ノトススタジオからハロー (original) (raw)

皆さんこんにちは!

『その人を知らず』製作スタッフの亀井涼花です🐢

今回はスタッフ作業の様子をご紹介!

稽古開始すぐスタッフ作業もスタートしました。

演出助手📖

多田さんの1番近くで作品を支えてくれているのが演出助手!

演出や台本の変更点をまとめたり、毎稽古のフィードバックをまとめたりしてくれています。稽古中にメモを取り、稽古後全体に共有してくれます✍

美術班🎨

壁一面の新聞紙

いつもノトススタジオの雰囲気をガラッと変える美術班。

まだまだお試し段階ではありますが大がかりな作業が待っている予感……。

照明班💡

模様の作成

稽古前半から実験や作製を繰り返し行っていた照明班。

作製した模様がノトススタジオでどのように使われるのか…。

個人的な感情ではありますが、どのような照明になるのか楽しみです😊

音響班🎵

演出の多田さんは音響もやっている…!?

多田さんは普段お仕事で音響もしていることから、稽古開始からたくさんの音が流れていました。

音響班は、稽古中に流れる音楽や効果音を調べている真っ最中!

衣装班👔

衣装班で何通りも組み合わせを考え、少しずつ方向性が固まってきました!

衣装合わせも進んでいます!

制作✂

我々制作班は、立て看板や、SNS宣伝、ブログ更新、パンフレットや当日受付などを行っています📳

舞台監督⏱

舞台監督は本番近くになると舞台裏で支えてくれる人たち!

本番近くのブログでまたご紹介します!👐

仕込み前、最後のスタッフミーティングも行いました✊

多田さんと意見を交換し合い、各部署最終調整に入ります!!

経験のない部署に所属している学生や、初めてのことに挑戦している学生が多くいる中で、全スタッフが頑張っています✨

今回のSARPで最後になる4回生もたくさんいらっしゃるため、1.2.3回生は4回生から学べる技術や知識、経験してきたことなどを吸収しようと奮闘しています!

舞台に立つ役者以外にも、舞台を作り支えている人たちがいることで舞台が完成していきます!

今回のSARPvol.25『その人を知らず』がどのような舞台になるのか楽しみです!

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さぁあ、さぁあ、さぁあ今年もついにSARPの公演が始まりました‼️
25回目の今回は「その人を知らず」
申し遅れました、制作スタッフの藤村純成です。

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さて、稽古に目を向けると先日顔合わせを行い、役者もスタッフも気合い十分でやる気が充満しております、いざ参ろうとという気持ちで意気込んでいます。
役者達も一生懸命頑張ろうということを誓っているので今後の進展がどうなっていくのかお楽しみに待っていてください。

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顔合わせの次は座組全体での勉強会です。作品について、多田さんから話を聞いたり、全員で意見を交わし、作品の全体像を捉えてどのように発展させていくか想像を膨らませました。f:id:miku392:20241004171951j:image

勉強会の次に、全体での本読みを行いました。台詞の長さに苦戦しながら読み終えました。

本作は戦中と戦後の一人のキリスト教徒の生き方が主題となっており、戦争を身近に感じることがなくなった現代で、どのように、表現していくかも魅力の一つになりそうです。

稽古始めに座組全員で行う、多田さんとのフリートークの中から出てきたキーワードを作品の中に取り入れていき、現代に生きる役者・スタッフがつくる、四国学院大学オリジナルの「その人を知らず」が始まっています。

今週はそんな感じで進んでいるので、更なる動きはまた来週お伝え致します。
それではまたお会いしましょう。

絶賛予約受付中です。
皆さまのご予約をお待ちしております。

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【演劇コース授業紹介⑯】

「身体表現と舞台芸術メジャー」「舞台技術・公演マイナー」「アーツ・マネジメントマイナー」「演劇ワークショップ実践マイナー」で行われている舞台芸術に関する様々な授業を写真とともにご紹介いたします。

インテンシブ・ワークショップⅠ」

講師:小池竹見

今回は、9月11日~14日の4日間開講された、小池竹見先生による「インテンシブ・ワークショップⅠ*」の授業の一部をご紹介します。
*インテンシブ・ワークショップⅠ:多彩な身体表現のプログラムに参加し、自己発見や他者とのコミュニ
ケーション回路開発の方法などを学ぶ。とくに演劇に必要な身体表現は、今第一線で活躍中の演出家による
集中的なワークショップを通して学んでいく。

