1632ページ目 東大学費値上げと伊藤不公平さんの言い分 (original) (raw)
問題になっている東大の値上げですがどうあっても東大は値上げを強行するようです。
在校生は現行の学費で法科大学院や大学院博士課程の学費も値上げしないと言っていますが(読売新聞記事「東大が授業料2割値上げへ、全額免除の対象は拡大…他の国立大へ波及の可能性も」ヤフーニュース)学費は2025年度の新入生から64万2960円となります。
日本の大学の頂点に立つ東大が学費を値上げすると他大学にも波及する可能性があり学費が安いから国立大学を目指す学生にとっては非常に厳しいです。
東大は年収600万円の世帯は学費免除、年収900万円以下の世帯も個別の事情に応じて学費を免除すると言っていますが学費免除のための審査だとか個別の事情の説明だとかそれも厄介です。
1円刻みの審査基準で親の昇給や学生本人のバイト収入だとかちょっとでも収入が増えてしまうと免除対象外になり得ますし年収が同じ900万円でも家を購入してローン返済中の世帯とそうでない世帯では支払い能力が異なります。
ここで住宅ローン返済中の世帯の学費を免除すると住宅を購入しなかった世帯が怒り出す、住宅ローンで生活が苦しかったら学費免除になるんだったらウチも住宅をローンで購入して子供を東大に進学させればよかったのにねというお話になります。
学生本人が教育を受けますし学生本人がどれだけ家の購入の意思決定に意思を反映させることができるかどうかも不明です。
親の意思決定によって学生本人が進学で不利益を受けるのは問題です。
その一方で個別の審査で免除を受けられない世帯にとっては不平等極まりない話です。
大学は財政が厳しいと言ってますけどそもそも一般国民の方がずっと厳しい、学費値上げにより家計のプライマリーバランスが大赤字になるので大問題です。
税収がインフレで過去最高になったんですし国立大学の運営費交付金に税収を充当してインフレ対策のため一般国民の学費負担は軽減すべきなのです。
んで三田の伊藤不公平さんがしつこく身勝手な主張を繰り返していますね(中央公論記事「慶應義塾長が語る「国公立大学の学費150万円」の真意」ヤフーニュース)。
大学にはカネがない、国力を高めるための質の高い教育にはカネがかかる、という主張はいつもの通りです。
が、その後がよくない。
「ヨーロッパは教育費を無償化しているが国立大学中心、米国は私立が有名だけど実際には7割が州立大学で公立大学の割合が多く私立大学は3割にすぎない。
しかし日本は国立が16%、公立が4%、私立が8割となっている。
全体の底上げのためには2割しかいない国公立でなく8割の私立を充実させるべきだ」という主張ですね。
一見するとまともな主張をしているように思えますがそもそもなぜ日本は国公立大学の学生が少ないのか。
それは私大に配慮して国公立大学の新設や定員増が不十分だったからです。
私大が公平な競争環境が重要だ、学費が安い国公立大学の定員が増えたら私学がやっていけなくなると陳情を繰り返したせいです。
私大協会が「地域の私立大学を活用せよ 地方国大定員増は一面的な方策」という主張を行い国公立大学の定員増に反対し定員割れのFランク大学を活用しろと言っています。
はぁ?寝言は寝てから言ってくださいね。
なぜ就職実績も研究実績もない地方の私大に行かなければならないんですか?
国公立は定員超過、特に公立はかなり定員超過している事例がある一方で私大は定員割れしている、地方の国立大学の定員を増やしても学生の東京一極集中はそんなに緩和されないし私大は定員割れで困ってるから私大にもっとカネ寄越せだと?
