SWATとは何? わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
swat
スワット【SWAT】
スワット【Swat】
スワート【Swat】
SWAT
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/16 01:38 UTC 版)
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この項目では、アメリカ合衆国の警察特殊部隊について説明しています。これを題材としたアメリカ合衆国のテレビドラマについては「特別狙撃隊S.W.A.T.」をご覧ください。 上記テレビドラマのリブート版に当たるアメリカ合衆国のテレビドラマについては「S.W.A.T. (テレビドラマ)」をご覧ください。 テレビドラマ『特別狙撃隊S.W.A.T.』をリメイクした映画シリーズについては「S.W.A.T.」をご覧ください。 |
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SWATチーム(スワットチーム)は、アメリカ合衆国の警察など米法執行機関に設置されている特殊部隊。「SWAT」はspecial weapons and tactics(特殊武装及び戦術)の略称である[1]。
来歴
イギリスによるアメリカ大陸の植民地化の過程で、多くの制度がイギリス本国から北アメリカに持ち込まれており、警察制度も同様であった[2]。イギリスでは、地域の秩序・平和を維持する責任は地域住民各々が負うべきであるという自治の意識が強く、家族や地域住民による隣保制の時代が長かった[3]。この理念を導入したアメリカ合衆国においても、隣保制や、その延長線上としてそれぞれの地域の住民が選んだ公安職が主となり、過度の組織化を嫌う風土が強かった[4]。
しかし第二次世界大戦後、アメリカ経済は飛躍的に発展した一方、その裏で貧富の差の拡大や宗教的権威・社会道徳秩序の崩壊などが進んだ結果、1950年代末頃から社会秩序の混乱が顕在化した。これに伴い、1960年頃までは日本と大差ない程度で安定していた犯罪発生率も、この頃から急激に上昇し始めた。またこの時期には、ワッツ暴動(1965年)やデトロイト暴動(1967年)といった集団暴力事犯、テキサスタワー乱射事件(1966年)やグレンビル乱射事件(1968年)といった大量殺人事犯、ケネディ大統領暗殺事件(1963年)やキング牧師暗殺事件(1968年)といった要人暗殺などの凶悪犯罪が相次ぎ、警備警察の重要問題となった[4]。
この状況に対して、1967年、ロサンゼルス市警察(LAPD)はダリル・ゲイツ警視の指揮下にSWAT部隊を編成した。この部隊は軍務経験者によって構成されており、通常の警察官では対処が困難な重大犯罪への対処を任務としていた[5]。当初の名称はSpecial Weapons Attack Team(特殊武装攻撃班)であったが、その後より穏便な現名称に改められた。SWATの導入策は成功を収めたことから、全米の警察組織で同種部隊の創設が相次ぎ、1960年代のうちに14隊、1970年代には121隊、1980年代にも120隊、そして1990年代にも85隊が設置された[6]。2008年の時点で全米に少なくとも1,183隊が設置されていたほか[7]、2009年から2013年にかけて実施された調査では17,000以上もの部隊が設置されている事が明らかとなっており[8]、野犬捕獲局より規模の大きい法執行機関はどこもSWATに類する部隊を擁している、と揶揄されている[9]。
編制
組織
アメリカ合衆国の警察は地域の公安職を基本とすることもあり、郡保安官や自治体警察、州警察、更に連邦政府の法執行機関など、多彩な組織がそれぞれの所掌事項をもって、独立して活動している。そして、これらの警察組織がそれぞれにSWATなどの部隊を設置しているため、その編制も定見がないのが現状である[10]。部隊名にしても、先駆者であるLAPDに倣って「SWAT」と称することが多いが、例えばニューヨーク市警察(NYPD)などニューヨーク州の自治体警察の多くでは、1930年代より人命救助や凶悪犯対処を主眼とした緊急出動部隊 (Emergency Service Unit) が編成されており、この部隊にSWATとしての任務を付与することで対応している[6]。また連邦捜査局(FBI)では、各地方局それぞれにSWATチーム(FBI SWAT)を編成するとともに、通常の警察のSWATやFBI-SWATでは対応困難な重大事件に対処する特殊部隊として、本部直轄の人質救出チーム(HRT)を設置している[11][12]。
