様式 様式美(閑人亭日録) (original) (raw)

朝、きょうが最終日の展覧会へ行く?と訊かれた。午後の用事の前に見に行くことはできる。友だちはスマホを寄こして、会場の写真を見せた。絵は、いかんなあ、ジャクソン・ポロックのものまね、亜流だ。行かないと答えた。会場で画家に感想を言えないわ。デビュー当時は型にはまらない作風で目を惹いたが。いつしかこうすれば受けるだろうという作風になった。大多数の画家は、評判になった作風に引き摺られてその作風を踏襲した様式をずっと維持する。それが様式美にまで洗練(様式化)されると、一定の愛好者を得るらしい。洗練されるとは、一つの様式美の完成と同義だと思う。そこが到達点であり、終着点。その様式美はその作家のスタイルとみなされ、美術史を彩ることになる。様式を創り、次に別の様式を創ったパブロ・ピカソは、様式の破壊と創造で高い評価~人気を呼んだ。
北一明は、陶芸作品が様式美、形式美にまで到達すると、前人未到の異なる美の創造へ向かった。
味戸ケイコさんは、同じ様式で描くのは苦手、というよりもできない。ゆえに雰囲気は似ているけれども、過去の様式にはまらない。さりげなく杳(はるか)な表現世界=個性が得難い魅力。
内野まゆみさんは、同じモノを描くのは嫌い、飽きる。で、違う柄の千個余りの、思わず手にしたくなるセンスの光る小さな作品を制作。
北一明、味戸ケイコ、内野まゆみ。三者の作品に惹かれる理由の一つが、様式、様式美にとらわれない表現。