アールグレイ党員のレポート - 6社飲み比べ編 (original) (raw)
おはようございます、茅野です。
もう9月が終わるという事実に戦慄しています。漸く涼しくなって参りましたし、今年の秋は何をして過ごそうか、皆様は決まりましたか?
さて、今回は単発企画記事になります。
先日、読者さんに大変良いお紅茶をいただいたので(ありがとうございます!)、折角ですし、食レポの練習をしてみようかな、と思いまして。文字書きたるもの、様々なジャンルを書けた方が宜しかろうと思いますし。
というわけで、今回は「**アールグレイの6社飲み比べレポート**」になります。
わたしはこれまで食に対する関心があまりなかったので、克服し、深掘りするためにも、「19世紀のレシピを再現する」という企画を何回かやっていました。
↑ フランス、ロシア、デンマークのものなど。約200年前の味、皆様も是非挑戦してみてください!
こちらの企画は楽しくやっていて、また何か新作を書けたらな、と思いますが、「市販のものを味わってレポートする」という経験はなかったので、良い機会ですし、挑戦してみようかと思いまして。
というわけで、今回は案件でもなんでもなく、個人の主観で、色々なメイカーさんのアールグレイを味わい、比較してみました。
わたくし、コーヒーと紅茶を選べたら100%紅茶を選択し、中でもアールグレイを愛飲、ならぬ鯨飲する、アールグレイ党員。食事の後は必ず飲みたいので、少なくとも日に2杯は飲みます。
とはいえ、やはり日常的に鯨飲するとなると、メーカーも同じものに固まって参りますし、遊び心が無くなってくるというもの。
従って、今回は新規開拓し、主に高級路線の茶葉を楽しんでみることにしました。
初回は、6社のアールグレイを飲み比べてみます。
最メジャーのフレイヴァーティー「アールグレイ」は、紅茶を扱う全てのメイカーが扱っていると言えると思います。従って、今回試せなかったものも膨大にあります。
また機会がありましたら加筆したいな、と思っておりますので、気長にお待ちください。
それでは、今回もお付き合いの程、宜しくお願いします!
アールグレイとは
そもそも「アールグレイ」とは何か、という前提から話を始めましょう。
物凄くよく誤解されますが、「アールグレイ」とは、茶葉の種類や、産地の名前ではありません。
「アールグレイ」は、**紅茶に香り付けをしたフレイヴァーティー**の一種です。
アールグレイをアールグレイたらしめる定義は、「ベルガモットの香料を加える」というもの。ベルガモットの香りが加われば、元の紅茶は何だってよいのです。
従って、ダージリンにベルガモットの香りを加えてもアールグレイ、アッサムにベルガモットの香りを加えてもアールグレイ、ということになります。
ちなみに、「ダージリン」や「アッサム」はインドの地名で、こちらはフレイヴァーティーの名前ではなく、産地を指しています。
「ベルガモットとはなんぞや」と申しますと、柑橘類の一種です。
↑ こんな果物。見た目はライムやゆずに近いかも。
柑橘類の中でも、特に香りが華やかで豊かで濃いことで知られ、精油などにして利用されます。ちなみに、実は物凄く苦くて、全然美味しくないらしい。香り特化です。
つまり、紅茶(種類はなんでもいい)に、レモンに似た香りの柑橘類・ベルガモットの香料を入れたものが、「アールグレイ」ということになります。
アールグレイを全く飲んだことないよ~という方は、レモンティーを想像していただくとわかりやすいと思います。レモンを入れなくても、既に茶葉にレモン系の香りがついています。
元から味が付いているので、ミルクやレモンは入れずに、ストレートで飲むのがお勧めです。お砂糖はお好みで。
特に、アールグレイは柑橘系の、レモンやオレンジに似たフレイヴァーなので、ミルクとの相性は極めて悪いと言えます。この飲み方が好きだ! という方は己の道を突き進んで欲しいと思いますが、一般的には合う組み合わせではないと思います。わたしは昨今のアールグレイにミルクを入れたがる風潮には疑問しかないのだが……。
わたしはミルクティーも好きですが、ミルクティーにするなら、アールグレイではなく、ミルクティー向けのブレンドである「イングリッシュ・ブレックファースト」がお勧めです。
「アールグレイ」という少し変わったお名前ですが、これは英語で Earl Grey と綴り、「グレイ伯爵」という人物名を指すと考えられています。
