いもづるB-Side (original) (raw)

BBCDABというデジタルラジオ放送を1995年から行っている。これはBBC soundsというアプリやブラウザーで世界中から(多分)、放送から1ヶ月聞くことができる。
一度、英国に行って実際の使い勝手を確かめてみたいと思っていたが、とりあえずまとめてみる。Wiki様によると現在下記の局がある。
ラジオ1 最新ヒット曲
ラジオ2 オールディーズや軽音楽
ラジオ3 クラシック音楽を中心に、オペラ、現代音楽、ジャズ、ワールドミュージック
ラジオ4 ニュース・ドラマ・ドキュメンタリー・ガーデニングなど
ラジオ5 ライヴ スポーツ中継
ラジオ1 エクストラ ブラック・ミュージックに特化
ラジオ1 ダンス ダンスミュージック
ラジオ1 リラックス アンビエントミュージック
ラジオ4 エクストラ ラジオドラマ・教養・子供向け番組
ラジオ5 スポーツエクストラ スポーツ中継
ラジオ6 ミュージック 幅広いジャンルを扱う音楽番組の専門局
アジアン ネットワーク 英国内のアジア人を対象にした局。
ワールド サービス
この他に、ラジオ スコットランド、ラジオ ウェールズ、さらに40の地方局を聞くことができる。し・か・も、多くの番組がかなり高水準なのである。ラジオ番組の水準とは何か?は難しい問題であるが、例えばジョン・ピールという人がいた。海賊ラジオからBBCに採用された人で、様々なバンドのスタジオライブを放送した。CDとして発売されたものもある。マイナーな音楽やまだ無名のバンドの紹介者としてリスナーの嗜好をリードした。彼自身がスターであった。2004年に亡くなった。
私見だが、現在のBBCでスターと言えるのは、ジャイルス・ピーターソンかと思う。レコードレーベルを興し、アシッド・ジャズムーブメントを牽引した。現在はよりレンジを広げ、ワールドミュージックを含んだ選曲を行っている--と思う。もう一人注目すべきは、スチュアート・マコーニーである。"Freak Zone"という番組タイトルの通り、ポスト・パンク期の音楽を中心に、マニアックな選曲が個性的である。ある意味、ジョン・ピールの後継者と捉えられるかもしれない。
この二人の番組は6ミュージックで放送されているが、自分に馴染むのはラジオ3だ。基本的にクラシックの局だが、現代音楽やワールドミュージックをプログラムに取り込み、沈静的でありながらエッジの効いた放送を実現している。また、アンジェラ・ヒューイットのような有名演奏家をプレゼンター(番組司会者)に起用している点も注目される。十分に理解できているとは思わないが、批評性という点でも日本のラジオとは比較にならない価値を持っていると言えるだろう。旧聞に属するが、ラジオ3は2005年にBach Christmasという特集シリーズを行った。なんと、二週間、24時間バッハの音楽しかかけないという過激さであった。クリスマス・オラトリオが最初と最後に据えられ、受難曲、カンタータも徹底的に放送された。バッハ・コレギウム・ジャパン清水靖晃の認知度の高さが印象的だった。

当時私は大学院の一年生。実験生活を始めたところ、山登りから足を洗って2年程度だったはずだが、どうしたわけか南アルプス南部の縦走を挙行した。正直よく覚えていないところも多いのだけれど、とてもドラマチックだったので書いておきたい。
1985年8月12日、重いリュックを背負って仙台の自宅を出たのが夕方、テレビでは日航機が行方不明だといっていた。東北新幹線の東京上野間が開業したのは1991年らしいので、上野から山手線で東京駅に向かったはずだ。そして、後にムーンライトながらになる大垣行き快速に乗った。サラリーマンが「どうも落ちたらしい」と言っていたのを覚えている。私はもちろん半信半疑だった。静岡駅で電車を降り駅のどこかで仮眠をとった。朝が来てキオスクのシャッターが開くと、新聞は特大活字で123便の墜落事故のことを告げていた。私は登山口に向かうバスに乗った。静岡から畑薙第一ダムまでは3時間ほどかかったが、車中は生存者救出の様子を告げるラジオ放送がノンストップで流されていた。123便御巣鷹の尾根に墜落したこの事故は、「520人の死者を出し、日本の民間航空史上最悪の事故であると共に、単独機としては世界最悪の航空事故となっている。」(ウィキペディア
山登りについてはよく覚えていない。テントを持って行ったとは思えないので、山小屋素泊まり自炊スタイルかなと思う。単独山行だったこともあって、何かあったらいけないと考え、ガスコンロのボンベを3本も持って行った(重たかった)。畑薙ダムから大吊橋の間で、なぜか登山サークルの後輩と出会った。一泊目は茶臼小屋だった。以降、聖岳赤石岳、荒川三山と縦走して、椹島に下山したと思う。椹島から送迎バスに乗ったはずだが、何も覚えていないし、今回行ってみて何も喚起されない。ちょっと不思議である。記憶に残っているのは毎日見えていた富士山だ。お釈迦さまの手の上で踊る孫悟空のような気がした。ということは天気には恵まれたらしい。
もう南アルプスの稜線に立つことはあるまいと思っていた。高校一年の私は体力のある方ではなかった。夏合宿でバテてつらかった記憶が刷り込まれているのだろう。一日続くアプローチがこなせるとは思えなかった。東北の山を基準に考えると、山登りは幕営や山小屋に泊まるとしても自炊が当然だった。だが、近年はガイド・ツアーという便利なものがある。これなら行けるかも。M社のツアーに申し込んでみた。事務局様から参加をお断りする丁寧なメールをいただいた。いやいや縦走もしたことあるし→それは一体いつのことですか?→39年前ですけど→最近はどこを登ってるんですか?→筑波山です、でも南アでどのくらいの体力が必要か体感してますし、それに合わせてトレーニングしますから→まあしょうがないですね、といったやりとりがあり(潤色はあります)、5月〜7月とランニングと山歩きによる鍛錬を経て、椹島の再訪に至ったわけだ。
赤石小屋に二泊、中日に山頂往復という山行は天気もよく最高のコンディションだった。山小屋には我々も含めて3組のガイド・ツアーがいたようで、このシステムの定着を感じた。体力のなかった私が多少とも成長したのは歩き方の工夫を通じてであった。今回は食事付き小屋泊まりであり、荷物もそこまでではなかったとはいえ、1日目赤石小屋までの行程はこたえた。でも、一歩一歩を重ねていくうちに、自分の来た道を再確認するような思いを得た。まあまあじゃないのと。グループのお仲間が同年輩だったこともあって、もうしばらくは、70歳くらいまでは楽しい山登りを続けて行きたいと思った。便利なものはある程度使って。

