平成15~平成28(2003~2016)年の民法改正の経過をまとめてみた (original) (raw)

前回は平成29~令和6年までの民法改正をまとめました。

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今回はさらに遡って、平成15~平成28(2003~2016)年の民法改正についてザックリテキトーにまとめました。

法改正年表(小さめな文字は、関係法令の改正に伴い条文の文言を一部改めただけのものです)

平成15(2003)年 担保物権法及び民事執行法改正、仲裁法改正に伴う改正

平成16(2004)年 財産法の現代化及び保証法改正、破産法改正に伴う改正、不動登記法施行に伴う改正

平成17年 会社法の施行に伴う改正

平成18年 法人法改正、遺失物法改正に伴う改正、法の適用に関する通則法改正に伴う改正

平成23(2011)年 親族法(親権・未成年後見)改正、非訟事件手続法及び家事事件手続法施行に伴う改正

平成25(2013)年 相続法(非嫡出子の相続分)改正

平成28(2016)年 親族法(成年後見)改正

平成28(2016)年 親族法(再婚禁止期間の短縮)改正

担保物権法及び民事執行法改正(平成15年法律第134号)

抵当権を中心に担保物権の制度を改正しました。

主な改正点は以下の通り

仲裁法の改正に伴う改正(平成15年法律第138号)

仲裁法改正に伴い、民法の条文の規定を改めたと思う・・・

破産法改正に伴う改正(平成16年法律第76号)

破産法改正に伴い、民法70条1項の「請求」を「申立」に、「破産ノ宣告」を「破産手続ノ開始決定」に改めたなど民法条文の文言の一部を改めた。

不動登記法施行に伴う改正(平成16年法律第124号)

不動登記法改正に伴い、民法の383条2項2号「登記簿の謄本」を「登記事項証明書」に改めた。

債権法(保証制度)改正・財産法の現代語化(平成16年法律第147号)

保証人を保護するための保証制度の改正をした。また、民法の規定を法律家以外の一般の人に対しても理解しやすくするために現代語化した。

保証制度については

現代語化について

会社法の施行に伴う改正(平成17年法律第87号)

会社法の施行に伴い民法の条文の規定を改正。主に、46・47・49条の規定を改正、367・368条を削除など。

法人法改正(平成18年法律第50号)

一般法人法*4公益法人*5改正に伴う施行に伴い、民法総則の法人制度の大部分も変更・削除しました。33条から37条を改正して、38条から84条はゴッソリ削除した。

改正の目的としては、税制上優遇措置がある公益法人が、行政からの委託・補助金、官僚の天下りの関係で、主務官庁との癒着が問題視されたことなどを上げることができます。

主な改正点は以下の通り

法の適用に関する通則法改正に伴う改正(平成18年法律第78号)

民法的には非常に小さな改正。法の適用に関する通則法改正に伴い、民法23条2項但書を変更。

遺失物法改正に伴う改正(平成18年法律第73号)

遺失物法改正に伴い、民法240条も改正。遺失物を拾得した際に所有者が現れなかったとき場合、拾得者が所有権を取得できる期間を6か月から3か月に短縮しました。

非訟事件手続法及び家事事件手続法施行に伴う改正(平成23年法律第53号)

家事審判法が廃止され家事事件手続法が新たに施行された事に伴い、民法151・153条*6の「家事審判法」を「家事事件手続法」に変更した。

親族法(親権・未成年後見)改正(平成23年法律第61号)

親権・未成年後見制度について地味に重要な改正。

公布日:平成23年6月3日

施行日:平成24年4月1日

主な改正点は以下の通り。

児童虐待防止の観点から、親権に関する制度を改正しました。親権をはく奪する制度としては、平成23年改正前は無期限で親権をはく奪する親権喪失制度のみが存在しましたが、柔軟な対応ができるように2年以内の期間を定めて親権を停止させる親権停止制度が新設されました(834条の2)。その他にも、親権喪失の申立権者の拡大・要件の変更(834条)、管理権喪失の申立権者の拡大・要件の変更(835条、児童福祉法33条の7)。

成年後見の制度も改正。①未成年後見人はそれまで1人のみ選任可能だったものを複数人の選任を可能に、②自然人のみ選任可能だったものを法人も選任可能に変更しました。チーム制を取ることにより、未成年後見のパワーアップを図るのが目的。

相続法(非嫡出子の相続分)改正(平成25年法律第94号)

公布日:平成25年12月11日

施行日:平成25年12月11日

非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1としていた900条4号但書の規定を憲法14条1項(法の下の平等)に違反し無効とする平成25年9月4日の最高裁の判決に基づき、この規定は削除された。この判決の理由としては、父母が婚姻関係にないことは子にとって自ら選択する余地のないことであるので、それをもって子に不利益を及ぼすことは許されないことを上げることができます。

親族法(成年後見)改正(平成28年法律第27号)

公布日:平成28年4月13日

施行日:平成28年10月13日

成年後見の事務の円滑化を図るために以下の2点の改正を行いました。

1点は、事務を行うにあたり必要がある場合は、家庭裁判所の嘱託に基づき、後見人が被後見人宛の郵便物を受領し開封できる旨を明記しました(860条の2・3)。

2点目は、被後見人の死亡後の後見の権限について、以下の行為をすることができるとしました(873条の2)。

親族法(再婚禁止期間の短縮)改正(平成28年法律第71号)

公布日:平成28年6月7日

施行日:平成28年6月7日

再婚禁止期間を6か月としている733条の規定を違憲とする平成27年12月16日の最高裁の判決に基づき、100日に短縮しました。この判決の理由は、再婚禁止期間として100日を設ければ、772条の父性の重複を避けることができるので、再婚禁止期間として6か月も設けていることは過剰な制約を課しているなどを上げることができます。*7