30世紀。人は「器官なき身体」か「身体なき器官」か (original) (raw)
『ディアスポラ』グレッグ・イーガン著 山岸真訳を読む。物理学書、宗教書(?)と思って読めばいいのかな。と覚悟して読んだら、そうでもなかった。
翻訳がいいのか、歯が立たなくてもへっちゃら!と非-SF者を勇気づけてくれる解説がいいのか。
何せ舞台は30世紀。肉体なんて野蛮なダサイものは脱ぎ捨てて、人間は「ソフトウェア化」しているって、どーよ。霊性、スピリチュアル・ユニティ。ただそんなのはヤだと肉体をまとい生きている人間もいる。身体、鍛えなくていいから楽だとか、そういう短絡志向の人は、パロディやパスティーシュでも書けばいい。
人類が目論む「壮大な宇宙進出計画“ディアスポラ”」とは。
この本に出てくる登場人物の一人、「イノシロウ」って、『ゴジラ』の監督、本多猪四郎へのオマージュなのだろうか。
飛ばし飛ばし読んで無理矢理、読了にこぎつけたが、中でも、このフレーズが気に入った。
「 「きみの旅って?」
「この宇宙には六千の文化があるのよ、パオロ。あたしは《ディアスポラ》船団の残りが 追いついてくるのを待って、特異点のそばで五百年間もぶらぶらする気はないの」」
作者の書いた参考文献によれば「《コニシ》市民の精神構造の大まかな原理は、ダニエル・C. デネットの『解明される意識』とマービン・ミンスキーの『心の社会』にインスパイア」されたそうだ。ミンスキーのこの本は興味をひかれる。