いちばんべったこ (original) (raw)

テア・ランノ作。

舞台は第二次大戦下のローマ。

ローマにもユダヤ人居住区ゲットーがあり、そこに住むエマヌエーレが主人公。

この人は実在し、91歳で健在だ。

この人のことをテレビで知った作者が、エマヌエーレさんに連絡をとり、話を聞いて物語に仕上げた。

第二次大戦下のイタリアの同行を、ぼくはよく知らなかった。

どうしてナチスの親衛隊がいて、ユダヤ人を連行していくのかが分からなかった。

訳者の後書きで解説されるのだが、ムッソリーニははじめヒトラーユダヤ人政策に同調しなかったが、クーデターで政権が倒されイタリアが連合国側に寝返ってから、ナチスドイツがイタリアの北半分とローマを占領して支配したのだ。

南から攻め上るイギリス・アメリカ連合軍とドイツ軍の戦いで内戦状態だった。

この頃のイタリアの歴史的事実に無知だったことも恥ずかしい。

さて物語だが、1943年10月16日、エマヌエーレは銃声を聞き、ナチスの親衛隊がドアを蹴破って自分たち家族を捕まえるのではないかと怯える。

お母さんは、仕事に行っているお父さんに家に帰ってこないように伝えに行く。

エマヌエーレたち兄弟6人は家でじっとしていたが、なかなか帰ってこないお母さんを心配して、エマヌエーレが外に出てしまう。

ドイツ兵に見つかってお母さんとエマヌエーレはトラックに乗せられたが、お母さんがエマヌエーレだけ車外に突き落とす。

逃げ出したエマヌエーレは、路面電車に潜り込み、親切な車掌さんに助けられて、走る路面電車の中に身を隠す。

密告する人やファシストに怯えながら、3日間をその路面電車の中で過ごし、親戚の人に見つけられて助かった。

読んでいる間は、自分が大戦下ののローマにいてナチスファシストから隠れて暮らしている気分になり、ヒヤヒヤした。

お母さんは、アウシュビッツに送られ亡くなった。

連行されて亡くなったのは、なんの罪もないユダヤ人や政府に反対する人、共産主義者、ロマの人たちだった。

ムッソリーニ独裁政権を許したとはいえ、イタリア市民がファシストナチスの言いなりにならずユダヤ人を助けたり、パルチザンとなって戦ったりしたことがすごいと思う。

テア・ランノさんが本にしてくれたおかげで、それが翻訳されて、80年前にイタリアで実際にあった出来事を知ることができてありがたい。

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夢野寧子さん作。

主人公しずくは、頭痛を伴う閃輝暗点をよくおこす。

うちの嫁さんもたまに起こす。頭痛はなくて、しばらくすると治ります。

縛られ地蔵のある川沿いの公園で、タマキという子と出会う。

仲良くなってしばらくしてから、その子の本当の名前はメイだと分かる。

タマキは、死んだ妹の名前だった。

しずくのお母さんは不妊治療をしているが、なかなかうまくいかない。

ふとしたことで、自分の部屋に引きこもってしまう。

しずくはそれが、縛られ地蔵に自分がした願い事のせいだと思っている。

物語は、しずくがだれかに語りかけている言葉で展開される。

時々「あなた」という言葉が挟まれて、きっとその「あなた」に向けて語られているのが分かるのだけれど、「あなた」が自殺したしずくの本当のお父さんだとわかるのは、最後のページだ。

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買い物帰りに出会ったネコさん。

ニャーと鳴いてくれました。

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村井理子さん作。

はー、面白かった。

村井さんにとっては、大変なことなのに面白おかしく読ませてもらうのが、申し訳ないような楽しいような・・・。

翻訳の仕事をしながら、ケアマネさんやヘルパーさん、訪問看護師さんと連絡を取り合い、呼び出されるたびに車を走らせ、義父さんのわがままに笑顔をつくり、認知症の義母さんに話を合わせ、最後には実の息子である夫にバトンタッチした。

妻として嫁として、その状況をすんなり受け入れたのでなく、文句を言い拒絶しながら、書いて残すために介護に関わったというところが、この人のすごいところです。

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嫁さんと一緒なので、自転車使わなくても行ける道の駅を探し出かけました。

能勢電日生中央からバスで15分ほど。

ここも、阪急バスのエリアです。

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花や野菜が買えました。

お米を精米してもらってたらバスの時間が迫ってきて、ヒヤヒヤしました。

乗り過ごしたら、次は2時間後。

無事に乗れて昼過ぎに帰ってこれました。

おかげで、娘のSOSに応えてすぐ手伝いに行けました。

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寺地はるなさん作。

主人公は祐希。

会社の寮が火事で焼け出され、12年前に逃げ出してきた「のばらのいえ」に連れ戻される。

「のばらのいえ」は、実奈子さんと志道さんが作った住むところをなくした母子を救う家。

そこで与えられる側として生きていた祐希と紘果が、志道さんの呪縛をきっぱりと断ち切って生き直すためにもがく物語。

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今西乃子さん作。

スミさんというおばあさんにスポットを当てた介護施設のお話。

そこではアニマルセラピーをしていて、犬を抱いたり撫でたりしている高齢者さんが、ほんとにいい顔してはる。

スミさんは認知症が進んで、毎週会いにきていた夫の雅さんがバイクの事故で亡くなっても分からない。

かわいそうだったのは、愛犬のコロが飼い主がいなくなって保健所に連れて行かれたこと。

外国のように、犬やネコと入れる施設が日本にもできるといいのにな。

新総理にはそういう施策も望みたい。

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