日高山脈が国立公園に指定 五回目 (original) (raw)

念願だった日高山脈が、国立公園に指定 その5回目

日高山脈が国立公園に指定された、そのずっと前に日高の自然が守られた

山岳団体と自然保護団体の日高中央横断道路建設反対活動の歴史

日高山脈の自然が保全されたのだが、国民や北海道民の税金の大金をかけて建設した日高道路は全て完成のまま、道路も日高の自然として国立公園指定された

日高山脈の国立公園指定プロセスと、それ以前の日高道路建設とその反対活動を、第1回から4回までアップしてきた。

第1回は、5月23日、1984年に日高中央横断道路が着工され、以後道路工事が中止になるまでと、その後山岳団体と自然保護団体環境省日高山脈の国立公園指定要望した旨をアップ。

第2回目は、5月25日、日高山脈がいかに原生流域自然環境が残されているのか、をみた。

第3回目は、7月2日、従来の日高山脈襟裳国定公園面積が、国立公園指定で、どうしてその面積が二倍以上にまで広げられたのか、の経緯についてみた。

第4回目は前回、日高山脈がやっと国立公園に指定された、その指定基準の自然環境に保った市民の自然環境保全運動についてのアップ、と北海道の自然保護活動冬の時代にあって、孤軍奮闘ともいえる山岳団体の「日高横断道路建設反対の活動」をアップした。

今回が「日高山脈が国立公園指定」の最終回の5回目。日高山脈が国立公園指定に相応しい自然環境を保つに至った、市民の日高山脈自然環境保全活動。

1963年から静内町中札内村を結ぶ日高道路建設の希望・要望から始まり。1979年昭和54年1月 北海道開発局が日高中央横断道路調査費として大蔵省予算500万円を計上。

1979年3月11日 北海道自然保護団体連合は札幌市内で開催の第8回自然保護シンポジュウムを開催。日高山脈国定公園指定を目指すのと、日高道路建設反対を満場一致で決議する。6月の日高山脈道路予定地現地調査を決める。

こうして、北海道と国は1984年に同工事着工し、山岳団体と自然保護団体の道路工事反対の運動が続けられる。以下に、道路建設とその反対活動を一挙掲載する。そして、静内町中札内村道路建設促進運動と道路工事中止が決まった後の工事再開運動を写真で。又また日高山脈が国立公園に指定されたのだが、日高横断道路工事の工事現場と完成部分が国立公園内に残置される現実の写真をアップする。

1984年工事開始後2002年までの道路工事完成部分は、日高山脈の一部として、日高の自然環境の一部として、国立公園地域に内包するとして、道路の全部が国立公園に指定

2002年9月現在で、日高横断道路建設に費した費用は796億円。当時の堀達也北海道知事が日高横断道路工事を中止した。

その後、北海道の山岳団体と自然保護団体環境省へ国立公園指定を要請。法律上の国立公園指定まだのプロセツとして必要な地元市町村の要望を経て、日高山脈が国立公園に指定された。

1984年に日高横断道路工事が着工。工事は普通の山岳道路に加えて、冬季の雪崩対策の隧道、そして1823m峰の中腹を貫くトンネル。加えて河川を横切る橋梁など。これらの全部が、何一つ解体して自然に戻すことがなされていない。工事完了した全ての道路は日高の自然の一部として国立公園指定されてしまった

