこと。転じて、苦労を重ねて学問をすること。
授業の形態はオックスフォードと日本とでは違うようです。
こちらの授業、かなりきつくて読んでいるだけで(ヒェ~)と思わず言ってしまうほど。
所属コレッジに関係なく専攻の学生が集まる「レクチャー」コレッジで行われる10人程度の「セミナー」先生(チューター)と学生が一対数人(多くても3人まで)で個人指導される「チュートリアル」の3種類。
著者が書かれているようにチュートリアルは恐ろしそう。
1ヵ月に1回ではなく、毎週小論文のタイトルと参考文献リストを渡され、翌週にそれに基づいた小論文を持ってこなければならないのです。
それを先生の前で発表し議論をする。
英語は必須。
当たり前ですが、全てを把握し英語で自分の意見を言い議論しなければならないのです。それが毎週となるともう想像しただけで、頭が痛くなります。
それを、この学生さんたちはこなしているという事なので、どれだけスゴイか分かりますよね。
日常坐臥(にちじょうざが)
「坐臥」は座ることと寝ること。すなわち、起きているときも寝ているときも、の意
味。いつでも。ふだん。
著者が学ばれたマートン・コレッジの設立は1264年。
オックスフォード大学内では最古のコレッジだそうです。
学力は別として、そんな素晴らしい大学で一度学んでみたいものです。
学生寮で生活されていたそうなのですが、理想とは裏腹に実際に住んでみると問題はたくさんあったようです。
とくに冬の寒さは冷蔵庫のように冷えるとか。
冷え性で寒さが苦手な方には毎日のことなので、辛そうだと思います。
この章では、オックスフォード大学留学時の平均的な1日の様子が書かれてあり、特にフォーマル・ディナーは興味深かったです。
タケシさんとのやり取りはまるで漫才を聞いているかのようでした。
勉強漬けの毎日の中、食事は楽しみの一つ。
まるで、ハリーポッターの舞台の食堂のような場所で(実際に使われたのはクライスト・チャーチ)食事をしている所を想像するとテンション上がります。
このフォーマル・ディナーの部分はお勧めの部分なので、ぜひ読んで頂きたいです。
合縁奇縁(あいえんきえん)
「合縁」は本来仏教用語で、恩愛から起こる人と人との結びつき。「奇縁」は思いがけないめぐり合わせ。人と人とが互いに気心が合うかどうかは、みな因縁という不思議な力によるものだという意味。
こちらの章で特に気になったのは、海外留学生たちの進路についてでした。
どれだけ優秀な人材であっても、日本で就職したい場合は不利になってしまうということ。
詳細は本を読んで頂くとお分かりになるのですが、一度海外の大学に腰を据えてしまった日本人の多くは日本に帰る事を諦め、海外で就職するという事は日本にとっても本人達にとっても、勿体ない気がしました。
一期一会(いちごいちえ)
茶道の心得をいう語で、どの茶会も一生に一度のものと心得て、主客ともに誠意を尽くすべきことをいう。転じて、どの出会いも生涯一度だけの機会と考えて応接に専念せよとの意味。
著者が、自分は日本人であることを実感できた。と書かれているのですが、本当にその通りだなぁと思います。
目の前にある事を当たり前に過ごしていると、自分の置かれた状態が見えなくなる気がします。
病気やケガをしたり、海外で大変な思いをして初めて気づくことも多いんだと思います。
そして、日本人について間違ったイメージを持つ外国人に出会うとまた日本人として正したくなります。
「二度目の留学のときには日本の代表としてきちんと日本のことを勉強し、正しい知識をもって海外の人たちに伝えていきたいという気持ちが芽生えてきていたのだと思う」
海外留学を通して多くの知らない事が見え、日本のことをもっと勉強し正しく伝えていく事が出来るって素晴らしいなぁと思いました。
私は庶民として。
難しいことは分かりませんが、以前私自身の働き方を外国の友人家族に話したら、とても興味深く聞いて下さって、働き過ぎだとびっくりされたことがありました。
また彼らが日本にいた頃、日本の「石焼きいも~」のことをとても珍しがっていました。
レベルが違いすぎて恥ずかしいのですが、こんなちょっとしたことでも実際に行って体験してみないと分からない事が多いので、海外へ行って自分の目で見て異国の方達と触れ合うという事は、とても大切な事だと思っています。
千載一遇(せんじいちぐう)
「千載」は千歳、千年に同じ。一遇は思いもかけず出会うこと。千年に一度くるかどうかという、またとない絶好の機会の意味。
この部分を読みたかったんです。
と言ってもいい章で、着ていく服から何を話すか等…全てに気を遣いすぎて、緊張してカチコチになってしまいそうだけど、こんな素敵な機会があるなんて夢のようだなぁとまるで自分の事のように読み進めていきました。
