本郷台で猛暑を忘れる。 (original) (raw)

13日朝、神奈川県の発掘調査発表会に出かけた。

本郷台駅で降りるのは久しぶりだった。
(駅前では、自転車に乗った若いお父さんと小さな男が街路樹の蝉を見上げている。気配を察したのか、蝉は幹から飛び立ち、離れた樹に移っていった。)

会場が開くまで、館内に置かれている本を眺めて過ごす。
(大きな本の中には、”赤毛のアン”とプリンスエドワード島の世界が広がっていた。いっとき心が大西洋沿岸まで羽ばたいた。)

出土品の展示会を見学して報告発表会を聴く。

県内遺跡から出土したさまざまな時代の選りすぐりの資料、ドローンで撮影したという迫力ある現場写真、調査担当者による報告…ご苦労の多い調査のエッセンスを吸収し、古代の時間を旅した。

涼しかった会場の建物から外に出たとたん、地面からの熱気と空からの熱気に囲まれる。
”危険な暑さ”と巨大地震を警戒する2024年夏…まだまだ終わりが見えないことばかりだ。

ふと、今日の発表のなかで唯一、現地説明会に参加した及川伊勢宮遺跡から眺めた大山の鮮やかな姿を思い出した。
大山、丹沢、そして相模川…私は古代の人々と風土を共有しているんだなぁ…そんなことを感じた発表会だった。

古墳時代終末期の横穴墓群(中依知遺跡群5区 厚木市

6号墳の外面施設(中依知遺跡群5区 厚木市

(左)6号墳の玄室と(右)7号墳の直刀の出土状態(中依知遺跡群5区 厚木市

中依知遺跡群第3次調査の出土遺物(中依知遺跡群 厚木市):
須恵器甕の大きな破片は内側の”模様”が青海波のように美しい。担当者の方の説明で「当て具」の模様と分かった。「当て具」について調べると、シイタケのような形の木製品で、押し当てる傘部分には年輪が出ている。機能性と装飾性を兼ねたシンプルな道具…素晴らしいな。

中依知遺跡群の解説パネル 上粕屋・石倉中遺跡の解説パネル

近世の大山道の遺構(上粕屋・石倉中遺跡 伊勢原市):
はっきりと硬化面が残っているのが何とも羨ましい…平塚の中里B遺跡でも、こんなふうに明確な道路遺構が出てくると嬉しいのだけれど。

縄文時代後期の土偶の頭部(上粕屋・秋山遺跡 伊勢原市):
縄文時代の言葉で何か歌っているような…?