国立公園指定された道路を写真でアップする。

日高中央横断道路建設と反対運動の歴史

1964年 昭和39年 服部吟次郎静内町長は道路建設中央政府に陳情する。

1965年11月 静内町中札内村を結ぶ道路建設のため、地元の中札内村

静内町の連合期成会設立。

1970年~71年昭和45年 北海道開発局が静内・中札内ル-ト路線整備計画調査

を開始。

1971年 国は自然環境保全審議会(公園審議会)の答申を経て、日高山

脈を含む全国の8ケ所を国定公園候補地として指定。

北海道知事は、日高道路が具体化されるまでの9年間、公園

指定の知事意見書の提出を見送っている。

1974年 昭和49年 北海道開発局は自然環境基礎調査を開始。

1974年 航空写真による地形・地質の把握。

1975年~77年 地形・地質・植生の調査。

1976年6月 北海道は北海道自然保護協会に現地調査を委託。

1978年 動物の調査。

1978年3月26日 道央地区勤労者山岳連盟設立。

9月 十勝自然保護協会は現地調査開始。

12月27日 北海道開発庁は「事業計画概要」「自然環境基礎調査(外部

秘)」を北

海道に示し、開発道路の新規採択について同意を求める。

12月28日 北海道は開発道路の新規採択に同意する。

1979年 北海道開発局は1974年昭和49年より始めた航空写真による地形・地

質の把握、 地形・地質・植生の調査、動物の調査などの自然環境基礎調

査の全体調査を取りまとめる。

1979年昭和54年1月 北海道開発局が日高中央横断道路調査費として大蔵省予算

500万円を計上。

2月 北海道知事は、道議会において日高道路の環境調査実施を

3月11日 北海道勤労者山岳連盟第9回定期総会に於いて、連盟組織

を北海道ブロック協議会に移行し、北海道を道央・道北・道東の

3地区に分けて、それぞれ地区連盟とする。

3月11日 北海道自然保護団体連合は札幌市内で開催の第8回自然保

護シンポジュウムで、日高山脈国定公園指定を目指すのと、日

道路建設反対を満場一致で決議する。6月の現地調査を決め

る。

4月12日 北海道自然保護団体連合と十勝自然保護協会は、北海道知

事へ「日高山系の国定公園指定促進に関する要望書」を提出。

6月30日~7月2日 北海道自然保護団体連合は、道路予定地の現地調査

(十勝側・日高側)を行う。

静内側

静内町高見ダム工事現場からコイボクシュシベチャリ川標高800

m付近まで。及びコイカクシュシベチャリ川入域。

隊長 寺島一男 大雪と石狩の自然を守る会

行動隊長 加藤厚雄 札幌大雪山守る会

報道 1名 川田征男 朝日新聞

隊員 労山から4名 長水洋 道山敏幸 荒木詩子 竹久明成

大浦健(十勝協会) 山崎修一(札幌大雪山守る会) 中田義久(地形・

地質:北大) 佐藤孝則(動物:十勝協会)

<調査隊報告>

この構想が実現すれば河床林の破壊、河川生態系の破壊など、静

内川の破滅的な打撃を受けることは明白である。また、山腹の荒廃

により、土砂の流失、洪水の発生など、下流域に於ける災害の発生

も心配される。また、トンネル掘削に伴なう土砂の投棄場所の問題

や、斜度50度に近いところの道路建設に伴う自然破壊が大きい。

中札内・日高側

札内川上流7の沢標高810mまで。

隊長 藤巻裕蔵 十勝自然保護協会

行動隊長 及川裕 十勝自然保護協会

報道 2名 山本肇(NHK) 松田洋司(北海道新聞)

隊員 8名 森実裕(帯広の山岳会) 田中明子(道自然保護連合)

河田雅圭(動物:十勝協会)

北海道大学から5名 小林聰史 早坂和裕 田村恭男 小野克巳

高橋普(地形・地質)

