福島の桜・名所ガイド【実体験に基づいて,数十ヶ所の桜を紹介】 (original) (raw)

七草木の天神桜

フルーツ王国であり温泉王国である福島県は,桜王国でもあります。

県内に見事な桜が点在しており,それらを巡る旅はとても楽しいものです。

この記事では福島県内の桜の見どころを,私自身が見てきた体験に基づいてまとめました(記載しているのは,これまで実際に行ったところです)。

桜のある市町村ごとにまとめ,推定されている樹齢とカーナビに入力するための「桜の住所」を書きました。また「福島県桜番付(2024年版)」における番付も記しています。

開花時期は年によって前後しますが,私が撮影した年・日を書いたので,参考にはなるかな?

桜めぐりの一助になれば幸いです。

紹介する桜の場所を地図で

はじめに,この記事で紹介する桜を地図で示します。桜のある町ごとに,アイコンの色を変えています。

樹のアイコンをクリックすると,その桜の名前が表示されます。桜めぐりを計画するために役立つかな?

福島市の桜

福島桜めぐりは県都福島市から (^◡^)。慈徳寺の種蒔桜,芳水の桜などの銘木があります。

また福島の春といえば,花見山公園を語らないわけにはいきません。桜,桃,レンギョウなど色とりどりの花が咲き乱れる様は,まさに桃源郷です。

慈徳寺の種蒔桜

福島市の郊外,あづま総合運動公園の近くにある慈徳寺。この寺の境内にある枝垂れ桜が見事です。この辺りでは,この桜の開花を農作業開始の目安にしていたようです。

慈徳寺の種蒔桜

慈徳寺の種蒔桜

お寺は高台にあるので,境内から福島市を一望できるのもまたよし。気持ちいいですよー。

福島市郊外の高台に咲く

福島市郊外の高台に咲く

慈徳寺の種蒔桜

芳水の桜

福島市の南端,松川町に立つしだれ桜です。それほど大きな木ではありませんが,アクセスが良いこともあり,福島市民に愛されています。

芳水の桜

芳水の桜

この桜は農業用水池の辺りにあって,風のない日には池の水面に映る姿が美しいです。

芳水の桜

池の水面に映る芳水の桜

芳水の桜

右輪台山のしだれ桜

松川町水原地区・右輪台山に,しだれ桜の並木道があります。それほど大きな木はありませんが,花色の濃いベニシダレザクラの並木道は風情がありますよ。

右輪台山のしだれ桜

右輪台山のしだれ桜

右輪台山のしだれ桜

大蔵寺の桜

福島市郊外の大蔵寺。桜がキレイです。ご本尊は行基菩薩の作とされる千手観音で,国の重要文化財に指定されています。

大蔵寺の桜

大蔵寺の桜

またお寺の脇に立つしだれ桜は,樹齢300年と推定されています。

大蔵寺の桜

花見山公園

「一本桜」ではありませんが,福島の春といえば,花見山を取り上げないわけにはいきません。ここは春の福島の象徴です。花卉農家の阿部一郎さんが70年かけて作り上げた,「福島の桃源郷」。