バッキンガム宮殿の門へとくぐっていく。観光客の「誰?誰?」という視線。
楽しく想像しながら読み進めていき、ついに女王陛下とご対面。
心の中ではもう(きゃあぁ~)です。
英国らしい家具にちょっと背の低いふかふかのソファー。(座ってみたい…)
初めに気にされた所は同じ。
給仕の人が運ばれたティーセットとお菓子の載った銀のお皿が置かれた時。
お茶をカップに注いでくれるのかと思ったら、なんとそのまま下がっていってしまった。大きな部屋に残されたのは、女王陛下と私、そして走り回るコーギー。
さか、どうしたものか。はたしてこのお茶を準備するのは誰の役目だろう。
そうですよね。私も同じことを考えてしまいます。
どんなお菓子がお皿に並べられていたのかも非常に気になりました。
さぁ、実際は…ここはご自身で読んでみてくださいね。
危機一髪(ききいっぱつ)
ほんのわずかでも間違えば非常な危険や困難に陥るかどうかの、きわめて危うい瀬戸際をいう。「一髪」は一本の髪の毛の意味。
ここでは、電車の思い出の話になります。
これも知らなかったのですが、英国の電車は長距離になればなるほど割安になるということ。割引制度が充実されていると、旅行者は安心です。二週間以上前に購入すると、チケットは半額以下になるんだそうです。
これはイギリスへ行ってみたくなります。
ここでもトラブルは多々あったようですが、これもまた旅の醍醐味。
それにしても沢山のご経験をされているなぁ~。
そしてとても読みやすいです。
多事多難(たじたなん)
事件や困難が立て続けに起こる事。平穏無事の反対。「事」は事件・出来事。「難」は困難・苦難の意味。
皇族の方のパスポートについて書かれています。
皇族の方のパスポートは茶色という事だけは知っていましたが、それ以外のことは何も分からなかったのですが、ここで少しだけネタバレを。
皇族の方は戸籍や住民票がないので、戸籍や住民票がありません。
海外旅行に行く際は、表紙に「外交旅券」と書かれてある茶色のパスポートで外交官がもつのと同じなんだそうです。
外交官は個人旅行用の仕事用の2冊を持っているそうですが、皇族の方々は1冊のみ。
そして、普段は海外旅行をするたびに新しいパスポートを発行されるんだそうです。
ちょっと面倒ですね。
知らない事ばかりで、(へぇ~)とか(そうなんだぁ)とか声に出しながら読んでいたかも知れません。
空港でのチェックインのお話も面白くて、茶色いパスポートを見せた係の方の反応が3パターンあるのだそう。
・まったく意に介しない人
・気づいてパスポートと顔を見比べて「にやっ」とする人
・パスポートが何か分からず解明しようとする人
私は2番目の気づいてにやっとする人が面白いなぁと思ったのですが…
奇貨可居(きかおくべし)
よい機会は逃さずに、うまく利用しなければならないことのたとえ。
時をまてば値上がりするかもしれないから、いま手元におくべきだという意味。
1年間の留学では納得されなかった著者は再度オックスフォード大学へと大学院入学をされることに。ここでは、入学許可に必要なものなどを書かれています。
実際に行かれる方の参考になるかもしれません。
真面目で完璧主義となると、その勉強量や辛さがにじみ出ていました。
五角六張(ごかくろくちょう)
五日に「各宿」にあい、六日に、「張宿」にあうという意味。古代中国の天文学で「角宿」と「張宿」は星座運の悪い暦日とされ、物事がうまくいかないとされたことから、転じて何をやってもうまくいかない日、凶日のたとえ。
皇族の方は海外旅行に出かける前、皇居内にある皇室の天照大御神に参拝し、海外渡航のご報告と道中の安全をお祈りされ、帰国後も同様ご報告をされるそうです。
今度は学生寮ではなく、1人暮らし。
その生活や何をやっても上手くいかない日のことなどを綴られています。
何をやっても上手くいかなくても、誰かの笑顔で帳消しになる。
そのキッカケになったのが、チョコレート。
友チョコや義理チョコ等々が嫌だなぁ~と思っていた私ですが、そんなちょっとした日本のヴァレンタインの習慣も役にたつのだなぁと思いました。
一念通天(いちねんつうてん)
固い決意を抱いて一心に取り組めば、誠意は必ず天に届き、物事を成し遂げることが出来るという意味。訓読は「いちねん、てんにつうず」
歴史好きにはたまらない章です。
大英博物館のボランティアとして働かれていたという事で、館内について書かれています。
800万点以上もの所蔵品のうち、常時展示されているのは15万点ほど。
観光客としては時間がないので重要作品に絞って見学という所ですが、こちらはお仕事とされているので、それはもう宝探しですよね。