1979年7月7日 北海道道央地区勤労者山岳連盟は北海道知事・道議会議長・

北海道開発局長へ「日高中央横断道路計画撤回要望書」を提出。

7月13日 北海道自然保護団体連合は、北海道知事へ「開発道道静内・

中札内線に反対する要望書」を提出。

9月2日 北海道内の自然保護団体は、帯広で開催の連合主催の第9回

北海道自然保護シンポジウムで、日高山脈を守る連絡協議会を結

成。

北海道自然保護団体連合・十勝自然保護協会・(社団)北海道自然

保護協会・旭川大雪山を守る会・大雪山を守る会札幌

9月26日 北海道道央地区勤労者山岳連盟は北海道知事・道議会議長・

北海道開発局長へか「かさねて日高中央横断道路計画撤回要望書」

を提出。

9月29日~30日 道央地区勤労者山岳連盟は第5回道央地区登山祭典を

開催。山岳映画と加藤保夫氏講演の夕べで日高道路反対をアピ-

ル。

12月11日~17日 帯広市NHKギャラリ-において、日高写真展を開

催。

日高山脈を守る連絡協議会と十勝自然保護協会主催

1980年昭和55年1月 北海道と北海道開発局は環境影響評価書を公表。

3月9日 日本勤労者山岳連盟第14回定期総会に於いて、「日高中央横

道路建設反対」を決議する。道央地区・道東地区・道北地区連盟

の共同提案による。

3月28日 北海道は静内町文化センタ-において、開発庁がまとめた日

高中央横断道路の環境影響評価書への是非を求める公聴会を開催。

反対運動を進めている(社団)日本山岳会と勤労者山岳会以外の山岳

団体で唯一、静内山岳会会長の中山忠政氏が反対の意見を述べた。

4月1日~14日 東京銀座子どもギヤラリ-において、日高山脈写真展を

開催。

日高山脈を守る連絡協議会・東京が主催。

4月14日 毎日新聞日高山脈キヤンペ-ン「日高山脈-原始秘境にな

ぜ道路-開発論先走り」を掲載。

4月 静内町中札内村の議会は、道路計画促進を決議。

4月17日 十勝管内の諸団体は、「日高山脈を守る連絡協議会十勝連絡

会」を結成。

5月28日 朝日新聞日高山脈キヤンペ-ン「検証 なぜ日高横断道路

か」本多勝一

5月22日~27日 札幌市内ア-トギヤラリ-さいとうにおいて、日高山

脈写真展を開催。作品80点。日高山脈を守る連絡協議会主催。

6月 労山全国連盟の会報「山と仲間」誌6月号に日高問題を掲載。

「いま破壊の魔手がのびる美しき原始の山脈・日高」 写真 門馬光

徳 文 小山健二

6月3日 シンポジュム「日高中央横断道路を考える」東京を全国町村議

員会館で開催。坂本直行氏、八木健三氏の講演。日高山脈を守る連

絡協議会と東京支部の主催し、約400名参加。

6月7日 日高山脈を守る連絡協議会は、日高中央横断道路問題講演集会

を札幌市内北海道自治会館大ホ-ルで開催。本多勝一氏・坂本直行

氏の講演。

6月14日 北海道自然保護連合は北海道開発局と交渉。

6月16日 北海道自然保護団体連合は、北海道知事と北海道自然環境保

全審議会会長へ、「日高山系の自然環境保全国定公園指定につい

ての要望書を提出。

7月7日 道央地区勤労者山岳連盟は北海道知事・北海道議会議長・北

海道開発局長へ道路計画撤回要求書を提出。

9月20日 日高中央横断道路反対全道総決起集会を帯広勤労者福祉セン

タ-で開催。

日高山脈を守る連絡協議会と北海道労山・十勝自然保護協会・北

海道自然保護団体連合・全林野など9団体80名参加。

9月26日 道央地区勤労者山岳連盟は北海道知事・北海道議会議長・

北海道開発局長へ、重ねて撤回要求書を提出。

9月29日 北海道知事は第3回定例北海道議会へ日高道路を道道認定

案件として提出。

10月21日~27日 旭川市内大雪画廊において、日高山脈写真展を開

催。

旭川勤労者山岳会と大雪山と石狩の自然を守る会主催

10月23日 旭川市内に於いて、大雪と石狩の自然を守る会主催の「日

高山脈を考える市民の会」を開催。

10月28日 北海道議会は日高中央横断道路を、建設常任委員会公害対

策特別委員会の合同審議を経て、本会議で賛成多数で道道認定案件

を可決する。

11月26日 日高山脈を考える超党派自然保護議員連盟を結成。日高問

題報告会を国会内で開催。

大石武一藤波孝生――自民党

岩垂寿喜男・五十嵐広三・小林恒人――社会党

小平芳平・竹内勝彦――公明党

和田耕作・中村鋭一・木下敬之助――民社党

立木洋――共産党

柿沢弘治――新自由クラブ

江田五月――社民連

美濃部亮吉――無所

1980年~1981年 日高中央横断道路建設反対の決議と要望書提出団体。(全国組

織)