花見山公園

花見山公園

春になると,小高い山を包むように,梅,桜,花桃,レンギョウ,サンシュユなどが咲き乱れ,息を呑む美しさになります。

花見山には30分コース,45分コース,そして60分コースが整備され,体力と時間に応じて歩くことができます。他に「花の谷コース」も吾妻連峰の眺めが見事です。

吾妻連峰を望む

吾妻連峰の眺めが見事です

さらに数年前から「生花の里」コースも整備され,花の楽園がよりいっそう楽しめるようになりました。

生花の里

「生花の里」も遊歩道が整備されました

花見山公園

川俣町の桜

シルクの町・川俣。この町には福島を代表する桜の一つ,秋山の駒桜があります。山あいに立つ桜は,一見の価値があります。

秋山の駒桜

川俣町の女神山を背景に立つ,樹齢500年のエドヒガン桜です。空に向かってスッと立つ端正な姿は,貴婦人に例えられます。

秋山の駒桜

秋山の駒桜

この桜は,福島県桜番付で大関に選ばれています。その大きさや樹形の見事さなど,大関にふさわしい一本だと思います。

端正な姿は貴婦人に例えられます

端正な姿は貴婦人に例えられます

駒桜を訪ねたときは雨。霧雨にけぶる桜も雰囲気満点でしたが,晴れの日にも再訪してみたいですね。

秋山の駒桜

二本松市の桜

二本松市といえば,安達太良山と菊人形が思い浮かびますが,実は桜もすごい。市内に見応えのある桜の木が点在しています。

桜の場所は大ざっぱに言って,二本松市中心部と旧東和町,旧岩代町地区に分かれています。

万燈桜

国道4号線の道の駅・安達下り線の敷地内に立つ大きな桜です。

その姿は,国道を走っていてもよく目立ちます(脇見運転しちゃダメだヨ)。

万燈桜

万燈桜

安達太良山を間近に望むよいロケーション。桜見物のついでに,道の駅で美味しいものを食べて一休みできますね。

安達太良山が間近に見えます

安達太良山が間近に見えます

万燈桜

蓮華寺の桜

二本松市の中心部,JR二本松駅の近くに,いくつかのお寺があります。いずれも山の斜面に立っており,その境内でしだれ桜が陽の光を浴びています。

蓮華寺の桜

蓮華寺の桜

その中で,蓮華寺は駅から最も近いお寺。境内にあるしだれ桜は,幹が斜めに伸びながら二股に分かれた,特徴的な姿をしています。

蓮華寺の桜

鏡石寺の桜

JR二本松駅近くにある鏡石寺。その本堂裏にあるしだれ桜は,幹が左右に分かれて伸びており,それぞれの幹に枝垂れた枝を付ける特異な形をしています。

鏡石寺の桜

鏡石寺の桜

非常に個性的な樹姿で(重層樹形というらしい),不思議な魅力のある桜です。

鏡石寺の桜

円東寺の桜

円東寺は807年に開山した,この地方で最も古いお寺です。境内にあるしだれ桜は慶長3年に円東寺が現在の場所に移築される前からあったとされ,樹齢400年。県の「緑の文化財」に指定されています。

円東寺の桜

円東寺の桜

この桜は「正面」から見ると端正な傘のような形ですが,反対から見ると豪放に腕を伸ばした姿。見る方向によって,ずいぶん印象が違っています。

見る方向によって姿が変わります

見る方向によって姿が変わります

円東寺の桜

茶園の桜

二本松市の住宅街に咲く,樹齢800年の大桜です。貫禄たっぷりの見事な姿ですが,住宅地の中にあるため,周りのものを写し込まずに写真を撮るのが難しいかも。

茶園の桜

茶園の桜

なお,あたりは生活道路なので路上駐車は厳禁です。二本松駅周辺の駐車場に車を停めるか電車で来て,歩いて訪問するのがよいでしょう。駅前にも駐車場があります。

樹齢800年

樹齢800年

茶園の桜

本久寺の桜

初代二本松藩主・丹羽光重が入府した年に植えられたとされる桜です。樹齢約400年ということになりますね。

本久寺本堂南側の斜面に立ち,境内を木陰で包んでいます。

本久寺の桜

本久寺の桜

桜はその枝を豪放に延ばしています。

周りは静かな杉林。二本松市の中心部にいることを忘れさせてくれるような,静かな空間です。

豪放に枝を延ばしています

豪放に枝を延ばしています

本久寺の桜

中島の地蔵桜

二本松市の北東部,旧東和町にあるしだれ桜です。地元の協力が進み,ライトアップもされるようになりました。

水の張られた田んぼに映るしだれ桜は,あたかも極楽のような風景です。…極楽に行ったことはありませんが。

中島の地蔵桜

中島の地蔵桜

桜の根元には「延命地蔵」が祀られています。命を繋ぐことが今よりも大変だった時代,人々はお地蔵さんに長命を祈っていたのでしょうか。そして命の象徴が桜だったんでしょうね。