今回は台本がなく、与えられた設定のみを活かして即興で演技を行うエチュード演劇を用いて、役作りや表現力、アドリブ力を身に着けるための方法を教えていただきました。

まず、適当な設定を用意して、4~5人一チームとして話し合いもせずにいきなり演じます。時間制限を設けその中で、話を展開していき、時間を取って今のエチュードを振り返り、その場に起こった状況を整理していきます。

1つの設定で5~10回この流れを繰り返し、毎回入れ替わる、役柄やエンディングを楽しみながら、学びます。

また別のチームを見ることで客観的な視点で役同士の関係性や展開の流れなどを観察しました。

それぞれの役者が前回の物語をベースに、「キャラクターを変えてみよう」「設定を変えてみよう」「やることを変えてみよう」など新しいアイディアを放り込むことによって少しずつ変化していきます。

何度も繰り返していくうちに、一回目では意識できていなかった他の役との関係性や、言動のアラなどが徐々に修正されて現実味を帯びていきます。

今回用いた設定は、2人で1人を演じるものや、夏休み明けに登校したらクラスメイトの会話が聞き取れなくなっているなど、リアルに即していない設定にあえてすることで、どのように話を展開していくか想像力を駆使して発展させていきました。

初めのうちに一番苦戦していたことが、会話の流れを止めずに話を展開していくことでした。

相手の台詞をすぐに理解し、何が大切なのか瞬時に判断して、自分のアクションにつなげていく作業は頭の回転を速める必要があります。慣れるまでは、処理に時間がかかったり、躊躇して話にうまく入れなかったりして、流れが停滞していました。

回数を重ねることで、躊躇がなくなり自分から発信できるようになりました。

また、相手のアイディアを受け入れて発展させることも学びました。相手のアイディアが無理難題であったり、受け入れることによってつくり上げていたものが崩れたりする瞬間もありましたが、新たな発見や、こっちの方が面白くなりそうだという道筋が見つかることも多くあり、発想力や対応力を身に付けるために重要だということを学びました。

今回の授業では、演技プランを用意するのではなく、その世界に没入し自分の中にある知識を使って演じることを学びました。

日常では、パッパッパと意識を切り替えながらできていることも、なぜか芝居になるとセリフとト書きが全てになってしまいがちですが、今回のワークショップを通じてリアルと同じように注意が向き、気を使い、そして行動をする感覚を養うことができました。

【演劇コース授業紹介⑲】

「身体表現と舞台芸術メジャー」「舞台技術・公演マイナー」「アーツ・マネジメントマイナー」「演劇ワークショップ実践マイナー」で行われている舞台芸術に関する様々な授業を写真とともにご紹介いたします。

サマーセッション「ヴォイス・トレーニング」

講師:ヘイニ・ヌカリ

今回は8月23日(金)~30日(金)に開講された、ヘイニ・ヌカリによる「ヴォイス・トレーニング」の授業の一部をご紹介します。

*ボーダレスな表現手法を要求される現代の役者、ダンサーを目指す学生に向けたヴォイス・トレーニング。

この授業では、ヘイニ氏が長年探求してきた『BODY IS VOICE 体は声』について学びました。

『BODY IS VOICE 体は声』は、呼吸と動きの探求を通じて身体と声の相乗効果をリサーチし、表現の可能性を広げるためのワークショップです。

一人やペア、グループで行うエクササイズでは、新しい声や動きのパターンを見つけるための課題をヘイニ氏に提示してもらい、学生たちはもらった課題にそれぞれのアイディアを加えながら発展させていきました。

頭で考えるのではなく、身体の内側にあるエネルギーから生み出される動きに注目し、お互いを観察し、フィードバックを繰り返しながら様々な可能性を模索しました。

世界各国でワークショップを行うヘイニ氏は、地理的な条件や過ごす環境によって違う身体の状態にあわせた、アイスブレイクやウォームアップができるよう心掛けているそうです。どんな地域に住む人でも身体が緩んだ状態で「The Body is Voice」のワークショップに入られるように身体の微細な変化に注目しながら、ワークショップを進めると教えていただきました。

小さな身体の変化を感じ取り、今までに使うことのなかった、身体と声の新しい領域を発見できる機会となりました。

【学生からの声】

関口晴(3回生)

