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FMRシリーズ

FMR-50HL1
開発元 富士通
種別 パーソナルコンピュータ
発売日 1987年2月 (37年前) (1987-02)[1]最終版: 1998年4月 (26年前) (1998-04)[2]
OS MS-DOSOS/2Microsoft Windows 3.x (FMR-280にはWindows 95も)
CPU x86
前世代ハード FM-16β
次世代ハード FMV

FMRシリーズ(エフエムアールシリーズ) は、富士通が販売していた独自仕様のビジネス向けパーソナルコンピューター(パソコン)のシリーズ名である。

概要

1987年2月に発売開始[1]。同社が販売していたFM-16βの後継機にあたり、富士通のビジネス向けパソコンの主力を担った。複数のパーテーションへ異なるOSをインストールでき、マルチブートも可能であり、又、SCSI接続したHDD間の任意のパーテーションの複製を簡単に行う事ができた。

1993年DOS/Vを採用したPC/AT互換機FMVシリーズが登場してラインナップの縮小が始まり、1995年Windows 95が出るまで(最終機種は1998年4月発売のFMR-280A4/L4・FMR-250L4)販売された[2]

アーキテクチャはFM-16βから引き続きx86CPUを採用し、オペレーティングシステム(OS)はMS-DOS系を標準採用。MS-DOSのメモリ空間は他機種の640KBより若干多い768KBを連続して確保できた(前機種FM-16βは当初CP/M-86を標準OSとしたため、ソフトウェアの品揃えに恵まれなかった。その後MS-DOSも発売されている)。

他にOS/2Microsoft Windows 3.xなどが動作した(FMR-280にはWindows 95も移植された)。

同社のワープロ専用機OASYSシリーズで実績のあるかな漢字変換機能「OAK」を全シリーズで採用。ソフトウェア開発支援を行うなどラインナップの充実を図り、ビジネス向けの国産16ビットパソコンとしては健闘した。最終的に日本電気 (NEC) のPC-9800シリーズの地位を揺るがすほどではなかったものの、「イコールNEC」のイメージが強い日本の官公庁、特に国公立の教育機関に一定のシェアを確保していた(教育市場向けのモデルも発売されていた)。また同社大型汎用機スーパーコンピュータの端末(F6680互換エミュレータ端末)としてかなりの数が、多くの銀行などの金融機関へ納品された。また、今は無きチケットセゾンでは店頭設置端末として使われていた。その他の使用例として、全銀協プロトコル対応のファームバンキング端末やファミリーコンピュータの開発機としても使用されていた。

松下電器Panacom Mシリーズは本機のOEM

1992年から1994年にかけて、それまでの富士通のFMRシリーズとは異なるEISAバス対応のPC/AT互換アーキテチャが採用されたPCサーバ機種が販売され、FMRの冠が付けられた[3][4][5]

シリーズ

各シリーズ間の互換性はハードウェアではなくOSのシステムコール(FBIOS)によって吸収できるようになっていた。一部機種については松下電器(現パナソニック)へOEMされた。

FMR-30系

液晶ディスプレイ一体型の省スペースデスクトップの系列。

640×400ドット モノクロ2階調の表示性能を基本とする。

FMR-30BX以降はキーボードの一体化収納が可能な構造となり、キャリングハンドル(移動用の取っ手)が付いていたが、デスクからデスクへの移動といった目的のためのものでありバッテリー駆動が可能な機種は存在しない。

機種

FMR-50系

640×400ドットのグラフィック表示機能を持つ、FMRシリーズの中核となる系列。

当初のデスクトップから、ラップトップ機やノート機、派生形である超軽量ノートFMR-CARD系が発売されたほか、コンシューマー市場向けのマルチメディアパソコンFM TOWNSシリーズもテキストVRAM等をソフトウェアでエミュレーションするという形で本系列との互換性を持っていた。