日常茶飯(にちじょうさはん)
日々のありふれた事柄。いつものこと。「茶飯」は食事で、毎日の食事と同じくらい、取り立てていうほどのこともない、ふつうのことの意味。
英国の食についての章です。
私の興味ある食。やっぱり食べるって大事ですよね。
ただ…英国の料理ってまずそう。
著者も行く前から多くの方にそう脅されていたそうです。
けれども、実際はそうでもないようです。
確かにメチャクチャ美味しくてお勧め。ではないそうですが…
私としては、自炊生活をされていて、料理も得意な著者の手作り料理が気になりました。
骨肉之親(こつにくのしん)
親子・兄弟・姉妹のように血のつながりの濃い肉親の間柄のこと。またそのあいだの深い愛情をいう。
英国で第二の家族について書かれてあります。
著者のような人柄であれば素敵な友人たちも多いです。
中でも家族のように親しくされている友人も。
そんな英国での彼女達が心の支えとなられていた感謝の気持ちが溢れていました。
前途多難(ぜんとたなん)
これから先、多くの困難や災難がまっていると予期されること。「前途」は今後の道のり、「多難」は困難や災害が多いさまをいう。
初めての展覧会での無茶ぶりによく間に合わせられたなぁと思う位ハチャメチャ?な展覧会準備についてのお話。
いくつもの困難を乗り越えられたことにホッと安心するのでした。
一似貫之(いつをもってこれをつらぬく)
「論語(里仁篇)」にある孔子の言葉「わが道は一似て之を貫く」に由来する。ほかに目移りすることなく、一貫してかわらずおのれの道を進むこと。
ジョー・プライス。
日本美術の世界の人気者にした立役者の一人なんだそうです。(知りませんでした。)
彼が作るパンケーキは、ちょっと懐かしい味と書かれていたのですが、実際どんな味がしたのだろう。
著者にしか味わえなかったであろうパンケーキ。
そんな思い出の食べ物があるって良いなと思いました。
玉石混淆(ぎょくせきこんこう)
よいものとつまらないもの。価値のあるものとないものとが入り混じっていて、容易に見分けがつかないさま。
基本的に勉強がメインですが、時には息抜きも必要ということでいくつか体験された珍事件のお話。
特に興味深かったのが、チャリティーショップでのお宝発見。
英国のリサイクルショップといった感じなんだそう。
こういう所でのお宝さがしは楽しい。
人によっては何の価値もない者がある人によってはものすごい価値になるものもあります。
私はその物の価値が分かる人の手に置かれるのが良いなぁと思うのですがどうでしょうか。
古琴之友(こきんのとも)
自分をよく理解してくれる友人のこと。
英国でのお正月の過ごし方や友人が作る絶品のスコーンの味などのお話。
テレビ番組で各地のお雑煮の紹介などがありますが、そのミニバージョンといった感じで読んでいて想像が膨らみ楽しかったです。
そして一生食べることが出来ないのが残念で仕方ないのですが、友人が作るスコーンは本当に美味しいのだそう。
私も以前日本で、インド系イギリス人に本場のカレーを作って頂いた事があるのですが、本当に美味しかった。もう二度と食べることのない味と思うと余計に美味しさが増すような感じがします。
傾蓋知己(けいがいのちき)
初対面で意気投合すること。初めて出会った者同士が以前からの友のように親しくなること。
留学先だけでかなり親しい友人達がいらっしゃるんだなぁと思うのですが、中でもスイス人の友人が多いそうです。その関係もあり、アルプスでの休暇のお話がかかれています。
大自然の中での過ごし方は贅沢で優雅な時間そのもの。
論文は書きたくないけれど、ぜひ観光にて訪れたい場所だなぁと思いました。
忍之一字(にんのいちじ)
何かをやり遂げるために最も大切なことは耐え忍ぶことであるという意味。
この章は私の好きな章の一つ。
「理解出来ない英国」ということで、(どんな事が理解出来ないんだろう)皇室の方が思う事と一般の私が思う事と同じなのかなぁと思いながら読み進めていきました。
答えは「同じ」でした。
その前に海外では童顔で若く見られるのはこの歳(アラフィフ)になったら嬉しいけれど、若い時に幼くみられるのとはちょっと違います。
著者も実年齢よりもかなり若く見られていたようで、心の中は複雑です。
スーパーでの買い物も融通が利く店員さんがいる、いないは日本でも同じなのだなぁと思いました。
あと驚いたのは、食器の洗い方。
シンクに栓をしてお湯と水を調整しながら溜め、食器用洗剤を溶かして、その中でスポンジを使って食器をわしわし洗う。そして、洗剤の泡が付いたまま水切り籠に置き、そのまま布巾で拭いてしまうのである。
(え?)(すすがないの?)