呼吸と声と動きにフォーカスを当てたワークショップのため、慣れないうちは、動きをどのようにつくるかを意識していたが、呼吸と声に集中することで、自然と生まれる動きがあることに気が付けた。また、ヘイニ氏からもらったタスクに集中することで、周りからどう見られているかやパフォーマンスをしないといけないという意識から解放され、自分の身体感覚のみを感じ動くことができた。

古賀美優香(4回生)

個人的に出している声の音階によって、動きの質に変化があることが分かった。
声の出し方を変えることで、身体を動かすスイッチを切り替えるような感覚があり、特に高音を出しているときは頭を使わないでも、自然に動きが身体の中から出てくるような感覚を実感できた。

土田倭也(4回生)

目をつぶっている瞬間にワークショップ期間中にヘイニ氏によく言われた、「動物的になる」ということを感じられた。目を閉じることで身体の内側から生まれる動きを感じ、その動きが理性を使わずに動けているのを感じた。

授業最終日のショーイングの様子は以下よりご覧いただけます。

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【演劇コース授業紹介⑱】

「身体表現と舞台芸術メジャー」「舞台技術・公演マイナー」「アーツ・マネジメントマイナー」「演劇ワークショップ実践マイナー」で行われている舞台芸術に関する様々な授業を写真とともにご紹介いたします。

「リサーチ・プロジェクトⅠ・Ⅱ」 講師:市原佐都子

今回は、サマーセッション(夏休み期間中の授業)開講の、市原佐都子先生による「リサーチ・プロジェクトⅠ・Ⅱ*」の授業の一部をご紹介します。
*リサーチ・プロジェクトⅠ・Ⅱ:ボーダレスな表現手法を要求される現代の役者・ダンサーに向けた約2週間集中講義。国内外の講師から表現方法の多様性を学び考察し、最終日にはショーイングを行います。
【2024年度:市原佐都子先生講義概要】
人間の行動や身体にまつわる生理、その違和感を独自の言語センスと身体感覚で捉えた劇作、演出を行う劇作家・演出家の市原佐都子氏が7日間に渡り、集中的なワークショップを実施する。最終日には7日間の集中ワークショップを通して学んだものをもとに、小さな作品をつくり、発表する。

[講師プロフィール]

市原佐都子(劇作家・演出家・小説家・城崎国際アートセンター芸術監督)
1988年大阪府生まれ福岡県育ち。桜美林大学にて演劇を学び、2011年よりQ始動。人間の行動や身体にまつわる生理、その違和感を独自の言語センスと身体感覚で捉えた劇作、演出を行う。2011年、戯曲『虫』にて第11回AAF戯曲賞受賞。2017年『毛美子不毛話』が第61回岸田國士戯曲賞最終候補となる。2019年に初の小説集『マミトの天使』を出版。同年『バッコスの信女ーホルスタインの雌』をあいちトリエンナーレにて初演。同作にて第64回岸田國士戯曲賞受賞。2021年、ノイマルクト劇場(チューリヒ)と共同制作した『Madama Butterfly』をチューリヒ・シアター・スペクタクル、ミュンヘン・シュピラート演劇祭、ウィーン芸術週間他にて上演。2023年、『弱法師』を世界演劇祭(ドイツ)にて初演。

市原佐都子先生は演劇ユニットQの主宰であり、国内だけではなく国外でも数多くの作品を上演。近年では劇作家・演出家としてだけではなく、小説家や芸術監督など多方面で活躍されています。

この授業では劇作について考え、戯曲との向き合い方や書き方を実践的に学んでいきます。また、最終日には7日間の集大成として、書き上げた戯曲を舞台に立ち上げ、ショーイングを行います。

はじめに、‟そもそも戯曲とは何だろう?”ということを考えました。
市原佐都子先生の過去作品を観たり戯曲を読んだり。創作のきっかけになった出来事や作品が完成するまでにたどった道筋を解説していただきながら、まずはインプットをして自分の中の引き出しを刺激する作業を行いました。

最終目標を「ひとり一本、戯曲を書き上げる」として、まずはモノローグを書いてみることに。突然課された宿題に戸惑いながらも、➀誰に語らせるか➁どこで語らせるか③どのような形式があるか、という3つのポイントを意識しながらおのおの書き進めました。