「延命尊」の幟とともに

「延命地蔵」とともに

中島の地蔵桜

合戦場のしだれ桜

平安時代,八幡太郎義家と安倍貞任・宗任兄弟との間で合戦が起こりました。「合戦場のしだれ桜」は,この合戦場と伝わる地に立つベニシダレザクラです。

合戦場のしだれ桜

合戦場のしだれ桜

桜番付で「大関」に選ばれており,滝桜の孫にあたる桜とも言われています。あたりは桜回廊などが整備され,とても良い雰囲気になっています。

現在,樹勢回復のための措置が進められています

現在,樹勢回復のための措置が進められています

かつては樹勢が極めて旺盛で,滝桜に次ぐ美しさと言ってよかったのですが,ここ最近は害虫の被害によって樹勢が衰え,花付きが悪くなっています。

現在は樹勢回復のための措置がいろいろなされているようです。がんばれ合戦場の桜!

合戦場のしだれ桜

新殿神社の岩桜

新殿神社は「道の駅さくらの里」近くにあります。その鳥居の上に,4本の石割桜が立っています。大きく枝を広げて,鳥居を覆うように咲く姿は,まるで神社を守っているように見えます。

新殿神社の岩桜

新殿神社の岩桜

新殿神社の岩桜

福田寺の糸桜

新殿神社の岩桜からすぐのところに,福田寺があります。このお寺の境内に一本の桜が立っています。立ち姿が美しく,「糸桜」と呼ばれています。

福田寺の糸桜

福田寺の糸桜

ここも「道の駅さくらの里」から近いので,新殿神社の岩桜と一緒に回るのがいいですね。

福田寺の糸桜

日向の人待ち地蔵桜

二本松市・旧岩代地区の丘陵地帯に咲く,ソメイヨシノの一本桜です。

日向の人待ち地蔵桜

日向の人待ち地蔵桜

その根元には一体のお地蔵さんが祀られています。このお地蔵さんが「訪ねてくる人を待ち侘びているようだ」と言われ,この桜は人待ち地蔵桜と呼ばれるようになりました。

今日も旅人を待ち侘びる

お地蔵さんは,今日も旅人を待ち侘びています

桜が立つ丘からは安達太良山が望める素晴らしいロケーション。物語の一場面のようです。

日向の人待ち地蔵桜

箱石の追猪の桜

岩代地区の山間部に立つ,樹齢300年のエドヒガン。周囲には手付かずの森が広がっており,「自然のままに立っている」感じがする桜です。

箱石の追猪の桜

箱石の追猪の桜

近くの丘から眺めれば,桜の向こうに遠く蔵王連峰を望むことができるロケーション。山里の春を感じ取ることができますよ。

遠く蔵王連峰を望むロケーション

遠く蔵王連峰を望むロケーション

追猪の桜は「おいのさくら」と読みます。昔,畑を荒らす猪を,近くの穴に追い込んで捕らえたことからこんな名前がついているんだとか。

箱石の追猪の桜

本宮市の桜

日輪寺のしだれ桜

日輪寺は本宮市中心部,本宮駅から歩いて10分のところにあるお寺です。このお寺に見事なしだれ桜があります。

大きな枝張りと旺盛な花付き。まわりの桜に比べてやや早く開花するようです。

日輪寺のしだれ桜

日輪寺のしだれ桜

花は濃い紅色。たわわに花をつけた枝が地面近くまで枝垂れて,春の日差しに映えます。その様は,とても華やかです。

夕陽を浴びるしだれ桜

夕陽を浴びるしだれ桜

日輪寺のしだれ桜

塩ノ崎の大桜

本宮市郊外の高台に咲く,樹齢600年の大桜です。「大桜」と名付けられた桜は数多くありますが,この桜ほどその名にふさわしい木はありません。

塩ノ崎の大桜

塩ノ崎の大桜

周りにはソメイヨシノや花桃も咲いていて,いい環境にあります。日中は,道路の向かい側にある温泉施設「天空郷」の駐車場が開放されています。

樹齢600年

樹齢600年

三春町の七草木地区に近いので,平堂壇の桜や七草木の天神桜といっしょに回るのもいいと思います。

塩ノ崎の大桜

三春町の桜