ガバナンスがいい加減なので却下です。
世襲理事長一族を儲けさせたくありません。
民間活力を活用も何も実績を見る限り私大の君らに活力なんてないだろ。
国公立大学が定員超過なのはそもそも国公立大学が欧米と比べて少なすぎるからなのです。
本当は国公立に行きたい、あるいはほとんどの企業の学歴フィルターをクリアできる東京のマーチ以上の有名大学に行きたい、でも学力が足りなかったので仕方なく地元の私大に行きますという層については東京の有名私大の定員増を認めるなり国公立大学を新設するなりすればよいのです。
地方の私大が定員割れしてるからといってニーズがないんですからそれは当たり前の話です。
いらないものはいらないんですよ。
「また、高等教育の修学支援新制度の開始に伴い、私立大学に進学を希望する学生に対して保護者の所得に応じた相当な授業料減免措置と給付型奨学金が創設されており、国公立大学を過度に優遇する必要はなくなっている。」っていう認識自体がもう現実をきちんと見ていないのが伝わってきます。
それらの措置は保護者の所得に応じた救済策自体が家庭の事情や個人情報の都合等々問題が多く救済策としてきちんと機能していなかったり給付型奨学金制度自体が不十分だから貸与型奨学金を利用せざるを得ず卒業後に苦労する学生が山ほどいるんですが。
私大協会の目は節穴ですね。
自分に都合の悪い事実を見なかったことにする人の身勝手な主張は信用できませんね。
運営費交付金が伸び悩んでいるから定員超過や定員増を志向せざるを得ない面があるという話ですがこれはたしか2020年の記事でした。
まあ色々考えることも多かったので当時この記事に目を通すことはできなかったですがもっと早くに見つけていればよかったですね。
値上げに向けた動きが最終段階になった時点で止めるのは相当なエネルギーがないと難しいのですがもっと早い段階で釘をさしておくことが出来たら流れが変わったかもしれません。
まあそれはさておき国公立大学はお金に余裕がない層からのニーズが非常に高く特に公立大学は大人気、定員割れの私大が公立化であっという間に人気校になる現実もあります。
社会のニーズに即した政策を取るんだったら国公立の定員増や手遅れになっていない私大の公立化です。
質も当然大事ですが社会のニーズも踏まえると量的拡大は必須です。
人気も実績もない私大の救済ではありません。
それに米国もヨーロッパも国公立大が充実していますし国際的競争力を高めるというのであれば海外同様に国公立大学の予算を増やし定員も増加させなければなりません。
大学院教育を充実させろ?これだから大学関係者はアホなのです。
あのね、まずは企業に修士や博士の雇用を求めるのが先でしょ。
余ってんじゃん!特に博士は。
現実をちゃんと見てくださいよ!
国公立も私立も含めてその県にある大学全部の定員が実際にその県にある大学生の数より多く県レベルで見たら定員割れしてるって?
そりゃまあ地方だって過疎化してますからね。
けどね本当に魅力的な大学だったら地方であっても人は集まるはず。
立命館アジア太平洋大学はまずまず人気で偏差値もそれなりに高いわな。
他の私大はどうしてるの?
「一部の大学の定員を増やせば、地域における国公私間や私・私間の入学生の奪い合いが更に激化し、小規模校の存続が困難となり、高等教育機会の縮小を招く。」「47都道府県中の23道県において私立大学全体で定員を充足しておらず、未充足校もかなりとなっている。逆に言うと、それぞれの地域において私学には入学生の収容力もかなりあると見られる。地域における高等教育の進学需要には、まず私立大学を活用することが望ましい。」とか言ってますけど別にその県の人だけしかその県の大学に入るわけじゃありませんからね。
収容能力が過大になっている、学生を集められない私大の予算を増やせば人気が上がるとでも?