グレイ伯爵は、19世紀のイギリス貴族・政治家で、首相を務めたこともある人物です。
↑ チャールズ・グレイ伯爵(1764-1845)。
命名の由来は諸説あり、「彼がベルガモットで風味付けした紅茶が好きだったから」という説が最も流布していますが、これは信憑性が低いと言えます。多くのサイトがテキトーなことを抜かしている……。
さあ、考証をしましょう。
少なくとも1824年頃から、ベルガモットで風味付けした紅茶自体は存在していたものの、これは主に、粗悪な紅茶の質の悪さを隠すために、香りで誤魔化していたもののようです。
初めて高級な紅茶の名前で「グレイ」という名が用いられたのは、グレイ伯爵が亡くなって20年以上後の1867年1月12日のイギリスの新聞広告欄で、 "the Celebrated Grey Mixture" という表記を見ることができます。しかし、これが前述のグレイ伯爵と関係があるものなのか、またベルガモットで香り付けをした現代と同じ「アールグレイ」であったかどうかは全く不明です。
これ以後、「グレイ」や「アールグレイ」という名の紅茶がしばしば登場するものの、それがどのようなものであったかは謎に包まれています。
結局、我々のよく知る「アールグレイ」が定着したのは、1920年代であると考えられています。この頃になると、漸く、「ベルガモットで香り付けした高級感あるフレイヴァーティーの名前」として知られるようになるようです。
「近代レシピ考証」シリーズでも痛感しましたが、料理史に於いて、正確な起源を割り出すことは非常に難しく、探り当てられるケースは極めて稀です。アールグレイに関しても、正確なルーツを割り出すのは不可能に近いと言えそうです。
アールグレイの概要を理解したところで、前置きはこれくらいにして、実際に飲み比べてみましょう。
アールグレイマップ
[Hampstead Tea] Earl Grey
トップバッターは、わたしが飾らない日常使いとして鯨飲しているこちら。
公式の説明によると……。
Think of this as an Indian-Italian love affair. First, we pick elegant Darjeeling leaves, before dousing them in bergamot oil from the iconic Reggio Calabria to create a fresh and lively tea that tastes gloriously aromatic.
Pour some freshly boiled water over a bag and infuse for three minutes – more if you like it strong.
この紅茶をインドとイタリアの恋愛だと考えてみてください。まず、エレガントなダージリンの茶葉を摘み、レッジョ・カラブリアを象徴するベルガモット・オイルを垂らし、フレッシュで生き生きとした、ゴージャスでアロマティックな紅茶を作り上げます。
沸騰したてのお湯にティーバッグを浸し、3分間抽出させます。強い味わいがお好みの方は、もう少し長く浸けてください。
ちょっと何言ってるかわからないけど、味は確かです。
100%オーガニックを謳っていることもあり、たまにちょっと軽くスピっちゃってんのかなみたいな謎文章がある。
構成はダージリンと、ベルガモットオイルのみでシンプルです。100%オーガニックが売りのようなので。わたしはそこはあんまり重視していないのですが、味と淹れやすさとミドル価格帯ということで選んでいます。
余談ですが、オーガニックといえば是非「**オーガニック極右**」を観てください。流石にパワーワードすぎる。
この紅茶の何が良いと言って、どんなに放置しても渋くなりすぎないこと! 安価〜ミドル価格帯のティーバッグは、妙に濃い味のものが多いですが、こちらは数少ない例外です。
日常的に紅茶を飲んでいると、うっかりティーバッグを長時間放置してしまって台無しになってしまった……なんてこともあるはず。
この Hampstead Tea は、そんな場合であっても、良い意味で濃くなりすぎません。10分も放置したら無論冷めてはしまいますが、問題なく飲むことができます。
