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大王製紙株式会社DAIO PAPER CORPORATION

四国本社
種類 株式会社
市場情報 東証プライム 3880
略称 大王紙
本社所在地 日本799-0492愛媛県四国中央市三島紙屋町628
設立 1943年昭和18年)5月5日
業種 パルプ・紙
法人番号 9500001014345
事業内容 パルプの製造販売日用品雑貨の製造販売植林事業
代表者 代表取締役社長 社長執行役員 若林賴房
資本金 434億4,900万円(2022年3月現在)
売上高 連結:6,123億1,400万円単体:4,401億5,700万円(2022 年3月期)
営業利益 連結:375億6,900万円単体:234億5,600万円(2022年3月期)
純利益 連結:237億2,100万円単体:61億6,700万円(2022年3月期)
純資産 連結:2,667億400万円(2022年3月現在)
総資産 連結:8,404億4,100万円単体:7,249億3,100万円(2022年3月現在)
従業員数 連結:12,917人、単体:2,725人(2022年3月現在)
決算期 3月31日
主要株主 北越コーポレーション株式会社 24.8%株式会社日本マスタートラスト信託銀行 7.8%大王海運株式会社 5.7%伊予銀行4.2%愛媛銀行4.1%日本カストディ銀行3.8%愛媛製紙株式会社3.2%カミ商事株式会社2.8%OASIS JAPAN STRATEGIC FUND LTD.(常任代理人 シティバンク エヌ・エイ東京支店)2.8%兵庫製紙株式会社1.9%(2024年3月現在)
主要子会社 いわき大王製紙 100% 大王パッケージ 100%
関係する人物 井川伊勢吉(創業者・初代社長)井川高雄(第2代社長)井川意高(第5代社長)
外部リンク 大王製紙株式会社
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大王製紙株式会社(だいおうせいし、: _Daio Paper Corporation_)は、愛媛県四国中央市に本社を置く日本の大手製紙メーカーである。とりわけ、家庭用品「エリエール」のブランドで知られる。みどり会の会員企業であり三和グループに属している[1]

概要

紙・板紙の生産量は約270万トン2013年(平成25年))であり、生産量基準で日本国内では日本製紙王子製紙王子マテリアに次ぐ国内第4位の規模を持つ[2]。紙パルプ関連の連結売上高を基準とすると世界で第20位、国内では王子製紙・日本製紙・丸紅レンゴーに次ぐ第5位[3]。洋紙では新聞用紙印刷情報用紙包装用紙衛生用紙、板紙では段ボール原紙などと、製品は多岐にわたる。このうち衛生用紙は生産量基準の国内市場占有率(シェア)が約15%で首位[4]

売上高は約4,000億円(連結、2013年3月期)[5]。事業セグメントは新聞用紙・印刷用紙・段ボールなどの部門からなる「紙・板紙事業」、衛生用紙・おむつナプキンなど最終的に一般消費者へ販売される製品の部門からなる「ホーム&パーソナルケア事業」と、「その他事業」を加えた3つ。各セグメントの売上高が全売上高に占める割合は、それぞれ約68%・30%・2%である[6]

愛媛県宇摩郡三島村(現在の四国中央市)出身の井川伊勢吉1941年(昭和16年)に設立した四国紙業株式会社を前身とし、四国紙業など14社が1943年(昭和18年)に合併して発足した会社である。

沿革

大王製紙は、「製紙工業企業整備要綱」(1942年9月4日付商工省通牒)に基づき、四国紙業など14の企業が合同して1943年(昭和18年)に和紙の製造販売を目的として設立された。当初は和紙の製造・販売であったが、戦後の1947年(昭和22年)から洋紙の製造も開始した[7][8]

1962年(昭和37年)、支払手形1億6900万円が不渡りとなり、自主再建を断念し、会社更生法の適用を申請した。紙市場の不況と原料高という負担に加え、積極経営による無理な設備投資が重なって収益と資金繰りの両面が悪化、そのため大口の債権者と経営再建について話し合っていたが、折り合いがつかず会社更生法申請に至った[9]1964年(昭和39年)からは更生会社としてスタートするが、その後の業績回復によって1年余りで更生手続きを終了した[10]

1979年(昭和54年)、ティッシュペーパー「エリエール」の販売を開始し、家庭紙分野に参入した。スコッティ・クリネックスネピアなどの大手メーカーの先発ブランドがある中での進出であったが、7年後の1986年(昭和61年)にはシェア首位にまで拡大した。品種も、ティッシュペーパーの半年後にトイレットペーパー、1980年(昭和55年)に紙おむつ、1981年(昭和56年)にタオルペーパー1982年(昭和57年)に生理用ナプキンと、順次拡大していった[11]