三春は桜の町。あまりにも有名な滝桜は言うに及ばず,町のあちこちに見事な桜が立っており,春には桜の楽園みたいになります。

そんな中を桜めぐりをして過ごすのは,本当に楽しいものです。

三春滝桜

樹齢千年の女王滝桜。山梨の山高神代桜,岐阜の根尾谷薄墨桜とともに,「日本三大桜」に数えられています。

三春滝桜

三春滝桜

千年を生き抜いてきた力強い幹と,今もなおびっしりと花を咲かせ続ける生命力。その姿はあまりにも尊く,対面すると言葉を失ってしまいます。

ライトアップされた三春滝桜

ライトアップされた三春滝桜

滝桜は三春町の誇り。大正11年に,桜の木としては初めて国の天然記念物に指定された銘木です。

圧倒されるようなスケール

圧倒されるようなスケール

滝のように流れ落ちる花。枝の広がりは20 mを優に超えているとのこと。桜の下に立つと,圧倒されるようです。

三春滝桜

龍穏院の桜

三春の町を歩いて回ると,最初にたどり着くお寺が龍穏院。ここは旧三春藩主・秋田氏の菩提寺で,立派な本堂があります。

ここにはそれほど大きな木はありませんが,ソメイヨシノが多数咲いていてきれいです。

龍穏院の桜

龍穏院の桜

龍穏院は自由民権運動の際に演説会場にもなったとか。いろんな歴史が刻まれたお寺なんですねえ。

龍穏院の桜

福聚寺の桜

三春町のほぼ中央,御免町にある古刹・福聚寺。このお寺に見事なしだれ桜があります。

福聚時の桜

福聚時の桜

「これぞしだれ桜!」というべき枝ぶり。杉林を背景に,たわわに花をつけた枝がワッサー!と枝垂れます。

これぞしだれ桜!

これぞしだれ桜!

福聚寺は美しいお寺です。境内にはソメイヨシノやしだれ桜が咲き乱れ,お地蔵さんも気持ちよさそうに春を過ごしています。

福聚寺にて

福聚寺にて

福聚寺の桜

法華寺の桜

三春町の中心部を小さな川が横切っています。その名も「桜川」。

この川に沿って,いくつかのお寺があります。法華寺もその一つ。このお寺のベニシダレザクラが桜番付に入っています。

法華寺の桜

法華寺の桜

三春町のWebサイトにも写真が載っていて,しなやかな姿が美しいんですが,訪ねてみるとちょっと樹勢が衰えてるかな?と感じました。樹勢回復に期待でしょうか。

法華寺の桜

高乾院の桜

三春はかつての城下町。歴史が長いので,古いお寺もたくさんあります。

その一つ高乾院は,龍隠院のすぐ隣にあるお寺。その境内の桜が美しい立ち姿を見せています。

高乾院の桜

高乾院の桜

三春は本当に美しい町で,こうしてお寺を巡るだけでも,そのたびに美しい桜に出会います。

高乾院の桜

八十内かもん桜

三春町郊外の八十内公園にあるベニシダレザクラです。しなやかに枝を広げた姿が美しく,公園を優しく見守っています。

八十内かもん桜

八十内かもん桜

そのバランスの良い立ち姿は,どこか滝桜に似ているような気がします。町の天然記念物に指定されている桜。

八十内かもん桜(部分)

八十内かもん桜(部分)

八十内かもん桜

芹ケ沢の桜

磐越自動車道近くの丘の上に咲く,しだれ桜の巨木です。樹齢300年。枝張りが大きくて存在感がすごいです。今年の桜番付では前頭二枚目。

芹ケ沢の桜

芹ケ沢の桜

他の桜からは少し離れた場所にありますが,三春町の桜めぐりをする際には外せない一本です。

芹ケ沢の桜と菜の花

芹ケ沢の桜と菜の花

芹ケ沢の桜

無名の桜

三春町内にはいたるところに見事なしだれ桜があって,思わず目を奪われてしまいます。

この桜は芹ケ沢の桜から七草木地区に向かう途中で出会った桜。斜面の畑に覆い被さるようにしだれた桜と,遠く見える安達太良山。あまりにも美しい風景に見とれてしまいました。

