[アメコミ]LAGIAの趣味部屋[アメトイ] (original) (raw)

少女が見た流星!

(色んな意味で)あくの強いキャラクターはアメリカでも健在だ!

[あらすじ]

地球から巣立った人類は宇宙コロニーに新たな希望を求めていた。しかし、地球圏統一連合は正義と平和の名を元に圧倒的な軍事力を持って、各コロニーを制圧していった。A.C.(アフターコロニー)195年、作戦名オペレーションメテオ。連合に反目する一部のコロニー居住者たちは流星に偽装した新兵器を地球に送り込む行動に出た。

だが、この作戦は既に連合本部に察知されていた…。(第1話原文一部抜粋)

宇宙から地球に向けて射出される5つの飛来物。流星となって地球に飛来する物体には地球圏統一連合、そしてOZを叩く超兵器とそれを操る少年たちの姿があった。

[思春期を殺した少年の翼]

さて、読者のみんなはアメコミ版ガンダムW(ウイング)をご存じだろうか?

アメコミ版ガンダムWBANDAI SPIRITSが販売しているアクションフィギュア「ガンダムユニバース」のホームページに掲載されているコミック。2024年現在でも読めるので気になった方はホームページにGOだ!

何故に令和の世にガンダムW?と首を傾げたくなるがガンダムユニバースは海外で先行販売されているフィギュアであること、海外特にアメリカでは「ガンダムと言えばガンダムW」という認識があるようなので、このチョイスも納得である。

新起動戦記ガンダムWは1995年にテレビで放送されて以来根強い人気を誇っているが、日本から遠く離れたアメリカでも人気なのは素直に嬉しい。アメコミ版ガンダムWは1号しか配信されていないが、それでも内容は非常に濃い。

テレビで放送された第1話と第9話の内容をミックスした本作は、冒頭は第1話同様に本作の主人公である工作員ヒイロ・ユイと主役機ウイングガンダム、ライバルの「仮面の男」ゼクス・マーキス、そしてヒロインのリリーナ・ドーリアンのお披露目からスタート。

シャトルに偽装して地球に乗り込むヒイロウイングガンダムを感知したゼクス。地球圏統一連合軍、通称OZの一員であるゼクスは事前に飛来物がコロニーの反乱因子が送り込んだものだと察知しており、部下と共にこれを調査・撃墜せんとする。敵の攻撃を前に偽装を解除し、ロボットの姿へと変形するウイングガンダムの姿がアメコミらしい力強い絵柄で再現されている。

バード形態からモビルスーツへと変形し、必殺のバスターライフルをぶっ放すウイングガンダム。敵のエアリーズ2機が瞬く間に蒸発していく様にヒイロも高笑いを上げる、テレビ版以上に悪い笑顔だなおい!心が壊れている様子を表現しているのだろうが…。

その後もテレビ版同様、ゼクスの駆るリーオーに羽交い絞めにされて海中に激突してウイングガンダムは海に沈み(ゼクスはパラシュートで脱出)、ガンダムWでも名(迷)シーンの1つであるヒイロとリリーナの出会いが描かれる。

たった1ページに主人公とヒロインの出会いを濃縮させるパワープレイ、たまらないねぇ。

海中から脱出したヒイロは力尽き、浜辺で倒れていた。偶然発見したリリーナは親切心でヒイロを助けるものの…。救急隊員を殴り飛ばし、救急車で去り行く謎の少年に「私はリリーナ・ドーリアン、あなたは?」と真面目な顔で語るリリーナは間違いなくやべー奴。ガンダムWの登場人物はこんなエキセントリックな連中ばっかりだけどね。

ヒイロたちだけでなく、デュオ・マックスウェルのガンダムデスサイズにトロワ・バートンのガンダムヘビーアームズ、カトル・ラバーバ・ウィナーのガンダムサンドロック、張五飛のシェンロンガンダムと他のガンダムたちの登場と第1話の名シーンを忠実に再現。炎をバックに佇むシェンロンガンダムが最高にカッコいいので、シェンロンファンは必見だぞ。

残念ながら第1話での締めでありお馴染みの「お前を殺す(デデン!)」は描かれなかったが、これは尺の都合上仕方がないだろう。真面目に描いてもリリーナだけでなく初見の読者も「なんなのこの人…」と戸惑うこと必至だしね。

その代わりか、ラストには真の主役機(←)ことトールギスが描かれている。「ガンダム」の存在とその脅威を目の当たりにしたゼクスガンダムを倒すことができる兵器を求め、それに応えるべく用意されたのがこの「じゃじゃ馬」。

アメコミ版ガンダムWの2号があれば、トールギスのカッコいい活躍が描かれていたのかもしれない?

ワーカーが発見した白いモビルスーツトールギスガンダムたちにも匹敵する程の人気を誇る名機体。管理人も大好きな機体の1つだ。

アメコミでガンダムという一見ミスマッチに見える組み合わせだが、数あるガンダムシリーズの中でも(主に言動が)ぶっ飛んでいるガンダムWを主題にしているからか違和感なく読めるのがポイント。セリフもテレビ版と基本は同じなので、英語が読めなくても何となく読めるのも嬉しい。

折角のアメコミ化なのだし、ガンダムWだけでなく他シリーズでも描いてくれたら嬉しい。

爪が疼いて仕方がねぇぜ!