就職活動だってありますし大学に行くなら全国で通用する国公立大学、せめて就活に便利な首都圏や関西圏名古屋圏の私大という話になるので半分近い県で大学全体の定員割れを起こしてるんでしょうけどそれはもう地元経済、就職の問題も関わってくるので私大をてこ入れすればいいという話ではないんですよ。
どんなに予算を増やしてもダメなものはダメ、定員割れの私大は活用できないのですね。
はっきりいってこの種の私大に対する交付金は予算の無駄遣いです。
国公立大学の定員を増やしたら小規模校が割を食うなんて話もしてますけど小規模校だったら元々そんなに学生を集める必要もないわけで全国からちょっとずつ幅広く学生を集めることが出来れば全然問題ないわけです。
それができないっていうのはつまり大学の自己責任じゃありませんかね。
国公立大学だけど学生の地元率が低いという話も逆に言えば他県から優秀な人材を集めるのに成功しているという話です。
各県の担当者がその県の大学全体の定員割れを気にしているんだったらまだ手遅れになっていない経営状態の私大を公立化して地元の国立大学にない学部を新設するなり既存学部を活用したらいいんじゃないかと。
なお千葉科学大学は多分もう手遅れです。
あそこまで経営が悪化する前に何とかしないといけませんが放置しておくと私大経営者は勝手なことをしでかすリスクもあるので公立大学で他県の若者を呼び寄せたいんだったら早めに手を打つ必要があります。
「地方国立大学の定員のみを増加する方策は一面的であり、地域創生に有効な効果を発揮するとは認められない。」などと私大協会は我田引水の主張を繰り返していますが国立大学だけでなく公立大学も活用しなければならないと言う点で「地方国立大学の定員のみを増加する方策は一面的」です。
地域創生のためには国立大学のみならず公立大学を積極活用し質の低いFランク定員割れ私大にはお引き取り頂きましょう。
ま、「ICTを活用した情報ツールによって、大学教育の多くの部分が、何処でも、何時でも、何回でも、様々な形態で提供することが可能になってきた。学生は自宅にいながら学ぶこともできるし、優れた教員の授業を共有化して、蓄積し、オンデマンドで配信することができる。このことは、一つの大学で専任教員や施設設備をすべて自前で整えるという大学設置基準の考え方の再検討を促し、弾力的な大学運営を将来的に図っていくことが可能となる。大学間の人的、物的な閉鎖性や自立性も低下することになる。」という主張はまあその通りです。
じゃあ私大は放送大学とか三田とか市ヶ谷とかの通信制大学の授業をネット配信してゼミだけやったらいいんじゃないですかね。
少子化なんですし計画的縮小はどの道、不可避です。
コロナ禍は5類に引き下げられましたけど今後も引き続き計画的縮小に取り組んでいきましょうか。
「自大学のみの僅かな定員増による領域拡大は「手前勝手」に過ぎる。」だと?
いやいやそれは私大協会さんのブーメランでしょ。
研究実績も就職実績も残念な私大が何を言ってるんですか
だから寝言は寝てから言ってくださいってば!
アルカディア学報「地域の私立大学を活用せよ 地方国大定員増は一面的な方策」を書いたのは西井泰彦さんという人ですがこの人は東大教育学部を出て日本私学振興財団に入り学校法人京都学園理事長や学校法人就実学園理事長をやったり中央大学の監事をやったりして日本私立大学協会付属の研究機関の主幹をやっていますが経歴を見る限り露骨な利益誘導の臭いがします。
東大を出ても所詮はこの程度なのか…と思わなくもないですがこういう後輩だとか社会全体のことを考えない「手前勝手」な人が出世してしまう世の中だから日本は失われた30年からずっと抜け出せないんでしょうね。
社会からのニーズがない大学は潰してニーズがある大学の予算と定員を拡充するのが本来あるべき姿です。
大学だって競争に勝てなかったら淘汰されるのは一緒です。
国公立大学の足を引っ張る、優秀だけどお金がない世帯の子弟の足を引っ張って自分は生き残ろうったってそうはいきませんよ。
カネがないから国公立へ行ってくれという家庭は山ほどあって私大が公立化した途端に偏差値が跳ね上がりますが明らかに国公立大学が少ない、国民のニーズに合致していない政策が行われている点が問題なのです。
私大の学生が全体の8割になってしまったのは結果的な話、国公立に入れなかったので仕方なく私大に流れている状態なのです。
自民党の裏金文部大臣に利権誘導の陳情を繰り返したようですが冗談じゃありません。
定員割れのFランク大学にいくら税金を投入したところで国力は上がりませんよと。
質の高い論文が以前よりずいぶんと減り経済制裁を受けているイランにすら抜かれるほど日本の大学は劣化していますが(読売新聞記事「日本の注目論文、イランに抜かれ過去最低の13位に転落…1位中国の7%どまり」)Fランクの大学にいくらカネをつぎ込んだって重要度の高い論文がどれだけ増えるかは疑問です。
本来カネをかけるべきところにカネをかけず利権の都合でカネをかけるべきでない大学にカネを無駄遣いしてしまっている現状こそ大問題です。
私利私欲のため国益を犠牲にする、あるいは馬鹿過ぎて国益にならない理不尽な意思決定をしてしまうエリート層がそもそもの原因ですがこれも教育が不味かったからなのか。
全体の底上げも大事ですが日本の失われた30年の失敗はエリート層の劣化にあります。
大発明を実現して核になるイノベーションを起こす人材だとか大局的な経営管理ができる人材が少なくなったので日本企業も世界で存在感を低下させ政界や官界も機能不全を起こしています。
明治維新時も敗戦時も教育費負担を減らしていますがその時に教育を受けた人材がその後の日本の黄金期を実現しています。
本来なら東大に入学できるような人材は学費免除にしたっていいくらいなんですけどね。
マイナンバー制度を利用してプッシュ型の支援をする、勝手に学費免除かどうか、支援額を決めてはどうかと言っていますがこれって個人のプライバシー侵害に該当する可能性もあったりプライバシーだとか個人情報を国に渡したくないという人もいますよね。
伊藤不公平さんはマイナンバー制度による国民のプライバシー侵害を進めたいという意思が露骨に伝わってきます。
おいこらお前、国からいくらもらった?