無名の桜

無名の桜

三春町の「さくらマップ」にもこの場所は取り上げられておらず,名もなき桜のようです。ぜひもう一度,ここに行ってみたいと思っています。

無名の桜

桜谷しだれ桜

三春町役場の近くに三春歴史民俗資料館があって,この小さな城下町の歴史を学ぶことができます。その傍に,美しいしだれ桜が立っているのがなんとも象徴的です。

桜谷しだれ桜

桜谷しだれ桜

また資料館の周りには,桜や花桃の花が咲き乱れています。銘木ばかりではなく,名もなき桜が咲き乱れる。これが春の三春の美しさです。

歩いていると,本当に癒されますよ。

三春民俗資料館の周りの桜

三春歴史民俗資料館の周りは花盛り!

桜谷しだれ桜

常楽院の桜

三春町の中心街から滝桜へ向かう幹線道路脇に立つしだれ桜です。かつてこの付近にあったお寺の名前にちなんで,常楽院桜と呼ばれているようです。

常楽院の桜

常楽院の桜

付近は住宅地なので撮影できるアングルが限られているのですが,町の真ん中に風情あふれるしだれ桜が立っているのは,いかにも桜の町・三春という感じがします。

常楽院の桜

弘法桜

三春町の南の方,沼沢地区の丘の上に共同墓地があって,このお墓を守るように2本の桜が立っています。一本は白く,もう一本は紅色が濃い,夫婦桜のようです。

弘法桜

弘法桜

「白い方」の根元には弘法大師が祀られています。古くは,この付近に弘法大師が開いたお寺があったとされています。

弘法大師が祀られています

弘法大師が祀られています

弘法桜

戸ノ内桜

三春の中心街から七草木地区,北成田地区へ向かう途中に立つしだれ桜です。

その姿はしなやかで女性的。七草木〜成田地区の桜に力強いものが多いこととは対照的です。

戸ノ内桜

戸ノ内桜

戸ノ内桜

七草木の天神桜

三春町の北端,七草木地区の丘陵地に立つ,エドヒガンの大木です。大空に向かって腕を伸ばす姿は雄々しく,力強さを感じます。

七草木の天神桜

七草木の天神桜

周囲ののどかな雰囲気。根元に祀られている天神様。里山の春を気持ちよく感じることができる場所です。

七草木の天神桜と天の川

七草木の天神桜と天の川

七草木の天神桜

七草木の桜

七草木の天神桜からほど近いところに,共同墓地があります。このお墓を守るように立つ大きな桜が七草木の桜(Googleマップでは「七草木の大桜」と記されているようです)。