充分に食器を洗う事が私にとっては当たり前のことなので、「すすがない」という事実を知って言葉を失った著者同様、私も理解出来ませんでした。
どんな洗剤を使用されているのか知りたいです。
当機立断(とうきりつだん)
機会をとらえて素早く決断すること。「当機」は時機・機会に臨むこと。「立断」は即刻、ただちに決断すること。
「苦学力行」の章で「チュートリアル」はかなり難問だというお話をされていました。
今回博士課程を取得するにあたって、チュートリアルがかなり大変だという事が改めてわかります。
真面目で完璧主義な部分も重なって、体調を壊されたりプレッシャーというものが身体にどれだけの負担がかかるかというのも、想像しました。
こういった事は人によって違うかもしれませんが、本人でないと分からない部分もあり、本当に大変だということしか書けない私です。
髄類応同(ずいるいおうどう)
人の能力や性質に応じて、それ相応に指揮すること。
勉強されている難しい内容は分かりませんが、2つのアドバイスは具体的で分かりやすかったです。
私も不器用なのでやりがちなのですが「使えない材料」に時間をかけてしまうことです。
調査中に面白い史料を発見したとする。意気揚々と「すごい史料をみつけたよ」とアンガスに話すと、一通り話を聞いてくれたあとの彼からの返事は「面白いね。それで、その史料をどうやって論文に使うの?」である。
ここでアンガスが一通り話を聞いてくれると言うところがまたスゴイ。
私だったら、「そんなん、論文にいらんやん」はい、終わりになると思います。
大切なのは本人に「気づかせる」こと。
そして、アンガスが著者にいったアドバイス
大きいテーマから小さくしていくのではなく、小さいテーマから大きく話を展開させていくこと。
「あなたはこの論文で何をいいたいのか」という問いに一言で答えることが出来るようにすること。
そういったアドバイスを貰うことによって、モチベーションはあがり、自分で気づき勉強がより良いモノになっていくのだと思いました。
そんなアドバイスをくれる先生に出会えたことや、そうして完成された論文が
すべての材料がお互いを引きたて合う料理
に近づいたのが素晴らしいなぁと思いました。
七転八起(しちてんばっとう)
激しい苦痛のために、ひどく苦しみ悶えるさま。転んでは起き、起きては転ぶこと。
「当機立断」でも触れましたが、脳が常にオンになった状態でいると身体に異変が生じます。これも人によって様々だと思うのですが、誰にでも起こりえること。
気分転換は必要で、思い込まない事。気づく事。
これら全部ちょっとしたことですが、本当に大切だと思います。
気づくのは、身体に異変を感じないとなかなか分からないものです。
健康に気をつける。
健康であるからこそ、毎日生活が出来るのだと思いました。
進退両難(しんたいりょうなん)
進むことも退くこともできない困難な状態。
この章では著者の芯の強さがひしひしと伝わってくる章でした。
言葉で上手く言い表せないのがとても残念なのですが、納得いく博士論文が出来上がって本当に良かったと思うのでした。
不撓不屈(ふとうふくつ)
強い意思をもって、どんな苦労や困難にもくじけないさま。
いよいよ最後の章です。
楽しかった話をするのは、自身も楽しいし相手も楽しく感じられる。
楽しい話ばかりじゃない、辛いこともあります。
だけど辛かったことを話すのは、返って相手を心配させたりします。
本当にそうなのだろうか。
わかってもらえなかったのは当たり前だった。説明責任を怠っていたのは私だったのだから。孤軍奮闘しているつもりになって、はるか遠方からの援護射撃に支えられていた事にきづいていなかった。「なんでわかってくれないの?」と泣いていた自分がいまとなっては恥ずかしい。
こう書かれていた文章を読んだ時、(あ~なんて大人なんだろう)そう思いました。
私アラフィフですけどまだそう思っている所があるかもなんて思ってしまいました。
自分の気持ちをはっきりと伝えること。正直に相手に伝えることでようやく相手も分かってくれるものです。
私にとって以心伝心なんてありません。
この歳になってようやくわかった私にとって、イギリスのオックスフォード大学での留学記を読書体験でき、本当に良かったです。