証言 (original) (raw)
証言
ここ数日、松本清張の短編小説を貪るように読んでいる。
今回紹介する<証言>も、その中の一編。
あらすじを簡単に書くと、
・愛人を囲っている男が、ある日、愛人が住むアパートの近くで、自宅近所に住む男性とバッタリ出くわしてしまう。
・近所同士と言っても、男と男性は顔見知り程度の間柄で、その時もお互い会釈のみで、すれ違っただけであった。
・そして、その同じ日に発生した殺人事件で男性が逮捕されてしまう。
・男性は無実を証明すべく、アリバイ証言を男に求めるが、男は愛人の存在の発覚を恐れ、「男性とは会っていない」と嘘の証言をしてしまう。
・しかし、その嘘の証言が最終的に自身の破滅へとつながっていく。
いかんせん、半世紀以上前の作品のため、所々で古めかしい言い回しや、ぎこちない会話があるものの、読み応えは十分である。
他の短編同様、保身のために良かれと思った言動が、結局は墓穴につながってしまうという<松本清張>カラーが色濃く出た作品だと言える。
いずれにしろ、しばらくは、自分の中で<松本清張>の短編ブームが続きそうである。