ということで、今回はマーベルレジェンドウェポン・オブ・ヴェンジェンスのレビューだ。

マーベルユニバースを代表するヒーローの1人として、活躍を続けるウルヴァリンには幾つものコスチュームが用意された。黄色と青を主としたタイガーストライプのものやブラウンカラーのものや私腹姿にタキシード姿、はたまたウェポンXのような変わり種と実に多種多様。トイビズやハズブロもこれを逃す筈もなく、コスチュームが変化したウルヴァリンを多く立体化してきた。

そんなウルヴァリンの最新作が、ゴーストライダーとのクロスオーバーイベント「ウェポン・オブ・ヴェンジェンス」にて登場したヘルヴァリンことウェポン・オブ・ヴェンジェンスだ。ブラックハートアソートにラインナップ。

ウェポン・オブ・ヴェンジェンス本編の内容は当ブログで紹介しているので、そちらもチェックだ(露骨な宣伝)。

正面から。地獄の悪魔を憑依した最終兵器、堂々の立体化!

背面から。後頭部は炎一色。

バストアップ。

ウェポン・オブ・ヴェンジェンスは祭司の手でウルヴァリンの身体に悪魔バグラ=グールが憑依されたことで誕生。憑依する際にゴーストライダーを利用したためか、顔はライダーのそれを彷彿させるヘルファイアを纏う髑髏となっている。眼窩や口元から噴出するクリアパーツの炎が、ウルヴァリンのマスクを模っているのが良い。

残念ながらゴーストライダーお馴染みの口の開閉ギミックはない。が、それを補って余りある造形の素晴らしきことよ。ふつくしい…。

コミック同様に骸骨は金属をイメージしたカラーリングとなっているが、これはウルヴァリンの骨が特殊金属アダマンチウムに置き換わっているため。

付属品はウルヴァリンお馴染みの爪付きのハンドパーツが両手分。爪はヘルファイアを模した、炎状となっている。炎の形状が左右で違うのが芸細。

こちらを見据え、ヘルファイア・クローを取り出すウェポン・オブ・ヴェンジェンス

頭部とハンドパーツ以外は過去にハズブロから発売された「ジャガーノートアソート」にラインナップされたウルヴァリンと同一。つまりウェポン・オブ・ヴェンジェンスは所謂リデコ商品にあたる。関節は最新式にして欲しかった気はしなくもないが、元の優秀な可動性はそのままなので動かしているとあまり気にならない。

炎が巻き起こり、爪が唸る!コミックではウェポンXのそれと似たヘルメットを被らされて洗脳されていたが、ローガンの強靭な精神力が祭司の指示に抗い、悪魔の支配にも抵抗を見せていた様が印象深い。

ウルヴァリンお馴染みの姿と並べて。

本当はブラウンコスチュームのウルヴィーと並べるべきなのだが、管理人は持っていないのでタイガーストライプのもので代用。背丈はそのままだが、凶悪な雰囲気が漂う様に変貌したのがよく分かる。

ゴーストライダーと並べて。

身長差がえげつない(笑)。ウェポン・オブ・ヴェンジェンスが立体化されたのだから、生誕50周年記念時の姿のライダーも立体化しないかな。

ゴーストライダーとバトル!

ウルヴァリンvsブレイド」もそうだったが、2大ダークヒーローだけのクロスオーバーイベントという熱い展開が良かったな~。

ウルヴァリンゴーストライダーのレビューはこちらから↓

lagia.hatenablog.com

lagia.hatenablog.com

最後はすごみを利かせたウルヴァリンで締め。ミュータント殺すべし、慈悲は無い。

ハズブロからブラックハートが発売されただけでも驚きだったのに、そのラインナップもまさに俺得と言っていい顔触れ。その中にウェポン・オブ・ヴェンジェンスもあるのだから、驚きと感動もひとしお。リデコではあるものの、2023年に初登場したキャラクターが立体化される圧倒的スピードで立体化できる強みを感じ取れた。

2024年現在、ウルヴァリンの息子であるダケンが第2のウェポン・オブ・ヴェンジェンスとなって現世に復活。死んだ筈の男が悪魔の力を得て蘇り、どんな物語を織り成すのか楽しみだ。

2代目ウェポン・オブ・ヴェンジェンスハズブロから立体化される時は、ヘルメットとヘルサイクルも付属してくれたらいいな~。

街が危ない、「死」が迫る!地球を守れ、ウルトラマンアベンジャーズ

Ultraman X The Avengers (2024-) #2 (of 4) (English Edition)

前回はこちらから↓

lagia.hatenablog.com

[あらすじ]

宇宙魔人ギャラクタスの襲来。避け得ない災厄の到来に備えて、万全の準備を取らなければならない。それは地球を守るウルトラ警備隊にとっても、アベンジャーズにとっても同じだ。

とはいえ、まずは地球が抱える脅威を排除するのが先決。海の向こうからやってきたエレドータスとテロチルスの対処と、科学特捜隊を指揮するモーハイム指令の野望を阻止する。ハヤタたちの問題を解決すべく協力を申し出るアベンジャーズだったが…。

「ギャラクタスが迫るというのに、そんな余計なことをしている余裕があるのか」

トニーの言うことは尤もだが、放っておける話でもない。少なくともキャロルはまだ見ぬ大怪獣と戦う気満々。そんな仲間たちを見てか、トニーは後方からのバックアップを担当することに。

