西鉄沿線からの島原観光に便利なきっぷとは【雲仙・有明スローラインきっぷの旅①】 (original) (raw)
福岡から長崎へ行くには「リレーかもめ」号と西九州新幹線の「かもめ」号を乗り継ぐのが一般的ですが、有明海を越えていく経路もあります。それを可能にするのが「スローラインきっぷ」です。今回は西鉄大牟田線→JR鹿児島本線→有明フェリー→島原鉄道という経路で移動しました。
(2024年3月まで運転されていた平日昼間の大牟田駅発福岡天神駅行きの急行)
・雲仙・有明スローラインきっぷとは
島原半島は長崎県東部に位置する半島で、東側は有明海に面しています。島原半島へのアクセスは、諫早駅から出ている島原鉄道によって担われています。諫早駅は長崎県の鉄道の結節点に当たる駅で、西九州新幹線、JR長崎本線、JR大村線、島原鉄道が乗り入れています。西九州新幹線は全ての列車が諫早駅に停車します。
また、島原半島と福岡県・熊本県を結ぶ公共交通として、3つのフェリー航路があります。具体的には熊本県長洲町の長洲港と長崎県雲仙市の多比良港を結ぶ有明フェリー、熊本港と島原港を結ぶ九商フェリー、福岡県大牟田市の三池港と島原港を結ぶやまさ海運三池島原ラインです。
島原鉄道と有明フェリー、九商フェリー、やまさ海運は、2022年9月の西九州新幹線開業に合わせて、西九州新幹線と九州新幹線沿線をつなぐ広域周遊ルート形成を目指し、お得な片道乗車券「雲仙・有明スローラインきっぷ」を発売しました。
(スローラインきっぷの経路はこんな感じ)
雲仙・有明スローラインきっぷにはA-Cの3種類あり、島原鉄道の諫早駅⇆多比良駅、有明フェリーの多比良港⇆長洲港がセットになったのが「雲仙・有明スローラインきっぷA」、島原鉄道・島鉄バスの諫早駅⇆島原港駅、九商フェリーの島原港⇆熊本港がセットになったのが「雲仙・有明スローラインきっぷB」、島原鉄道・島鉄バスの諫早駅⇆島原港駅、やまさ海運の島原港⇆三池港がセットになったのが「雲仙・有明スローラインきっぷC」です。
(黄色が印象的な島原鉄道)
有効期間は2日間で同一進行方向に向かってに限り自由に途中下車が可能です。フリー切符ではなく片道切符なので、一度通った経路を戻ることはできない点がポイントです。福岡や熊本といった都市圏を起点に、有明海沿岸を周遊するような旅行を想定しているのでしょうね。
(今回は「スローラインきっぷA」を利用しました)
今回は3種類の切符のうち「雲仙・有明スローラインきっぷA」を使って、福岡から長崎空港に向かった様子を記事にまとめました。
最寄駅から西鉄電車に乗って、二日市駅で特急列車に乗り換えです。西鉄大牟田線には普通、急行、特急の3種類の種別がありますが、特急列車は30分に1本の運転で、天神、久留米、大牟田といった都市間輸送を担当します。
(まずは普通電車で最寄駅から二日市駅へ)
平日朝の下り列車とはいえ、二日市駅から乗った特急列車には座席が埋まるぐらいの乗客が乗っていました。ちょうど先頭車両のドア横が空いていたので、ここから前面展望を楽しむことにします。二日市駅を出ると、次の停車駅は久留米駅です。久留米駅付近は高架化されており、久留米駅と次の花畑駅付近は都会的な雰囲気ですが、その次の試験場前駅(現 聖マリア病院前駅)を出ると、単線区間に入ります。
急行列車の多くは福岡天神駅―花畑駅間の運転で、大牟田駅方は普通列車と特急列車の2種別が中心のダイヤ編成です。また、普通列車も久留米駅付近で系統分離されており、大牟田駅から出る普通列車は宮の陣駅から甘木線に入り、甘木駅に直通することが多いです。つまり普通列車は、福岡天神駅―久留米駅・花畑駅等の系統大牟田駅―天木駅の系統に分かれています。大牟田駅付近から天神に出る人は特急列車を利用するので、合理的と言えば合理的ですね。
単線区間に入っても、特急列車の俊足ぶりは変わりません。特急列車優先でダイヤが組まれているので、普通列車を脇で待たせて、どんどん途中駅を飛ばしていきます。また、対向列車と行き違うところから優先的に複線化されているので、特急列車が対向列車を待つこともあまりありません。あっという間に大善寺駅に到着しました。この駅でも、普通列車を1本追い抜きます。
大善寺駅から先はしばらく複線区間です。複線区間の間に、対向の急行列車とすれ違いました。西鉄大牟田線は2024年3月のダイヤ改正で平日昼間の特急列車の運転を再開しましたが、コロナ禍以降2は平日昼間の特急列車の運転を取りやめ、福岡天神駅―大牟田駅間を直通する急行列車を替わりに運転していました。この時すれ違った急行列車は、コロナ禍の名残を感じさせる列車だったようです。
(複線区間で急行列車とすれ違い)
しばらく複線区間を走ってきましたが、蓮池駅を通過したところで再び単線区間に入ります。複線から単線になるときには、ポイント通過のために特急列車でもいったん減速するのでわかりやすいです。単線区間を少し走ると柳川駅に到着します。
(柳川駅に到着)
西鉄大牟田線は全区間でJR鹿児島本線と並走しますが、鹿児島本線は柳川周辺を経由しません。したがって、柳川周辺の鉄道需要は西鉄大牟田線が独占しています。かつては、JR鹿児島本線の瀬高駅と長崎本線の佐賀駅を連絡する国鉄佐賀線というものがあり、これが柳川周辺を経由していました。
(信号場で対向列車と行き違い)
柳川駅でも普通列車を1本追い抜きました。西鉄大牟田線では特急列車の各停車駅で普通列車と連絡することで、特急列車通過駅の利用者にも便利なように配慮されているようです。柳川駅から先も、単線区間を走ります。途中、信号場にて対向の普通列車を待たせていました。通常、日本の鉄道は左側通行ですが、この信号場では対向列車の右側を走り抜けていきました。通過列車が速度制限を受けないように、一線スルー化されているようです。
開駅の手前で再び複線区間に入り、ここからは終点の大牟田駅までずっと複線を走ります。大牟田駅には10時ごろの到着、西鉄大牟田線の特急列車は福岡天神駅―大牟田駅間を約1時間、二日市駅からは約45分で大牟田駅に到着です。
(大牟田駅に到着)