1989年(平成元年)、東の拠点として秋田市秋田港飯島地区)への進出を発表した。秋田県の誘致に応えてのことで、紙パルプ一貫工場を建設し、1995年(平成7年)の操業開始を目指した[12][13]。しかしこの計画は頓挫し、2000年(平成12年)に建設を断念するに至った[14]

2007年(平成19年)、アメリカ合衆国を本拠とするプロクター・アンド・ギャンブル (P&G) から、日本における「アテント」(大人用紙おむつ)の商標権・生産施設など事業全般を取得した。この結果、大人用紙おむつのシェアは1割弱から2割弱へ上昇、ユニ・チャームに次いで日本国内2位となった[15]

2011年(平成23年)、東南アジア向け紙おむつの生産拠点とすべくタイの現地企業と合弁企業を設立した[16]。続いてベトナムの製紙会社に資本参加し、東南アジアへの販売増を図っている[17]。また、国内市場においてもペットシーツ「エリエール Elulu(エルル)」の販売開始[18]し、ペット用品事業に参入した。

2017年(平成29年)には、日清紡ホールディングスの紙事業を買収し、同社子会社であった日清紡ペーパープロダクツを子会社化。社名をダイオーペーパープロダクツに改め、同社が販売する製品に当社の家庭向け製品に用いている「エリエール」が付けられるようになる。2018年(平成30年)に営業部門の統合に伴い順次大王製紙での取扱に移行された。

年表

事業所

技術開発本部(愛媛県四国中央市)

大王製紙三島工場(エリエールタワー)

本社・支店

生産拠点

主要商品

同社が販売する家庭用品についてはエリエールの項目を参照。

グループ企業

大王製紙グループは、大王製紙とその連結子会社29社(国内23社、海外6社)で構成される(2015年(平成27年)4月1日時点)。紙・パルプ製品および紙加工製品の製造販売を主体に、関連する原材料の調達、物流などの事業を展開している[5]

グループ企業のうち、大王製紙と同じく紙製品の製造・販売に従事する製紙会社は、いわき大王製紙株式会社福島県いわき市)・大津板紙株式会社(滋賀県大津市)・エリエールペーパー株式会社(静岡県富士宮市)・ダイオーペーパーテクノ株式会社(岡山県津山市)・大日製紙株式会社(静岡県富士市)・丸菱ペーパーテック株式会社(愛媛県四国中央市)の6社[45]。そのうちエリエールペーパー・ダイオーペーパーテクノの2社がティッシュペーパー・トイレットペーパー等の家庭紙を生産する[45]

2011年9月時点で連結子会社だった37社のうち28社は、大王製紙が過半数の株式を保有しているわけではなく、創業家が子会社の大株主かつ役員であることから、大王製紙の連結子会社となっていた。前会長の背任事件が子会社の支配を背景としていたことから、大王製紙が直接の子会社とする方向で、創業家と株式買い取りの交渉が行われた[46]。また、上記事件により、創業家が子会社役員を退任したため、一時的に、子会社のうち24社が持分法適用会社(うち1社は持分法適用の子会社)に変更となり、5社が連結対象外の会社となって、連結子会社は8社となった[47]。2012年2月、大王製紙は連結子会社でなくなった会社のうち一部について株式を追加取得。2012年3月時点では連結子会社19社、持分法適用会社17社となった[47]

2012年第二四半期に、創業家が北越紀州製紙に譲渡した関連会社株式を大王製紙が取得し、2011年9月時点で連結子会社でなかった6社を含め、連結子会社は43社となった[48]。2013年4月1日に、連結子会社17社・非連結子会社10社を合併し、連結子会社7社・非連結子会社1社とする再編を実施[30]。2014年4月1日に、連結子会社1社が連結子会社2社・非連結子会社1社を吸収合併している[32]。このほか海外子会社が2013年度内に2社、2014年度内に2社が新たに連結対象となり、国内連結子会社は2013年度内に1社が売却、1社が清算、2014年度内にさらに1社が清算されたため、2015年3月末時点の連結子会社は32社となっている。

段ボール・紙器

印刷

製紙

加工

H&PC(ホーム&パーソナルケア)生産会社

エンジニアリング

運輸

流通

サービス

海外

かつてのグループ企業

創業家「井川家」

長らく大手製紙メーカーの中で唯一のオーナー企業であったが、2011年(平成23年)9月に発覚した井川意高会長(当時)の子会社からの巨額融資事件以降、創業家は大王製紙の経営トップから一掃された。しかし、創業家は紙おむつ等の製造・販売を行なう多くのグループ会社の株式50%超を握っており、引き続きグループに影響力を保持している。