財)日本自然保護協会 財)国立公園協会 財)日本野鳥の会

財)世界野生生物基金日本委員会 財)観光資源保護財団

財)日本鳥類保護連盟 社)日本山岳会 日本勤労者山岳連盟

日本自然保護連合

1981年2月10日 北海道開発局日高道路計画を開発道路に認定。

2月28日 札幌市内に於いて、日高中央横断道路建設反対決起集会を開

催。

10月1日 環境庁日高山脈一帯を「日高・襟裳国定公園」に指定す

る。

総面積103,447ha 襟裳岬から十勝港に至る場所など

は、山脈と飛び地状態。

1962年昭37年頃から、当時十勝自然保護協会会長の西武帯広畜

産大学名誉教授らの国定公園指定の要望があった。

北海道は1976年昭和51年から3年間、日高山脈自然生態系

総合調査を実施。

1980年6月、国定公園指定を道自然環境保全審議会に諮問。9月12日、審議会は

「原案が適当」と答申。9月27日、道は環境庁へ指定の申請を行

う。

コア部分の特別保護地域や第1種特別地域は、道路建設や水力ダ

ムなどを既成計画とし、道路予定地が瓢箪(ひょうたん)の真ん中の

クビレ状になり、トンネル部分がクビレが極端に狭い変形の国定公

園になった。

1983年6月 北海道知事は日高道路工事の着工に同意。

10月 北海道環境影響評価審議会は道路工事計画の審議を終了。

1984年4月 日本勤労者山岳連盟の会報「山と仲間」誌4月号に日高問題を掲

載。「日高中央横断道路計画と日高山脈の自然」 文 寺島一男

7月28日29日 第1回日高自然セミナ-を開催。

北海道自然保護団体連合の主催で静内側道路予定地で開催。

道央地区勤労者山岳連盟の全面支援による。

マイクロバス2台。62名参加。労山会員25名。

参加費12,000円。

講師は八木健三北海道自然保護協会会長。

7月27日~30日 3泊4日の道路建設予定地現地踏査

現地踏査隊

日高側コイボクシュシベチャリ川を遡行して1823m峰直登

沢出合の三俣からカムイエクウチカウシ山の登頂、十勝側の札内

川8の沢より札内川7の沢出合まで下山する。

隊長 寺島一男 北海道自然保護連合

副隊長 小山健二 道央地区勤労者山岳連盟

調査隊員 北海道大学理学部地質鉱物学科2名 三好 小山内

北海道自然保護協会 三木

報道 時事通信社1名 高林睦宏 共同通信社1名 中川潔

NHK2名 松田洋司・中島正春 北海道新聞社2名 山

下俊之・唐牛 読売新聞社2名 小笠原忍・秋山哲也

朝日新聞社1名 小谷野実

労山会員11名 轟木朋浩 佐々木貞夫 高橋修 千葉芳弘

石本朋子 小野武彦 細川昭夫 平口政雄 伊藤芳昭

合計23名

1984年8月 北海道は、道路計画の自然公園法に基ずく諸手続きを終了。

9月4日 日高山脈を守る連絡協議会と北海道自然保護連合は、日高中

央横断道路建設反対全道決起集会を札幌市民会館で開催。17

0名参加(労山会員110名)。

9月 北海道は、道路建設予定地の保安林解除の最終手続き完了。

9月17日 北海道自然保護連合は日高横断道路建設について、北海道環

境課と道路課と交渉。

10月15日 日高中央横断道路着工する。

十勝中札内側は、札内川7の沢出会いの相当に手前、中札内

村ピヨ-タンの堰から13.6km上流、札内川砂防ダム

事道路の拡幅工事。

静内側は、10月30日に静内町奥高見地区ナナシノ沢林道

工事を始めた。

1985年4月10日 朝日新聞道内版に「日高中央横断道路建設反対」の意見広告

を一面全面に掲載する。

6月10日 北海道自然保護連合は静内側工事現場の視察。労山会員8名

参加。

8月3日~5日 第2回日高自然セミナ-

静内側現地視察を北海道自然保護連合担当・7名参加。

ペテカリ岳登山を道央地区勤労者山岳連盟担当・25名参加。

テントサイトが狭く各コ-ス20名の参加人数制限するが、

全国から多くの申し込み。労山から9名(小樽労山4名・中央労

山2名・ピオレ2名・山びこ1名)と東京の親子2名・京都1

名など。

参加費:現地視察10,000円 ペテガリ登山12,000

円。

10月 北海道自然保護連合は静内側日高道路建設現場の視察

11月 北海道自然保護連合は中札内側日高道路建設現場の視察

1986年8月1日~3日 第3回日高自然セミナ-

静内側現地視察を北海道自然保護連合担当・7名

ペテカリ岳登山を道央地区勤労者山岳連盟担当・27名参

加。労山会員16名。

1987年8月9日~11日 第4回日高自然セミナ-

ペテカリ岳登山・29名参加。労山会員16名。

静内町から4名参加。

第4回日高自然セミナ-より、主催団体が北海道自然保護団

体連合から道央地区勤労者山岳連盟に移行する。

1988年8月5日~7日 第5回日高自然セミナ-

ペテカリ岳登山・14名参加。労山会員10名。

前年に主催を道連合から道央労山に移したが、労山の検討が

あり、やはり両団体の共同開催が日高道路建設反対活動に相応

しい、との呼び掛けで共同開催に戻る。 1989年9月9日~10日 第6回日高自然セミナ-

9日十勝側工事現場視察

10日十勝幌尻岳登山・34名参加。

参加費8,000円

十勝側では、札内ダムが新規に工事が始まる。そのため日高道

路はダムを避けるように山腹上部の工事に変更され、そのために

橋梁などは大型化されていた。

1990年9月8日~9日 第7回日高自然セミナ-

営林署の案内で林道コ-ス・7名参加。

10日 十勝幌尻岳登山・31名参加。合計37名(労山会員20

名・一般 16名・自然保護連合1名)

