2024年9月に読んだ本 (original) (raw)

感想にも書きましたが、「山の上の家事学校」全ての人にお勧めです。

「家事」=「生きる」と感じました。

戦後、高度経済成長の頃、その戦略の一つとして「妻は家を守り、夫は外でがむしゃら

に働く」ことが推奨されるような風潮があったと聞きます。その結果、昭和の男たちは

家事は妻に任せることが当たり前のような空気になり、やがて仕事による過労死などが

注目されるようになりました。昭和の末に生まれた息子たちは実に自然に家事・育児

をしています。お嫁さんたちのおかげか?

それに引きかえ、ほぼ家事はしない夫にいらだつことが多かったです。在職中は寝るだ

けに家に帰れるような勤務状況、退職後は日々、その疲れを取っているような毎日。

もう、5年半も休んでいるけど・・。私には「生きてるのか?」と思えるような状況で

した。この人のために家事をする私は家政婦か?いつもそう思っていました。

でも、この本を読んで気づきました。もし、夫がいなかったら料理はしないのか?掃除

はしないのか?いや、そんなことはない。おいしくて体にいいものを作って食べたい

し、汚い家はイヤ。家事は自分自身のためにやっていたんだ!

今、夫を家事に誘い込みながら「共に生きよう!」と思っています。

読んだ本の数:6

星を継ぐもの (創元SF文庫) (創元推理文庫 663ー1)星を継ぐもの (創元SF文庫) (創元推理文庫 663ー1)感想
月で発見された遺体は、なんと5万年前のものだったという衝撃から始まった。科学者たちの考察のもと真実を探っていく。そのストーリーももちろんおもしろかったが、さらに惹かれた内容がある。この小説が書かれたのは1977年。舞台となった「未来」はちょうど現在あたりだ。領土の覇権を争う施政者はいなくなり、地球がひとつの国となり、その目は宇宙開発へと向いている・・ここ数年の地球の在りようとあまりにも違う。地球存続の危機すら感じている。最後は「2001年宇宙の旅」の類人猿が、石器を空高く放るシーンを思い浮かべた。
読了日:09月10日 著者:ジェイムズ P.ホーガン

山の上の家事学校 (単行本)山の上の家事学校 (単行本)感想
「家事とは、やらなければ生活の質が下がったり、健康状態や社会生活に少しずつ問題が出たりするのに、賃金が発生しない仕事すべてのこと」男性専門の山ノ上家事学校校長の言葉が言い得ている。思うところあってこの本を買い、あっという間に読み終えた。妻に離婚され生活を見直そうとする主人公はじめ、ここへ通う男性の状況は様々だ。だが、この言葉はだれにも、男性にも女性にも、大人にも子供にも、自分の暮らしを見直すきっかけになると思う。「生きる」ということを考え直すためにも、夫にもぜひ読んでもらおうと思う。
読了日:09月12日 著者:近藤 史恵

という、はなし (ちくま文庫 よ 18-4)という、はなし (ちくま文庫 よ 18-4)感想
なにか真剣な表情で本を読む動物たち。何度読んでもその度にクスッとし、そして「いいなぁ」とうっとりしてしまう。フジモトマサルさんの不思議な味のあるイラストだけでもずっと見ていられる。そこに吉田篤弘さんの「挿絵」ならぬ「挿文」。なにかに行き詰まったとき、訪れられるこの本があってうれしい。本好き、言葉好き、動物好き・・誰にも薦めたい本だが、読者を選ぶかもしれないとは思う。
読了日:09月13日 著者:吉田 篤弘

鳥肌が (PHP文芸文庫)鳥肌が (PHP文芸文庫)感想
「駅のホームで最前列に立つのは怖い」これは私も怖い。絶対誰かの後ろに立つか、それがダメならすぐにしがみつける柱の近くに立つ。高いところに行ったら、その気がないのに突発的に飛び降りないかとの恐れもわかる。「そんなバカな!」と笑ったり、「ウンウンそれ、怖い!」と同感したりしながら読み終えた。時々現れるイラストが怖いと言えば一番怖い。その裏は白紙、最後にも訳のわからない数ページの白紙、目次は最後についているし、おまけに表紙の女性には鳥肌が立っている!なんだこの本は?とてもおもしろかった!
読了日:09月16日 著者:穂村 弘

笑う森笑う森感想
発達障害のある5才児が森で迷子になり1週間後に戻ってきたが、なぜか別人のように・・。これは宇宙人絡みのSFか?とチラッと思ったのは大はずれ。現代、見られる様々な社会問題や人の苦悩を背景にした話だった。とは言うものの、これはファンタジー。幼児が遭遇した4人、そして、最後の1人(?)もいい人ばかりだ。それを人間の本質と信じさせる力が、荻原浩さんにはあるようだ。長文にやや辟易したものの楽しく読んだ。
読了日:09月24日 著者:荻原 浩

ごたごた気流 (角川文庫 ほ 3-9)ごたごた気流 (角川文庫 ほ 3-9)感想
50年以上前から大好きで読み続けた星新一さん。本書は「エヌ氏」で始まるお馴染みのショートショートより少し長く、風合いも少し違った短編集だ。寝て起きるたびに一日前に戻っている「まわれ右」、人間が次々変わってもそれぞれの役割を果たし、同一の家族が存続していく「門のある家」など発想が豊かだ。巻末インタビュー「戦後・私・SF」も日本のSF創成期がうかがえて楽しかった。「ヒッチコック劇場」「ミステリーゾーン」など懐かしい。未読のものも読み続けたいと思った。
読了日:09月29日 著者:星 新一