その他

脚注

  1. ^メンバー会社一覧|みどり会”. www.midorikai.co.jp. 株式会社みどり会. 2024年6月13日閲覧。
  2. ^グラフで見る紙の統計データ 6.世界と日本の製紙会社」、日本紙パルプ商事、2015年11月28日閲覧
  3. ^製紙産業の現状 世界の主要企業」、日本製紙連合会、2011年8月17日閲覧
  4. ^ 『日経市場占有率』2011年版、日本経済新聞社、2010年、pp202-203
  5. ^ a b 『大王製紙平成25年3月期決算短信』
  6. ^ 『大王製紙平成25年3月期決算短信』、添付資料 p2
  7. ^ a b c d 紙業タイムス社『紙パルプ 企業・工場データブック』2010、テックタイムス、2010年、pp146-153
  8. ^ a b c d e f g h i j k 『大王製紙第99期有価証券報告書』、p4
  9. ^ a b 1962年5月8日付日本経済新聞夕刊2面
  10. ^ a b 「更生手続き終結決定 大王製紙に」、1965年4月10日付日本経済新聞3面
  11. ^ a b 経済界「ポケット社史」編集委員会『ポケット社史 大王製紙』、経済界、1992年、pp53-54, 62-63
  12. ^ 『ポケット社史 大王製紙』、pp129-130
  13. ^ 「大王製紙、秋田に工場(情報ファイル)」、1989年1月21日付朝日新聞朝刊
  14. ^ 「大王製紙、秋田進出を断念 寺田典城知事に意思告げる/秋田」、2000年11月28日付朝日新聞秋田版朝刊
  15. ^ a b 「大王製紙がP&Gの大人用紙おむつブランド「アテント」の事業を取得」 (PDF) 、大王製紙2007年6月14日付ニュースリリース
    「大王製紙にP&Gの大人用紙おむつブランド「アテント」の事業が正式移管9月1日から販売開始」 (PDF) 、大王製紙2007年9月3日付ニュースリリース
    「P&Gの大人用紙おむつ 大王製紙が買収」、2007年6月15日付日本経済新聞11面
  16. ^ a b 「タイにおけるベビー用紙おむつ製造・販売の合弁会社設立について」 (PDF) 、大王製紙2011年1月5日付ニュースリリース
    「ベビー紙おむつタイで来年製販 大王製紙」、2011年1月6日付日刊工業新聞11面
  17. ^ a b 「ベトナムの製紙会社への出資について」 (PDF) 、大王製紙2011年4月25日付ニュースリリース
    「大王製紙 ベトナム社に出資 東南アジア販売増狙う」、2011年4月26日付日刊工業新聞10面
  18. ^ a b「エリエールEluluおしっこチェックもできちゃうシート新発売 」、大王製紙2011年3月1日付ニュースリリース
  19. ^ a b 『株価20年 昭和33年版』 東洋経済新報社、1958年3月13日。
  20. ^ 松山地方法務局備付大王製紙株式会社閉鎖登記簿(1963年5月24日閉鎖)
  21. ^ 『紙パルプ 企業・工場データブック』2010、pp30-31
  22. ^特定規模電気事業者連絡先一覧」、資源エネルギー庁、2011年6月10日閲覧
  23. ^大王製紙株式会社・北越製紙株式会社間の技術提携に関するお知らせ」、2012年3月2日閲覧
  24. ^連結子会社との合併に関するお知らせ」、大王製紙2006年12月25日付ニュースリリース
    「名古屋パルプを吸収合併 大王製紙」、2006年12月26日付日本経済新聞11面
  25. ^ 「代表取締役の異動(辞任)に関するお知らせ」 (PDF) 、大王製紙2011年9月16日付ニュースリリース
  26. ^ 子会社の異動に関するお知らせ (PDF) 、大王製紙2012年1月14日付ニュースリリース(2015年8月23日閲覧)
  27. ^ 子会社の異動に関するお知らせ (PDF) 、大王製紙2012年1月27日付ニュースリリース(2015年8月23日閲覧)
  28. ^ 大王製紙の内紛劇は第三幕へ、創業家がグループ会社総会で7勝1敗(1) 東洋経済新報 2012年3月21日)
  29. ^ 「主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社、ならびに子会社の異動に関するお知らせ」 (PDF) 、大王製紙2012年8月15日付ニュースリリース
  30. ^ a b 子会社の合併に関するお知らせの件 (PDF) 、大王製紙2013年2月1日付ニュースリリース(2015年8月23日閲覧)
  31. ^ 経営特種東海製紙株式会社との業務提携及び資本提携に関するお知らせ (PDF) 、大王製紙2013年8月12日付ニュースリリース(2015年8月23日閲覧)
  32. ^ a b 子会社の合併に関するお知らせの件 (PDF) 、大王製紙2014年1月22日付ニュースリリース(2015年8月23日閲覧)
  33. ^ 子会社の合併に関するお知らせ (PDF) 、大王製紙2014年12月18日付ニュースリリース(2015年8月23日閲覧)
  34. ^ 『エリエール(elleair)』ブランドロゴをリニューアル (PDF) - 大王製紙2015年8月20日付ニュースリリース(2015年8月23日閲覧)
  35. ^ 大王製紙、家庭紙で首位固め 日清紡の紙事業買収発表日本経済新聞 2017年2月10日