参加費8,000円

中札内公民館宿泊場で、帯広100年記念館の佐藤さんの動物

スライドと講演。

1991年9月9日~10日 第8回日高自然セミナ-

9日 十勝側・札内川奥の工事現場の視察。

10日、芽室岳登山・37名参加(労山会員21名)。

参加費9,000円

11月7日 道央地区勤労者山岳連盟は第8回日高自然セミナ-を開

催。札内川奥の工事現場を視察した結果、工事があまりにも森林

の破壊が凄いことをつぶさに視察。

道央地区勤労者山岳連盟は、北海道知事へ日高中央横断道路工

事の中止を求める要望書を提出。

1992年9月5日~6日 第9回日高自然セミナ-

静内側道路工事視察。

ピセナイ山予定が、林道通行止めによりアポイ岳へ変更。21

名参加(労山会員12名)。

1993年9月4日~5日 第10回日高自然セミナ-

十勝側札内川工事現場視察

伏見岳は雨天のため中止し、坂本直行記念館見学・31名参加。

1994年9月3日~4日 第11回日高自然セミナ-

十勝側札内川工事現場視察

伏見岳登山・29名参加(労山会員7名)。

1994年 林野庁日高山脈を「森林生態系保護地域」に指定。

日高山脈の中央部、日高幌尻岳2,052mからカムイエクウチ

カウシ山1,979mとペテカリ岳1,736mの周辺の国有林

伐採は禁止される。倒木の搬出も行われず、一定期間伐採禁止さ

れ後に営林対象となる他の保護地位とは異なる。

1995年~1999年まで、北海道の「自然保護冬の時代」と呼ばれ、日高セミナ-

を中止。道路工事現場の視察だけが毎年続けられる。

1987年頃から、全国の自然保護活動の低迷期を見越したよ

うに、リゾ-ト法が国会制定され。林野庁はここぞとばかりに、

「ヒユ-マン・グリ-ンプラン」森林利用料収入の森林行政によ

り、全国で8ケ所の大規模自然破壊の開発が始まる。北海道での

大規模開発行為は、北海道営林局が「森林総合空間利用地域」を

赤井川村に指定。朝里岳と余市岳の頂上を含む距離7km四方に

及ぶ保安林の解除から始まる赤井川余市ヤマハ・リゾ-ト開発キ

ロロ・スキ-場計画だった。

次いで、1989年にトマム・リゾ-トスキ-場建設計画。

その後、白籏山スキ-競技場や手稲山西野スキ-場計画・無意

根山スキ-場計画・そして、1988年に糠平スキ-場と深川ス

キ-場のオ-プン。そして、室蘭岳スキ-場計画・夕張岳スキ-

場計画・雨竜沼スキ-場計画・恵袋岳スキ-場計画・藻琴山スキ

-場計画・美瑛岳スキ-場計画・など、ぞくぞくと続くことにな

る。

1995年7月22日~23日 道央地区勤労者山岳連盟は日高横断道路工事現場視

察。

静内側コイボクシュシビチャリ川標高680m二股のトンネル

入り口まで。

道央地区勤労者山岳連盟自然保護委員4名。

工事最奥部のトンネル入り口に、150mほどの橋脚が出来上

がっていた。

7合橋まで着工されていて、5号橋・7号橋は工事中。その先

の沢沿いには今後の工事のための石標や石に測量の印がついてい

た。新たに、工事用道路や電線が完成・設置されていて、ムダな

自然破壊も進んでいる。

1997年8月9日~10日 道央地区勤労者山岳連盟は日高横断道路工事現場視察。

中札内側札内川7の沢出会い付近の工事現場視察の予定が、雨

天のため中止。

1998年7月25日~26日 道央地区勤労者山岳連盟は日高横断道路工事現場視

察。

中札内側札内川7の沢の工事現場視察と7の沢出会いから最奥