デスクトップ機

ラップトップ機

ノートブック型の台頭により比較的短命であったが、デスクトップ型FMRシリーズより小型化された拡張カード規格は、ノートブック機のI/O拡張ユニットや、汎用拡張スロットを持つFM TOWNSシリーズにも継承された(FM TOWNSでは純正オプションの「LTカード接続アダプタ」経由)。

トランスポータブル機

液晶ディスプレイ一体型の省スペース・可搬型デスクトップ機で、液晶ディスプレイ前面にキーボードの収納が可能な箱形筐体を持つ。拡張カード類はラップトップ機と共通。

ノートブック機

同時期の他社のノートブックパソコンではフロッピーディスクドライブ(FDD)1機とFDD互換のRAMディスクによる2ドライブ運用が一般的であったが、本系列ではそれに加えてICカードスロットも装備しており、ROMカードによって供給されるアプリケーションソフトを使用すれば、フロッピーディスク2台で運用しにくい大規模なアプリケーションソフトでも実用的に使用することができた。JISと親指シフトキーボードの2タイプあり、本体内蔵で後から取り替えは出来ない。

FMR-60/70/80系

FMR-80HL3

1120×750ドットのグラフィック解像度を持つハイレゾリューション機の系列。

文字キャラクターが24×24ドットで構成されるため、当時は24ドット機とも呼ばれた。

そのままではFMR-50系との互換性を持たないが、オプションの16ドット表示カードを搭載する事によりFMR-50系列との互換性を持つことができるようになっていた。

FMR-50系列がCPUが変更されてもシリーズ名を踏襲していたのと対照的に、本系列では基本アーキテクチャは同一ながらもCPUが80386,80486と変更される度にFMR-60→70→80とシリーズ名が変更された。

機種

FMR-70HXシリーズ ハードウェア仕様一覧(富士通 商品カタログより一部抜粋 1989年11月)

機種 FMR-70HX1model 20 FMR-70HX1model 40 FMR-70HX2Smodel 40 FMR-70HX2Smodel 75 FMR-70HX2model 40 FMR-70HX2model 75 FMR-70HX3model 85 FMR-70HX3model 170
型名 FMR70HX1M2 FMR70HX1M4 FMR70HX2S4 FMR70HX2S7 FMR70HX2M4 FMR70HX2M7 FMR70HX3M8 FMR70HX3A7
CPU 386 (16MHz) 386 (20MHz) 386 (25MHz 0 Wait※)※但し、リード時はキャッシュヒット時
数値演算プロセッサ 387(オプション)
ROM 16KB
キャッシュメモリ 32KB
RAM メインRAM 標準2MB 最大16MB 標準4MB 最大16MB
グラフィックVRAM 512KB
漢字VRAM 4KB
テキストVRAM 4KB
キャラクタ表示 表示文字数:2000文字
グラフィックス表示 1120×750ドット、色指定は4096色中16色
日本語表示 40桁×25行(24ドット×24ドット)、(FM-OASYSでは46桁表示)
漢字ROM JIS第一水準 / JIS第二水準 、JIS非漢字 、ユーザ登録188種
補助記憶装置 フロッピィ 5インチ2ドライブ(1MB/640KB兼用型) 3.5インチ2ドライブ(1MB/640KB兼用型) 5インチ2ドライブ(1MB/640KB兼用型)
ハードディスク 20MB 40MB 40MB 75MB 40MB 75MB 85MB 170MB
キーボード ①JISキーボード ②JISキーボード(エミュレータ対応)③親指シフトキーボード ④親指シフトキーボード(エミュレータ対応)以上より選択。
標準I/M CRT カラー内蔵(アナログRGBセパレート)、白黒内蔵(アナログセパレート)
RS-232C 1ポート
プリンタ 1ポート(セントロニクス準拠)
SCSI 1ポート
FDD 1ポート(8/5/3.5 各インチ増設可能) 1ポート(5/3.5 各インチ増設可能) 1ポート(8/5/3.5 各インチ増設可能)
拡張スロット I/O用:3スロット、メモリ専用:2スロット I/O用:4スロット、メモリ専用:2スロット
マウスインターフェイス キーボードに内蔵
サービスコンセント 2個(プラグは3P) 主電源と連動
外形寸法(mm) 470(W)×385(D)×125(H)(背面カバー装着時は本体奥行=470mm)
重量 約14kg 約18kg
消費電力 約70W(最大100W) 約180W