[戦え!ウルトラマン]

マーベル版ウルトラマンアベンジャーズの奇跡のコラボ作品、誰もが予想だにしていなかったヒーローたちの競演のファーストコンタクトはクロスオーバーイベントのお手本と言っていい完成度だった。各キャラクターの性格や背景が明確化され、出典元を尊重しつつ大胆なストーリー展開に管理人は興奮を覚えずにはいられなかった(ザラブ星人の動かし方が上手すぎるぜ)。作品内でどう動くのか想像の余地を残しているのも素晴らしい。

そんな「ウルトラマン×アベンジャーズ」第2号に登場する怪獣はエレドータスとテロチルス。第1号ラストでも登場した2体の怪獣は、共に帰ってきたウルトラマンが初出。少々、いやさ結構マイナーな怪獣たちを登場させたのはマーベル版ウルトラマンにもMATが登場したからか。

いずれにしても、ナックル星人やグドンツインテールといった帰ってきたウルトラマンでのメジャー怪獣を起用しないセンスは流石と言える。テロチルスの鼻からビームを放つ様を再現しているのだから本気度が違う(エレドータスの電撃吸収能力は披露されず。ソーがいれば…)。初めて戦う巨大モンスター相手にも臆せず挑むキャプテンマーベルの勇ましさを見てか、ハヤタとウルトラマンもまた戦意を高めていく。

キャプテンマーベルとアイアンマン以外のアベンジャーズのメンバーは、キャプテンアメリカの指揮の元、科学特捜隊本部を強襲。スーパーヒーローの到来を予見してか、モーハイム指令は罠を張って待ち構えていた。

第1号でウルトラ警備隊の内情を聞いたトニーはハヤタに対し、「ウルトラマンに変身してモーハイムを倒せば済む話ではないか」と語った。1個人が持つには余りにも強大な力を持つハヤタならば、悪党1人を捻り潰すことなど訳ない。なのに何故そうしないのかと聞かれれば、「ウルトラマンの役割ではないから」と答える。

ウルトラマンの多くは地球人に憑依し、彼らの社会に溶け込み地球を守ってきた。その中で、地球人同士の問題に介入することをウルトラマンたちは拒み続けてきた。マーベル版ウルトラマンも同様であり、ウルトラマンの故郷である光の国でもそれは固く禁じられた行為であると言及されてきた。他の文明に必要以上に介入すれば、それは大きな歪みとなって後世に影響を与えてしまう。故にウルトラマンはモーハイム指令の逮捕には協力しようとはしない。これを解決するのはハヤタたち地球人の役割なのだから。

とはいえ、ウルトラ警備隊の力だけではモーハイム指令の尻尾を掴むことは困難を極める。そこに平行世界から「地球人のメンバーで編成された」アベンジャーズがやって来たのは、ハヤタたちにとっては幸運だったと言えるだろう。

モーハイム指令の戦闘能力に窮地に陥るアベンジャーズの助太刀に現れたフジに専用のアイアンマン・スーツを提供したトニー、スペシウム光線を吸収して威力を高めたフォトンブラストで2大怪獣を一掃するキャロル。スーパーヒーローとウルトラ警備隊、そしてウルトラマン。これも「持ちつ持たれつ」の現れだろう。

モーハイム指令には逃げられたものの科学特捜隊の戦力は弱体化し、エレドータスたちの撃滅には成功。後は地球に襲来したギャラクタスの迎撃準備を整うだけ。キャプテンアメリカの市民へ避難を呼びかける様を見てか、ハヤタは己の不甲斐なさを感じてしまう。スーパーヒーローの助けがなければ自分たちの問題も解決できず、星を守ることもできないのか。そんなハヤタをウルトラマンは、自分もまたハヤタと同じ感情を抱いていることを明かす。

地球に降り立つギャラクタスの前に現れたウルトラマン。星とそこに住まう生命諸共に喰わんとするギャラクタスを止めようとしたウルトラマンは、これを辞めるよう説得を試みるものの、これに失敗。ギャラクタスが星を喰らうのは生きるためであり、彼が星を喰らうことで全宇宙の崩壊を抑制することに繋がるからだ。これを妨げることはウルトラマンにはできなかった。

宇宙を俯瞰的に、等価値に見るウルトラマンにギャラクタスを糾弾する資格はない。さりとてハヤタたちを見捨てることもできない。

ウルトラマンの抱える苦悩を聞き、ハヤタは共に戦うことを告げる。ギャラクタスに滅ぼされることを「定められた道」だとするウルトラマンを相棒として叱咤するハヤタ。そんな道などありはしない。むざむざ滅ぼされるなど御免だ。

地球人として最後まで戦う。ハヤタの意思を確認したウルトラマンもこれを承諾。地球を守るために。

ウルトラ警備隊にMAT、そしてアベンジャーズ。最強チームがアッセンブル!

ウルトラセブンの参戦も示唆され、次号でウルトラ戦士vsギャラクタスの大迫力バトルが描かれることに期待大だ!

これで全てが終わる!

ゴーストライダーvsザドキエル、最終決戦!

