【おおブレネリ】童謡 子供の歌って 歌詞の意味が分かるようで分からないです (original) (raw)
< 歌の意味だとか こだわってないでしょ 子供は歌うのが単純に楽しいんじゃないの? >
誰でもかつては子供だったんですけど、まあ、ちっちゃい頃、何を考えて歌っていたかなんて、記憶にないですねえ。
「おおブレネリ」も、みんなで歌ってましたですよ。
こういうヨーロッパ民謡とかって、幼稚園から小学校低学年ぐらいまでの間、みんな、よく歌いますよね。歌うというか歌わされるというか。歌詞の意味とか考えてるやつなんて、居なかったんじゃないでしょうかね。
でも、なんでヨーロッパ民謡を選んで子供たちに歌わせるんでしょうかね。
今でもそうなんですかね?
「おお牧場はみどり」「アルプス一万尺」「森へ行きましょう」とかたくさんありすよね。
「アルプス一万尺」っていうのは、18世紀半ばごろに出来たアメリカの「ヤンキードゥードゥル」の替え歌なんだそうですが、戦後、山登りの歌として歌詞が作られて、
♪アルプス一万尺 小槍の上で アルペン踊りを さあ踊りましょ
ですからね。
山登りが趣味の大人の男女ならいざ知らず、これを子供の歌にしたのは、なんでなんでしょ。誰なんでしょ。
「一万尺」って言われて通じる世代の人ってさあ、この歌を子供たちが歌い始めた時、もうとっくに子供じゃあないよね。「尺」とか言われても、何のことだか分らんですよ。
なので、子供たちはみんな「小槍の上で」じゃなくって「子ヤギの上で」って歌ってました。
はい、間違いないですよ。「子ヤギ」でしたとも。
いじめじゃん。子ヤギに乗っかって踊っちゃ、子ヤギ、可哀想でしょ。
にしても、なんでわざわざ子ヤギの上で踊るの?
変な歌だなあ、っていう感想しかないです。
「アルペン踊り」って、どんな踊り? 誰も知らないです。
ってな歌詞なのに、何故か子供たちに、歌えや踊れ、っていう不思議。
♪らんららら らららら らんららら ららら~
ってことだったんでありますよねえ。
「アルプス一万尺」は、なんか、いろんなパターンの歌詞があって、29番まであるのもあるみたいです。
楽しいかどうかは別にして、完全に大人の歌だと思いますねえ。
♪槍はムコ殿 穂高はヨメご 中でリンキの 焼が岳
って、大喜利かよ!
もう完全に子供の歌じゃないです。
ま、「アルプス一万尺」に比べれば「おおブレネリ」の方が、歌詞の意味は子供でも、何となく理解できるのかもしれません。少なくとも、子ヤギの上で踊ったりするような、チンプンカンプンさは無いですね。
♪おおブレネリ あなたのおうちはどこ
♪わたしのおうちは スイッツァランドよ
♪きれいな湖水の ほとりなのよ
スイッツァランドっていうのが、スイスだってことを知るのはけっこう年齢がいってから、っていう現象は昔から変わらないと思いますが、ブレネリっていうのは、人の名前なんだろうなあ、ぐらいの理解はちっちゃい頃でも出来てますよね。たいていね。
この「おおブレネリ」も戦後、キャンプやハイキングをする時に、ボーイスカウト、ガールスカウトなんかで歌われて流行ったんだそうです。音楽の教科書にも載ってたそうです。
ん~。そうだったですかね?