FMR-CARD系

質量990g、厚さ26.5mm、単3乾電池2本での長時間駆動を実現したA4ジャストサイズのノートPCで、80C286を搭載するMS-DOS機として当時としては画期的であった。基本的にFMR-50系と互換がある。

磁気記録メディアは内蔵されていないが、MS-DOSや漢字変換辞書といった基本動作に必要なソフトウェアは本体のROMに搭載されていた。加えて、小容量ながら不揮発性RAMディスク領域があり、本体のみで漢字変換の学習内容なども保持することが可能。

外部記憶媒体としてはJEIDA Ver.4準拠のICカードスロットを2機搭載しており、FM-OASYS、MS-Works(統合オフィスソフト)、MS Quick BASIC・MS Quick C(統合開発環境)、ジャストシステム シンフォニー(統合オフィスソフト)、Lotus 1-2-3+4word(表計算)などの主要アプリケーションソフトが同規格のROMカードで提供された。書き換え可能な媒体としては同規格のSRAMカードに対応。フラッシュメモリーには対応していない。

グラフィックス表示機能に関しては、FMR-50シリーズが4096色中16色表示が可能であるのに対し本系列はVRAMを1プレーン分しか持たず、性能上はモノクロ2階調表示だが、BIOS等でハードウェアの差異を吸収することによってFMR-50シリーズとのソフトウェア互換性を実現していた。内蔵ディスプレイは反射型STN液晶で、FMR-50シリーズと同じく解像度は640×400ドット。

インターフェース類はICカードスロット2機とRS-232C 1ポート、拡張I/O 1ポート、DC入力のみだが、拡張装置として、FMR-50LT系のオプションカードを使用できる拡張ボックス(据え置き型)、DSLINK(イーサネット)アダプター、2MB増設メモリー、モデム、増設電池ボックス(以上外付け一体型)等が用意され、可搬性は損なうものの、通常のパソコンとしての利用にも充分な機能の拡張が可能であった。

機種

FMR-250系

FMR-50系列に、Windows対応強化としてグラフィックアクセラレーターを搭載した系列[6]

機種

FMR-280系

FMR-250系同様、FMR-60/70/80系列にグラフィックアクセラレーターを搭載した系列[6]

機種

FMサーバ

FMRシリーズの中では異質だが、1992年から1994年にかけて、PC/AT互換機のPCサーバがFMRシリーズとして販売された。ただし、最後にリリースされたFM-360SVには"R"がついていない。このことから、サーバのシリーズ全体をFMサーバシリーズと呼ぶこともある[7]。 このシリーズは1996年GRANPOWER 5000シリーズに統合された。

FMR-340SV/FMR-360SV

FMR-340SV

開発元 富士通
種別 PCサーバ
発売日 1992年7月 (32年前) (1992-07)
販売終了日 1993年10月 (30年前) (1993-10)[7]
OS OS/2 Lan Manager、Novell NetWare
CPU 486SX/486DX
次世代ハード FMR-360SV

1992年7月に、それまでの富士通のFMRシリーズとは異なる32ビットEISAバス対応のPC/AT互換アーキテチャが採用されたPCサーバとしてFMR-340SVが発表された[3]。 業界標準を意識し、OS/2 LAN ManagerNovell NetWareといったネットワークOSを使えるようにした。CPUは486SX/486DX。富士通のMシリーズ/Kシリーズと通信するための通信カードもEISAバスに装着可能。1993年11月には後続のFMR-360SVシリーズも発表された[4]