  36. ^日清紡ホールディングス株式会社の紙製品事業の譲受を目的とした子会社の異動を伴う株式の取得に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)大王製紙株式会社、2017年2月10日。http://www.daio-paper.co.jp/news/2017/pdf/n290210.pdf。2017年4月8日閲覧。
  37. ^日清紡ホールディングス株式会社の紙製品事業の譲受を目的とした株式の取得の完了及び取得子会社の商号変更に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)2017年4月3日。http://www.daio-paper.co.jp/news/2017/pdf/n290403_1.pdf。2017年4月8日閲覧。
  38. ^連結子会社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)2018年5月15日。http://www.daio-paper.co.jp/news/2018/pdf/n180515.pdf。2018年10月16日閲覧。
  39. ^ a b当社子会社による株式会社千明社の事業譲受に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)大王製紙株式会社、2019年12月12日。https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS90325/a93bab04/9faa/4bde/9d3d/31378cf52743/140120191212436403.pdf。2019年12月27日閲覧。
  40. ^当社子会社によるケイジー物流株式会社の株式取得に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)大王製紙株式会社、2020年5月27日。https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS90325/b220d419/36f5/4380/9da2/0983bf66a09f/140120200527426529.pdf。2020年5月28日閲覧。
  41. ^子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)鬼怒川ゴム工業株式会社、2020年5月27日。https://www.kinugawa-rubber.co.jp/pdf/NewsRelease_20200527.pdf。2020年5月28日閲覧。
  42. ^社名変更ならびに弊社ホームページURL変更のお知らせ』(プレスリリース)ダイオーエクスプレス株式会社、2021年7月1日。https://www.daio-express.co.jp/topics/news/20210701.html。2021年9月1日閲覧。
  43. ^連結子会社の合併に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)大王製紙株式会社、2021年9月22日。https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS90325/aeea25eb/4bc7/4059/b4ea/4a59760ac4e5/140120210922401056.pdf。2022年4月11日閲覧。
  44. ^連結子会社の合併に関するお知らせ』(PDF)(プレスリリース)大王製紙株式会社、2022年11月11日。https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS90325/238f8468/1fbf/482b/a780/ee6d5d6c0061/140120221110563084.pdf。2023年5月25日閲覧。
  45. ^ a b 『紙パルプ 企業・工場データブック』2010
  46. ^ 大王製紙、脱「創業家支配」へ 一族の株式買い取る方針 asahi.com・2011年12月13日
  47. ^ a b 『大王製紙第101期有価証券報告書』
  48. ^ 連結範囲の変更に関するお知らせ大王製紙・2012年9月27日
  49. ^ a b 『第二十一版 人事興信録(上)』(昭和36年)い五頁
  50. ^ 『えひめ 人 その風土』108頁
  51. ^ 北越コーポレーションに対する当社の株主提案についての追加のお知らせ - 大王海運株式会社
  52. ^週刊文春』(2011年11月10日号)32頁
  53. ^ 株式会社 童夢では、創業者の林みのるの引退に伴う、その後の形を模索していましたが、この度、その概要が決定しましたので、お知らせします。 - 童夢・2014年10月9日
  54. ^ a b c d https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK09023_Q2A210C1000000/
  55. ^ https://ygu.repo.nii.ac.jp/record/337/files/KJ00008308680.pdf
  56. ^ https://www.hyogopulp.co.jp/environment/index.html
  57. ^ https://www.jaycee.or.jp/2023/asuhenoreimei70/syoshin_2012

関連項目

外部リンク

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