次の日、書いた本人が読む人を指名しながら、みんなが一晩で書き上げてきたモノローグを読んでいきました。

全員分のモノローグ、かなり量があります。

〈ショックだったこと〉〈違和感や怒りを感じたこと〉〈言いたかったけど、言えなかったこと〉〈言いにくいけれど、言ってみたいこと〉たちを、自分の価値観と自分の言葉で素直に表現した個性的なモノローグの数々が生まれました。

このモノローグを出発点とし、さらに戯曲へ発展させるため、少人数でブレインストーミングを行いました。このあと誰が登場したら面白いか、これからどんな展開が待ってそうかなど、考えられるアイデアを質より量を重視して自由に出していきました。

市原佐都子先生からアドバイスをいただきます。

ひとりでは思いつかないような視点を共有でき、少し凝り固まりかけていた頭もスッキリして、非常に刺激的な時間となったようです。

ここからはラストスパート!
学内のあちこちに散らばって黙々と戯曲の完成を目指します。

普段とはひと味違う、自分の世界に没頭している姿をたくさん見かけました。

最終調整中・・・。

そして書きあがった多種多様な戯曲の中から、市原佐都子先生によって今回のショーイングで発表する3本が選出されました。
選ばれた3人が出演者をオファーしていく形でグループ分けを行い、次の日に迫る発表に備えての稽古が開始。時間や使える場所・ものも限られているなか、身体を使ったパフォーマンスを取り入れたり小物や置き道具にこだわったり、演出的な考え方も自然と鍛えられたようです。

ショーイング当日。短い準備期間でしたが直前まで粘り、照明・音響・映像の確認もぬかりなく行いました。

本番前の円陣

1作品目『いきいきと』 作:堤晴香 (4回生)

あらすじ
水族館の水槽の上、サメの飼育員がいる。サメの餌には、公募によって選出された死を選んだ人間の臓器が含まれている。そこにいのちの塊が現れ、「生」について飼育員に問う。

作者コメント
先日高校の仲良かった先輩が亡くなりました。死因は教えてもらえませんでした。2人で遊んだわけでもない。卒業後飲みにも行ってない。でも好きな先輩でした。全然信じられません。生きていて欲しかった。なのに死にたい、生きたくないっていう気持ちもわかるんです。でも生きていて欲しかった。全ての気持ちを詰めました。見た人が楽になればいいなぁと思います。2年前、水族館の餌やり体験に行った時。流れが速い水槽を見ていると飼育員さんに「落ちたら、四肢がもげますよ」と淡々と言われました。その時この人は何度も命の終わりを見ているんだと感じたのを覚えています。生きるのも死ぬのも日常にある水族館の飼育員さん。そこに、いのちの塊が生き方について問いてくる物語です。

2作品目『インスタント』 作:原麻名実 (3回生)

あらすじ
嘘をついて平穏な日々を過ごそうとする一人の女性。偽りの上に成り立っているその生活は、少しずつ彼女を蝕んでいた。最後に選んだのは噓か、本当か。

作者コメント
誰でもSNSを利用することができる現代。何が嘘か本当か、あなたは見抜くことが出来ていますか?あなたが真実だと信じていることも、実は嘘かもしれない。しかし、嘘を本当だと信じるからこそ上手くいくこともあるでしょう。
そんな、嘘で成り立つ関係性をテーマに書いた作品です。

3作品目『全員優勝』 作:池内怜士 (3回生)

あらすじ
配信をしているおじさん、リビングにいるおばさん。子供向け番組のおねえさん。オリンピックの実況をしてる人。焼肉食べに来たお客さん。セミさん。俳優さん。お客さん。そして、僕。みんな色々考えて生きてます。全員優勝!!!

作者コメント
授業で初めて戯曲を書いてみました。池内怜士と申します。演劇の勉強しながら、焼き肉屋でアルバイトしてます。全員優勝というタイトルの、この戯曲は自分の身の周りでおこったこと、自分が普段考えてること、自分がいつもやっていること、嫌だなって思ったこと、怖いなって思うことをいくつかの形式にパッケージして、物語に繋ぎ合わせたものです。そして最後には全員優勝します。ずっと、自分の話をしています。登場人物は、すべて僕の妄想です。自分の欲望も自分の恐怖も自分の趣味もすべて役に背負ってもらいました。その自分の考えを役に押し付けてしまったことに対するお話も書いています。僕は、そんな思いを乗せた役も、それを演じてくれた俳優の方々も、この作品を見てくれた観客の方々も、そして僕自身も幸せになれたらいいなって思っています。

