【3分対策:三井住友信託銀行】内定に向けた選考対策ポイント【21卒向け】 (original) (raw)

どうも、ある外資マーケ人の告白(@markesaiyo)です。

外資系企業でマーケティングをしながら、時々マーケティング職採用のお仕事をしています。

マーケティングと採用のお仕事どちらもやっていると、マーケティングと就職活動はよく似ていると感じることがあります。

具体的には、相手に自分を魅力的だと認識させ、行動(購買/採用)まで導くという点がよく似ています。

ですから、相手の「買いたい」という気持ちを作るマーケティングの考え方は、「採用したい」という気持ちを作る就職活動にも応用できると私は考えています。

今回は「マーケティングの考え方を活用して就職活動の自己PRを考えたらどうなるか?」という話をしたいと思います。

自己PRの悩みはWHO・WHAT・HOWのフレームワークで解決!

さて、就職活動ではエントリーシートや面接の場で必ず自己PRを求められますよね。新卒採用の場合は、「学生時代に力を入れていたこと」という形で聞かれる場合も多いと思います。

この時、自分の一番分かりやすい長所が伝わるエピソードや、本当に一番頑張ったことを言うことが正解でしょうか?

マーケティングの考え方に沿って言うと、答えは「否」です。

マーケティング目線で考えるなら、「相手が求めている価値を表現できるエピソードを選んで話すべき」なのです。

自己PRで話す題材は伝えるべき自分の価値によって決まるし、伝えるべき自分の価値は相手によって決まります。

ですから、考える順番は「誰に」「何を」「どのように」伝えるか、なのです。

これをマーケティングの考え方として体系化したものがWHO・WHAT・HOWのフレームワークです。

WHO:心を動かしたい相手
WHAT:商品が提供する価値
HOW:価値を伝えるための具体的な手段

例えば、通販番組でフライパンを紹介する時、フライパンの上で目玉焼きがツルツルと滑っている様子を実演しているのを見たことがありませんか。

これをWHO・WHAT・HOWに当てはめると、以下の図のようになります。

お分りいただけましたでしょうか。目玉焼きがツルツル滑ることは、消費者にとっての価値(WHAT)ではなく、価値を最も魅力的かつ的確に伝えるための手段(HOW)なのです。

ではこれを、就職活動に当てはめてみましょう。

「WHO」企業のニーズを読みとる

就職活動の場合、心を動かしたい相手であるWHOは採用活動をしている企業、またはその企業の面接官です。

まず、WHOである企業や面接官がどんな人材を求めているのか考えなければなりません。

企業が求める人材像は、採用サイトや、経営者からのメッセージで発信している場合もありますし、OB・OGや内定者からもアドバイスをもらえると思います。また、ワンキャリアのサイトなどで過去のエントリーシートの設問や、通過者の特徴などを見て、WHOとなる企業がどんな人材を欲しているかを推察するのもいいでしょう。

それらを複合的に考えて、正しくWHOを理解しなければいけません。

企業によって求める人材は異なりますが、多くは以下の要素を求めています。

<企業が人材に求める要素>
・コミュニケーション能力
・主体性
・協調性、柔軟性
・論理性、課題解決力
・リーダーシップ
・ストレス耐性
・チャレンジ精神

出典:日本経済団体連合会「2018 年度 新卒採用に関するアンケート調査結果」より上位項目を抜粋

採用の現場では上記の中のいくつかを「学生に求める要素」として定義し、評価項目にしている企業が多いと思います。例えば、外資系企業のマーケティング職の採用の場合、WHOである採用担当が評価する項目は「リーダーシップ」「論理性」であることが多いです。

就職活動の場合、WHOが企業や面接官であることは明確ですが、WHOが求めている要素を正しく見極めることが、非常に重要です。なぜならここで間違うと、次に考えるWHATもHOWも間違ったものになってしまうからです。

「WHAT」企業に提供できる価値を決める

WHOが決まったら、続いてWHATを考えます。WHATは、自らが提供できる価値のことですが、それは志望する企業が求めている能力でないといけません。

つまり、自分が提供できる価値と、企業が求めている能力の共通点こそがWHATとなるのです。

例えば、自分の強みが「主体性」と「思考力」で、志望している企業の求める人材像が「自ら主体的に行動できる人材」だったとしたら、伝えるべきWHATは「主体性」です。

ここで注意していただきたいのは、WHATとは就職活動の自己PRでよく出てくる「部活」や「バイト」ではないということです。以下に述べますが、それらはWHATを正しく伝えるためのHOWなのです。

「HOW」価値を伝えるためのエピソードを決める

WHATが決まったら、最後にHOW、つまりどのように伝えるのかを考えます。

ここではWHATを最大限伝えられる題材を選びましょう。

仮に伝えたいWHATを「課題解決力」とするなら、あなたの課題解決力の高さがもっと表れている題材を選んで具体的なエピソードを示すことが重要です。例えば、「学生時代に力を入れていたこと」を聞かれた時、本当は一番力を入れていたのが部活だったとしても、バイトの話の方が「課題解決力」を伝えられる場合にはバイトの話をすべき、ということです。