Ghost Riders: Heaven's on Fire (2009) #6 (of 6) (English Edition)

Ghost Rider: The War For Heaven Book Two (Ghost Rider (2006-2009) 2) (English Edition)

前回はこちらから↓

lagia.hatenablog.com

[あらすじ]

ジョニー・ブレイズ、スタントショーのライダーとして無類の実力を持つ彼は病に倒れた養父を救うために、地獄の悪魔と契約した。養父の命は悪魔の手で弄ばれ、ジョニー自身も悪魔の手で“復讐の精霊”を宿す怪人と成り果てた。

あれから多くのものを得て、同時に多くのものを失った。愛する妻ロクサーヌと2人の子供たちクレッグとエマ。家族は悪魔たちとの戦いで命を落とし、それでもジョニーは戦うことから逃げられなかった。

復讐のための戦い。自分の生きる道を歪めた者たちへの制裁。それも、ザドキエルを打ち倒すことで全てが終わろうとしていた。しかし…。

ダニー・ケッチと共に天界に乗り込んだジョニーだが、ザドキエルの強大な力に成す術なく沈む。数多の“復讐の精霊”の力を取り込んだ「神」を倒すことはできないのだろうか。

[Meet Again]

ダニウェル・ウェイとジェイソン・アーロンの両ライターが描いてきた第6期ゴーストライダー誌。その終着点であり、ゴーストライダーの物語の1つの完結となる「ヘヴンズ・オン・ファイア」で遂にゴーストライダーザドキエルの直接対決が冒頭から描かれたが、結果はザドキエルの完勝。ジョニーとダニーも荒ぶる「神」の猛威の前に倒れ伏してしまう。

当時読んだ管理人はこの展開に衝撃を覚えたものだが、この結果は当然の帰結だろう。ザドキエルはダニーが得た“復讐の精霊”の力を奪い、己の力へと還元した。その結果、今やザドキエルの力は天上の神々をも超えるものとなった。歴戦の猛者である天使の軍隊でも討つことができなかった「神」をどうしてヒトが討てるのか。変身が解けてしまったジョニーたちを見下ろすザドキエルも自らを「神」と名乗り、ひれ伏せようとするのも頷ける。

しかし、ジョニーたちにはまだ勝機は残されている。ザドキエルは自分たちを追い詰めても殺そうとはしないから、正確に言えばできないのだ。彼が得た“復讐の精霊”の呪いはザドキエルでもコントロールすることは困難を極めた。復讐の力を引き出すにはヒトの感情を贄とすることを思いついた「神」だが、彼にはヒトのような感情は持ち合わせていない。故にジョニーとダニーが抱く自分への憎しみの感情を、己の力の源泉としたのだ。そのためにはジョニーたちには生きてもらわなければならない。ただ只管に己に復讐心を抱く家畜として。つくづく「神」の傲岸さには反吐が出る。

ジョニーもザドキエルの弱点を指摘するものの、図星を突かれて激昂した「神」の猛攻を受けてしまう。意識が朦朧とするジョニーだが、そんな彼の前に死んだ筈のロクサーヌと2人の子供たちが現れる。ジョニーがいる場所は天界、死者の魂が安らぎを得る場なのだからロクサーヌたちがいてもおかしくはない。

亡き家族の魂に後悔の叫びと懺悔を漏らす夫をロクサーヌは制する。彼女たちはジョニーの泣き言を聞くためでも、呪詛の言葉を吐きに現れたのでもない。ジョニーに勝って欲しい、復讐を完遂して欲しい、「家族」がいつでも見守っていると応援するためだ。この暖かい優しい感情はザドキエルが持ち得ない、ヒトが最も強大な力を発揮する源だ。

ロクサーヌたちはジョニーたちへの応援のために「家族」を連れて来ていた。彼らもまた、ジョニーがここに来ることを待っている。皆の思いを受け、腐るダニーを立ち上がらせ、ジョニーは再び「神」の元へ向かう。

ザドキエルは所詮「神」の真似事をしているだけに過ぎない。己の力を碌に制御できないだけでなく、予言を妄信し成就することを阻止せんと卑下するヒトを利用することも厭わない「神」などいようものか。立ち上がった兄弟を前に「地球上に蔓延る37億の人間たちを消し去ってみせようか」と騙る様は最早、張子の虎としか表現できない。己の国を失うことを恐れるあまりに虚勢を張る天使など恐れるに足らず。

彼の本質を「視た」ジョニーが“復讐の精霊”の在り方を歪めた天使に裁きを下す!

足元から現れた無数のライダーたちがザドキエルを襲う様をジョニーたちは眺めていた。お前は「神」ではない。ヒトの意思を利用するモノは滅びるが定めだ。

復讐の戦いに決着が着いたのに遅れて、ケアテイカーを触媒に作り出したゲートを通り、地獄の悪鬼たちを率いてアントン・サタンが天界に現れる。ザドキエルがクーデターを起こした時点で天界の守備体制はズタズタ。サタンが率いる悪魔たちが進軍すれば、ザドキエルを討ち天界を手中に収めることも不可能ではないだろう。

だが、そこでサタンたちが目にした光景は、彼らの想像を超えるものだった。

瓦礫の山と化した黄金の都市は、地獄の炎に照らされ、かつての輝きを取り戻していた。ロクサーヌたちが連れてきた「家族」の正体は、歴代のゴーストライダーたちのことだったのだ!

