ハーレムの男たち 871話 ネタバレ 先読み 原作 あらすじ 2度の拒絶 (original) (raw)

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871話 グリフィンは、アニャと百花が死にそうだと叫びました。

◇地面が消える◇

そんなことがあり得るのかと

ラティルは一瞬、考えました。

アニャは吸血鬼で、

百花は人間だけれど、

アニャドミスと魂が結ばれていました。

2人の命の奪う方法が

全くないわけではないけれど、

その2人が同時に死ぬなんて、

そうでなくても、小さな可能性が

さらに小さくなるところでした。

ラティルは、

百花とアニャが死ぬかもしれないって

どういうことなのかと尋ねました。

グリフィンは、

あの2人が一緒に移動していて

自分は上から飛んでいたけれど、

急に地面が下に落ちて

2人とも消えたと答えました。

サーナットはグリフィンに

2人を捕まえられたのではないかと

呆れながら尋ねました。

彼の考えでは、グリフィンなら

2人くらい、捕まえることができると

思ったからでした。

しかし、グリフィンは、

地面がすっと消えたことを

認識するや否や、元に戻った。

気がついた時には、

すでに地面は元通りになっていた。

消えた2人が見えないのに

どうやって

捕まえることができるのかと

つっけんどんに抗議すると、

ラティルとタッシール、

サーナットの目が大きくなりました。

地面が・・・消えるの?

ラティルは、ぼんやりと呟くと

ハーレムに向かって

早足で歩きました。

◇暇な側室だから◇

ラティルは

ゲスターの名前を叫びながら

彼の住居へ向かったところ、

到着した時には、

すでに外側の扉と内側の扉が

開いていました。

ゲスターは部屋の奥で

か弱そうな様子でぼんやりと立ち、

ラティルを見つめていました。

ゲスター!

ラティルは大股で

部屋の中に入りました。

サーナットとタッシールは

自然に、その後について

入ろうとしましたが、

応接室にいたトゥーリが

急いで走って来て扉を塞ぎました。

退け!

サーナットは

無愛想に指示しましたが、

トゥーリは、

ひどく叱られるのを覚悟で、

屈することなく、

その場所を守りました。

タッシールは、

皇帝が何のために、ここに来たのか

分かっているので、

訳もなくそばにいて

火の粉を浴びるより、

自分たちはあそこへ行って

コーヒーでも飲もうと言うと、

サーナットの腰をつかんで

引っ張りました。

おかげで、トゥーリは

押し退けられずに済みましたが、

火の粉を浴びるという言葉に、

皇帝は良いことで

訪ねて来たのではないのかと

思いました。

トゥーリは、

サーナットとタッシールが去るのを

見ながら、気楽に喜ぶことが

できませんでした。

彼は不安になり、

すでに閉まっている内側の扉を

振り返りました。

トゥーリの不安は的中しました。

ゲスター、お願いがある。

ラティルが口を開くや否や、

か弱そうに瞬きをしていた

ゲスターの表情に、

目に見えて亀裂が入りました。

ラティルは、ゲスターの表情が

険しくならないように

両頬を押しながら、

聞いてくれるよね?

と笑って尋ねました。

ゲスターは

冷たい目でラティルを見ながら

どうしたのかと尋ねました。

ラティルは躊躇いがちに

彼の顔から手を離すと、

相次いで対怪物部隊小隊の隊員が

2度も行方不明になったので、

7ヵ月ほど前くらいに

カルレインに助けを求め、

黒死神団の吸血鬼の傭兵5人を

新入隊員として小隊に入れた。

ところが、吸血鬼2人を含めて

また行方不明になった。

幸い、失踪前に

痕跡を残したらしいので、

百花とアニャを送ったけれど、

その2人まで行方不明になったと

事情を説明しました。

それからラティルは、

ソファーまで、トボトボ歩いて行き、

力なく座り込みました。

そして、

グリフィンが現場に一緒にいたけれど

グリフィンの話では、

地面が下にすっと消えたかと思うと

あっという間に元に戻った。

だから百花とアニャは

あんなに強いのに

手も足も出せずに消えたのだろうと

話しました。

ゲスターは、

それで・・・?

と尋ねました。

ラティルは、

ゲスターは狐の穴を使うから

地面が急に消えても

狐の穴に入れるかもしれない。

だからゲスターが現場に行って

調べて来てくれないかと

尋ねました。

ゲスターはゆっくりと歩いて来て

ラティルが座っている

ソファーの周りを

ゆっくり回りました。

全ての方向から自分の表情を

くまなく調べる様子に、ラティルは

無理やり笑みを浮かべながら

行きたくないのかと尋ねました。

ゲスターは、

そんな危険な所に自分を

行かせようとするなんて

皇帝の目から見て自分は

暇なのだろうか。

皇配でもなく、近衛騎士団長でもなく

子供もいないからと皮肉を言いました。

ラティルは、

そんなはずはない。

ゲスターが皇配だったとしても

ゲスターに頼んだと反論しました。

しかし、ゲスターは、

育てる子供もいないし

することもない自分のような

遊んで暮らす側室は

危険な所へ行って死んでも構わないと

思っているのかと皮肉を言いました。

ラティルは、

ゲスターの半分ほど閉じた瞼を

見つめながら、

ランスターでしょう?