企業はあなたが、部活とバイトのどちらに力を入れていたかを知りたいわけではありません。あなたが、組織の中でどのように自分の価値を発揮してきたかを聞いているのです。

フレームワークの説明は以上です。

実践編:自己PRの具体例

抽象的な話が続きましたので、ここで具体例を見てみましょう。

Aさんは就職活動をする新4年生です。

<Aさんの学生生活>

・一番頑張ったのは家庭教師のバイト。志望校合格率100%
・バイトの合間にフットサルサークルにも参加。前年は新歓の責任者をした

そんなAさんは今、ITベンチャー企業のB社を受けようとしています。B社のエントリーシートには「学生時代に力を入れていたこと」を書く欄があります。Aさんの自己PRをWHO・WHAT・HOWのフレームワークにのっとって考えていきましょう。

まず、WHOであるB社の置かれている状況や、求める人物像について考えてみましょう。

・B社は新事業を生み出すことで成長を続ける企業。プロジェクトリーダー候補を募集している
・採用サイトに書いてある求める人物像は「リーダーシップをもって新たな事業を創造できる人材」で説明会でも社員が同じことを言っていた
・前年にB社に内定したゼミの先輩もリーダーシップが強い

WHOの理解が進んだら、次はWHATを決めます。

上記を考慮すると、B社に対してアピールしていくWHATは、「リーダーシップ」が適切でしょう。

では、このWHATをしっかり伝えるために、何を頑張ったこととして話すべきでしょうか。

もちろん、一番頑張ったバイトの話をすることでWHATを伝えられればいいのですが、家庭教師は生徒と一対一であるという性質上「リーダーシップ」と結びつけづらくないでしょうか。このような場合は、サークルの新歓リーダーのエピソードでWHATを伝える方がベターだと考えられます。

また、チームワークを重視するような業界や職種の場合は、チームや団体でのエピソードの方が、実務で活躍する姿を想像しやすいです。

まとめると、以下のようになります。

「〇〇のエピソードはNGですか?」フレームワークがあれば解決できる

例えば、時々就活生から受ける「ガクチカで勉強の話をするのはNGですか?」という質問もこのフレームワークに当てはめたら、答えが出るはずです。

仮にWHATが「論理性」や「特定分野の専門性の深さ」であれば勉強の話でも伝えられるかもしれませんが、それ以外のWHATなら避けた方がいいでしょう。

繰り返しますが、企業が関心を持っているのは「あなたが何に力を入れていたのか」ではなく、「入社後にあなたが発揮できる価値」なのです。

名作TVCMに学ぶ、心を動かす自己PR

ここまでを実践すれば、きっと相手の心を動かす自己PRを書けるはずです。ですが、もっとエピソードを魅力的に見せたいという人は、以下の3点を意識してみてください。

(1)WHATが十分伝わっているか
(2)他者と差別化できているか
(3)ドラマがあるか

ちなみにこれは良いTVCMの三原則です。

最近でいうと、Amazonの「ミツバチリュック篇」がこの三原則を満たしているTVCMとして挙げられます。

このCMはつかまり立ちができるようになった子どもの両親がAmazonでキーワード検索をし、転倒防止クッション付きのリュックを見つけ、それを背負ったかわいい我が子の姿にほほえむ、という内容です。

「期待を超える商品がすぐに見つかり、すぐに届く」というWHATをしっかり伝えつつ、品ぞろえの豊富さや検索のしやすさなどの競合との差別化ポイントも表現できています。さらにドラマ仕立てにすることで、WHATが価値を発揮する具体的な状況を想像させるとともに、見る人の記憶に残るようにもなっています。

就職活動の自己PRでも、WHATを「主体性」として、

「SNSでスポンサーを募って世界一周した」

という話をする場合、三原則を意識して肉付けするとこのようになります。

「自らSNSで募ったスポンサーのロゴを自分の顔にペイントしながら世界を旅して回っていたら、インドの巨大ベンチャー企業の社長の目にとまり、商談の末、広告枠が超高額で売れ、最後はファーストクラスで日本に帰ってきた」

WHATも伝わり、他の学生との差別化もでき、ドラマチックで印象にも残りませんか?

もちろんこれほど稀有(けう)な経験をしていない方がほとんどだとは思いますが、三原則を意識するだけで、ぐっと魅力的なエピソードになるという例です。

以上、参考になりましたでしょうか。

マーケティングとは、消費者の頭の中にあるイメージをコントロールして、自社の商品が選ばれざるを得ない「必然」を作り出すことです。

マーケティングの考え方は、きっと就職活動にも役に立つと思います。自己PRにつまずいた時は、ぜひマーケティングの考え方を参考にし、「あなたが企業に選ばれる必然」を作ってみてください。

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【ES・面接対策】受かる自己PR例文集とNG例!作成方法から評価ポイントまで徹底解説!

▼シリーズ:ある外資マーケ人の告白
【第一回】もしもマーケターが学園祭の模擬店を出したら:現役外資マーケターが語る、マーケティングの5つのお仕事 【第二回】「広告」を作っているのは誰?現役外資マーケターが語る、一つの広告が世に出るまで
【第三回】そのエピソードで大丈夫?外資マーケターが教える自己PRの書き方

※こちらは2019年4月に公開された記事の再掲です。