SUREの本届きました (original) (raw)

先日にこの場で取り上げ編集グループSUREから刊行となる斎藤真理子

さんの「在日コリアン翻訳者の群像」は、10月上旬に刊行とありましたが、

予定よりもすこし早くに出来上がったようで、早くも手にすることができました。

(奥付けは2024年11月15日初版第一刷発行となっています。)

編集グループSUREの本 斎藤真理子 表紙の彫刻は瀧口政満

vzf12576.hatenablog.com 斎藤真理子さんによる朝鮮語出版物の翻訳者のお話です。

戦前でありましたら、日本の統治下にありましたので金素雲さんのような

方がいらしたことは承知しておりますが、戦後は朝鮮半島が二分されまして、

大韓民国のほうは、ずっと民主化されずで軍事政権がずっと続いていたわけ

です。

その時代にも朝鮮語で書かれた詩や散文は、日本でも紹介されていたの

ですが、ほとんど一般の読者には届いておりませんでした。例外的に有名で

あったのは金芝河でありました。それじゃ金芝河の作品はどなたが翻訳して

いたのかというのが、斎藤真理子さんの本につながっていくことです。

(その時代にどなたが翻訳しているかは、ほとんど話題になりませんでした)

1960年代後半のことになりますが、その頃の朝鮮半島に対する認識は、

北の共和国は理想的な国家で、南の国家は軍事傀儡政権というものでした。

北朝鮮に比べて、韓国はすごく腐敗した政権のもので人民が苦しんでいる

という認識で、そこから出てくる文化は、あまり重視されてなかったと思うん

です。しかし、その中からこんな素晴らしい抵抗文学が出てきた、ということ

で、日本の出版社も目をつけて、本がでるようになりました。

そこでも、二人の在日コリアンが仕事をしています。一人は姜舜。この人は

1936年に10代で日本に来た一世ですね。朝鮮にいたころにもう、『詩人部落』

という同人誌に参加していた詩人です。許南麒と同様、一世なので朝鮮語

自由に使いこなし、バイリンガル詩人であり、しかし許南麒とは非常に異なった

道を歩んだ、重要な詩人です。在日コリアンの読者が朝鮮語の詩は読めなく

なった後も、ずっと朝鮮語で詩を書き続けた人です。粘り強い人であったなと

思います。」

この本自体は戦前のことから記されているのですが、つまんで金芝河の翻訳

を担った在日コリアンの詩人のところから引用をしたのです。ここに登場する

姜舜さんであっても、日本統治下、終戦朝鮮戦争、祖国の分裂というような

歴史がありまして、渦中にあった人よりも、斎藤真理子さんのような世代の人

のほうが、ニュートラルに接することができそうであります。

韓国文学の中心にあるもの