と尋ねました。

ピンポン!

ゲスターの半分ほど閉じていた目が

再び大きくなり、

非常に不満に満ちた表情に

変わりました。

そして、ソファーに腰かけ、

ラティルの顔を、さっとのぞき込み、

口元を片方だけ上げると、

また自分を馬扱いしに来たのかと

尋ねました。

ラティルはランスター伯爵に

ちょっとだけお願い。

と頼みましたが、

彼は「嫌だ」と断りました。

ラティルは、ゲスターを呼ぶよう

ランスター伯爵に頼みましたが、

彼は

怖いって。

と答えました。

ランスター伯爵は

ニヤニヤ笑いながら

ラティルの反応を待っているように

見つめました。

ラティルは、

ランスター伯爵の肩を押して

ソファーから立ち上がりました。

痛い、痛い。

ロードが側室を叩いた。

ランスター伯爵は。

ラティルが押した肩に腕を乗せて

うんうん唸り始めました。

ラティルは、

ランスター伯爵以外に、

助けてくれる人がいないと思うのかと

捨て台詞を吐いて、鼻で笑うと

ランスター伯爵を置き去りにして

扉を大きく開きました。

応接室にいたトゥーリは、

皇帝の鋭い表情を見るや否や、

また喧嘩をしたようだと思いました。

彼は、泣きべそをかきながら、

坊ちゃんが何を言おうが、

自分がすべてお詫びする。

うちの坊ちゃんは、

いつも皇帝だけを待っている。

どうか怒らないで欲しいと

哀願しました。

ラティルは、その真摯な嘆願に

口をつぐんだまま振り返りました。

ランスター伯爵が演技しているのか、

それともゲスターが戻って来たのか

彼は沈鬱そうな様子でした。

ラティルは鼻で笑うと、

廊下に出ました。

回廊を歩いていると、

手すりに寄りかかってコーヒーを飲む

タッシールとサーナットが見えました。

タッシールは、

ラティルの怒った表情をチラッと見ると

隣に座っているサーナットを振り向き、

ほら、そうでしょう?

5分以内に出て来るって。

と言いました。

その言葉に、ラティルは

ショックを受けました。

◇人魚の卵◇

夕食の時間。 ラティルは

ロードの仲間たちを呼び、

例の件について簡単に説明した後、

誰が行くのがいいか。

カルレインとサーナットとラナムンは

子供たちの面倒を

見なければならないからダメ。

タッシールも皇配だからダメだと

話し終わるや否や、

クラインがさっと手を上げ、

自分は最近、退屈だと言いました。

その言葉に、

ラティルの提案を拒否したゲスターは

自分が退屈に見えるのかと言って

妙な表情をしました。

ラティルは反射的に

ゲスターをチラッと見て、

再びクラインを見ながら

あなたはダメ。

と反対しました。

クラインが、その理由を尋ねると

ラティルは、

クラインが弱いからと答えました。

自分の剣術の実力に

誇りを持っているクラインは

陛下!

と呆れて口を開けました。

他の側室たちが人間ではないので、

自分は少し埋もれているけれど

人間の中では

指折り数えられるほど強いと

クラインは確信していました。

クラインは、

皇帝の基準が高すぎる。

自分は弱くないと反論すると、

ラティルは、

足元の地面が、急に消えたら

どうするのかと尋ねました。

クラインは、

飛び跳ねると答えましたが、

ラティルは、

すでにクラインは適時に走れず、

地下の神殿に

吸い込まれたことが・・・と

最後の言葉を濁しながら言うと、

クラインの表情が

目に見えて落ち込みました。

彼は口の両端を下げると、

首をくるっと回してしまいました。

しかし、それ以上は

何も言いませんでした。

ザイシンも、足元が消えた時に

出る方法がなかったので

じっとしていました。

ラティルはギルゴールを見ました。

彼は会議の内容に集中せず、

一人で首を傾げていましたが、

その後、ラティルと目が合うと、

明るく笑いながら

そのまま葬式をしよう。

2人とも十分に生きて来たからと

提案しました。

ラティルは口をポカンと開けて

ギルゴールを見た後、

彼よりはマシだろうと思って、

ギルゴールと離れて座っている

メラディムを見ました。

ラティルは彼に、

どう?できる?

と尋ねました。

ところが最後の望みであった

メラディムは、

最近忙しいと言って

意外にも拒否しました。

ラティルはメラディムに

何をしているのかと尋ねました。

彼女は、メラディムの日課

水泳、湖の掃除、歌、ダンス、

タッシールを

追いかけながらのお喋り、

クラインが通りかけると水をかける。

ギルゴールと戦う。

ザイシンと運動する。

尾ひれの手入れなどであることを

思い出しながら、

それなりに忙しいだろうけれど

数日間、席を外せないほど

急ぐことではなさそうでした。

ラティルは、

何日か席を外すだけなのだけれど、

ダメだろうかと尋ねました。

意外にもメラディムは、

最近、卵を見ているからと、

できない理由を語りました。

卵?何の卵?