小規模な警察組織が多いこともあって、専従要員による部隊(full-time team)は7%に過ぎず、大部分の部隊が必要時のみ召集される兼務要員による集成部隊(part-time team)か、少なくとも兼務要員を含む混成部隊となっている。また部隊規模自体も比較的小規模で、20名以下の部隊が8割を占め、51名以上の要員を擁する部隊は2%に過ぎなかった[13]。一般的には、直接の犯人逮捕・制圧を担当する突入班(entry team)と、その援護および状況監視を担当する狙撃・監視班によって構成されており、またほとんどの場合は交渉人、場合によっては救急隊員も編制内に含まれている[14][15]。
装備
銃器
標準的な拳銃のほかに、突入班はAR-15やM4A1カービン、H&K MP5短機関銃など(以前はUZIを装備する組織もあった)、また狙撃手はレミントンM700などの狙撃銃を装備するのが一般的である[15]。
フラッシュバンは室内への突入の際には頻用されており、SWATの必須装備といえる。またアメリカ合衆国の警察では、身体を大きく傷つけることなく被疑者を無力化するために、低致死性兵器が広く用いられており、これらはSWAT作戦でも適宜用いられる。スタンガン(テイザー銃を含む)やゴム弾・ビーンバッグ弾、催涙剤などが一般的である。ただしSWAT作戦の場合、危険度が高いこともあり、低致死性兵器の適応と考えられる被疑者に対応する場合も、常に通常の武器が使えるよう、武装した隊員によるバックアップが必要となる[15]。
強行突入器具
突入作戦の際には、往々にしてまず施錠されたドアを突破する必要が生じる。この際には、こじ開けのためのバール、破城槌(バッタリング・ラム)から、錠前やヒンジを破壊するための散弾銃や爆発物、更には電気丸のこや金属切断トーチによる切断まで、様々な手法が用いられる[15]。
弾雨を冒しての偵察や負傷者・民間人救出、部隊輸送を行うため、装甲車を装備している部隊も多い。有力な法執行機関では、レンコ・ベアキャット(英語版)など、法執行用途を想定して開発された装甲車を装備しているが、予算に余裕がない小規模な自治体警察や郡保安官事務所でも、1033プログラムに基づいてアメリカ軍の中古車(ハンヴィーやMRAPなど)の払い下げを受けることができる。ただしこちらは元来が軍用で普段の維持コストが高く、また特にMRAPは大型・大重量で高速を発揮できないなど、法執行用途には不適当な面もあるため、既に払い下げを受けていても、予算の都合さえつけばベアキャットなどへの更新を要望する機関が多い[16]。
なお、銃火器以外の個人装具(出動服やブーツ、ヘルメット、保護メガネ、タクティカルベストなど)に関しては、LAPDのような大規模機関でも大部分を自弁に頼っている。またLAPDのSWAT部隊は集成部隊であるため、各隊員には専用の覆面パトカーが与えられ、トランクにSWAT隊員としての装備を収容して通常勤務にあたることで、不意の召集 (call of duty) にも即応できるよう配慮されている[17]。
活動
訓練
LAPDなどの大規模機関では独自の訓練施設を保有することもあるが、小規模機関では、通常の警官と共用の射撃訓練場程度しかないことも多く、十分な訓練を確保することが課題の一つである。相互研鑽を図る観点から、国家戦術警官協会(National Tactical Officers Association, NTOA)が設置されており、また多くの場合は州レベルでの同様の組織があるため、これらを通じた訓練が一般的である。また連邦捜査局(FBI)などの連邦機関や軍によって訓練の機会が提供されることもあるほか、民間企業の委託教育を利用する機関もある。外国の軍隊との共同訓練まで行う組織は稀であるが[18]、例えばLAPDのSWATでは、創設時にイギリス陸軍特殊空挺部隊(SAS)やフランス国家憲兵隊治安介入部隊(GIGN)、西ドイツ連邦国境警備隊(現在の連邦警察)GSG-9などに視察団を送り、ノウハウを習得している[5]。
なお、アメリカではSWATチームの能力を競う世界大会 (SWAT World Challenge) が開かれており、2006年はアーカンソー州リトルロックで3月に開催された。2006年の大会ではドイツGSG-9が優勝したが、上位20チームの内、準優勝のサンアントニオ市警察SWATチーム(米国テキサス州サンアントニオ市)を筆頭に、テキサス州のチームが6つ入っている。
実出動