わたしはミルクティー用に同メーカーのアッサムも常備しているのですが、アッサムは放置するとえげつなく濃くなりますので、これは Hampstead Tea の特徴というわけではなく、あくまで「Hampstead Tea のアールグレイ」のみの現象のようです。
良い意味で濃くなりすぎないことからもわかるように、色も味も香りも、他メーカーと比べると比較的穏やかです。従って、お砂糖やレモンなどを入れずにストレートで飲むのがお勧め。
鯨飲しても喉が全くイガイガしないことも日常使いしている要因の一つです。
また、ちょっと前にパッケージが一新されたのですが、その際に、味が変わったという声もチラホラ。
わたしは利き紅茶ができるようなプロフェッショナル舌を持っていないのでなんとも言えませんが、確かに香りは更に穏やかになったような気もします。慣れもあってか、最初に飲んだときのような感動は確かにないかも。
個人的には、旧版の方がスタイリッシュでパッケージも好きでした。
ズボラなアールグレイ党員の日常を彩る名品です。
[Fortnum & Mason] Earl Grey Classic
グレードを上げて、次にご紹介するのは英国王室御用達のブランドから。
↑ 文字が出ないんだけども。
公式の説明によると……。
1830年代に当時の英国首相であったグレイ伯爵によって、この大人気の紅茶に名前が付けられました。アールグレイがティータイムデビューをしてから約 90 年後に、紅茶の専門家によって、フォートナム・アンド・メイソンのアールグレイクラシックが生まれました。 柑橘系の香りをふんだんにお楽しみいただける爽やかな紅茶です。
原産国:英国、 原材料:紅茶(中国産、スリランカ(セイロン)産) / 香料
とのこと。だから由来はさあ……。今回の企画で初めて購入しました。
こちらのアールグレイの特徴は、淹れた瞬間、ジャスミン茶のようなフローラルな香りがすることです。他社製と比べて、「柑橘です!」というより、「花です!」という主張があります。とても幸せになれる香りです。
今回ご紹介する中では、一番色や味が出やすいのも特徴です。濃くなりすぎないタイミングで茶葉を引き上げるのが肝要。濃い味がお好きな方に特にお勧めな茶葉ですね。
時間が経っても紅茶もベルガモットも主張してくれるので、アイスティーを淹れるのにも適しているかも?
流石紅茶の国英国の王室御用達、今回の比較の中でもわたしは結構好きかも。
今回の企画はアールグレイ縛りだったのでこちらを購入しましたが、 Fortnum & Mason さんには、なんとオレンジの花の香りを加えたブレンドティーがあるそうで……。そんなことある?
わたくし、オレンジの花とは色々ご縁がありますもので、次は是非こちらを試してみたいなと思います!
[Leafull] Earl Grey Classic
お次は、銀座に店舗を構えるダージリン専門店から。ダージリン専門店でわざわざアールグレイを買うっていうのもどうなんだ、という気がしつつ。
公式の説明によると……。
アールグレイティーは、原茶にベルガモットの精油(南イタリア・シシリー島原産の柑橘系の表皮から抽出した香油)を着香したもので、王侯貴族のアフターヌーンティーとして優雅でエキゾチックな香気がもてはやされました。中国茶に着香したものが主ですが、オーガニックガーデンとして認定されたダージリンをベースにした大変贅沢なお茶です。ダージリンの持つ豊かな味わいがベルガモットの香りにマッチした逸品です。
とのこと。どこの、いつの王侯貴族なんだろう。
お店でサンプルの茶葉の匂いを嗅いだとき、仰け反るくらい紅茶もベルガモットも匂いが強く、今回ご紹介している中でも一番アロマティックでした。
しかし、淹れると特にベルガモットはかなり香りが飛んでしまう印象です。煮出す前の茶葉の方が匂いが良い……。サシェとかにしておきたいくらい。
また、他のものに比べて、抽出時間が長いのも特徴で、こちらは5分以上となっています。実際に、最初全然色づかなくて驚くのですが、10分程度経つとかなり濃くなります。
ベルガモットの香りは飛んでしまうものの、ダージリン専門店のダージリン使用というだけあり、芯のあるダージリンの風味を味わえるので、甘めのお茶請けと一緒だとよいかも。
↑ というわけで、雨天の日曜日の午後、優雅にシンプルなスコーンを焼いてみました。ポット内の紅茶はまだ5分経っていない段階なので、色薄め。
[MARIAGE FRÈRES] Earl Grey French Blue
