ベルソムラとデエビゴ (original) (raw)

不眠によって病院にかかる方は症状がそれぞれ異なります。

今回は不眠で精神科を受診したときにファーストチョイスとして出されることの多い「オレキシン受容体拮抗薬」について解説します。

不眠のタイプは

「寝付きが悪い」場合は 入眠障害

「夜中に何度も起きてしまう」場合は 中途覚醒

「よく寝れた感じがしない」 場合は熟眠障害

「早朝に目覚めてから寝れない」場合は早朝覚醒

不眠と言っても、この4つに分類されます。

そのため、不眠症に対して使う薬も様々です。

薬の作用時間、催眠鎮静作用の強さで使い分けます。

睡眠薬は、

1.オレキシン受容体拮抗薬

2.非ベンゾジアゼピン睡眠薬

3.ベンゾジアゼピン睡眠薬

4.バルビツール酸系睡眠薬

5.メラトニン受容体調整薬

に分類されます。

1のオレキシン受容体拮抗薬は、ここ最近に販売され始めたもので、どのように作用するのかといいますと、

オレキシンという脳内物質は分泌されると覚醒作用をもたらします。

その受容体を拮抗(抑える)ことにより、オレキシンの濃度を下げて、自然な眠りに近い眠に導きます。

睡眠薬による依存性・耐性(飲み続けることにより効果が薄くなってくること)がほとんどみられないことが特徴で、まず不眠症のファーストチョイスとして選ばれることが多いです。

日本におけるオレキシン受容体拮抗薬は、

ベルソムラ (成分名:スボレキサント)

デエビゴ (成分名:レンボレキサント)

の二種類が承認されています。

ざっくりふたつのお薬の違いを言うと、半減期の長さです。

ベルソムラは半減期(薬の効果が半分になる時間)がちょうどよく、20mgの場合、約1.5時間でピークに達し、徐々に抜けて約12.5時間の時間をかけて効果が半分になります。

ですが、効果の持ち越しが懸念されます。

半減期が長いと、起きなければならない時間に薬がまだ作用している状態になってしまい、「起きづらい」という症状が出てしまいます。

また、この事例は精神科医から聞いたものですが、ベルソムラはその鎮静作用により、薬が効いている最中に重篤な副作用が出てしまうことがあります。

例として、

「窓際にベッドを置いて寝ている患者が、窓の外になにかが見えた」

「ドンドンドン!と玄関ドアを叩く音が聞こえ、ドアを開けてみると何もなかった」

等の症例を効いたことがあります。

「デエビゴ」はベルソムラのあとに承認されたお薬で、基本的な薬理作用は同じです。

デエビゴの方が半減期は長く、10mgの投与で約1.5時間でピークに達し、約47時間で半減期を迎えます。

頓用として使用する場合はベルソムラが最適ですが、毎日服用する場合はデエビゴの方が血中濃度の上がり下がりが少なく、安定した効果が得られます。

その分、日中にも作用してしまうため、運転や高所作業など危険な作業は控えるべきです。

どちらも優れたお薬なので、もし処方されたらこわがらずに試してみてください。

合わなかった場合は、他にも色々なタイプの睡眠薬があるので、ご自身に合ったお薬をじっくり探していきましょう。