一般的なイメージと異なり、SWATによる殺傷力の行使は比較的稀で、年平均3,000回以上の出動のうち実際に発砲がなされたのは、全米でも36回程度である[19]。1986年から1998年までの間に、上記の1,183隊のSWAT部隊で15人の法執行官が負傷、2人が殉職した[20]。このため隊員達は「SWATとはSit, Wait, And Talking(座って喋って待ってる)の略だ」と自らを揶揄したりしている[_要出典_]。
SWATは突発事案の対処能力の高さから、創設時に主眼とされていた大量殺人などの警備警察的な事案に留まらず、麻薬取引や組織犯罪などとの関連が疑われる家宅捜索など、通常の捜査活動にも投入されるようになり、出動頻度は増加し続けている。これらの出動のなかには、本来SWATを投入すべきでない通常の警察活動が多く含まれていたとの指摘もあり、軍隊に類似した過度の攻撃性の発揮(警察の軍隊化)として批判されることもある[21]。
登場作品
脚注
- ^ 警察庁 (1997年). “平成9年 警察白書 第2節 テロ対策”. 2017年2月8日閲覧。
- ^ 上野 1981, pp. 16–17.
- ^ 上野 1981, pp. 11–15.
- ^ a b 上野 1981, pp. 16–41.
- ^ a b ロサンゼルス市警察. “special weapons and tactics” (英語). 2017年2月2日閲覧。
- ^ a b Klinger & Rojek 2008, p. 16.
- ^ Klinger & Rojek 2008, p. 14.
- ^ International Association of Chiefs of Police; National Tactical Officers Association, National Special Weapons and Tactics (SWAT) Study: A National Assessment of Critical Trends and Issues from 2009 to 2013, https://www.theiacp.org/sites/default/files/2018-10/swatstudy.pdf 2024年10月19日閲覧。
- ^ Whitcomb 2003, p. 113.
- ^ Klinger & Rojek 2008, p. 17.
- ^ Tomajczyk 2002.
- ^ Whitcomb 2003.
- ^ Klinger & Rojek 2008, p. 18.
- ^ Klinger & Rojek 2008, pp. 20–21.
- ^ a b c d Campbell & Smith 2015, pp. 28–35.
- ^ Mark Alesia (June 9, 2014). “Overkill? Small town buys armored SWAT vehicle” (英語). USAトゥデイ. http://www.usatoday.com/story/news/nation/2014/06/09/police-military-surplus-purchase-debate/10221551/ 2017年2月4日閲覧。
- ^ 庄司 2007, pp. 81–82.
- ^ Klinger & Rojek 2008, p. 28.
- ^ Klinger & Rojek 2008, pp. 35–38.
- ^ Klinger & Rojek 2008, p. 44.
- ^ 鈴木 2016.
参考文献
- Campbell, John E.、Smith, Jim『事態対処医療』へるす出版、2015年。ISBN 978-4892698682。
- Goodwin, Gretta L., ed. (September 10, 2020), Federal Tactical Teams: Characteristics, Training, Deployments, and Inventory, Government Accountability Office, https://www.gao.gov/products/gao-20-710
- Klinger, David A.; Rojek, Jeff (2008). Multi-Method Study of Special Weapons and Tactics Teams. https://www.ncjrs.gov/pdffiles1/nij/grants/223855.pdf 2017年2月1日閲覧。.