イギリス系が多い紅茶ブランドの中で、今度はフランスから。マリアージュ・フレールです。
この店名を初めて知ったときは、mariage というのが日本語圏でもよく知られるフランス語の一般名詞であるだけに、「Mariage Frères てどういうこと?(※mariage de frère で「兄弟の結婚」)」とか思っていましたが、創業者が「マリアージュさん」という苗字のご兄弟らしいです。「結婚さん」!! おめでたい苗字だ。
今回は、銀座のサロン・ド・テに伺ってみました。高級感があって憧れの店舗ですよね。
メニューというよりカタログのような、長大な紅茶のリストを渡され、アールグレイだけでも10種類くらいあります。
店員さんに「アールグレイの中から、『これぞ Mariage Frères!』というものを!」とお願いしたら、やはりフランスものが良かろうということで、今回は「フレンチブルー」をいただきました。
公式の説明によりますと……。
上質で貴重なベルガモットのフルーティーな柑橘の香りとブルーエ(矢車菊)のやわらかい花の香りが織りなす優雅で繊細な香り。
まろやかでバランスのとれた一杯は、味覚に豊かな味わいを刻む。壮麗な風格を漂わすお茶。
とのこと。
……とのことですが、菊という花には香りがないので、効能で入れている、と考えたほうが良いと思います。
↑ って『菊の文化誌』に書いてあった。
香りがないとはいえど、飲んでみると、どことなく薬草的な変わった風味がします。なんか身体によさそう……と思ったら、矢車菊は実際に効能目的でハーブティーにも入れられることが多いのだとか。道理で。
矢車菊の味は濃いというほどではないので、紅茶の味もベルガモットの風味もしっかりあります。しかし、シンプルなアールグレイではなく、「なんか入っているな」という感じはかなりあります。
Fortnum & Mason さんの「アールグレイ・クラシック」がフローラルな風味だとしたら、こちらはより野草的な、ワイルドな味わい。
アールグレイは元々フレイヴァーティーですが、ちょっとハーブティー寄りなものがお好きなら、こういうのが合うかも?
折角多くの種類のアールグレイがあるので、今度は別のフレイヴァーも試してみたいところです!
↑ サロン・ド・テにて。ティーカップなど、全てにロゴが入っています。
見てください、この「1854」という数字! 創業年ですが、我らが殿下は11歳ですよ。まだ立太子前の少年で、ワガママ王子様をやっていた時代です。近代オタク、「18○○」という四桁の数字、大好きですから、ええ、テンション上がりますよ。
↑ フランボワーズと抹茶のタルト。ツヤッツヤで超美しくないですか?
お茶請けに、フランボワーズのタルトをいただきました! わたくしラズベリーが好きでして、ズラリと並んだケーキ類を見ても即決だったのですが、好みを抜きにしても、予想以上に美味しかった。割とこちらがお紅茶の衝撃越えちゃったかも。
ラズベリーは文字通り粒ぞろいで、肉厚で大きいです。一口で食べるのがちょっと大変なくらい。下部が抹茶のタルト生地になっていて、「抹茶かー。飲み物がお紅茶だし、どうかな?」と思ったのですが、ラズベリーの酸味 × 抹茶の苦み × 紅茶の渋みが程よいバランスで、ベストマッチでした……。ラズベリーと抹茶と紅茶ってこんなに合うのか……、衝撃的だ……。
皆様もサロン・ド・テに行く機会がありましたら、是非とも!
余談ですが、 Mariage Frères さんの紅茶には、とても心惹かれる名前が付けられたブレンドも多いです。中東ものとか、ロシアものとか……。
ロシア系のお名前が付いたものには、柑橘系のフレイヴァーを付与しているものが多いようで、不思議だな~と思い調べてみたところ、ロシア人はレモンティーを好む人が多く、一説にはレモンティーの発祥はロシアである、というところから、柑橘フレイヴァーのものが多いのだと推測されます。今回調べてみるまでわたしも知らなかった。
イギリスではミルクを入れるのが人気で、ロシアではレモンを入れるのが人気、という差異も興味深いですね。
ロシアって、「酸っぱいもの=身体に良い」という大昔からの民間信仰が根強くて、お料理も、魚やキノコの酢漬けとか、スメタナ(サワークリーム)とか、ヨーグルトとか、酸っぱい食べ物が人気なんですよね。その一環かもしれません。
……殿下も、お紅茶にレモンを入れたりしたかしら?
