鵜山仁がシェイクスピア交互上演への思いを語る (original) (raw)
目指すは“見えない世界との交信”、鵜山仁が「尺には尺を」「終わりよければ~」の挑戦語る
2023年8月1日 13:53 4
10月から11月にかけて東京・新国立劇場 中劇場で上演される、シェイクスピア、ダークコメディ交互上演「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」の詳細と、鵜山仁のコメントが到着した。
これは、シェイクスピア戯曲「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」を、“表裏一体”の2作品と捉え、同じ出演者で回替わり上演する企画。2009年から2020年にわたり上演された「新国立劇場シェイクスピア歴史劇シリーズ」を手がけた鵜山が演出を担い、岡本健一、浦井健治、中嶋朋子、ソニン、立川三貴、吉村直、木下浩之、那須佐代子、勝部演之、小長谷勝彦、下総源太朗、清原達之、藤木久美子、川辺邦弘、亀田佳明、永田江里、内藤裕志、須藤瑞己、福士永大が出演する。
鵜山は「3年に及ぶコロナ禍、僕にとって驚きだったのは、目にも見えない、生物だか無生物だかも判然としないウイルスという存在に、世界がここまで翻弄されてしまったことです。そして昨年2月以来のロシアによるウクライナ侵攻は、『戦争』が、実は平穏に見えたわれわれの日常の、すぐ隣に息を潜めていたことを痛感させました。われわれの目に見えていたのはなんと狭い世界だったのか、ならば舞台という特権的な場では、生きている現実の人間だけではなく、目には見えない世界、死者たちの歴史や、ウイルスも含めた森羅万象、あらゆるものとの交信を心がけたい。ここでは日常生活の利害、効率、善悪を一旦度外視した、遠大、深遠なコミュニケーションが求められます。そのためにあらゆる手段を動員して見えない者たちに呼びかけ、見えない者たちの呼びかけに応えたい」と思いを述べる。
公演に向けて「2009年の『ヘンリー六世』から2020年の『リチャード二世』に至るまで、新国立劇場の舞台で、シェイクスピアの歴史劇を創ってきた仲間たちとの新しいチャレンジ。これを機会に是非、もう一歩先の世界に、分け入ってみたいと思っています」と語った。チケットの一般前売は8月11日10:00にスタート。
鵜山仁コメント
物の見た目や物を見る立場が変わると、人の心は他愛無く変化してしまう。加害者のはずが被害者になり、被害者のはずが加害者になる。とすれば「生」の世界はたちまち「死」の世界に、「死」の世界がもしかしたら「生」の世界に反転するかもしれない。「尺には尺を」と「終わりよければすべてよし」。この2つの「問題劇」にしかけられた2つのベッドトリックは、そんな人生と世界の変容を象徴しているような気がします。
3年に及ぶコロナ禍、僕にとって驚きだったのは、目にも見えない、生物だか無生物だかも判然としないウイルスという存在に、世界がここまで翻弄されてしまったことです。そして昨年2月以来のロシアによるウクライナ侵攻は、「戦争」が、実は平穏に見えたわれわれの日常の、すぐ隣に息を潜めていたことを痛感させました。
われわれの目に見えていたのはなんと狭い世界だったのか、ならば舞台という特権的な場では、生きている現実の人間だけではなく、目には見えない世界、死者たちの歴史や、ウイルスも含めた森羅万象、あらゆるものとの交信を心がけたい。ここでは日常生活の利害、効率、善悪を一旦度外視した、遠大、深遠なコミュニケーションが求められます。そのためにあらゆる手段を動員して見えない者たちに呼びかけ、見えない者たちの呼びかけに応えたい。
2009年の「ヘンリー六世」から2020年の「リチャード二世」に至るまで、新国立劇場の舞台で、シェイクスピアの歴史劇を創ってきた仲間たちとの新しいチャレンジ。これを機会に是非、もう一歩先の世界に、分け入ってみたいと思っています。
シェイクスピア、ダークコメディ交互上演「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」
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