[Heaven’s on Fire]

ザドキエルへ復讐心を抱くのはジョニーたちだけではない。ヨーカイ・ライダやモレック、バロン・スカルファイア、ショバ・ミルザ、かの天使の姦計のために己の人生を歪められ、命を落とした者たちは大勢いる。彼らだけでなく歴史上にも、また多くのライダーたちがザドキエルへ復讐を果たすチャンスを伺っていたのだ。ヘルドライバーやデビルリグ、アンデッドGマン、そしてナックルズ・O・ショーネシー、人種や国籍に生まれた時代を問わず多くのライダーたちが一堂に会するのは壮観の一言。

かの天使は地に伏せ、残ったのは無謀にも乗り込んできた悪鬼たちのみ。予言の成就なぞに興味はないが、ここに新たな神話の1ページを作ってやるぜ!

恐れず進軍する悪鬼たち相手に大立ち回りを演じるゴーストライダーたち。今の彼らを止めることは何人にも叶わない。ジョニーの援護にファントムライダーことカーター・スレイドが駆け付けているのが熱い(わざわざ髑髏風のマスクまで付けちゃって)。

こうして、聖書に記された予言は果たされた。ザドキエルの王国はゴーストライダーという悪魔憑きの手で滅ぼされ、悪鬼が滅んだ天界には「神」の手で再建される。

アントン・サタンには逃げられたもののこれで全ては丸く収まる、と言うわけにはいかない。ジョニーたちの功績を称え、歴代たちの魂を迎える「神」にジョニーは食ってかかる。ザドキエルの計画を黙認していたのなら、全てを仕組んでいたのは「神」なのではないか。ジョニーが疑うのも当然だろう。

「神」の言葉を聞き、ジョニーは弟と共に地上へ帰還する。天使がクソ野郎ならば「神」もまた然り。ザドキエルとの関与を否定する「神」の真意はヒトには分からない。

ザドキエルと地獄の悪鬼たちを打ち倒したその頃、地上でもそれぞれの戦いも決着を迎えていた。サラはディーコンを殺さなかった。彼女はケアテイカーとしての責務と「神」に仕える修道女の責任を同時に果たしたのだ。

こうして、戦いは終わった。悪しき堕天使は地獄に堕ち、堕天使の配下たちはある者は囚われの身となり、またある者は再起の機会を待つことに。予言が成就されたことで世界には再び調和が齎されたが、ジョニーたちの周囲は結局は何も変わってはいない。

復讐は果たしても“復讐の精霊”の呪いから解放されるわけではない、では何を得るための戦いだったのか。荒野の向こうに沈みゆく太陽を見ながら物思いに耽るダニーを見てか、ジョニーはレースの挑戦状を叩きつける。

難しいことは後で考えろ、今はただ奔るだけ。

ジョニー・ブレイズとダニー・ケッチ、2人のゴーストライダーが征く「復讐のロード」はまだまだ続くのだから。

復讐の戦いに終わりはない。新たなゴーストライダーの登場を見逃すな!

俺は自らをこう名乗る、プロウラーと!

ということで、今回はマーベルレジェンドプロウラーのレビューだ。

アニメ映画「スパイダーマン:スパイダーバース」に登場して以降、着実に知名度を伸ばしているプロウラー。スパイダーバースシリーズでは重要な役回りを演じたプロウラーだが、それは別作品でも例外ではない。コミックは勿論、アニメ作品でもプロウラーは登場する。

1994年にテレビで放映されたアニメ版スパイダーマンで登場したホビー・ブラウンは、裏社会で勢力を拡大せんと画策するアイスバーグの元で働くチンピラだったが、宝石を横領したことが発覚したことで処刑されかける。アイスバーグの元から逃げ出したホビーはキングピンの元で開発されたステルス・バトルスーツを譲り受け、アイスバーグへの復讐を誓う。

その中で彼は自らを徘徊者、プロウラーを名乗るようになったのだ。

そんなプロウラーがマーベルレジェンド化。過去にリザードアソートにコミック版が、スティルトマンアソートにスパイダーバース版がレジェンド化され、今回のアニメ版プロウラーは「スパイダーマン レトロパッケージシリーズ」にラインナップ。アニメイテッドシリーズはVHSテープのケースを彷彿させるパッケージが定石なのだが、プロウラーのそれはレトロパッケージお馴染みのブリスター。セット販売するための相手役がいないための苦渋の策か。

管理人は前々からプロウラーが欲しかったのだが、過去作は高騰していたこともあり口惜しい思いを抱えてきた。そんなこともあって、アニメ版プロウラーが手に入って気分が高揚したことを覚えている。

正面から。劇中さながらなマッシブなスタイルが目を引く。

背面から。マントはプロウラー独自のデザイン。

バストアップ。紫色のマスクにマント、緑色のボディスーツに黄色のシンボルマークとコミック版でも見られた毒々しいカラーリング。されど、元がアニメ版ということもあってか明るい色彩となっているので、目には優しい感じがする。

…本当は後述の素顔ヘッドがデフォルトなのだが、写真を撮った後に気付いたのでそのままだ。70年代のコミックでのデザインを踏襲したデザインと、キリっとした目つきが素敵(話題逸らし)。

両腕のかぎ爪にマントとプロウラーの記号はアニメでも健在。腕の装備はガス噴射器からロケット・ブラスターとなっており、空を自由に飛び回りながらビームをぶっ放していた。