のトンネル出入り口までの長距離の視察を実施。

参加者6名。中央労山2名・ピオレ山の会1名・北稜クラブ1

名・こだま1名・山びこ1名。

7の沢出会いからの隧道建設工事が始まっていた。北海道帯広

土木現業所発行の道道静内中札内線「一本の道が森を結ぶ心を運

ぶ」のパンフレットに掲載されている「照林隧道」の説明の通

り、雪被害防止の620mの超大規模工事現場だつた。

1999年3月 北海道開発局は、事業採択から10年以上経過継続中の道路

事業の日高道路に対して、「再評価」事業審議委員会の答申を受

けて道路事業の継続を決定。

北海道も「政策アセス」で事業の継続を決定。

1999年3月17日 建設中の「士幌高原道路中止」を堀達也北海道知事が発表。

2002年4月1日発刊の十勝自然保護協会発行誌「然別湖の自然よ永遠に」の第二部

「回想」の執筆者23名の執筆内容に、多数の「次は日高横断道

路だ」がある。

士幌高原道路建設反対の活動は、「一度立ち止まって検討す

る・時のアセスメント制度」を北海道や全国・国会にまで広め

た。国会議員の道路族たちは「もう北海道に道路予算は計上しな

い」とまで公言したが、借金地獄の国は、予算規律に当てはめて

国の制度も「時のアセス」を採用せざるを得なかった。

北海道知事は士幌高原道路中止について北海道民の賛成・支持

を得て、後に時のアセス制度の「北海道政策評価条例」を道議会

に提出し、議会で可決。

7月 北海道知事は北海道議会で日高道路建設促進を表明。

8月21日~22日 道央地区勤労者山岳連盟は日高横断道路工事現場視

察。

札内側の札内川7の沢出会いから、7の沢最奥地の標680m

の静中トンネル出入り口までの視察。

2000年1月20日 北海道自然保護協会は、北海道自然保護連合と十勝自然保護

協会へ日高横断道路建設反対運動の再開の呼びかを行う。

1月21日 北海道自然保護連合は加盟23団体へ、日高道路反対運動へ

の再取組みを要請。

2月3日 北海道自然保護協会は、「北海道政策評価条例」の日高横断

道路の再評価求める要望書を北海道に提出。

3月5日 道央地区勤労者山岳連盟は、第23回定期総会で再度の日高

横断道路建設反対を決議する。

4月13日 十勝自然保護協会は、日高横断道路事業の抜本的見直しを求

める要望書を北海道に提出。

4月26日 北海道自然保護協会は、北海道知事へ「日高横断道路の抜本

的な再評価を求める要望書・質問書」の2回目を提出。

6月2日 北海道勤労者山岳連盟は、北海道知事に「日高横断道路建設

中止の方向で再検討を求める要望書」を提出。

8月3日 北海道自然保護協会は、北海道知事へ「日高横断道路の抜本

的な再評価を求める要望書・質問書」の3回目を提出。

9月9日~10日 道央地区勤労者山岳連盟は第12回日高セミナ-を開催。

1994年に第11回日高セミナ-を開催して、今回再開。

36名参加。労山18名・北海道自然保護連合1名・北海道自然

保護協会1名・十勝自然保護協会5名・一般市民11名。

一般参加者と共に、十勝側札内川7の沢出会いより、標高680

m静中トンネル出入口予定地まで調査。

7の沢出会いから巨大な橋脚工事が進んでいた。

北海道自然保護協会・佐藤謙氏の植物調査と、小島望氏のナキウ

サギ調査。トンネル出入り口付近で風穴(ふうけつ)地帯の確認。ナ

キウサギ貯食場で植物小枝に食痕を発見。貴重な高山植物が群生し

ているのを発見する。

