中華ぐるぐる丼 (original) (raw)

「ベイビーわるきゅーれナイスデイズ」を観てからこっちを観ようと思ったが、こっちを観たらまた「ベイビーわるきゅーれナイスデイズ」が観たくなった。同じ映画館でやっているから、続けて観ちゃう人もいるだろうな。

アクションシーンを中心とした密着ドキュメンタリー映画。出演者が体を張って撮影しているのがよく分かる。まひろ役の井澤彩織でさえ体調不良になってしまうほどのハードなアクションシーンの連続である。

映画やドラマのアクションがスポーツの格闘技と違うのは、常にカメラがそばにあることだ。カメラのフレームの中でいかに登場人物をカッコよく見せるか。

アクションにも流行があって、ブルース・リーは己の肉体を極限まで鍛え上げて超人的な技を繰り出し、それがジャッキー・チェンの登場で笑いがプラスされ、ワイヤーを駆使した華麗なアクションが牽制したかと思えば、韓国の痛いリアルなアクションが現れ、CGの性能が向上すればゲームのようにありえない動きも出てきて、今はまた現実回避というか自分の体一つで勝負するみたいな流れになっているのかなと感じる。アクションに詳しい人は他にたくさんいるので、詳しくはそちらで調べて欲しい。

この映画の中の「もしもまひろが’ちさとに出会えてなかったら、まひろもかえでのようになっていただろう」という言葉に大納得。確かに~!まひろとかえでは運命の分岐点で別々に別れてしまったもう一人の自分なのだ。

ドラマも始まるし、まだまだ自分の中のベイビーわるきゅーれブームは続きそう。

Netflixで配信された「ベイビーわるきゅーれ 」「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」を観てから、映画館で観たくてしょうがなかった。遂に9月27日から全国上映。

今回は宮崎でロケ。ロケ地の詳しい情報はここ。

www.kanko-miyazaki.jp

今回はチーム戦で最強の殺し屋に挑んでいる。相変わらずのキレッキレなアクションである。しかも軍隊並みの実践型アクションである。銃とナイフを同時に使う時の構え方とか、建物の中に入る時の役割分担とか、全くスキがない。

そして池松壮亮のアクションシーンがまたすごかった。全身血みどろ。野良の殺し屋でコミュ障で寂しがり屋な役を見事に演じていた。

最強の敵が現れたことで今回まひろはつい弱音を吐いてしまう。そこをちさとがビシッと活をいれるところが痺れる。流石唯一無二のバディだ。

アクション以外にも美術のセットにこだわりが感じられる。例えばホテルの駐車場でのアクションシーンでは、ビンテージカーが左右に配置されていたり。

年代とか機種は車に詳しくないので不明。

まひるとかえでが死闘を繰り返す廃墟もどことなくクラシック。

宮崎県庁とか珈琲専門店ウルワシとかも歴史のある建物なので、今までのポップなイメージとは違った趣がある。

こうなったらシリーズ化して地方でどんどんロケして欲しくなる。何だったら世界に出て行ってもいい。

10月17日から11月10日と期間が長い香港亞洲電影節。流石に香港映画のラインナップが充実している。

www.hkaff.asia

「寄了一整個春天

「破.地獄(ラストダンス)」と共に今年のオープニング作品に決まった作品。陳果(フルーツ・チャン)がプロデューサーを務め、脚本家出身の葉鈺瀛(イップ・ユックイン)が初監督した。香港のガールズグループCOLLARの邱彥筒(マーフ・ヤウ)が主人公の高校生を演じていることでも話題になっている。

「看我今天怎麼說」

黃修平(アダム・ウォン)監督作品。游學修(ネオ・ヤウ)、鍾雪瑩(チョン・シュッイン)、吳祉昊(マルコ・ン)がろうあ者を演じている。

「得寵先生」

定年を迎えたオッサンと野良犬との心温まるお話。笑いあり涙ありの人情コメディ。

「拼命三郎」

ムショ帰りのヤクザな男と息子がボクシングの試合で2代にわたる因縁の決着を決めようとするお話っぽい。実は最初この息子役にMIRRORのイアンが決まっていたが、コンサートの事故のため辞退。急遽林家熙(ロッカー・ラム)に代わったという経緯がある。應智越(細猫)も出演している。