素体はピンレスの新規なもので、アクションの様になる。可動性と体感も十分。マントは従来のものとは違い、取り外すことができない固定式となっている。

付属品その①、ハンドパーツ。握り拳が両腕分付属する。劇中では鉄筋コンクリートをも砕く程の剛性とパワーを発揮していた。

先述した素顔ヘッドパーツ。劇中さながらな浅黒い肌に、強気な姿勢が伺える表情を忠実に再現されている。これでチンピラなんだから勿体ない。。そりゃ恋人のアンジェラからも真っ当な人生を生きてと言われるわな。

クオリティの高い素顔ヘッドとマッシブなスタイルがよく合っている。

コミック版のスパイダーマンと並べて。劇中ではプロウラーはスパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることを知った時、ピーターと自分の境遇を比べて卑下してしまう。手前勝手な不平不満をぶつけるホビーに対し、ピーターは冷静に間違った道を進まないよう説得。アイスバーグを倒しても、キングピンの傀儡になっては強くはなれない。「真のヒーロー」との交流は、ホビーにとって有意義なものだっただろう。

スパイダーマンのレビューはこちらから↓

lagia.hatenablog.com

マスクのデザインが似てる(?)人と並べて。ちなみにプロウラーの初登場は1969年と、デッドプールよりも早い(デッドプールの初登場は1990年)。

最後はキングピンに反旗を翻しての直接対決で締め。しがないチンピラがヒーローとの交流を経て真の男となる一歩を踏み出す王道展開は胸が熱くなる。ホビーのようなキャラクターとの交流こそが“親愛なる隣人”の本領を発揮する場面だろう。

スパイダーバースのプロウラーはアルティメットユニバースのそれがベースなので、ホビー・ブラウンではなくアーロン・デイヴィスが正体となっている。アーロンだけでなくホビーの知名度が伸びることを管理人は密かに期待している。ダン・スロット期のアメイジングスパイダーマン誌に登場したプロウラーがレジェンド化してくれないかな~、ホーネットとのコンパチで頼む。

マイルズ・G・モラレスも欲しい~!!

その男、ヒーローかそれともヴィランか。

己のアイデンティティに悩む「徘徊者」に与えられた新たな任務とは?

Prowler (2016-2017) #1 (English Edition)

Prowler: The Clone Conspiracy (Prowler (2016-2017)) (English Edition)

Amazing Spider-Man: The Clone Conspiracy (The Clone Conspiracy (2016-2017)) (English Edition)

[あらすじ]

サンフランシスコ、早朝。朝日が昇り始め街もにわかに活気づく中、銀行での強盗事件が発生した。犯行グループのメンバーたちはスーパーヒーローのマスクを被って市民を拘束し、銃を突き付け、現金を奪って逃走。素早く逃走用のバンに乗り込み、後はずらかるだけ。余裕な表情を見せる悪党たちだが、そうは問屋が卸さない。

彼らの乗るバンのタイヤが何者かの襲撃を受けて突然バースト。行動不可能になった車から降りた犯人たちも、襲撃者によって次々に拘束されていくではないか。視認できない程の早業で犯人たちをロープで縛り上げ、無力化していく手腕は見事なもの。

襲撃者の名はプロウラー。スパイダーマンの「元」相棒であり、今はニューUの支配者ジャッカルに従うエージェント。

警察が駆け付けた頃には犯人はプロウラーの手で取り押さえられていた。新しいヒーローの登場に喜ぶ若い警察官にプロウラーは「俺はヒーローじゃない」と冷たく言い放つ。今の彼は悪党の手先なのだから。

[アイデンティティ]

スパイダーマンとジャッカル、両者の思惑が激しくぶつかり合うクロスオーバーイベント「クローン・コンスピラシー」。懐かしのヴィランが登場したり、世界の崩壊を食い止めるべく奮闘するウェブ・ウォーリアーと、規模こそ小さいながらも見どころが満載なイベントだったが、そんなクローン・コンスピラシーにもタイイン誌が刊行された。

そのうちの1つがこのプロウラー誌だ。プロウラーを主役に描かれた作品は1994年にも全4号のミニシリーズが刊行され、プロウラーにとって今回は久しぶりの個人誌。本作の1年後に公開されたMCU実写映画「スパイダーマン:ホーム・カミング」でも描かれた、ヒーローに扮した強盗を退治するのをプロウラーがやるのはニクい演出だと思うが、ホビー・ブラウンの表情は暗い。かつてはあれほど渇望していたヒーローと呼ばれても、彼の心には何も響かない。それは彼自身の置かれている状況を思えば仕方がないだろう。

恩人であり憧れのヒーローでもあるスパイダーマンからの依頼を果たせずレディ・エレクトロに殺され、ジャッカルの手で黄泉がえったホビーは、ニューUに従うよう迫られる。

スパイダーマン(ヒーロー)を裏切り、ジャッカル(ヴィラン)の元で働け。

ホビーにとってこれ程に屈辱的な仕打ちはないだろう。元悪党であるホビーを更生してくれた恩人を裏切ることなど出来る筈もなく、ならばせめてニューUの内情を把握してスパイダーマン横流しすると考えたが、それもできそうにもない。