- Ramirez, Eugene (May 01, 2003). “Origins of SWAT” (英語). POLICE Magazine. ISSN 0161-6129. http://www.policemag.com/channel/swat/articles/2003/05/point-of-law.aspx.
- Tomajczyk, Stephen F. 著、小川和久, 西 恭之 訳『アメリカの対テロ部隊―その組織・装備・戦術』並木書房、2002年。ISBN 978-4890631551。
- Whitcomb, Christopher 著、伏見威蕃 訳『対テロ部隊HRT―FBI精鋭人質救出チームのすべて』早川書房、2003年。ISBN 978-4152084996。
- 上野治男『米国の警察』良書普及会、1981年。 NCID BN01113868。
- 庄司一憲 編『世界の警察 アメリカ編』辰巳出版、2007年。ISBN 978-4777804771。
- 鈴木滋「米国における警察の軍事化をめぐる問題―警察の装備を見直す大統領令―」『外国の立法』第269号、国立国会図書館、2016年9月、97-108頁、NAID 40020943220。
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、**SWAT**に関連するカテゴリがあります。
- 人質救出作戦 - 必ず招集が掛かる
- 人質救出チーム - 連邦捜査局(FBI)の特殊部隊
- 特殊事件捜査係 - 日本の警察の刑事部の同種部隊
- 緊急対応特殊課 - ロシアの警察の国家親衛隊の同種部隊
- スワッティング - 緊急通報用電話番号に対するいたずら電話。虚偽の通報でSWATの出動を促そうとした手口から。
S.W.A.T.
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/25 06:37 UTC 版)
S.W.A.T. | |
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S.W.A.T. | |
監督 | クラーク・ジョンソン |
脚本 | デヴィッド・エアーデヴィッド・マッケンナ |
原案 | ロン・ミタジム・マクレイン |
製作 | ニール・H・モリッツダン・ハルステッドクリス・リー |
出演者 | サミュエル・L・ジャクソンコリン・ファレルミシェル・ロドリゲスLL・クール・Jブライアン・ヴァン・ホルトジェレミー・レナージョシュ・チャールズオリヴィエ・マルティネス |
音楽 | エリオット・ゴールデンサール |
撮影 | ガブリエル・ベリスタイン |
編集 | マイケル・トロニック |
製作会社 | オリジナル・フィルム |
配給 | コロンビア ピクチャーズ |
公開 | ![]() ![]() |
上映時間 | 117分 |
製作国 | ![]() |
言語 | 英語 |
製作費 | $80,000,000[1] |
興行収入 | $116,600,000[1]![]() |
次作 | S.W.A.T. 闇の標的(英語版) |
テンプレートを表示 |
『**S.W.A.T.**』(スワット、_S.W.A.T._)は、2003年公開のアメリカ合衆国のアクション映画。1970年代に同国で製作されたテレビドラマシリーズ『特別狙撃隊S.W.A.T.』のリメイク作品[3]。
題名通り、SWATに所属している警察官の活躍を描く。SWATの新チーム結成と訓練をリアルに描写する前半と、麻薬王の護送任務に端を発する大がかりな市街戦が展開される後半との二部が描かれる。
あらすじ