とラティルが呆れて尋ねると、

メラディムは

床を足で叩きながら

ティトゥの名を叫びました。

まもなく、ティトゥは

赤ん坊のように

おくるみで包んだ大きな卵を持って

現れました。

ラティルは、さらに表情を歪めながら

これは何?

これを見るために、

そんなに忙しいの? ダチョウの卵?

と尋ねました。

メラディムは、

これは自分の卵だと答えました。

ラティルは、まだ理解できず、

ぼんやりと彼を見ていました。

メラディムはニヤリと笑うと、

卵をティトゥから受け取り

赤ん坊のように持ち上げると、

卵が割れたら、

愛らしい人魚の赤ちゃんが

出てくるので、

ロードの子供として育ててと

言いました。

タッシールは

コーヒーを飲んでいる途中、

咽てしまって胸を叩きました。

他の側室たちも、

今聞いた話を理解できずに

メラディムを見つめました。

その様子を見ていたティトゥは、

あまりにも急に話すからと言って

ため息をつくと、

人魚は卵から生まれると

説明しました。

しかし、まだ説明不足なので、

ラティルは理解できませんでした。

彼女が本当に気になるのは、

あの卵は誰が産んだのかという

ことでした。

しかし、ラティルは簡単に、

その質問をすることが

できませんでした。

急に卵を取り出したのを見ると、

もしかしたら、

悲しい事情があるかもしれないと

思ったからでした。

幸いにも、

そういうことを少しも気にしない

クラインは、

そんなことは聞いていない。

あの卵はどこで手に入れたのか。

フナ王が産んだのか。

それとも誰かが産んで

フナ王にあげたのかと、

先に聞いてくれました。

ティトゥの声と表情が

一瞬にして険悪になりました。

彼は、

今度、支配者様をフナ王と呼んだら

死ぬことになると脅すと、

自分たちは卵を産まない。

卵は自然にできる。

だから正確に言うと、あの卵は

メラディム様の卵ではなく、

一族の卵だと答えました。

クラインは呆れてテーブルを叩き、

メラディムの子でもなく

皇帝の子でもないフナの子を

皇族として、

育てて欲しいということなのか。

身勝手だと言い終わるや否や、

彼の頭上に水が降り注ぎました。

メラディムが

もっと!

と怒鳴りつけました。

その厚かましいほど

堂々とした発言に、誰も口を

開くことができませんでした。

ギルゴールさえも、

メラディムの頭を

じっと見つめていました。

ラティルは手を振ると、

メラディムの大切な卵を見つめながら

彼が人魚であることは

全国民が知っているし、

大臣たちも知っているので、

人魚の赤ちゃん1人くらい、

養子にでも養女にでも

することができると言いました。

どうせ後継者にはしないし

異種族なので、あの人魚の赤ちゃんを

皇子や皇女として育てても、

問題が生じる余地は

ありませんでした。

それに、いずれにせよ、

名目上、メラディムは

ラティルの側室なので、

こんな風にでも、

面倒を見てやればいいだろうと

考えました。

ラティルが快く承諾すると、

メラディムは鼻歌を歌いながら

卵を抱きしめて、ティトゥと一緒に

帰ってしまいました。

あの、フナの頭は

会議中であることを、また忘れたと

クラインが怒って叫びましたが、

すでにメラディムはいませんでした。

彼は息巻きながら、

髪の水気を絞りました。

ラティルは深くため息をつくと

側室たちを見回しました。

やはり、一緒に行けるのは

ゲスターだけだという結論に

至りました。

ラティルは、

やはり自分と一緒に行ける人は

ゲスターだけだと思うけれどと

彼に再び話すと、

ゲスターはびっくりした表情で

おずおずと頭を下げながら、

申し訳ないけれど、自分は怖い。

自分が狐の穴を使う前に

気絶したらどうするのかと

拒否しました。

2度目の拒絶に

ラティルの表情が凍りつきました。

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クレリスを出産する直前に

ラティルとゲスターは、山の上で

激しい言い争いをしましたが

その後、ラティルは、

ろくにゲスターを

訪ねていなかったような気がします。

きっとゲスターは、

ラティルが来るのを、今か今かと

待っていたのでしょうけれど

ようやく来てくれたと思ったら

開口一番「お願いがある」では

腹を立てても仕方がないと思います。

今回は彼に同情します。

メラディムは、

ラティルが3人の子供を

産んだのを見ているうちに

自分もラティルとの子が

欲しくなったのでしょうね。

ギルゴールとの戦いが、

日課となっているなんて。

2人が戦う度に、

派手に水しぶきを上げていたら、

はた迷惑な日課だと思います。

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