七草木の桜

七草木の桜

あたりはのどかな風景が広がる丘陵地帯。その中で花を咲かせる桜は,古き時代の三春の里を想起させてくれます。

あたりはのどかな丘陵地帯

あたりはのどかな丘陵地帯

七草木の桜

平堂壇の桜

三春町北部,北成田地区に「へいどう壇古墳」と呼ばれる古墳があります。この古墳を守るように,一本の桜の木が立っています。

平堂壇の桜

平堂壇の桜

あたりは田畑が広がる丘陵地。平堂壇の桜は,その高台に一本だけ立つ孤高の桜です。風雪をまともに受けながら花を咲かせ続けるその姿は,胸を打つものがあります。

古墳を守るように立っています

古墳を守るように立っています

平堂壇の桜

南成田の大桜

平堂壇の桜の近く,南成田地区に「大桜」という名前の場所があります。ここに立つ桜が南成田の大桜。そう,桜が地名そのものになっているのです。

この桜は古くからこの村のランドマークになってきたということなのでしょう。

ちなみに三春では単に「大桜」というとこの桜を指します。

南成田の大桜

南成田の大桜

樹齢400年。やや痛みが目立ち,幹にはウロができていますが,それでもたくましい姿は長い年月を生き抜いてきた風格を感じさせてくれます。

たくましい幹です

たくましい幹です

南成田の大桜

田村市の桜

田村市はその領域が阿武隈山地にかかっており,標高が高めです。そのため桜の開花がやや遅く,他の町よりも数日遅れて満開を迎える樹が多いようです。

時期をずらして桜めぐりができるのがいいですね。

小沢の桜

田村市船引町の郊外に立つ,樹齢約100年のソメイヨシノ。根元に野仏が祀られており,田んぼの中にポツンと立っているその姿は,日本の原風景のようです。

小沢の桜

小沢の桜

この桜は田中麗奈さん主演の映画「はつ恋」のロケ地として使われ,劇中に「願いの桜」として登場しています。確かにそんな物語がよく似合いそうな桜です。

小沢の桜と天の川

小沢の桜と天の川

小沢の桜

小沢・古卵塔場のしだれ桜

船引駅の近く,東北電力の船引変電所の近くに立っているしだれ桜です。

なかなか見事な枝垂れっぷりですが,うまく撮らないと変電所の鉄塔や電線がいっぱい画面に入ってしまいます。

小沢・古卵塔場のしだれ桜

小沢・古卵塔場のしだれ桜

「卵塔」とは無縫塔とも呼ばれ,僧侶のお墓の石塔を指すようです。塔頭部分が卵のように丸いものがあることが名前の由来のようですね。桜の周囲にたくさん立っている石塔が,古い卵塔なんでしょうかね。

小沢・古卵塔場のしだれ桜

小沢・白山のしだれ桜

小沢の桜からまわりの風景を見ると,近くの民家にキノコのような形をしたしだれ桜があるのが目につきます。特異な姿で,とても印象に残ります。

小沢・白山のしだれ桜

小沢・白山のしだれ桜

小沢の桜を訪ねたら,こちらもよく見ておきたいですね。

小沢・白山のしだれ桜

郡山市の桜

福島県随一の都市,郡山。この街にもたくさんの桜の名木があります。

特に三春町に接する中田町,西田町には,滝桜の子孫とされるしだれ桜が多数あり,三春の桜と合わせて回ると充実した桜めぐりを楽しむことができます。

紅枝垂地蔵桜

三春滝桜から車で10分ほどのところに,延命尊・紅枝垂地蔵桜は立っています。その濃い花色は,妖艶な雰囲気を醸し出しています。

滝桜の娘とも言われており,見事な枝ぶりから西の横綱に選出されています。

紅枝垂地蔵桜

紅枝垂地蔵桜

桜の根元には地蔵堂が祀られています。古くから赤ん坊の夭折を避けるために,願掛けが行われてきたところであるようです。

桜の根元に地蔵堂

桜の根元に地蔵堂が祀られています

桜の背後には「はなもも回廊」があって,小径に沿ってソメイヨシノや花桃が咲き乱れています。こちらも一見の価値があります。

紅枝垂地蔵桜

上石の不動桜

不動堂の脇に立つ,樹齢350年の桜。この辺りには滝桜の子孫と考えられている桜が多数あり,この桜もその一つ。

上石の不動桜

上石の不動桜

幕末の頃,不動堂は寺子屋として使われたそうで,天井には当時の子供の落書きが残っているんだとか。いいですねえ。

お堂は寺子屋として使われていたとか

お堂は寺子屋として使われていたとか

桜に見守られて勉強する(時には先生の目を盗んで落書きする 笑)子供たちの様子が目に浮かんで,思わずニンマリしてしまいます。

上石の不動桜

雪村桜

三春町との境にある雪村庵。室町時代の画僧,雪村が晩年を過ごしたとされる庵です。

ここには一本のしだれ桜が庵を守るように,風にそよいでいます。背後は竹林。まるで水墨画のような風景です。

雪村桜

雪村桜

雪村桜

開成山公園のソメイヨシノ

郡山市の中心部,市役所の向かいにある開成山公園。ここに見事なソメイヨシノの桜並木があります。

調査の結果,この桜は明治11年(1878年)に植樹された,日本最古級のソメイヨシノであることがわかっています。実際,見事な幹と枝ぶりです。

開成山公園のソメイヨシノ

開成山公園のソメイヨシノ

開成山公園のソメイヨシノ

須賀川市の桜

須賀川は面白い町で,「特撮の神様」円谷英二さんの生まれ故郷であることから,M78星雲と姉妹都市という設定になっています(笑)。街にはいたるところにウルトラマンのモニュメントが。

