マケドニア属州とは - わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

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マケドニア属州の位置(120年頃のローマ帝国)

マケドニア属州(マケドニアぞくしゅう、ラテン語: Provincia Macedoniaeギリシア語: Επαρχία Μακεδονίας)は、マケドニア地方に成立した古代ローマ属州である。現在のギリシャブルガリア、および北マケドニアの領域に存在した。

歴史

マケドニアを支配していたアンティゴノス朝第三次マケドニア戦争で敗北した紀元前168年に、共和政ローマはマケドニアをローマの保護国(クリエンテス)として4つの共和国に分割、支配した。紀元前148年、マケドニア人が反乱を起こし(第四次マケドニア戦争)、ローマの将軍クィントゥス・カエキリウス・メテッルス・マケドニクスが制圧した後、紀元前146年エピルス・ウェトゥス、**テッサリア、およびイリュリアトラキアの一部も編入してマケドニア属州**として発足、属州都はテッサロニカ(現:テッサロニキ)に置かれた。

なお、同じ前146年にはルキウス・ムンミウス率いるローマ軍によってコリントスが破壊され、ギリシャもローマの直轄地(ローマ属州アカエア)となった。

3世紀4世紀に、マケドニア属州は分割され、南側がマケドニア・プリマ(Prima)、北側がマケドニア・サルタリス(Salutaris)となった。

テトラルキア (4分統治)の時代、318年に行政区域が再定義され、マケドニア・プリマとマケドニア・サルタリスはマケドニア管区(diocese)に含まれることとされた。ローマは4つの統治領(prefecture)に分割され、そのひとつのイリュリクム統治領はマケドニア管区を含む3つの管区から成った。379年にイリュリクム統治領が東西に分割されたが、このときにマケドニアの2属州は東側に含められた。そして395年にローマ帝国が西ローマ帝国東ローマ帝国(ビザンティン帝国)に分割した際には、マケドニアは東ローマ帝国の属州となった。

経済

初代ローマ皇帝アウグストゥスの統治以降、マケドニア属州は長く平和で繁栄した属州であり、小アジアほどではないがローマ世界にとって経済的に重要な存在だった。

さらに、エグナティア街道が建設されたことにより、ローマ商人のための施設が作られ、ローマ人の入植地も築かれて、この地域はますます発展した。ローマ帝国の支配は、マケドニアに新しい街道と行政制度を持ち込んだだけでなく、マケドニアに暮らすローマ人に階級を問わず好景気をもたらした。この地には豊かな農地と放牧地があり、奴隷制度の社会の仕組みの中で、大規模な地主は財産を蓄えた。

生産者階層の生活水準が上がったことが、この地域の技術者や工芸師を増やすことにつながった。さまざまな商売やものづくりの事業が増えて、石工や炭坑夫、鍛冶屋などが雇われた。またギリシャ人は、ローマ世界の中で、家庭教師や教職や医者として求められた。

輸出品目として最も多かったのは農作物や家畜で、その他にも鉄、銅、金をはじめ、木材や松やに、油、麻、魚なども輸出された。さらに、属州内の港(ディオ、ペッラ、テッサロニキ、カッサンドレアなど)もこの属州に富をもたらした[1]

脚注

  1. ^ [1]