「おおブレネリ」は、古いスイス民謡に、20世紀の初めごろにスイス軍の中尉が新しい歌詞を付けたもの、なんだそうです。
この歌がスイスからドイツ、ドイツからアメリカ、そしてアメリカから日本と訳詩が伝わっていくうちに、基歌の意味からだんだんに離れて、どうも妙な解釈になっていったという経緯があるみたいですね。
スイス軍の中尉さんが作ったタイトルは「O Meiteli, liebs Meiteli」だそうですから、そのまま日本に入って来たとすれば「おおブレネリ」じゃなくって「おおメイテリ」だったのかもです。
Meiteliっていうのは、娘さん、とか、おじょうちゃんとかいったニュアンス。
スイス語じゃなくってスイスで使われているドイツ語で書かれた歌詞。ってあたりが、さすが地続きのヨーロッパの国々です。言語の感覚が日本とはかなり違うんだろうと思われます。
で、それがアメリカに伝わって、「O Vreneli」って変わって、ガールスカウトの歌に採用されたらしいです。
スイスに多い女性の名前「Vreni(フレニ)」をちゃん付けして「Vreneli(フレニちゃん)」にアレンジしたんでしょうね。
で、それが日本に入って来て「ブレネリ」になったのは「V」で始まるからなんでしょうね。スイス語、ドイツ語の発音を知らなかったってことなんでしょうね。
戦後すぐのことらしいんですが、耳から入って来た歌じゃなくって、目から入って来た歌、ってことになるのかもしれません。
「V」だから「フ」じゃなくって「ブ」
でも「ヴ」じゃなくって「ブ」
日本語のブレネリに「フレニちゃん」「おじょうちゃん」とかいうニュアンスは全くありませんね。
ブレネリって誰? って感じです。
で、そのまま、なんだか広まってしまって、誰でも歌えるような歌になったので、歌詞の解釈として、まあ、ホントいろいろ出てきてしまっている現状みたいです。
ブレネリって名前で呼びかけてるのに、スイス人だってことを知らないのって、オカシクナイ?
名前聞く段階で分かるでしょ。そういう流れの話になるはずでしょ。
っていうのが、歌詞に対する疑問の始まりになって、中には、ブレネリとはスイスのスパイである。なんていう説まであったりします。
ま、アメリカのガールスカウトで歌われていたってことから考えますと、世界のみんなと仲良くしましょうってことで、たぶんスイス人だろうなあっていう見た目の女の子に、ねえねえ、フレニちゃん。あんたどっから来たの? ってぐらいの歌詞なのかもしれません。
名前を知っているわけじゃなくって、呼びかけるための代名詞的な名前。
スイス人っぽいからフレニちゃんって呼びかけてみる。
ある種の決めつけですが、映画なんかでよく出てくる、初対面の呼びかけにありますよね、このパターン。
日本的な習慣のなかでは、まあ、あり得そうにないシチュエーションですけれどね。
21世紀のスイスでは、日本版の「おおブレネリ」は自分の国の歌だとはなかなか認識されないそうです。
伝言ゲームならぬ伝言歌って、やっぱりね、メロディラインも、歌詞の内容も、どんどん変転していくんでしょうね。
今現在でも、日本語歌詞の解釈にはいろいろあります。
あのね、おおブネレリって歌あるでしょ
なんですか?
おおブネレリ
違うよそれ、ブネレリじゃなくって、ブレネリ
ま、そうとも言うよね
違うよそれ、ブレネリだけしか言わない
そんでさ、おうちどこって聞かれてさ、そのブネレリがスイスって答えてると思ってるでしょ、みんな
違うよそれ、ブネレリじゃなくって、ブレネリだし、スイスですって答えてるんだよ
ところが違うんだなあ、これが
……
スイスの湖水のほとりに住んでますって答えてるのって、おうちはどこって聞いてる人なんだよ
……。違うよそれ、おうちはどこって聞かれたブレネリちゃんが、スイスですって答えてるんだよ
分かってないわね。そのブネレリってコがさ、バルバドスって答える前に、質問したオネエチャンの方がさ、あたし、スイスなんだよねえって言っちゃってる。他人の話なんてどうでもよくって、ただ自分がしゃべりたいだけっていう、有りがちパターンなわけよ
いろいろ違うよそれ、だいたい、バルバドスってどこ? それと、おうちはどこって聞いてるのがオネエチャンだって、どこで判断してんの?
バルバドスっていうのはさ、さっき聞いて覚えたから言ってみただけだけど、自分で聞いておいて、相手が答える前にまたしゃべり出すって、ずっと続けるわけよ
そんな、歌、なの?
そ、そういう歌。このオネエチャン、病気なわけよ
病気?
そ、ホトララ病。なんか意味なく歌って踊っちゃう病気
違うよそれ、ホトララ病なんて無いし、そんなこと言ってると誰かに怒られるよ
誰に?
……。たとえばあ、……。スイスの羊飼いのペーター
あ、分かった! 質問してたオネエチャンってハイジだったんだ! ちょっと大人になって
いいかげんにしなさい。
おあとがよろしいようで。アン・ポン・ターン。