ロサンゼルスで自動小銃で武装した銀行強盗事件が発生し、パトロール警官だけでは対処できないため、ロサンゼルス市警察はSWATを出動させる。警察は交渉人を使った解決を第一に考え、SWAT隊員を要所に配置し建物を封鎖した上で電話による交渉を始める。ところが配置についていた隊員の一人であるギャンブル巡査は、一緒に行動していた同僚のストリート巡査の忠告も聞き入れず、待機命令を無視して独断で店内に進入してしまう。そして突入部隊への射撃許可が出ていないにもかかわらず勝手に犯人に向け発砲し、しかも人質の女性を誤射して負傷させる。ギャンブルに引きずられるように行動したストリートが犯人を銃で制圧し、なんとか事件は解決したものの、命令無視と人質を負傷させた責任は重かった[注釈 1]。SWATの責任者であるフーラー警部は二人を呼び出し、その責任について厳しく問い詰める。二人の直接の上司であるベラスケス警部補がフーラーに嘆願し、SWATからは外されずスカンクワークス(武器庫の管理及び銃器調整、オリジナル装備開発担当)への異動という寛大な処分になったが、ギャンブルはこれを不服として警察を依願退職する。一方ストリートは左遷を受け入れ警察に残るが、自分と一緒に警察を辞めなかった彼をギャンブルは「SWATに戻るために俺を売った」とストリートを責め、二人の友情もそこで終わる。
ストリートがスカンクワークスで働き始めて半年後、ホンドーことダン・ハレルソン巡査部長がチューンナップを頼むためにSWATにやってくる。ホンドーは海兵隊フォース・リーコン隊員としてベトナム戦争に出征した経験を持ち、かつてSWAT隊員であったが、フーラーとの対立の末にSWATをやめた経緯があった。しかし警察、とりわけSWATに対する非難が相次いでいることから、てこ入れとして再び呼び戻されたのだ。ホンドーはパトロール警官のディークとサンチェスをスカウトし、それに現隊員のボクサーとT.J.、隊員に復帰させたSEALs出身のストリートで自分が指揮する突入班を作ろうとする。彼らは厳しい訓練と試験を乗り越え、正式にSWATの突入班として認められた。
同じ頃、フランスからロサンゼルスにやってきた麻薬組織のボスの息子・アレックスは、組織の金を横領したLA在住の叔父を殺害し、組織を自分の支配下に置く。その後叔父の車に乗って市内を移動していると、たまたま車のテールランプが故障していたことから白バイ警官の職務質問を受ける。警官がナンバーを照会すると叔父に逮捕状が出ていたことがわかり、その車を運転していたアレックスは警察署に連行され、そのまま身柄を拘束される。偽造パスポートを所持していたため彼の本当の身元が判明せず、拘束期間は延び続けた。やがて業を煮やしたアレックスは、部下を使って脱獄することを思いつく。
それからしばらく後。ホンドーの突入班が、パンツ一枚で散弾銃を乱射しながら住居に立てこもる男の逮捕に見事成功した直後、ベラスケスが新たな任務を命令する。アレックスの身元がついに判明し、彼が国際指名手配中の麻薬組織の幹部であることがわかったのだ。その時アレックスはロサンゼルス郡保安局の護送車に乗せられ移動中だった。ホンドーらはこの護送車と合流し、彼の身柄を引き受けて連邦刑務所に移送することになった。しかし既にアレックスは部下に手を回し、市警察に偽装した彼の部下が護送車からボスを取り戻そうとしていた。本物のロス市警察と勘違いした保安官は護送車を停止させてしまい、部下らは銃で保安官を射殺、アレックスを連れ出した。まさしくその時、ホンドーらが護送車に追いつく。路肩に並んで停止しているパトカーと護送車に警戒しつつ近づくと、偽警官の男がサブマシンガンをホンドーらに向けて発砲する。すぐに応戦し偽警官らは制圧され、偽パトカーで逃げようとしていたアレックスも逮捕される。
一時拘留のため市警察に連れてこられたアレックス。テレビのリポーターがフェンス越しにインタビューを試みると、アレックスはテレビカメラに向かって「俺を逃がしてくれた者には1億ドル出す」と公言。このコメントがテレビを通じて大々的に報道されてしまい、それを見て真に受けた悪人どもはアレックス奪取のために蠢動し始める。そして1億ドル目当てのギャング集団と、ホンドーらSWATの「戦争」が始まった。