10月30日 北海道自然保護協会は、北海道知事へ「日高横断道路の抜本

的な再評価を求める要望書・質問書」の4回目を提出。

2001年2月 北海道自然保護協会は北海道知事へ日高道路工事中止を申し入れ。

3月3日 第1回シンポジゥム「はるかなる日高山脈・原始の自然を未

来へ」を札幌市内かでる2・7で開催。

主催団体は北海道勤労者山岳連盟・北海道自然保護協会・十勝自

然保護協会・北海道自然保護連合の4団体。

200名の会場に300名分の椅子を用意し、入場者620名。

その内札幌市外参加者が164名となる。

5月26日 北海道自然保護協会は札幌市内で「日高山脈の自然を後世に

残すため一緒に考えてみよう」集会を開催。100名参加。

6月 北海道自然保護協会は、北海道知事へ「日高横断道路の抜本

的な再評価を求める要望書・質問書」の6回目を提出。

7月21日~22日 第13回日高セミナ-を予定したが雨天のため中止

し、道央地区勤労者山岳連盟主催の静内側視察とする。・北海道自

然保護協会・十勝自然保護協会・日高の森と海を語る会など参加。

21名参加

道央労山4名 小久保乙里砂 片寄貞子 今野平支郎 小山健二

10月13日~14日 「森と自然を守る全国集会」を札幌市内と静内町

で開催。

530名参加。

2002年1月22日 堀達也北海道知事へ「日高横断道路事業の抜本的な再評価を

求める要望書」提出。

提出4団体 北海道勤労者山岳連盟 北海道自然保護協会 十勝

自然保護協会 北海道自然保護連合

1月23日 扇千景国土交通大臣へ「日高横断道路事業の抜本的な再評価

を求める要望書」を手渡しで提出。

提出4団体 北海道勤労者山岳連盟 北海道自然保護協会 十勝

自然保護協会 北海道自然保護連合

3月2日 第2回日高山脈シンポジゥム「日高横断道路を問うを未来

へ」を札幌市内北大クラ-ク会館で開催。600名参加。

主催団体は北海道道央地区勤労者山岳連盟・北海道自然保護協

会・北海道自然保護連合・日高山脈の自然を守る協議会準備会の4

団体。

3月28日 日本生態学会が日高横断道路の工事中止を求める要望書を決

議する。

5月11日 「止めよう日高横断道路」全国連絡会を結成。全国連絡会の

代表委員56名。

「止めよう日高横断道路」全国連絡会規約第2条(目的) 日高横

断道路(道々静内中札内線)の建設工事を中止させることを目的とし

ます。

規約第7条(会の解散) 第2条の目的が達成されたときは、会を

解散します。

決議文を道知事と国土交通大臣に提出。

6月5日 北海道自然保護協会は北海道知事へ「日高横断道路事業の執

行にかかわる道政の進め方に関する再質問書」を提出。道からの回

答は来なかった。

6月25日 扇千景国土交通大臣はヘリコプタ-で日高横断道路工事地域

を視察。

6月27日 堀達也北海道知事は、道議会に於いて「これからの進め方に

ついて検 討するとともに、国や地方自治体などと相談したい」と表

明する。「中止 も視野に見直し」表明。

7月 全国連絡会は、北海道知事・国土交通省財務省・北海道開

発局へ「道路建設予算の凍結と次年度予算計上をしないこと」の申

し入れを行う。

8月 中札内村は道に、道路工事の促進を求める署名1万6件名を

提出。

8月24日~25日 第14回日高セミナ-を開催。静内温泉宿泊。

45名参加。止めよう日高横断道全国連絡会35名・労山10名

(中央労山3名・北稜クラブ1名・百松山岳会3名・山びこ2名・ピ

オレ山の会1名)

