ブルックナー 交響曲全集/第5番 (original) (raw)

20240815(了)

ANTON BRUCKNER(1824-1896) COMPLETE SYMPHONIES <5

CD5 交響曲第5番変ロ長調(1875-1878年稿 ノヴァーク版)
I. Introduction, Adagio - Allegro 19'42
II. Adagio, Sehr langsam 18'45
III. Scherzo. Molto vivace (Schnell) - Trio, Im gleichen Tempo 11'35
IV. Finale. Adagio - Allegro moderato 23'29
録音:2009年7月、ジュネーヴ、ヴクトリア・ホール Tot.73:31
<★★★☆>
CD/10枚/交響曲/Ⓟ 2015 Pentatone Music B.V. Ⓒ 2023 Brilliant Classics

CD5 交響曲第5番変ロ長調
重みのある内容とともに、ちょっと素っ頓狂な曲調が多い曲で、ひとことで言う
なら「野暮ったい」代表格のシンフォニーだった、もともとは。
前の4番のように、イイネェ!という感じにはならなかったものの、テンポの工
夫などですっきりして聞こえるように頑張っており、いくらかは成功しているよ
うに思います。
演奏論になってしまいますが、スケルツォの第3楽章などでは速い部分とそでな
い部分とのスピードの差が大きく、trio部分では同じテンポでという指示を
正直にやっているこの演奏では、それがいささかやり過ぎな感じで、オーケスト
ラもちゃんとついて行けていないように聞こえるもんだから、これでいいんだろ
うかという気になってしまいました。つまり、ちょっと引っかかった。野暮った
さとは違うんだけど。
ある解説によれば、この一連の演奏は(録音が良いということのほかに)誇張さ
れた表現や声部の埋没といった心配がない、と書かれていたんだが、まあそれは
ここでは少し違うと思う。いろいろ動かしてますよ。自分で何度も聴くまではわ
からなかった。色々解釈を施す指揮者とは一線を画す、みたいな思い込みをして
しまってましたが、そうでもなかったんだ。
ここまでの曲同様、明るくすっきりと様変わりし、「ドイツの野人」なんて言葉
のイメージなんぞまったく当てはまらない、言わば「純音楽」的なものとして提
示されている。そのへんはだいたいイメージ通りで変わらないですね。
第2楽章の主旋律や第4楽章の緩徐な部分の美しさは他のどの曲にも負けない。
最終的には、フーガの大伽藍のごとき第4楽章を乗り切れるかどうか!
(毎回OKというわけにはいかなかったです。体調や気分次第・・・)
以下は古い記憶です・・・
ブルックナーのライブの経験は本当に少ないのです。
ところが、この曲だけは大指揮者、名人オーケストラで聴いたことがあります。
名は明かさないでおきます。演奏は全く記憶になく、聴いたという事実が残っ
ているだけ。その時は、なんでマーラーの5番じゃないんだ!なんて思いつつ
チケットを買い、コンサートに臨んだことなら、恥ずかしながら覚えています。

戻りまして、〆・・・

たくさんの主題がばらばらとあって、どうもまとまらない感じ(≒野暮ったい)
であることもまた事実でして、その辺が版によってかなり違ったりするんでし
ょうか。ともあれこの演奏でもって、これまでのとっちらかったイメージが相 当すっきりしたようには感じました。