「淺淺歲月」

フェンシングの試合中事故で人を殺してしまった兄は、出所後母親から絶縁されてしまう。兄を慕う弟は何とか家族の絆を修復しようと試みる。シンガポール人であり、フェンシングのシンガポール代表にも選ばれた劉慧伶(ネリシア・リウ)が監督。主演は曹佑寧(ツァオ・ヨウニン)と劉修甫(リウ・シュウフ)。

「夜校女生」台湾

受験に失敗した小愛は有名高校の夜間部に入学する。同じ机で勉強する全日制の敏敏と仲良くなり、全日制の制服を着て昼間に登校するようになるが、好きな人にも嘘をついてしまう。主演は中学生役でもイケそうな陳姸霏(チェン・イェンフェイ)。監督は「最乖巧的殺人犯(よい子の殺人犯)」「引爆點(High Flash 引火点)」の庄景燊(ジャン・ジンシェン)。釜山国際映画祭でも上映。

「小雁與吳愛麗」台湾

林書宇(トム・リン)監督がモノクロで撮った新作。監督のヨメである夏于喬(キミ・シア)と楊貴媚(ヤン・グイメイ)が母娘を演じている。この作品が東京国際映画祭で上映されないということは、東京フィルメックスか大阪アジアン映画祭でやるのかなあと期待してしまう。

このうちのどれが実際に観られるかな。

10日間の開催期間に話題作が盛りだくさん。チケット発売は先行発売を除いて、10月19日から。

2024.tiff-jp.net

今年は中華圏の気になる作品が多めだ。

「女兒的女兒(娘の娘)」台湾

既にトロント映画祭でも上映され大好評だった。監督は「強尼.凱克(台北暮色)」でデビューした黄熙(ホアン・シー)。プロデューサーは侯孝賢ホウ・シャオシェン)、主演に張艾嘉(シルビア・チャン)と林嘉欣(カリーナ・ラム)を揃えた「勝ちに行っている」体制で製作されている。

「破·地獄(ラスト・ダンス)」香港

黃子華(ダヨ・ウォン)と許冠文(マイケル・ホイ)が共演するということで、公開前から話題になっている。香港では11月14日から一般公開。香港の葬儀は道教の教えに倣って執り行う場合が多い。その時に道士が踊りながらお祓いをする。英語のタイトルはそこからきているのかも。

「虎毒不(母性のモンタージュ)」

「淪落人(淪落の人)」を撮った陳小娟(オリヴァー・チャン)監督の新作。次第に育児に追い込まれていく女性のお話。「虎毒不」とは「虎毒不食子」ということわざで、虎はいくら凶暴でも自分の子は食べない→どんなにむごい親でも自分の子を傷つけたりはしないという意味。

「爸爸(お父さん)」香港

「踏血尋梅(九龍猟奇殺人事件)」で実録犯罪映画を撮った翁子光(フィリップ・ユン)監督の最新作。同じく実録犯罪映画の「正義廻廊」をプロデュースしたり、監督はこのタイプの映画がよほど好きらしい。この映画の元ネタは2010年に実際に起きた殺人事件。妻と娘を殺した息子と向き合う父親役を劉青雲ラウ・チンワン)が演じている。

「不赦之罪(赦されぬ罪)」香港

黃秋生(アンソニー・ウォン)が主演。レイプ犯を香港の3人組アイドルグループ「P1X3L(ピクセル)」のメンバーであるジョージが演じている。

こんなに変わる。黃秋生を相手にどこまで出来るか。

「九龍城寨之圍城(トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦)」香港

鄭保瑞(ソイ・チェン)監督の最新映画。5月1日の一般公開以降香港映画の記録を塗り替え、7月には1億HKDの興行成績を記録した。アクション監督は谷垣健治、音楽は前作「智齒(リンボ)」に引き続き川井憲次が担当している。やっぱりみんな香港アクション映画が好きなんだね。