一般国民の負担を増やすばかりか個人情報まで奪うとかふざけるなよ。
「学生は世帯収入に応じた補助を受けて、個人負担分を賄う。これこそマイナンバー制度の正しい使い方です。国の役目とは、人々の自由を担保しながら脱税のような悪事が生じないようにし、困った人を助けることなのですから。」とか言ってますけど自由を奪ってんじゃねえか!
学費値上げも問題ですけど伊藤不公平さんのようなエリートが個人の自由まで含めて全部管理するとかより一層学費値上げと伊藤不公平さんら三田閥のやり方に反対したくなりました。
いい加減にしろ上級国民め!
9月25日追記
値上げ決定を強行しましたけど(日経記事「東大、脱「補助金頼み」急ぐ」)学費を値上げしたってたかが知れてるんですよね全体から見れば。
運営費交付金を増やさない事には根本的な解決になりませんけどそれでもやる理由は私大の学費を値上げしやすいようにする、私大の割高感を払拭したいという私大の圧力としか思えませんね。
日経記事「全米大学ランキング25年版 トップ3校は変わらず」で米国の高額過ぎる授業料の記事を出して東大の学費値上を正当化してますけど年間1千万円の授業料って1ドル150円程度が前提ですからね。
まあ1ドル100円でも600万円ですので高すぎるんですけど米国は英語が共通語だし世界の覇権国家で現地にはモルガンとかグーグルとか金融やITで世界一の会社もありますからね。
東京にある大学より米国の名門大学の方が多種多様でポテンシャルのある人材が世界中から集まってくるのは当然なのです。
結果として研究のレベルも上がるわけでね。
ていうか米国だけじゃなくて欧州の無料の大学もあるんですがそれはスルーですか。
横の比較だけじゃなくて縦の比較も大事です。
学費が安かった時代の方がむしろ日本の大学はノーベル賞受賞者になるような人材を輩出してた、研究レベルも高かったはずですが。
注目論文だってもっと出してたはずです。
日本が米国の真似をしたって上手くいかないのはわかりきっています。
東大に他の旧帝大だとか地方国立大が追随したら学生が進学を諦めざるを得なくなるばかりか(特に親が住宅やクルマにカネを使ってしまったけどそれなりに収入があるので学費が減免にならない世帯の子弟)優秀な学生が学業を諦めて進次郎が言う旅館とかで働くことを余儀なくされるケースも出てきます。
別にブルーカラーが悪いなんてことはないし観光業のおもてなしだとか伝統工芸の継承も大事です。
ただねちゃんと勉強すればノーベル賞級の研究論文を出せる人材が学問の道に来ず結果として日本は大魚を逃がすことになりかねないんですよ。
今だったらブルーカラーの方がむしろ人手不足ですのでFランに行くぐらいだったら高卒で現業職員になった方がはるかに安定した暮らしができる可能性もありますけど大局的に見ればどっちの方がより大きな国益になるかは一目瞭然です。
それに値上げしたって私大のクオリティを見れば研究開発力だってたいしたことはできていない、早慶も学費は高いですけど自然科学分野でノーベル賞は出してませんよね。
少なくとも米国と異なり日本の大学における学費と大学のクオリティは比例しない、むしろ学費を下げた方が防衛大学とか防衛医科大学みたいに優秀な人材が応募して難関になるわけです。
学費の値上げはどう考えても悪手でしかないのですがまずは小泉構造改革で大学の予算を削ったことと日本の大学が注目される論文を出せなくなった件についてしっかり検証しなければならないなと思います。