そんな町を郊外に出ると,見応えのある桜の木に出会うことができます。

横田陣屋御殿桜

須賀川市の西,長沼地区の銘木です。江戸時代にこの地を治めていた溝口氏の御殿敷地内に立っているため,この名があります。

横田陣屋御殿桜

横田陣屋御殿桜

花付きが素晴らしく,枝垂れた枝が隣接する民家を飲み込んでいるようです。まるで桜の大波のよう。

違った角度から眺めると,なんだかUFOのような樹姿です。

まるで桜のUFOです

まるで桜のUFOです

この桜は比較的早咲きなので,郡山の桜とは時期をずらして訪ねることができます。

横田陣屋御殿桜

護真寺の桜

観応2年(1351年)に護真寺が開山された折りに植えられたと言われている桜で,横田陣屋御殿桜の親とも言われています。

護真寺の桜

護真寺の桜

この桜も早咲き。護真寺は横田陣屋御殿桜から徒歩5分のところにあるので一緒に回るのがよいでしょう。

仏様もリラックス

仏様もリラックス

春の日差しの下,桜を背景に仏さまもリラックス。

護真寺の桜

県南部の桜

ここでは須賀川市以南を「県南部」として紹介します。

その範囲は広く,最南端の矢祭町から白河市,古殿町などを含んでいます。また戸津辺の桜のように早咲きの桜もあれば越代の桜のように遅咲きの桜もあります。桜巡りをする際には,開花期を考慮する必要があります。

乙姫桜

白河市の妙閑寺境内に立つ,樹齢400年のベニシダレザクラです。

花色が特に濃く,乙女チックな装い。そのなんとも優しい姿から「乙姫桜」と呼ばれるようになりました。確かに振袖を着たお姫様のようにも見えますね。

乙姫桜

乙姫桜

赤く塗られた妙関寺の門は,まるで竜宮城の入り口のようです。桜が乙姫様のいる竜宮城を守っているようでもあります。

竜宮城みたい

妙関寺の門が竜宮城みたい

乙姫桜

戸津辺の桜

福島県最南端,矢祭町にある,樹齢600年のエドヒガンです。早咲きの桜として知られており,県内では最初に開花する「春つげ桜」です。かねてより,付近の農家の方はこの桜の開花を農作業の目印にしていたようです。

戸津辺の桜

戸津辺の桜

見上げるような巨大な桜,堂々たる風格です。近くをJR水郡線の線路が通っており,通過する電車とこの桜を絡めて撮影する「鉄の人」もいるみたい。

堂々たる風格は大関にふさわしい

堂々たる風格は大関にふさわしい

戸津辺の桜

越代の桜

三春滝桜,紅枝垂地蔵桜と並んで「横綱」に選出されている桜です。また林野庁によって「森の巨人百選」にも選出されている,ヤマザクラの大木です。

越代の桜

越代の桜

阿武隈山地にあるために開花が遅く,福島県で最も遅く開花する桜。福島桜めぐりの「トリ」を飾るにふさわしい巨木だといえましょう。

チューリップと越代の桜

チューリップと越代の桜

越代の桜

岩倉桜

平田村の丘陵地帯にある,樹齢550年を誇る桜です。完全に花が終わってからの探訪となったので,開花期にあらためて訪問したいと思います。

岩倉桜

岩倉桜

桜は国道49号線から細い脇道に入ったところにあります。入り口がわかりづらいので要注意です。

岩倉桜

新田の大山桜

越代の桜からさらに山の方に登っていき,ギリギリいわき市に入ったところに,どっしりとした山桜の木があります。

新田の大山桜

新田の大山桜

幹の量感は越代の桜にも見劣りしないボリューム感。訪ねた時には完全に花が終わっていましたが,背後に山桜の木がたくさん立っており,満開の時にはきっと華やかだろうと思います。