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「小小的我(小さな私)」中国

日本で一般公開もされた映画「少年的你(少年の君)2019年」で、その確かな演技力とイケメンぷりで知名度を上げた易烊千玺(イー・ヤンチェンシー)。その後も着実にキャリアを伸ばし、公開予定の大作が今後も目白押し。東京国際映画祭の紹介ページには易烊千玺の後ろ姿しか映っていないので、正面からの写真を紹介。

今回がワールドプレミアで中国国内でも未公開なので詳細は分かっていない。しかし彼が障害者役を演じるというので今からみんなの期待値は上がりっぱなし。

「狗陣(ブラックドッグ)」中国

管虎(グァン・フー)が監督、彭于晏(ポンちゃん)主演の映画。北京オリンピックが開催された2008年。北西部の田舎で、野犬駆除の仕事に就いた刑務所帰りの男が1匹の犬と心を通わせるお話。登場する犬は最大400匹だそう。どのシーンもドッグトレーナーがつきっきりで撮影したので虐待はしていませんよというテロップが流れるのはご時世か。中国では6月15日に一般公開。賈樟柯(ジャ・ジャンク―)が地元の元締めみたいな役で出演。ポンちゃんはここでも鍛え上げられた身体を惜しげもなく見せている。

「乔妍的心事(チャオ・イェンの思い)」中国

ミャンマー出身で台湾に帰化している趙德胤(ミディ・ジー)が中国で撮影した映画。中国では10月26日に一般公開。赵丽颖(チャオ・リーイン)と辛芷蕾(シン・ジーレイ)が姉妹を演じている。実際の赵丽颖と辛芷蕾は1歳しか違わないが、どう演じるのか興味深い。

「阳光俱乐部(陽光倶楽部)」中国

この写真のどこに黄晓明 (ホァン・シャオミン)がいるのか分からないくらい、約18㎏増量して黄晓明はこの役に挑んだ。

もちろん撮影が終わったら速攻元に戻ったけど。
中国では6月主催の上海国際電影節で上映したのみ。そこで黄晓明は主演男優賞を獲得している。

「搖籃凡世(幼な子のためのパヴァーヌ)」マレーシア

マレーシア出身の張吉(チャン・ジーアン)監督の最新作。前作の「南巫」「五月雪」では金馬奨で高い評価を得ている。今回は香港で大活躍の廖子好(フィッシュ・リウ)と許恩怡(ナタリー・スー)を主演に撮影。廖子好はマレーシア人。許恩怡は80年代に香港芸能界で活躍した柏安妮(パク・オンネイ)の娘。柏安妮はマレーシア人とイギリス人のハーフなので、許恩怡はクォーターになる。

マレーシアと香港、台湾の繋がりがますます深まっていく。

もちろん全部は観れないので、後は金馬に賭けるのみ。

2019年に香港で起きた運動についてのドキュメンタリー映画はこれまでもいくつか見てきたが、この映画も冒頭から泣きたくなる。

mingmei2046.hatenablog.com

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ここに映っているのはまさに戦場と化した香港。丸腰の学生相手に機動隊が武器を使って暴力をふるう姿だ。警察は時にはヤクザと手を組んでデモ隊に暴力を振るったり、デモ隊に成りすましてわざと暴力的に煽り、次々と逮捕していくなどやりたい放題だ。それとは対照的に、街を埋め尽くす市民たちは粛々と理性的に行進していく。

この映画で印象的だったのは、香港に移住してきたインド系や非中華系の人々も「自分は香港人である」というアイデンティティをデモ中に表明したことだ。香港は人種のるつぼで、欧米系、中国系が多いが、最近はアフリカやアジアの国から人が集まっている。香港人の定義は血統ではなく、香港に対する思いなのだ。そんな場所は一体世界にいくつ存在するだろう。

2046年は遠い未来ではなく、もしかしたら自分もまだ生きているかもしれない。果たしてその時の香港の景色はどう見えるんだろう。

秋といえばアジア各地で映画祭が開催される時期だ。ざっと見るだけでも

10月2日~11日 釜山国際映画祭(韓国)

10月17日~11月10日 香港亞洲電影節(香港)

10月17日~10月26日 TAIWAN MOVIE WEEK 2024(日本)

10月28日~11月6日 東京国際映画祭(日本)