普段はなかなか戯曲を書く/書き上げるという機会がなく、特に自分の内側で考えていることを正直な表現や言葉遣いで可視化(=戯曲化)するという部分に戸惑う様子もありましたが、市原佐都子先生の創作に対する向き合い方を聞いて、みんなのなかの何かが変わったようでした。
0から創造することの難しさ、表現者として大切にすべき視点、そして現代/世界を自分の目でどうとらえるかの重要性を知ることができ、学生たちにとって大きな成長につながる7日間でした。

授業最終日のショーイングの様子は以下よりご覧いただけます。

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【演劇コース授業紹介⑰】

「身体表現と舞台芸術メジャー」「舞台技術・公演マイナー」「アーツ・マネジメントマイナー」「演劇ワークショップ実践マイナー」で行われている舞台芸術に関する様々な授業を写真とともにご紹介いたします。

サマーセッション『舞台照明』

講師:岩城 保

今回は7月17日(水)~19日(金)に開講された、岩城先生による「舞台照明」の授業の一部をご紹介します。

*「舞台照明」:舞台照明デザインとオペレーションを行なうために前提となる知識について、実技を交えた講義を行う。

[講師プロフィール]

岩城保(舞台照明家)

1964年生まれ。国際基督教大学在学中に学生団体「照明委員会」に所属、舞台照明の世界に出会う。照明デザイン会社や調光機器製造会社への勤務を経て、1990年から2012年まで劇団青年団平田オリザ主宰)に所属、ほぼすべての公演の照明プランを担当。2012年末に青年団を退団。以降はフリーの照明デザイナーとして関美能留、多田淳之介、西村和宏らの演出作品に参加。また、舞台照明の実務のかたわら、市民や学生に舞台照明を体験してもらうワークショップ活動も行っている。日本照明家協会理事。

この授業では「舞台技術基礎Ⅰ」(授業紹介ブログ )で学んだ基礎知識や技術を実際の現場ではどのように使うのかを学びます。ある物の見え方をつくり出すことを“目的”とし、光をつけることを“手段”として、最終的には“手段”を駆使して“目的”のデザインを考え、オペレーションを行えるようになることを目指します。

1日目は、ノトススタジオにある機材とシステムについて、復習をかねて解説いただきました。

機材の特性や仕組みを学び、“手段”をたくさん持っておくことで、“目的”を達成する方法がより明確になりました。

2日目の前半は“手段”となる、影について学びました。

カラーフィルターを使用したり、ゴボでパターンを投影したりして、様々な視覚的な面白さをつくり出せることを学びました。

2日目の後半は実際に、箱馬を使用して学生それぞれがデザインを考えて、実践しました。「箱馬の魅力を引き出すデザイン」を“目的”にそのためにはどのような“手段”で実現すればよいかを、意見を交わしながら考察しました。

実際に照明をつくってみると、意図していたイメージと違っていることもあり、機材を変えたり、当て位置を変えたり工夫してデザインを完成させました。

完成したものを見て、岩城先生からは空間をつくり出そうとせずに、物体を引き立てることだけを考えて、デザインをつくってみてと意見をいただきました。「箱馬の色々な表情が見えるデザイン」という新たな課題をいただいたことで、箱馬の持つ質感やシルエットを活かしたデザインが完成しました。

3日目は前日に行った、箱馬のデザインを発展させて、複数のライトの光を組み合わせた時の作用の生じ方を実技と観察を交えながら考察しました。

また、音楽を使用し、シーンの組み立てについても学びました。

前回は箱馬だけだった、光を当てるものも意見を出し合い、椅子やヘルメット、人も追加し、照明からシーンをつくり出すことに挑戦しました。

複数の照明があることで、今までにはなかった、いつ照明がついて、いつ消えて、物はどのように出てきて、いつなくなるのか、演出も兼ねて考る必要があります。シーンづくりに思考錯誤を繰り返しながらも、短い作品をつくることができました。