登場人物・キャスト
演 - サミュエル・L・ジャクソン
SWATのリーダー。階級は巡査部長。元海兵隊。完璧なプロ意識を持つが部下に呼び捨てで呼ばせるなど分け隔てない性格。ベトナムで偵察部隊を2年努め、その後教官を4年勤めた。世間からの評判が悪くなったSWATの名誉回復のために上層部からSWATのリーダーとして任命される。
ジム・ストリート
演 - コリン・ファレル
SWAT隊員。海軍特殊部隊にも籍を置いた過去がある。相棒のギャンブルが起こした事故が原因で左遷されるが、ホンドーの働きかけでSWATに復帰する。
クリス・サンチェス
演 - ミシェル・ロドリゲス
SWAT隊員。シングルマザー。本庁に4年勤務して、スワットの試験に3回合格したが、そのたびにフーラーに拒否されていた。気が強い。テキーラが嫌い。
“ディーク”ディーコン・ケイ
演 - LL・クール・J
SWAT隊員。陽気な性格。妻子持ち。父親は料理上手。
マイケル・ボクサー
演 - ブライアン・ヴァン・ホルト
SWAT隊員。ストリートの元彼女の兄。このことから当初はストリートに冷たく接する[注釈 3]。妻と娘がいる。アレックスの護送中にギャンブルに撃たれる。
T・J・マッケイブ
演 - ジョシュ・チャールズ
SWAT隊員。狙撃手。ストリートとギャンブルとは物語開始前からの付き合い。ギャンブルと手を組み、アレックスの護送中に警察を裏切る。
ブライアン・ギャンブル
演 - ジェレミー・レナー
元SWAT隊員。ストリートの元同僚であり親友でもあったが[注釈 4]、攻撃的な性格ゆえに作戦に支障をきたした自分に非があり、それでいて寛容な措置で解雇されなかったにもかかわらず、納得がいかないとSWATを自主退職し、自分と一緒に辞めなかったストリートを逆恨みする。その後は無法者とつるむようになる。アレックスの「逃がしてくれたら1億ドル払う」というニュースに乗り、犯罪者たちと共に暴走する。
アレックス・モンテル
演 - オリヴィエ・マルティネス
麻薬王。彼が捕まり、その様子を映し出されたニュースで「逃がしてくれたら1億ドル払う」と告げたことが大騒動の始まりとなる。父親を引退させて今の地位に就いた。指名手配されている叔父の車を用いて逮捕されるなど、非常に詰めが甘い。
グレッグ・ベラスケス
演 - レグ・E・キャシー
ストリートとホンドーの上司。階級は警部補。ギャンブルの起こした事故の罰を軽くしてくれるなど部下に優しい性格で、ホンドーの友人でもある。
トーマス・フーラー
演 - ラリー・ポインデクスター(英語版)
ストリートとホンドーの上司。階級は警部。平和を守る正義感はあるが日和見の気があり、ホンドーとストリートのことが気にくわないでいる[注釈 5]。逆にホンドーのほうも「小役人」とフーラーを蔑んでいる。
トラヴィス
演 - ペイジ・ケネディ(英語版)
スワット除隊後のギャンブルの仲間
GQ
演 - ドメニク・ランバルドッツィ
エド・テイラー
演 - ジェフ・ウィンコット(英語版)
マーティン・ガスコイン
演 - ケン・デイヴィシャン
アレックスの叔父。組織の金を横領した咎でアレックスに殺される。
ガス
演 - ジェームズ・デュモン
スカンク・ワークの職員。妻がいる。
日本語吹替
役名 | 俳優 | 日本語吹替 | |
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ソフト版 | 日本テレビ版 | ||
“ホンドー”ダン・ハレルソン | サミュエル・L・ジャクソン | 大塚明夫 | 玄田哲章 |
ジム・ストリート | コリン・ファレル | 森川智之 | 竹若拓磨 |
クリス・サンチェス | ミシェル・ロドリゲス | 朴璐美 | 安藤麻吹 |