新田の大山桜

福島桜めぐりモデルコース

ここに紹介した桜を巡る旅,いくつかモデルコースを考えてみました。ご参考までに。

(1) 花見山と滝桜を巡る王道コース

福島スタート→花見山散策(あぶくま親水公園に駐車してシャトルバス利用,または福島駅から直行バス利用)→塩ノ崎の大桜→三春滝桜→時間があれば 紅枝垂地蔵桜など→郡山ゴール

福島市の花見山と三春滝桜を見る贅沢なコースです。車で移動する場合,時間的に余裕があれば,途中で塩ノ崎の大桜あたりに寄ると良いかと思います。

三春滝桜

三春滝桜

花見山→滝桜なら公共交通機関でも回れます。その場合,福島駅東口から花見山へバスで往復→電車で郡山〜三春と移動して,三春駅からバス「滝桜号」で滝桜往復となります。三春駅に戻って時間と元気が残っていたら,雪村桜を徒歩で訪ねることも可能です(三春駅から15分程度です)。

週末だと滝桜への道路が渋滞する場合があります。桜の時期には三春町運動公園が臨時駐車場になり,そこから滝桜へシャトルバスが運行されます。

見頃は花見山の方がやや早いので,時期には注意。

(2) 三春〜郡山の銘木を巡るコース

郡山スタート→塩ノ崎の大桜→平堂壇の桜→七草木の天神桜→芹ケ沢の桜→福聚寺の桜→滝桜→紅枝垂地蔵桜→上石の不動桜→郡山ゴール

三春,郡山の桜を巡ります。好みと時間の余裕によって,他の桜を入れたり抜いたりしてもよいでしょう。逆回りでもOK。

平堂壇の桜

平堂壇の桜

福聚寺をはじめとして,三春町内のお寺を回る場合,車を町内の駐車場に停めて徒歩で回るのがおすすめです。三春町内の駐車場は**こちら**。

(3) 二本松の桜巡りコース

福島または郡山スタート→日向の人待ち地蔵桜→箱石の追猪の桜→合戦場のしだれ桜→中島の地蔵桜→本久寺の桜 そのあと万燈桜→福島ゴール または 日輪寺のしだれ桜→郡山ゴール

二本松市の山側,旧岩代町〜東和町から回って,二本松市街地に向かうコースです。

日向の人待ち地蔵桜

日向の人待ち地蔵桜

バリエーションとしては

などが考えられます。

見頃は,市内の桜の方が東和・岩代の桜よりも1週間ほど早いので,開花情報に注意。

福島県の「桜番付」について

ここまで,**「福島県桜番付」**におけるそれぞれの桜の番付を付記してきました。この番付は,県内のアマチュアカメラマンによって毎年作成されているもののようです。

www.cockpit.co.jp

この番付,「福聚寺の桜がこんなに低い番付なのは信じられない」とか「箱石の追猪の桜や平堂壇の桜が入っていないのは不思議」とか,思うところはありますが,そうやって目くじらを立てるのではなく,遊び心を持ってゆるく楽しむべきものでしょう (^◡^)。

福島県には,このほかにも郡山観光交通が作っている**「枝垂れ桜花番付」や,同じく郡山観光交通による「一本桜 Best30(枝垂れ桜を除く)」**があります。こちらも見てみると楽しいですよ(ちなみに先ほど触れた福聚寺の桜は,「枝垂れ桜花番付」では「大関」になっていますね)。

参考になるWebサイト

おわりに

福島にはまだまだ魅力的な桜がいっぱい。

今後もいろんな桜を訪ねて,情報を更新していきたいと思います。

14000文字も書いてしまった…

こちらも見てね

www.sunsunfine.com

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