機種

FM-360SV

FM-360SV

開発元 富士通
種別 PCサーバ
発売日 1994年6月 (30年前) (1994-06)
販売終了日 1995年6月 (29年前) (1995-06)[7]
OS Windows NT
CPU 486DX2, Pentium
次世代ハード GRANPOWER 5000

1994年6月にFMR-340SV、FMR-360SVの後継として発表。CPUには486DX2、Pentiumを採用、メモリ容量増大(最大384MB)、ECCメモリRAIDの採用、無停止電源装置の提供が特徴。OSはWindows NT[4]

機種

脚注

[脚注の使い方]

  1. ^ a b【富士通】 FM Rシリーズ”. IPSJコンピュータ博物館. 2021年4月2日閲覧。
  2. ^ a b今までに発表した製品 FMRシリーズ”. FMVWorld. 2018年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月2日閲覧。
  3. ^ a b【富士通】 FUJITSU FMR-340SV”. IPSJコンピュータ博物館. 2021年4月2日閲覧。
  4. ^ a b c【富士通】 FUJITSU FM-360SVシリーズ”. IPSJコンピュータ博物館. 2021年4月2日閲覧。
  5. ^ 新FMRシリーズのラインアップ 「FMR-280シリーズ」「FMR-360SVシリーズ」「FMR-50NL/T」資料名: 富士通ジャーナル (Fujitsu Journal)号: 211 ページ: 30-31 発行年: 1993年12月JST資料番号: L0535A ISSN: 0911-8969
  6. ^ a b『FMR-280/250 シリーズ』4機種14モデルを新発売”. 富士通 (1996年5月23日). 2021年4月2日閲覧。
  7. ^ a b cFMサーバ/GRANPOWER5000製品の販売終息と保守サポート終了情報”. 富士通. 2021年4月2日閲覧。

関連項目

外部リンク

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富士通パーソナルコンピュータ
8ビット FM-8シリーズ FM-7シリーズ FM-77シリーズ FM77AVシリーズ FM-11シリーズ FM-Xシリーズ
16ビット FM-16βシリーズ FM16πシリーズ FACOMシリーズ
16/32ビット FMRシリーズ FM TOWNSシリーズ
Windows FMVシリーズ(富士通クライアントコンピューティングも参照)
富士通
主要子会社と関連会社 現在 富士通Japan エフサステクノロジーズ 富士通フロンテック 富士通パーソナルズ 富士通研究所 過去 ファナック4 HALコンピュータシステム1 富士通コネクテッドテクノロジーズ(←富士通モバイルコミュニケーションズ)3
合弁会社と出資先 現在 FDK (58%) 新光電気工業 (50%) 富士通ゼネラル (44%) 富士通クライアントコンピューティング (44%) PFU (20%) 過去 FSC2 スパンション3 ソシオネクスト4
製品とサービス 現在 ソフトウェアTRIOLE Interstage Systemwalker Symfoware Server GLOVIA Horizon プロセッサA64FX FR FR-V SPARC64 X+ SPARC64 XIfx SPARC64 XII スーパーコンピュータとサーバ富岳 GS21 PRIMEFORCE PRIMERGY PRIMEQUEST VPP SPARC Servers 企業向けコンピュータFMV 周辺機器ETERNUS スキャナ ScanSnap クラウドFJcloud 携帯電話Arrows REGZA Phone 過去 ソフトウェアTeamWare OASYS Japanist コンピュータFM TOWNS マーティ FM-7 FM-8 FM-11 FM-16 iPAD Pocket LOOX プロセッサMB86900 SPARClite hyperSPARC TurboSPARC SPARC64 SPARC64 II SPARC64 GP SPARC64 V SPARC64 V+ SPARC64 VI SPARC64 VII SPARC64 VII+ SPARC64 VIIIfx SPARC64 IXfx SPARC64 X スーパーコンピュータとサーバハード:FACOM DS/90 7000 GRANPOWER SPARC Enterprise VP VP2000 / OS: OSII OSIV CSP ASP
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