伴大納言絵巻 出光美術館 (original) (raw)

出光美術館が入る帝劇ビルが建て替えられると発表されて、最後を惜しむように開催が続いている「出光美術館の軌跡 ここから、さきへ」の最後の企画が始まっている。

「物、ものを呼ぶ」と題した展示会は出光美術館が集めたプライスコレクションを含む珠玉のものを展示していた。入ってすぐ、江戸絵画の華では仙厓、若冲(2作)、鈴木其一、酒井抱一(3作)の名品が並ぶ。双鶴画賛、群鶴図、鳥獣花木図屏風、蔬菜群虫図、風神雷神図屏風、十二カ月花鳥図貼付屏風、十二カ月花鳥図が展示されていたが、一般的な美術館だったら1点だけでも館蔵品のメインを張れる作品である。気になったのがどれも文化財指定を受けていない点で、申請?すれば重要文化財クラス間違いなしだと思う。この第1章の作品以外はすべて国宝か重要文化財、重要美術品(石山切 伊勢集)の展示というのも、次はどれかが指定を受けるだろうという遊び心かもしれない。

出光美術館の国宝で何度も見たいと思ったのが伴大納言絵巻。昨年、東博のやまと絵展に出品されていたが、有終の美を飾るため出光美術館に降臨していた。伴大納言絵巻は応天門の変について描かれていて、見せ場は応天門から火の手がある場面である。迫力のある炎表現はなかなか見ることがない。描かれている人物表現が同時代の様子を示す貴重な資料でもある。大量の人物画が描かれているのが、岩佐又兵衛の作品を思い起こす。頻繁に展示される作品でないだけに、休館前にもう一度見ることが出来てよかった。