道央地区連盟自然保護委員会は、第12回日高セミナ-から単独

の主催行事としてきたが、最終回となる第14回を止めよう日高横

断道全国連絡会と共同開催する。

24日ピセナイ登山は雨天のため中止。

25日静内側視察。

9月20日 北海道は、日高横断道路を士幌高原道路建設反対運動から生

まれた、公共工事を一度立ち止まって評価する「時のアセス」を更

に発展させた「政策アセス」である北海道政策評価条例の「特定政

策評価」に位置づける。

日高横断道路が新しい北海道条例適用の第一号となった。北海道

政策評価委員会の基本評価等専門委員会が検討を開始。委員会にお

いて、総工費1,520億円(道管理区間880億円、開発道路区間

640億円)であることと、今後の事業期間が35年~40年程度で

あることを報告する。

ちなみに、当初予算は296億円であった。今までに約500億

円を投入し、今後1,000億円以上の事業費が必要。工事期間は

当初15~20年と予想されたが53年~58年に修正された。

10月 国会議員の「公共事業のチエック議員の会」が現地視察。

10月22日 北海道政策室は日高横断道路について静内町の意見聴取。

10月24日 北海道政策室は日高横断道路について中札内村の意見聴取。

10月25日 北海道政策室は日高横断道路について帯広市の意見聴取。

11月5日 北海度知事は道路工事現場を視察。

11月13日 北海道自然保護協会は北海道政策評価委員長へ「日高横断道

路の特定政策評価の審議することを求める要望書」を提出。

11月13日 十勝自然保護協会は北海道政策評価委員長へ「日高横断道路

の特定政策評価に関する要望書」を提出。

11月19日 ナキウサギふあんくらぶは北海道知事へ「日高横断道路中止

を求める要望書」を提出。

11月13日 「止めよう日高横断道路」全国連絡会は、北海道政策評価

員長へ「日高横断道路建設に関する意見書」を提出。

11月 静内町は道に、道路工事の促進を求める署名3万1件名を提

出。

2003年1月27日 北海道自然保護協会・北海道自然保護連合・日高山脈の自然

を守る全国連絡会は、北海道知事へ「特定制作評価にかかわる緊急

要望書」を提出。

1月29日 北海道は最終回となる第11回専門委員会を開催。それまで

の途中賛否双方の意見聴取の会として、賛成側が2002年10月

22日に静内町

24日に中札内村。25日に帯広市の関係者。反対側からは11

月25日に札幌市で開催した。

2月3日 北海道専門委員会宮脇委員長が掘達也知事に答申。「必要性

及び妥当性については、本路線を取り巻く環境の変化により、着工

当時と比べ低下しているとの認識を共有する必要がある」

2月3日 北海道自然保護協会・北海道自然保護連合・十勝自然保護協

会は、「日高中央横断道路の中止を求める緊急要望書」を道知事へ

提出。

2月7日 堀達也北海道知事は、日高横断道路に関する「道の評価調書

や道政策評価委員会の意見書を踏まえ、総合的に判断した結果、北

海道管理区間の未改良区間は当分、新規の改築工事は行わないこと

とする」と表明。

2月15日 「止めよう日高横断道路」全国連絡会は、市民による日高横

断道路「時のアセス」173ペ-ジを発行。

2月15日 第3回日高山脈シンポジゥム「未来へつなごう日高山脈」を

帯広市内とかちプラザで開催。170名参加。

主催団体は北海道道央地区勤労者山岳連盟・北海道自然保護協

会・北海道自然保護連合・日高山脈の自然を守る協議会準備会の4

団体。

8月1日 北海道開発局は、国の事業再評価の審議機関である「開発局

事業審議委員会」(小林好宏委員長含5名)の「事業中止」答申を受

け、事業中止を明記した再評価案準備書を提出。1984年10月

道路工事着工以降に掛かった費用515億円の一部工事完成部分の

国整備区間を北海道に移管。

8月8日 北海道開発局は、審議委員会の答申などから、国がすすめて

いた開発道路部分の未着工部分の事業中止を決定する。

参考文献

北海道道央地区勤労者山岳連盟・登山学校テキスト―― 1995年度版

北海道道央地区勤労者山岳連盟・登山学校テキスト―― 2003年度版

カムイミンタラ 創立20・30周年記念号―― 大雪と石狩の自然を守る会

北海道登山研究集会・論文資料集 第32・33・34回 道央地区勤労者山岳連盟

北海道勤労者山岳連盟創立40周年記念誌

北海道道央地区勤労者山岳連盟・定期総会議案書

北海道道央地区勤労者山岳連盟・会報「連盟だより」

北海道自然保護連合会誌「北の自然」

日高横断道路工事が中止になっても中札内村は工事再開を要望

日高横断道路工事中は静内町中札内村は工事促進を表明

11回日高自然セミナ-工事視察 札内川 14号橋1994年9月3日4日

工事視察 札内川 7の沢出会いの橋 1998年7月25日

工事視察 札内川 札内ヒュッテ新築・旧道 1998年7月25

12回セミナ-工事視察 7の沢 2000年9月9日

13回日高自然セミナ-工事現場視察 静内側 2001年7月22日

静内町 ひがしのさわ橋 1989年平成1年9月完成 2001年7月21日~22日

日高札内川七ノ沢道路構造物 以下の写真は服部勝雄氏撮影 2023年