関連項目

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前期ローマ帝国の属州(3世紀以前)
本土 イタリア
元老院属州 アカエア アシア アフリカ ガリア・ナルボネンシス キュプルス クレタ・キュレナイカ(英語版シキリア ヒスパニア・バエティカ ビテュニア ポントゥス(英語版ヌミディア マケドニア
皇帝属州 アラビア・ペトラエア アルペスコッティアエポエニナエマリティマエ) カッパドキア(英語版) ガラティア(英語版ガリアアクィタニアベルギカルグドゥネンシスキリキア ゲルマニアスペリオルインフェリオル) コルシカ・サルディニア(英語版シリア ダキア ダルマティア トラキア ノリクム パンノニア(スペリオル(英語版)・インフェリオル(英語版)) ヒスパニア・タッラコネンシス ブリタンニア マウレタニアカエサリエンシスティンギタナモエシア ユダヤ ラエティア リュキア・パンピュリア(英語版ルシタニア
皇帝私領 アエギュプトゥス
東方属州(115年 - 117年) アッシュリア アルメニア メソポタミア
117年以前に存在した属州 ガリア・キサルピナ イッリュリクム コンマゲネ
上記は、ローマ帝国の領土が最大となった117年の属州。「東方属州」はトラヤヌス帝期にのみ存在した属州。
後期ローマ帝国の属州(4 - 7世紀)
歴史的背景 293年、ディオクレティアヌスによって属州の統治体制が再編され、新たに管区が制定された。は337年のコンスタンティヌス1世の死後、確立された。
帝国西方(395年 - 476年)
ガリア道(英語版 ガリア管区(英語版アルペス・ポエニナエ 第1ベルギカ 第2ベルギカ 第1ゲルマニア 第2ゲルマニア 第1ルグドゥネンシス 第2ルグドゥネンシス 第3ルグドゥネンシス 第4ルグドゥネンシス マクシマ・セクァノルム(英語版) ウィエンヌ管区(英語版アルペス・マリティマエ 第1アクィタニア 第2アクィタニア 第1ナルボネンシス 第2ナルボネンシス ノウェンポプラニア(英語版) ウィエンネンシス(英語版) ヒスパニア管区(英語版バエティカ バレアリカ(英語版) カルタギネンシス(英語版) ガラエキア(英語版ルシタニア マウレタニア・ティンギタナ タラコネンシス ブリタンニア管区 第1ブリタンニア(英語版) 第2ブリタンニア(英語版) フラウィア・カエサリエンシス(英語版) マクシマ・カエサリエンシス(英語版) ウァレンティア(英語版)369
イタリア道(英語版 イタリア郊外区 アプリアおよびカラブリア(英語版) ブルティアおよびルカニア(スペイン語版カンパニア コルシカ ピケヌム・スブリビカリウム(英語版サムニウム サルディニア シキリア トゥスキアおよびウンブリア(イタリア語版) ウァレリア(スペイン語版イタリア穀物区 アルペス・コッティアエ フラミニアおよびピケヌム・アンノナリウム(英語版) リグリア(英語版)およびアエミリア(英語版) 第1ラエティア(英語版) 第2ラエティア(英語版) ウェネティアおよびイストリア(英語版) アフリカ管区(英語版アフリカ・プロコンスラリス(ゼウギタナ) ビュザケナ(英語版マウレタニア・カエサリエンシス マウレタニア・シティフェンシス ヌミディア・キルテンシス ヌミディア・ミリティアナ トリポリタニア パンノニア管区(英語版ダルマティア ノリクム・メディテラネウム ノリクム・リペンセ 第1パンノニア 第2パンノニア サウィア(英語版) ウァレリア・リペンシス(英語版
帝国東方(395年 - 640年頃)
イリュリクム道(英語版 ダキア管区(英語版) ダキア・メディテラネア(英語版) ダキア・リペンシス(英語版ダルダニア 第1モエシア プラエウァリタナ(英語版) マケドニア管区(英語版アカエア クレタ 新エピルス 旧エピルス 第1マケドニア 第2マケドニア・サルタリス テッサリア