参考

老化とは何か 今堀和友著 岩波新書新赤版297 1993/09/20 - いもづる読書日記

今年のツール・ド・フランスはタデイ・ポガチャルの圧勝で終わった。ポガチャルはジロ・デ・イタリアに次ぐグランツール2連勝でした。私はここ10年弱、グランツール開催中はネット(cyclowired 様)でレース結果を追う程度のライトファンです。ウィキペディアが教えてくれる範囲でグランツールについてまとめてみたいと思います。自転車ロードレースはチーム戦です。8人のチーム内にエースがいて、他のメンバー(アシスト)はエースをサポートします。3週間で21ステージを戦うわけですが、総合優勝(マイヨ・ジョーヌ)を狙う、あるいはステージ優勝を狙うなど戦略はチームによって異なりますし、チーム事情は大会中にも変わってきます。ステージはおおよそ平坦、丘陵、山岳の3種類があり、平坦ステージはスプリンターが、丘陵ステージはパンチャー、山岳ステージはクライマーがステージ優勝を狙います。一方、総合優勝は大会を通じて最も早かった選手が勝ち取り、やはり最も価値の高いものです。オールラウンダーと呼ばれます。下記にここ10年のグランツール総合優勝者と所属チームを掲げます。このディケイドの前半はIチームが優勢だったことがわかります。このIチームが最近パッとしないのは何故だろうと思っています。UチームやVチームの好成績はログリッチやポガチャルの力量に負うところが大きいかなと思います。以前のIチームは戦略的に選手補強をし、長期的な視野で活動していたように思うのですが、なぜそれが継続できない(できなかった)のでしょう?

ジロ・デ・イタリア ツール・ド・フランス ブエルタ・ア・エスパーニャ
2015 アルベルト・コンタドール (T) クリス・フルーム (I) ファビオ・アル (A)
2016 ヴィンチェンツォ・ニバリ (A) クリス・フルーム (I) ナイロ・キンタナ (M)
2017 トム・デュムラン (D) クリス・フルーム (I) クリス・フルーム (I)
2018 クリス・フルーム (I) ゲラント・トーマス (I) サイモン・イェーツ (J)
2019 リチャル・カラパス (M) エガン・ベルナル (I) プリモシュ・ログリッチ (V)
2020 テイオ・ゲイガンハート (I) タデイ・ポガチャル (U) プリモシュ・ログリッチ (V)
2021 エガン・ベルナル (I) タデイ・ポガチャル (U) プリモシュ・ログリッチ (V)
2022 ジャイ・ヒンドリー (B) ヨナス・ヴィンゲゴー (V) レムコ・エヴェネプール (S)
2023 プリモシュ・ログリッチ (V) ヨナス・ヴィンゲゴー (V) セップ・クス (V)
2024 タデイ・ポガチャル (U) タデイ・ポガチャル (U) プリモシュ・ログリッチ (V)
A アスタナ
B ボーラ・ハンスグローエ→レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ
D チーム・サンウェブ→チームDSM・フィルメニッヒ・ポストNL
I チーム・スカイ→チーム・イネオス→イネオス・グレナディアス
J ミッチェルトン・スコット→→チーム・ジェイコ・アルウラー
M モビスター
S クイックステップ・アルファビニール→スーダル・クイックステップ
T ティンコフ=サクソ→ティンコフ
U UAE チーム・エミレーツ
V チーム・ユンボ・ヴィスマ→チーム・ヴィスマ・リースアバイク