ライド記録:都民の森 (original) (raw)

日原鍾乳洞を割と楽にクリアできたので、足がうずうずして仕方ない。この調子で都民の森にも挑戦できると浮足立ち、この日に決行。いつものように青梅駅まで車で行き、そこから出発。途中コンビニで補給食も購入し、準備は万全。遠足前の幼稚園児のように興奮して若干寝不足だったのが気になることくらい。

なんとなく奥多摩へは青梅駅までが一本道でアクセスしやすい

この日は前日までの雨の影響で川は増水気味。若干濁って見える。特に白丸ダムでは初めて奥多摩に行った時とは大違い。ダムは水があった方が映える!!ということが良く分かった。

白丸ダム:(上)が8/11、(下)が9/5 前日までの雨の違いで別の景色に見える

美山亭のとろろそば こんにゃくも絶品

準備運動がてらの奥多摩湖までは、一度走って大体の道が分かるから走りやすい。いざ登坂の前に腹ごしらえ。丸井亭は休みで向かいの美山亭へ。とろろそば大盛にしてくれた。蕎麦湯割りも濃厚!この辺りの蕎麦湯はみんなこんなに濃いのか?東京のその辺のそば屋に見習ってほしいくらい。

この店は気さくで優しい姉妹でやっているようで、この地域の歴史をすこし教わる。鶴の湯という温泉で有名だったみたいで、江戸時代の温泉の番付表まで見せてくれた。温泉の素もお土産に一つだけ購入。登り始めにある三頭の名水は車で汲みに来る人もいるらしいという情報をゲット。橋を渡るともう都民の森まで補給ないので自販機でスポーツドリンクを補充。いざ出陣!

(上)この景色を上から見下ろせるか (下)三頭の名水を水筒に

三頭橋を渡っていざ奥多摩周遊道路へ。奥多摩ヒルクライムはここから起点に行われるらしい。さて私はどれくらいで登れるか。

まずは三頭の名水を・・・見逃す!すでに登り始めているも、こんなに遠いかと地図を見返すと既に通過していることに。戻ってみると山側に確かになんかある。これ初見で見落とさない人いるのかレベルのパイプが出ているだけの水場。ちょっと汲もうか迷うも、ここから戻るわけにもいかず。水筒へチャージ。

本格的に登り始める。

が、初めて3㎞でギアチェンジしようとしたら、右のシフトレバーが奥にいかない。あれっ!すでにインナーローMAX!もう1枚くらいあると思っていた。あと10㎞くらい残っているらしいのに、本当にこれで大丈夫か?焦りと不安が高まりながら4㎞~5㎞あたりで一旦休憩するか、もう戻るか葛藤が始まる。

いや、おれはまだ何もなしてない!「キッズリターン」の「まだ始まってもいねーよ」を頭の中で何度リフレインしたことか。このあたりが精神的にも一番きつかった。勾配は何%くらいか分からないが、同じような勾配でカーブが延々と続いている。

曲がり切っては次の曲がり角まで頑張ろうと自分を鼓舞。足は限界だが、自転車は漕いでいればいつかは着く。漕げるペースで、車がこなければ最大限蛇行しながらとにかく漕ぐ。途中でAdoの「ワンピースフィルムRED」が俺のサイコン(単なる小型スマホUNIHERTZ ATOM)には入っていることを思い出し、ほぼ人がいない道中は爆音で「私は最強」を流す。そうだ、今が俺の新時代なんだ!汗を流し、息を上げ、声は出ないながらも「ビンクスの酒」を歌う。孤独なランデブーはまだまだ続くが、途中で左手下に見える奥多摩湖が、もっと上にはいい景色があるんだとささやいてくれる。

月夜見第一駐車場

足つきなしが目標だったものの、月夜見第一駐車場で一旦休憩。降りた瞬間生まれたての小鹿のように足プルプルだった。もう水とスポドリでお腹いっぱいだったので、とりあえずここでぬるくなったヴィダーインゼリーを口に。呼吸を整えて、再出発。軽く漕げたのは一瞬で、すぐにひたすら我慢の時間。この頃になるともう地図をチラ見しまくり。あとどれくらいで頂上か、それだけにしか意識はいかず。足を攣らないようにだけ気を付けてペダルを踏んでいた。工事中の箇所では交通整理のおじさんも「がんばれー」と声をかけてくれた。人の心ってあったかい。その後月夜見第二駐車場でも一瞬休憩。あと一歩と信じて再び踏み出す。

そしてついに・・・。

この碑自体は細くて見落としそうになる。反対側の駐車場が目印

都内の道路の最高地点に登り立つことができた!!!達成感がハンパない。あとは都民の森へ一直線。

都民の森手前の浅間尾根駐車場

登り切ったから緊張の糸が切れ、浅間尾根駐車場でも写真。もう目的地までは下り基調だろうと興奮し始める。そう、都内のロードバイク乗りならここに登らずしてローディーを語るなかれ。

着いて真っ先に団子食いました。はい。花より団子おじさんです。

ついに到達した「都民の森」。想像以上に看板デカかった。平日で人も少なく、誰に写真お願いしようか、団子を食いながら休憩。仕事中であろう友人たちに登坂報告を送り付ける。

40半ばにして、何か新しいことに挑戦し、その最初の目標であった都民の森に3カ月程度で到達できるとは思わなかった。息も切れ切れで休憩もしたけど、それでも自力で登り切った。この歳で自力で何かを達成する喜びを感じるのは、感慨深さと共に、とてつもない充実感があった。

ここでも水道が湧き水ということで水をもらい、充分自分の世界に浸りきったところで若いお兄さんに写真をお願い。下山前のフル装備で記念撮影。単独逃げ切り勝利した選手よろしくバイクを持ち上げドヤ顔で渾身の一枚!

ここからはとにかく気を付けて下山開始。絶対に転びたくない。最初は結構急な勾配でスピードも出ていたが、重心と目線に気を付けて焦らずダウンヒル。結構冷たさを感じるほどだった。

残念なことに途中でバイクが単独事故を起こしたであろう現場に遭遇。すでに何人かが交通整理等をしていたが、ほどなくして緊急車両がバンバン上がってきた。初めての本格ヒルクライムの下りで、事故現場に遭遇し、改めて気を引き締めた。

下りは思ったより長いものの快調に進み、落車に注意していたため写真を撮る余裕は全くなかった。

帰路で撮ったのは檜原村役場と武蔵五日市駅のみ

小学校の時東京にも「村」があると聞いて以来、桃源郷のような場所を想像していた檜原村役場では、ここだけはと写真撮影。そのまま武蔵五日市駅手前でコーヒーで休憩するまでノンストップ。

そういえば、動画とかでは都民の森は武蔵五日市駅から登る人がほとんどだったような。奥多摩湖側からって、なんか勾配が急な方から登ったのではないかと疑い始める。この後、青梅駅前までに一山超えたが、しんどいと思ったのは登り始めの一瞬で、もう感情を無にして走り続けた。

青梅駅に戻り車に乗ると、また達成感と高揚感で叫びたくなる。帰りの車中は眠くなるかと思ったが、元気に無事故で帰宅。自分に自信を持てた意義ある一日だった。ヒルクライムが人気が出る理由が分かったような、もうロードバイク初心者とは言わなくてもいいか!?

次回、「山伏峠で心折れる」の巻