オリエンス道 トラキア管区(英語版) エウロパ(英語版) ハエミモントゥス(英語版第2モエシア ロドペ(英語版) スキュティア・ミノル(英語版トラキア アシア管区(英語版アシア カリア ヘレスポントゥス(英語版) インスラエ(英語版リュカオニア370 リュキア リュディア パンピュリア ピシディア プリュギア・パカティアナ プリュギア・サルタリア ポントゥス管区(英語版) 第1アルメニア(英語版) 第2アルメニア(英語版) 大アルメニア(英語版) サトラピエス(英語版) 第3アルメニア(英語版)536 第4アルメニア(英語版)536 ビテュニア 第1カッパドキア 第2カッパドキア 第1ガラティア 第2ガラティア・サルタリス ヘレノポントゥス ホノリアス(英語版) パフラゴニア(英語版ポントゥス・ポレモニアクス オリエンス管区 アラビア 第1キリキア 第2キリキア キュプルス エウフラテンシス(英語版イサウリア メソポタミア オスロエネ(英語版) 第1パラエスティナ(英語版) 第2パラエスティナ(英語版) 第3パラエスティナ・サルタリス(英語版) ポエニケ(英語版) ポエニケ・リバネンシス(英語版第1シリア 第2シリア・サルタリス テオドリアス(英語版)528 アエギュプトゥス管区(英語版第1アエギュプトゥス 第2アエギュプトゥス アルカディア(英語版) 第1アウグスタムニカ(英語版) 第2アウグスタムニカ(英語版上リビュア 下リビュア 上テバイス(英語版) 下テバイス(英語版
その他 タウリカ クァエストゥラ・エクセルキトゥス(英語版)536 スパニアエ(英語版)552
古代ギリシア
歴史 キクラデス文明 ミノア文明 ミケーネ文明 暗黒時代(初期鉄器時代) アルカイック期 古典時代(英語版ヘレニズム ローマ帝国占領下のギリシャ
地理 エーゲ海 ダーダネルス海峡 マケドニア王国 スパルタ アテナイ コリントス テーバイ テルモピュレ イオニア海 イオニア アイオリス ドリス(英語版アンティオキア アレクサンドリア ペルガモン ミレトス エフェソス デルポイ デロス島 オリンピア イリオス ロドス島 クレタ島 ペロポネソス半島 イピロス キプロス ポントス マグナ・グラエキア 植民地
生活 農業(英語版服飾 料理(英語版アテナイ民主政 経済(英語版) 教育(英語版) 祝祭(英語版) 同性愛(英語版) 法律(英語版オリンピック 哲学 宗教 売春(英語版奴隷 軍事(英語版) ワイン(英語版
人物 哲学者 アナクサゴラス アナクシマンドロス アナクシメネス アンティステネス アリストテレス デモクリトス ディオゲネス エピクロス エンペドクレス ヘラクレイトス レウキッポス ゴルギアス パルメニデス プラトン プロタゴラス ピタゴラス ソクラテス以前の哲学者 ソクラテス タレス ゼノン 著作者 アイスキュロス アイソーポス アリストパネス エウリピデス ヘロドトス ヘーシオドス ホメーロス ルキアノス メナンドロス ピンダロス プルタルコス ポリュビオス サッポー ソポクレス トゥキディデス クセノポン その他 アレクサンドロス3世 アルキビアデス アルキメデス アスパシア デモステネス エウクレイデス ヒッパルコス ヒポクラテス レオニダス1世 リュクルゴス クロトンのミロン ペリクレス プトレマイオス ソロン テミストクレス
建築 パルテノン神殿 アルテミス神殿 アクロポリス アテナイのアゴラ ゼウス神殿 ヘーパイストス神殿 サモトラケ島の神殿(英語版
美術 建築 貨幣(英語版文学 音楽 陶芸 彫刻 演劇
科学 天文学(英語版) 数学(英語版医学 技術(英語版
言語 ギリシア祖語 ミケーネ・ギリシャ語 ホメーロス・ギリシア語(英語版) 方言(英語版) アイオリス方言(英語版) アルカディア=キプロス方言(英語版古アテナイ方言 ドーリス方言(英語版ギリシア語イオニア方言 ロクリス方言(英語版マケドニア方言 パンピュリア方言(英語版コイネー
文字 クレタ聖刻文字 線文字A 線文字B ギリシア文字 西方ギリシア文字