[TWG] Golden Earl Grey
イギリス、フランスときて、次は飛んでシンガポールから! こちらも最高級お紅茶の枠ですね。 TWG で御座います。
公式の説明によると……。
厳選されたベルガモットと貴重な黄金色の新芽が含まれています。太陽の下で乾燥され自然に酸化発酵させたこの新芽により、まろやかで上品な甘みのある味わいと黄金色の美しい色合いが生まれます。
とのこと。茶葉はスリランカと中国から、香料はベルガモットのエッセンシャルオイルだそうです。
名前や説明通り、茶葉に黄金の大きな新芽が含まれています。細長いのですが、ティースプーンをはみ出すくらい大きいです。本当に高級感ある。初めて見た。とても素敵です。でも茶葉をこぼさずに入れるのはちょっとコツがいるかも。
缶を開ける前から紅茶の香りがして、茶葉自体の匂いも強めですが、ケバケバしい類いのものではなく、お上品なのが特徴です。
個人的な感想ですが、「混じりっけなしの "質" 」で勝負するなら、こちらが優勝だと思います。
匂いが鼻から抜けるというより、喉を通って体の内側から香るような、唯一無二の香り方をするのが特徴です。これがかなりクセになって、飲み終えた数時間後にあの香りが恋しくなって再び飲みたくなる、再帰性があります。中毒?
紅茶とベルガモットのバランスがよくて、どちらが強すぎるということもなく、素晴らしいハーモニーです。淹れ方にもよりますが、そんなにしっかり丁寧にこだわらず淹れても、濃すぎず薄すぎず、良い塩梅です。
特別な混ぜ物もないですし、良い意味で尖ったところが無いんですよね。正に「質・一本勝負」というところ。「シンプルで上質なアールグレイ」を堪能できると思います。
Fortnum & Mason との違いとしては、 Fortnum & Mason の方が、ガツンとパンチがある感じがします。TWG の方は、もっとお上品な柔らかさを感じる味わいです。
↑ オフホワイト×ゴールドの缶がとっても可愛い! 紅茶も鮮やかなカラー。鯨飲しすぎてカップに茶渋が付いているのがちょっと恥ずかしいですが(定期的に漂白していますがすぐに復活する悲しみ)。
TWG が掲げているのは、「1837」という数字でね。創業は2008年だそうですが、公式サイト曰く、「商工会議所が設立され、シンガポールが茶葉やスパイスなど美食家に愛される食材・食品の貿易基地となった」のが1837年なんだそうで。
わかりますか、わかりますよね、1837年といえば、我らがロシアの文豪、アレクサンドル・プーシキンが殺された年ですよ! なんという数字でしょう。ますます好きになっちゃうな……(?)。
[A. C. Perch's Tehandel] Queens Blend
最後に、ちょっと変わり種をご紹介します。デンマークの王室御用達、 A. C. Perch's Tehandel というメーカーから。Tehandel はデンマーク語で「紅茶屋さん」という意味です。
今回ご紹介するのは、その名も「女王のブレンド」。今年1月に退位された、デンマーク女王マルグレーテ2世に捧げられたブレンドで、アールグレイをベースにしたものになっています。
公式の説明によると……。
Our Queens Blend is intended for Her Royal Highness Margrethe the 2nd.
This tea is a type of the classic Earl Grey tea. The base of this tea is a Ceylon OP, which makes it slightly stronger than the classic Earl Grey. In addition, Queens Blend is mixed with a bit of green Gunpowder. After this, a soft bergamot aroma is added, which gives the tea subtle fresh notes.Recommended preparation: 100°C water/10 g. per liter water.
Time: 7 minutes.
