発電方法別の発電量当たり死者数の比較 (original) (raw)

発電方法別の発電量当たり死者数の比較

まとめるほどの量じゃないけど、備忘録として。 起因する死者の数だけで安全性や妥当性を評価できるわけではありませんが、エネルギー論を考える際にはこうしたデータも知っておいた方がいいでしょう。多くの人の直感とはかなり違うのではないでしょうか。 なお、日本にとって電力に関する最大のリスクは「供給不足」です。

エネルギー flyingzebra

図だと見にくいので以下に再掲
エネルギー源 発電量TWh当たりの死者数(括弧内はエネルギーシェア)
石炭(世界平均) 161(一次エネルギーの26%、電力の50%)
石炭(中国) 278
石炭(アメリカ) 15
石油 36(一次エネルギーの36%)
天然ガス 4(一次エネルギーの21%)
バイオ燃料・バイオマス 12
泥炭 12
太陽光(屋根上) 0.44(一次エネルギーの0.1%未満)
風力 0.15(一次エネルギーの1%未満)
水力(ヨーロッパ) 0.10(一次エネルギーの2.2%)
水力(板橋事故込) 1.4
原子力 0.04(一次エネルギーの5.9%)

Flying Zebra @f_zebra

水力のBanqiaoというのは中国の板橋ダム決壊事故のこと。この事故の死者をカウントすると、水力の死者率は0.1人/THhから1.4に跳ね上がる。太陽光が意外に死者が多いのは、多くが屋根上の小型のもので、出力が小さいためメンテナンス時の転落事故のような少数の事故死が大きく効くため

せっかくなので、「以前に紹介した」際のツイートと関連する会話を参考までに収録。buveryさんと対話したのはこれが最初だったかも。

リンク www.nextbigfuture.com Deaths per TWH by energy source Comparing deaths/TWh for all energy sources I wrote this back in 2008 and with one new death that is somewhat nuclear energy relate...

Flying Zebra @f_zebra

詳しくはリンク先を見て頂くとして、(死者数/TWh)を上位から並べてみます。石炭(161)、石油(36)、バイオマス(12)、泥炭(12)、天然ガス(4)、太陽光(0.44)、風力(0.15)、水力(0.10)、原子力(0.04)となります。

Flying Zebra @f_zebra

石炭の死者が多いのは大気汚染が大きな原因で、特に中国が酷く、中国だけだと278人/TWhです。逆にアメリカだけなら15人と、石油の半分以下です。日本のデータはありませんが、排出基準が厳しいので更に少ないと思われます。

Flying Zebra @f_zebra

太陽光は小規模な屋根上タイプがメインで、メンテナンス時の転落事故が多いとのことです。メンテナンスフリーのタイプが普及すれば「安全性」が高まるだろうとコメントされています。

Flying Zebra @f_zebra

水力はかなり「安全」と言えそうですが、このデータは中国の板橋ダム決壊事故(17,000人死亡)の死者数を含めていません。これを含めると1.4人/TWhとなりますが、それでも天然ガスの1/3程度です。

Flying Zebra @f_zebra

原子力が非常に少ないのは、発電量が大きい割に死者がほぼチェルノブイリ事故に限られるためです。チェルノブイリ事故の死者数は諸説ありますが、ここでは国連最終レポートの4000人という数字を採用しているようです。

Flying Zebra @f_zebra

死者の数だけで安全性が評価できるわけではありませんが、人の健康に与える影響を定量的に比較するには他になかなか使える指標がありません。毒物の有害性評価などでも、半数致死率などで評価されています。

Flying Zebra @f_zebra

ここで言いたいのは、原子力は安全だからどんどん推進しようということではありません。先に断った通り、このデータだけで判断するのは危険です。更に、エネルギー源の選択には供給リスク、言い換えれば調達性も考慮する必要があります。

Flying Zebra @f_zebra

ちなみに、調達性の大きな要因となるコストについては政府や電力会社の試算はあまり当てになりません。市場動向や国際情勢で価格が大きく変動するのは化石燃料も同じですが、原子力に関するコストは政治的な要素が大きく、今後の政治判断次第でどうにでも変わり得ます。

Flying Zebra @f_zebra

特に中間貯蔵、最終処分などのいわゆるバックエンド費用については、未だ具体的な計画が一つも無いにも関わらず非常に楽観的なシナリオに基づいてコストを算出しています。今後しばらくは天然ガスの供給過多が続くこともあり、原子力のコスト競争力はそれほど高くないと思います。

buvery @buvery

このリスクを死者で評価するのは止めた方がよいですね。原発事故は死者数は少ない。それは、初期のプルームが来ても逃げたり、屋内退避できるからです。ただし、社会的な損失は巨大なので、例えば経済損失で評価した方が良い。RT @f_zebra: (死者数/TWh)原子力(0.04)

Flying Zebra @f_zebra

指標の一つでしかありませんが、一定の参考にはなるでしょう。経済損失での評価も一つの方法ですが、人の命の「単価」に大きく左右されるため悩ましいところです。RT@buvery このリスクを死者で評価するのは止めた方がよいですね。原発事故は死者数は少ない。それは、初期のプルームが来ても

Flying Zebra @f_zebra

現状復帰が不可能な場合の経済損失も評価が難しいところです。除染不可能な山林、海洋、原油流出事故で破壊された生態系や海洋環境の「経済損失」を評価する手法はあるのでしょうか。RT@buveryこのリスクを死者で評価するのは止めた方がよいですね。原発事故は死者数は少ない。

buvery @buvery

ううっ。これもごもっともですね。ただ、現実に社会生活に巨大な制約が出ているので。その分だけでも評価できないかと思いました。RT @f_zebra: 現状復帰が不可能な場合の経済損失も評価が難しいところです。除染不可能な山林、海洋、…「経済損失」を評価する手法はあるのでしょうか。