11月1日~17日 香港映画祭(東京:1日~4日 大阪:9日~11日 福岡:15日~17日)(日本)

11月7日~24日 台北金馬影展(台湾)

11月23日~12月1日 東京フィルメックス(日本)

この間に、10月19日から東京国際映画祭のチケット発売があり、10月27日から金馬のチケット発売があり、11月4日には東京フィルメックスのチケット発売がある。

釜山は既に上映作品プログラムが発表されていて、これを見ると他の映画祭でも上映しそうな作品を予想できる。

気になった作品を挙げてみると、

「小雁與吳愛麗」台湾

林書宇(トム・リン)監督がヨメの夏于喬(キミ・シア)を主演に撮ったモノクロ映画。台湾では10月10日から一般公開。

「夏日的檸檬草」台湾

見るからに胸キュンな初恋映画。ベストセラー小説を映像化したもの。台湾では8月2日から一般公開。

→TAIWAN MOVIE WEEK 2024で、10月17日TOHOシネマズ日比谷にて曹佑寧(ツァオ・ヨウニン)トークショー付きで上映。

「狗陣(ブラックドッグ)」中国

久々のポンちゃん(彭于晏)主演映画。監督は「老炮儿(ロクさん)2015」「八佰(エイト・ハンドレッド-戦場の英雄たち-)2020」を撮った管虎(グアン・フー)。刑務所帰りの男が1匹の野良犬と心を通わすお話。中国では6月15日から、香港では9月5日から一般公開。香港では、上映後オンラインQ&Aでポンちゃん本人が登場。

東京国際映画祭ガラ・セレクションに出品決定。

「虎毒不(母性のモンタージュ)」香港

「淪落人(淪落の人)」で注目を浴びた陳小娟(オリヴァー・チャン)監督の作品。次第に育児に追い詰められる母親を描いた映画。

東京国際映画祭ウィメンズ・エンパワーメントに出品決定。

これだけ日程が被るとゲストのスケジュール調整もたいへんそうだ。

そしてこっちも有給休暇の調整に頭を悩まし中。

2024年の旧正月映画。「そういえば台湾には怪盗映画がないよね」ってことで「第九分局」の王鼎霖(ワン・ディンリン)監督と敏腕プロデューサーの葉如芬(イエ・ルーフェン)が作った映画。Netflixで8月1日から配信開始。日本語タイトルは何だかな。

頭脳明晰で責任感が強いリーダーに陳柏霖、しょうもないダジャレを連発する天才ハッカーに蔡凡熙(ツァイ・ファンシー)、家族想いの変装家に李銘忠(リー・ミンジョン)、無口な武闘家に林哲熙(リン・ジャーシー)。この4人がチームとなって悪いヤツからお金を盗んでいく。

彼らの相手となる悪役の吳慷仁(ウー・カンレン)は友情出演の枠からはみ出るくらい露出が多い。紅一点の蔡思韵(セシリア・チョイ)は香港人だが、国立台北芸術大学で学んでいて広東語訛りも無く、この映画ではコメディエンヌとしての実力も見せつけた。

怪盗モノの映画の設定を丁寧に踏まえつつ、強奪したお金をいかに戻すかが焦点になっている。

美術は「消失的情人節(1秒先の彼女)」で本物そっくりの郵便局のロケセットを作った王誌成(ワン・ジーチョン)。この映画では賃貸契約が切れた銀行を改装してリアルな銀行を作ったり、廃棄された飛行機の躯体に4人のアジトを作ったりした。

Rの天井がかっこいい。

要の金庫はセットで。

赤外線で遊ぶのはお約束。

で、やっぱり吳慷仁がすごい。ABC(アメリカ生まれの華僑)が話す英語が入り混じったおかしな発音の國語は、「冷酷非道な悪役なんだけど、ちょっと笑ってしまう部分も欲しい」ということで生み出されたもの。気軽に楽しめるのが信条の旧正月映画の中にちょこちょこ差し込む吳慷仁のシリアスな表情が、緩くなりがちな空気を引き締めている。

カーアクションあり、ロマンスあり、葱油餅で爆弾を作ったりと、家族や友達同士で観ても楽しめる映画。