私たちの「クイーンブレンド」はマルグレーテ2世女王陛下のために作られました。
この紅茶は伝統的なアールグレイの一種です。ベースとなる茶葉はセイロンOPで、この茶葉を使うことで伝統的なアールグレイよりもやや強い味わいになっています。
更に、クイーンズブレンドには少量のグリーンガンパウダーが加えられています。この後、柔らかなベルガモットのアロマが加わり、紅茶にほのかにフレッシュさを演出します。お勧めの温度:100℃。1リットルに対し10g。蒸らし時間は7分。
とのこと。説明が丁寧で有り難いですね。
公式の説明の通り、「強い」です。後味にかなり余韻がある感じ。
物凄くスッキリとしていて、歯磨き不要! ってくらい口の中がサッパリします(※歯磨きはしてください)。しっかり目が覚める感じがするので、デザートのお供というより、朝とか、作業中に飲むのがお勧めかも。
恐らくガンパウダーが結構強くて、柑橘類の酸味ではなく、ミントのような爽快感が強いのが特徴です。ベルガモットはふんわり香る程度。
「強い」ので、ちょっと喉に負担が残る感じがあり、日常的に鯨飲するには向かない気もしますが、シャッキリしたい気分の時には一杯で目覚められる紅茶だと思います!
↑ 臙脂のベースに、金の王冠柄の缶がこれまた可愛いんですよ~。蓋にも葉っぱマークがあってお洒落で! お茶の色はご覧の通り濃いめ。
こちらは、昨年デンマーク遠征に行った時に手に入れました。日本では現在入手困難なようなので、デンマークに行く機会があったら、是非 A. C. Perch's に立ち寄ってみてください。
また、この記事で頻出するこのマグカップも、コペンハーゲンで購入したもの。街並みの柄に、差し色の赤(デンマーク国旗)と屋根の金が綺麗ですよね!
紅茶の企画をやるなら、お洒落なティーセットを使えよ、と突っ込まれそうですが、わたくし普段からマグカップで紅茶を鯨飲する党員なものですから……、またいずれ!
↑ デンマーク旅日記の最終回、お土産紹介のコーナー参照。
以上になります!
素人の食レポの練習記事ですが、参考になれば幸いです。また機会があれば書き足したいな(或いは続き物にするかも……)、と思います。
最後に
通読ありがとうございました。なんと1万字越え。
簡単に食レポの練習をしようと思ったら、結局相変わらず考証もしたくなり、長くなってしまいました。いつもの。
以前も、別の相互さんから TWG のお紅茶をいただいて、そちらはアールグレイではないので今回はご紹介してないんですけれども、TWG ならではの遊び心のあるブレンドで、いつも楽しく飲んでいます。お紅茶、執筆の心強いお供で助かります。
頂き物を早速☕️
缶開けた瞬間から濃密な甘〜い香りが一気に来てびっくり。正体はカカオハスクとのことで納得🍫
香り豊かで美味しいです✌️ pic.twitter.com/3eXS3CowVo— 茅野 (@a_mon_avis84) 2023年8月19日
↑ この時は格好付けてちゃんとしたセットを使っている(笑)。ミルクティーがとても合う甘いブレンドです! アールグレイ党員であることをアピールしまくっていますが、普通にミルクティーも好きです。
余談ですが、外出先でアールグレイが恋しくなった時、チェーン店のカフェで飲むなら、PRONTO のアイスアールグレイがお勧めです。チェーン店の中で一番「柑橘!!!」という主張が強く、特に暑い夏には染みると思います。
柑橘より紅茶感が強いのがお好みなら、ANTICO CAFFÈ のホットもお勧めです。
アールグレイ以外だと、上島珈琲店の和三蜜ミルク紅茶の特にアイスが好きで、チェーン店のカフェのミルクティーではぶっちぎりの優勝だと思います。脳が糖分を欲したときは、ケーキよりもミルクティーをお勧めします。
皆様の紅茶のお勧めがありましたら、是非とも教えてください!
次回は未定ですが、ぼちぼち連載の続きの準備を進めておこうと思います。気長にお待ちくださいませ。
それでは、今回はここでお開きと致します。皆様に良き「紅茶の秋」が訪れますようお祈り申し上げます!