ホビーに与えられた仕事は黄泉がえったヴィランたちの監視役。どうしようもない悪党たちの世話はストレスが溜まることこの上ないだろう。

ジャック・オー・ランタンとマサカ―の喧嘩の仲裁をするプロウラーをオフィスに呼び出したジャッカルは、早朝でのプロウラーの独断行動を咎めるが、ホビーは耳を貸さない。悪党に「命綱」を握られていても、そう簡単には従おうとしない気概を見せるホビーだが…。

ジャッカルが言うことを聞かないホビーを手元に置くのは、彼と繋がりを持つピーター・パーカー、そしてパーカー・インダストリーズの内情を探るためもあったのだろう。ジャッカルもプロウラーと同様に敵の腹を探り合っていたということだ。だが、この情報合戦はホビーに与える薬を持つジャッカルが有利だ。それはホビーが勝手にニューUのアジトから外出したことを咎める口調に余裕が見て取れることからも解る。

言外に「命令を聞かなければ薬を与えない」と脅すジャッカルは、プロウラーに新たな命令を下す。ニューUの情報システムにハッキングを仕掛けた者を捕まえる。ホビーはヴィランたちと同じく黄泉がえらされたマダム・ウェブの助言を得て、ハッカーを追う。

初代マダム・ウェブことカサンドラ・ウェブは未来予知能力を持つ特殊なミュータント。自らの意思で動くことができない彼女に同情を寄せるホビーだが、カサンドラもまたホビーに「苦痛」が待ち受けると警告を送る。自分を殺した張本人であるレディ・エレクトロと火花を散らしたのち、ホビーは仕事に取り掛かる。

こんな生き方は望んでいなかった。月夜のサンフランシスコの街中を飛ぶプロウラーは、「生前」を思い返しながら1人愚痴る。

発明家を志ながらも上手くいかず、自暴自棄のままに発明品を悪用してヴィランとなり、スパイダーマンとの交友を経て改心して以降は同じく改心した元ヴィランたちと「アウトローズ」を結成。その後は半身不随の大怪我を負いながらも回復。パーカー・インダストリーズに入社し、ピーターと共に戦えることを喜んだのも束の間に殺されてしまった。

これがホビー・ブラウンの人生の軌跡である。結構端折ったが、中々に壮絶な人生を送っているものだ(後のキング・イン・ブラック等でもホビーは活躍しているがそれはまた別の話)。ピーターに言えぬまま再びヴィランとなり、暗闇の中で生きることを強要されれば愚痴りたくもなる。己のアイデンティティに悩みながらも、件のハッカーがアルカトラズ島に潜伏していることを突き止めたプロウラーは、島に足を踏み込む。そこで彼を待ち受ける「苦痛」とは一体何なのか?

アルカトラズ島はかつて刑務所として使用された島。既に閉鎖された筈の刑務所内は無数の罠が張り巡らされた要塞と化していた。蜘蛛糸状のレーザートラップに掛かり、拘束されるプロウラーを見下ろす人物の正体は…。

最後の復讐劇、終幕!

家族を奪われた怒りと憎しみの感情を悪魔に弄ばれるザ・フッドが取る選択は…。

Ghost Rider: Final Vengeance (2024-) #6 (of 8) (English Edition)

Ghost Rider Vol. 5: Final Vengeance (Ghost Rider (2022-2023)) (English Edition)

前回はこちらから↓

lagia.hatenablog.com

[あらすじ]

シカゴ炎上。人々の欲望が際限なく渦巻く都市は、今や“復讐の精霊”が齎す地獄の炎で燃え上がり、何もかもを灰にせん勢いで業火は強まっていった。

最愛の妻と娘を化け物に変えられたことで、己の帝国が崩壊したことを察したパーカー・ロビンスは“復讐の精霊”が彼自身の使命を果たすために動かすマシンと化していた。“復讐の精霊”は宿主であるロビンスの憎悪の感情を餌に、より力を増していく。

そんな悪魔の思い通りにさせるものかと、現れたジョニー・ブレイズ。ジョニーに“復讐の精霊”の怒りを鎮めることができるのだろうか?

ジョニー・ブレイズvs“復讐の精霊”ザラソス。2人はこれまでに幾度なく戦った仲、この程度の大喧嘩なら馴れたもの。ゼブがザラソスを拘束するための魔術を行使するための時間稼ぎを買って出るジョニーだが…。

[End of the Road]

ゴーストライダー、髑髏に炎を燃やし、古代の悪魔をその身に宿す異形のダークヒーロー。ゴーストライダーの1人であるジョニー・ブレイズは“復讐の精霊”ザラソスと共に、多くの悪党や悪魔に天使たちと激闘を繰り広げ、勝利を収めてきた。

そんなジョニーから地獄王メフィストの手で“復讐の精霊”が分離し、ザ・フッドことパーカー・ロビンスに憑依するという衝撃の幕開けとなった「ゴーストライダー:ファイナル・ヴェンジェンス」。ベンジャミン・パーシーがライターを務めたゴーストライダー生誕50周年を記念する第10期ゴーストライダー誌からの続編も、今号を以て完結。

このブログも最初の記事はベンジャミンのゴーストライダー誌の1号だったこともあり、感慨もひとしお。ここまで描いてくれたベンジャミン・パーシーに感謝の言葉を送りたい…、終わって欲しくなかったよぉ(泣)