また、オペレーションも経験し、音楽に合わせてシーンを展開する難しさも経験しました。

照明デザインの基礎的な知識だけでなく現場で必要な様々なスキルや心得も学ぶこともできました。
裏方でありながら表現者になれる魅力を感じることのできる3日間でした。

【学生の声】3回生 亀井涼花

今回の授業に参加して、見える光を作る時の手数が自分の中に全然ないことを気付かされました。 どのような光をどう作るのか、灯体の種類は?位置は?色は?明るさは?1つの光を作る時に、たくさんのことを考え、それを組み合わせシーンを作る難しさや面白さを改めて感じました。 何を見せたいのか、見せたいものと背景との対比など、自分が今までしっかりと考えていなかった部分を考えることが出来た時間でした。 照明の難しさ、面白さ、多様さ、楽しさを改めて感じられる授業でした。

【学生の声】3回生 池内怜二

普段の公演では、舞台監督の仕事をすることが多いため、照明を実際の現場で扱ったことはありませんでした。今回の講義では、舞台照明を実際の公演で扱ったことのない自分でも照明の理論について学ぶことができました。実際にその場で機材を仕込み、実践するところまで体験することができ、今後、舞台監督や俳優をするときにも今回得た知識を活かした表現をしたいと思えました。

【演劇コース授業紹介⑯】

「身体表現と舞台芸術メジャー」「舞台技術・公演マイナー」「アーツ・マネジメントマイナー」「演劇ワークショップ実践マイナー」で行われている舞台芸術に関する様々な授業を写真とともにご紹介いたします。

インテンシブ・ワークショップⅠ」
講師:三浦大輔

今回は、5月21日~24日の4日間開講された、三浦大輔先生による「インテンシブ・ワークショップⅠ*」の授業の一部をご紹介します。
*インテンシブ・ワークショップⅠ:多彩な身体表現のプログラムに参加し、自己発見や他者とのコミュニケーション回路開発の方法などを学ぶ。とくに演劇に必要な身体表現は、今第一線で活躍中の演出家による集中的なワークショップを通して学んでいく。

[講師プロフィール]

三浦大輔
(脚本家、演出家、映画監督、劇団ポツドール主宰)

1975年生まれ、北海道出身。1996年に演劇ユニット「ポツドール」結成。以降、全公演の脚本・演出を務める。2006年に『愛の渦』にて第50回岸田國士戯曲賞を受賞。近年の主な作品にBunkamuraシアターコクーン『禁断の裸体』(15年/上演台本・演出)、パルコ・プロデュース『母に欲す』(14年/作・演出)、『ストリッパー物語』(13年/構成・演出)など。映画監督作に映画「愛の渦」(14年/原作・脚本)、「ボーイズ・オン・ザ・ラン」(10年/脚本)、「何者」(16年/脚本)など。

この授業では、脚本家・演出家で映画監督の三浦大輔先生を迎え、「映像を前提とした演技」と「舞台を前提とした演技」の違いと共通点について考え、それぞれにとったリアルな演技とは何かを実践とフィードバックを繰り返しながら体験しました。

授業で使用する戯曲は、三浦先生が主宰する「ポツドール」で2007年に上演された『人間♥失格』。この戯曲から抜粋したシーンの一部を2人ペアで演じました。

授業の1・2日目はカメラの前で演技をすること自体が初めての学生が多かったため、実際にカメラの前と観客の前では意識にどのような違いあるのかを体感しながら演じ、「映画など映像の現場で必要とされるリアルな演技を身につける」ためには何が必要なのかを三浦先生から意見をもらいながら模索しました。

映像の場合は、微細な表情の変化まで捉えるくれるので、目線やしぐさなどより細かな表現にフォーカスをあて、実践に取り組みました。

また、カット割りをすることで、テンポが出てシーンが成立しやすくなるなど、映像ならではの良さも体験することができました。

3・4日目には「映像を前提とした演技」をカメラを通さず、舞台作品のように演じたり、逆に「舞台を前提とした演技」で映像を撮ったり、様々な方法で実験的に違いについて考え、意見を交わしながら、実践とフィードバックを繰り返しました。

また、実際にやっている時と、映像を自分で見てみたときの感覚の違いや見え方の違いを分析し、そのずれをいかに無くせるかについてグループごとに考察し、実践で試しながら、自分に必要な技術を模索しました。

自分が演じてみることで感じることや、他の人が演じているものを観客の目線から観て、“なるほど!”と感じることも多くあり、三浦先生からのフィードバックを聞きながら、さらにそれぞれの違いや演じる上でのコツを個別に細かく教えていただきました。

演技するということにおいては同じでも、技術的な面では、それぞれに求められるものが違い、そこを考え抜き、映像、舞台、それぞれの「コツ」をしっかりと掴める4日間になりました。