2120話 ソウル2024あるいは韓国との46年 その15 (original) (raw)

韓国関連本 1

いままで本腰を入れて韓国と関わろうと思ったことはない。だから韓国語の勉強をしたことはなかった。自分の意志で韓国に行ったのは78年が最初で最後だった。長い空白があったが、だからといって韓国を無視していたわけではないし無関心であったというわけでもない。旅行先にはついぞ入らなかったが、40年以上折に触れ、関連書は読んでいる。私の場合、「読んでいる」は「買っている」と同義語だから、ちょっとした冊数の本を買っていることになる。おそらく200冊は軽く超えるだろう。そのうち100冊以上は今も本棚にある。「韓国」の棚はとっくにあふれてしまったから、あちこにの棚に入れ、それがもうパンクしたから、床に積んでいる。だから昔読んだ本はすぐに見つかるが、最近読んだ本は行方不明になっていることが少なくない。

「図書購入台帳」で、初めて買った韓国朝鮮本を調べてみた。1972年に『朝鮮現代史』(全三奎、筑摩書房)を買っている。この本は、神保町の古本屋の店頭ワゴンから、50円か100円で買ったのだろう。このあと、しばらくは韓国本に手を出していないが、78年に急に増える。韓国旅行から帰国して、本屋で韓国本を探したようだ。78年に、こんな本を買っている。

『韓国家庭料理』(韓台圭、KKベストセラーズ、1974)

『韓国の旅』(ワールドフォトプレス)・・出版年不明。今アマゾンで50万円の売値がついている。何を考えているんだか・・・。

『ソウル実感録』(田中明、北洋社、1975)

『誰も書かなかった韓国』(佐藤早苗、サンケイ新聞社出版局、1974)

『朝鮮 民族・歴史・文化』(金達寿岩波書店、1958)

ブルーガイド 韓国の旅』(李剛、実業之日本社、1978)

ガイドブックが何冊も入っているが、ふたたび韓国に行く気はなかったのだから次の旅行の準備ではない。韓国に関する雑多な情報を仕入れたかったのだ。何しろ、韓国のことはほとんど知らないで旅をしたから、ガイドブックレベルの最低限の情報もなかった。ソウルの全体像などまるで知らなかったから、韓国旅行の復習である。自分が旅した国がどういうところなのか知りたいという欲望がしだいに強くなってきたのだ。

1970年代前半は、「行った、見た」だけで満足だった。70年代後半になると、旅行先のことを何も知らない自分にいら立っていた。できるだけ数多くの国に行き出入国スタンプを増やすという旅に、もはやまったく興味がなくなった。オレはここに来たという証明写真を撮るだけの旅はつまらんと思った。旅にカメラを持って行くようになるのは、旅行者から取材者に変わってからだ。

80年代に入っても韓国本をポツポツ買っていたが、80年代後半になると、出版点数が急に増えた。その話はすでに書いている。1988年の韓国本は、864話に書いた。韓国旅行史の話題は、このブログで何度も書いているから、検索すればいくらでも出てくる。たとえば、雑語林369~371話

2024年の旅を終えてすぐにしたことは、旅行中に気になったことを確認するために、書棚から再読したくなった本を取り出し、床に積んだ。20冊ほどになった。同時に、ネット書店で次々に韓国本を注文した。現在、食文化研究書だけでも、『地球上の中華料理店をめぐる冒険』や『インドの台所』、『「台湾菜」の文化史』などが、アマゾンの「ほしい物リスト」に入っていて、ほかの分野の本も併せて30冊以上が「購入」をクリックされるのを待っている。ブログで韓国に関わっている今は、ほかの分野の本を買うのはガマンするしかない。今日も、厚い本が2冊届いた。韓国関連書は、今週中にあと6冊届く。インターネットで論文も読んでいるし。韓国に関係のない本を読む余裕がないのだ。

2024年のソウルの書店で探したのは、『ソウル 1945~2020』といった内容の写真集だった。ソウルの変化を映像で見たかった。かつて私が見た韓国を、もう一度見たかった。78年はまだカメラを持たずに旅していた。取材で行ったときはもちろんカメラを持っていたが、取材用の写真しか撮っていない。ソウルの風景がわからない。昔の旅行事情と風景を見るために、古いガイドブックを探したのだが、『地球の歩き方 韓国 86~87』(これが初版)は3万円ほどもする。だから、時代はもう少し後だが、安い本を何冊か買った。それはそれとして旅行事情の資料になった本もあるが、昔のソウルの風景はユーチューブで見ることができるとわかり、もっぱらパソコンで「韓国過去の旅」を楽しんでいる。例えば、1983年のソウル。現在の施設も昔の敷地の説明もあり、ソウルに詳しいと、「なーるほど」となるはず。

こうやって、旅後の旅を楽しんでいる。旅は、旅前、旅中、旅後の3回遊べるのだ。