元伊勢外宮豊受大神社 後編 (original) (raw)
本殿の向かって右には土之宮、向かって左には多賀之宮が鎮座する。
土之宮
多賀之宮
伊勢神宮には正宮と別宮がある。
正宮には祭神を祀り、別宮には正宮に次ぐ神々を祀っている。
伊勢神宮外宮である豊受大神宮には、別宮として土宮、多賀宮、風宮がある。
土宮には大土乃御祖(おおつちのみおや)神を、多賀宮には豊受大御神荒御魂(あらみたま)を、風宮には級長津彦(しなつひこ)命、級長戸辺(しなとべ)命を祀っている。
元伊勢外宮豊受大神社の土之宮、多賀之宮、風之宮は、伊勢神宮外宮の別宮にそれぞれ対応する神様を祀っているのであろう。
境内の西側には、御幸神社がある。
御幸神社と末社
御幸神社
御幸神社は、伊勢神宮にはないお宮である。どのような神様を祀っているのかは分からない。
御幸神社から北に歩くと、月之宮がある。
月之宮
月之宮は、伊勢神宮外宮の月夜見(つきよみ)宮に対応し、月夜見(つくよみ)尊、月夜見尊荒御魂を祀っていることだろう。月の神様である。
本殿の裏には、龍燈の杉、龍登の桧という2本の神木がある。
龍燈の杉(手前)と龍登の桧(奥)
龍燈の杉
龍燈の杉は、黒龍とも呼ばれ、樹齢約1500年の巨木である。
節分の深夜、龍神がこの木に燈火を献ずるという伝説から、この名が付いた。
一方の竜登の桧は、白龍とも呼ばれ、龍神が螺旋を描きながら天に登るかのようにそそり立つ御神木である。
龍登の桧
真柏ならば樹皮がこのような螺旋形になったものをよく見るが、桧で見るのは初めてである。神異があったように感じる。
龍登の桧の東側には、風之宮がある。
日本史上で神風を吹かせてきたという、級長津彦命、級長戸辺命という二柱の風の神様を祀っている。
風之宮
風之宮から南にかけて、末社が数多く並んでいる。
末社には、自然現象に関する神々が祀られているのではないか。
豊受大神社から府道9号線を約300メートル北上すると、左手に集合住宅が見えてくる。
この集合住宅の前に、豊受大神社が鎮座する船岡山が流されないように繋ぎとめるための舟つなぎ石とされる二俣港石がある。
二俣港石
今は石の大半が地中に埋まっているが、3メートルはある柱状節理の自然石で、動かすと祟りがあるという。
なぜこの地が元伊勢とされているのか、詳細は次回の元伊勢内宮皇大神社の回で紹介する。