ザラソスと対峙するジョニーは、戦いながらもザラソスに身体を乗っ取られたロビンスに語り掛ける。制御不可能の“復讐の精霊”をその身に宿し、己の欲望を満たそうとしても待つのは滅びだけだと。ジョニーも長い年月をかけても尚、“復讐の精霊”を制御することは叶わずにいる。ジョニーですらできないのに、ロビンスにそれができる筈もない。ザラソスは宿主の精神をも燃やしてしまいかねない危険な存在。彼の思い通りに動いていては、ロビンスの精神が壊れて廃人になりかねないのだ。

だが、ジョニーの説得はロビンスには届かない。ジョニーの放つヘルファイア・ショットガンで二丁拳銃をはじき落され、身体を穿たれても、怒りと悲しみの感情に支配されたロビンスは止まらない。そればかりか身体から無数の鎖を放出し、次々にジョニーを貫いてしまう。

お前の五体をズタズタに引き裂いて魂もザラソスの餌にしてやる。街諸共に燃えていく様はさぞ美しく、苦しみに満ちていることだろう。勝ち誇るロビンスの表情は背中からは伺い知れないが、決して喜びに満ちたものではない筈だ。ジョニーに勝っても何の意味もない。失った「幸せ」は二度と帰ってこないのだから。言葉の端からもロビンスが苦しんでいることが察せられる。

苦しんでいるのはザラソスも同じだ。自由を求めて飛び出したのに、使命を果たしているのに、何故こんなに満たされないのか。やはりジョニーでなければダメなのか。痛みを与えるだけでは復讐を果たすことにはならないのか。己の間違いを認めることができないザラソスは、尚もジョニーへの攻撃を続ける。

ゼブが行使した魔術によってジョニーとロビンスの2人は、カラスが創り出す闇の中へ隔離される。精神体となったジョニーはザラソスと互いの主張をぶつけ合う。

ザラソスはジョニーが弱いから、己の進む復讐のロードに「慈悲」を持ち込むから、彼の元を去ったと語った。しかし、本音はそうではないだろう。ただ自分を利用しようとすることが嫌だった筈だから。2人には面と向かってぶつかる時間が必要だったのだ。

メフィストは最初からこうなることを見越していた。ジョニーとザラソスの精神が強く結びつき、彼の魂はより強固なものへと昇華される。その触媒としてパーカー・ロビンスは最適な材料であり、忠実な僕として相応しい。

シカゴに現れたメフィストはゼブの魔術をいとも簡単に破っただけでなく、ジョニーにザラソスを再び憑依させ、ロビンスに詰め寄る。全ては赤き悪魔のシナリオ通りに事が進んでいたのだ。

“復讐の精霊”の呪いを失ったロビンスの前に現れたメフィストだけでなく、吸血鬼と化した家族がロビンスに語り掛ける。そんな2人を撃てと愉快そうに指示する地獄王だが、ロビンスはそれだけはできなかった。命令に背くばかりか家族を助けくれと懇願する不出来な僕に悪態をつきながらも、地獄王の口元には笑みが浮かんでいた。

悪魔への懇願、それは己の魂を差し出す取り引きに他ならない。ロビンスは家族を救うために惜しげもなく全てを差し出した。マフィアの証である銃も、悪魔の力の源であるフードも。地獄王の足元に跪く姿には、裏社会の頂点に立とうとした強者の面影は微塵もない。そこにいるのは愚かで矮小、それでいて誰よりも人間らしい二面性を持つ男だ。メフィストは彼の願いに応え、サラたちを救った。

しかし、その代償は高くつくことをロビンスは失念していたようだ。

恐ろしき地獄王は家族の眼前で哀れな男の顔の「皮」を引き剥がす。今さら家族に全てを打ち明け、よりを戻そうとする男には妥当な末路だ。

こうして、パーカー・ロビンスの「最後の復讐劇」は幕を閉じた。彼の魂はメフィストの所有物となり、地獄にて報いを受けることに。この結果にジョニーはメフィストに食って掛かる。

一体いつまで「俺たち」につきまとう、どうすれば「俺たち」はお前から解放されるのか。

ジョニーもロビンスと同様にメフィストに取引を持ち掛ける。十字路にて向かい合うヒトと地獄王の交渉を上空から静観しているゼブに2人が気付いていたかは、定かではない。

「クロスロード伝説」になぞらえて、十字路に佇むメフィストはジョニーに条件を突きつける。これまでと変わらず私のために働け、と。

パーカー・ロビンスとザラソス、「ファイナル・ヴェンジェンス」は己がいるべき「場所」に拘る2人の視点にスポットが置かれた作風となっていた。ロビンスは裏社会を統べ、家族を養うこと。ザラソスは戦うに値する居場所を見つけること。結局2人の目論見は地獄王の手で破綻することになったが、この結末は新鮮なものだったと思う。

ゴーストライダーのアニバーサリー企画の締めに、己の欲望のままに生きる悪魔とヒトの末路が描かれるのは、復讐心という人間の原初の感情がある限りこの物語に終わりはないことを指し示しているようだ。

再び“復讐の精霊”をその身に宿したジョニーは、赤き月に照らされる荒野を駆け抜ける。復讐はまだまだ終わらない。「俺たち」はゴーストライダーアスファルトに裁きの炎を引き連れ、復讐のロードを駆ける。

次回、ゴーストライダーの戦いは次のステージへ!「SPIRITS OF VENGEANCE」は9/18から発売!復活したヴェンジェンスゴーストライダーに戦いを挑む!?