“ディーク”ディーコン・ケイ | LL・クール・J | 山野井仁 | 西凜太朗 |
マイケル・ボクサー | ブライアン・ヴァン・ホルト | 古田信幸 | 金尾哲夫 |
ブライアン・ギャンブル | ジェレミー・レナー | 高木渉 | 桐本琢也 |
T・J・マッケイブ | ジョシュ・チャールズ | 青山穣 | みやざこ夏穂 |
アレックス・モンテル | オリヴィエ・マルティネス | 咲野俊介 | 成田剣 |
グレッグ・ベラスケス | レグ・E・キャシー | 大川透 | 小島敏彦 |
トーマス・フーラー | ラリー・ポインデクスター | 田原アルノ | 江原正士 |
ハワード | デニス・アーント | 長島雄一 | 岩田安生 |
ガス | ジェームズ・デュモン | 遠藤純一 | 天田益男 |
マーティン・ガスコイン | ケン・デイヴィシャン | 長島雄一 | 魚建 |
トラビス | ペイジ・ケネディ | 竹田雅則 | 大黒和広 |
SWATトラックドライバー | スティーヴ・フォレスト[5] | 長島雄一 | |
演出 | 伊達康将 | 松川陸 | |
翻訳 | 松崎広幸 | ||
調整 | 金谷和美 | ||
制作 | 東北新社 | ACクリエイト | |
初回放送 | 2006年4月21日『金曜ロードショー』21:03-22:54 |
2012年8月1日に『水曜プレミアシネマ』で放送された際、公式サイトやデータ放送ではテレビ版のキャストが表記されていたがこれは誤りで、実際に放送されたのはビデオ版の音源だった[6]。
スタッフ
- 監督:クラーク・ジョンソン
- 製作:ニール・H・モリッツ、ダン・ハルステッド、クリス・リー
- 原案:ロン・ミタ、ジム・マクレイン
- 脚本:デヴィッド・エアー、デヴィッド・マッケンナ
- 撮影:ガブリエル・ベリスタイン
- 編集:マイケル・トロニック
- 音楽:エリオット・ゴールデンサール
作品解説
冒頭の銀行強盗事件
冒頭の銀行強盗事件は、実際に起こったノースハリウッド銀行強盗事件に基づいて作られたシーンである。
1997年2月28日午前9時15分、2名の銀行強盗、ラリー・フィリップスとエミール・マタサリーニュがノースハリウッドにあるアメリカ銀行支店に押し入り、その後携行していたルーマニア、及び中国・ノリンコ(中国北方工業公司)製AK-47を発砲しながら逃走。犯人グループは比較的貫通力の高いフルメタルジャケット弾(軍用としては一般的であり、特別な物ではない。市販もされている)を装填していた。フィリップスとマタサリーニュは警察に射殺されたものの、犯人の発砲により12名の警察官と2名の民間人が負傷した。
この事件は防弾チョッキとAK(カラシニコフ自動小銃)で武装した犯人の火力に対し、警官が装備する拳銃と、パトカー毎に配備するショットガンでは、射程の短さや貫通力の弱さでアサルトライフルに対抗するのは困難であるという教訓を与えた。(手足にも防弾チョッキを加工した物を巻き付けているため被弾しても致命傷にならず反撃してきた)これにより全米の各警察でパトロール警官の装備見直しが行われ、今はM16クラスのアサルトライフルやサブマシンガンをパトカーに配備する警察もある。
作品の小ネタ
テレビドラマシリーズ『特別狙撃隊S.W.A.T.』のオリジナル版のキャストだったスティーヴ・フォレストとロッド・ペリーがカメオ出演している。また、突入班発足を祝うパーティの場面で、「明日からはSWATだ」というセリフの後、テレビシリーズのテーマ曲「反逆のテーマ」("Theme from S.W.A.T.") を口ずさむシーンがある。
日本公開時のキャンペーン
日本での公開開始は2003年9月27日であったが、公開開始から4週間は「中1映画デビュー応援キャンペーン」として、生徒手帳で中学1年生であることを示せば全国の映画館で無料で鑑賞することができた。[7]
続編作品
脚注
注釈
- ^ ただし、犯人たちは人質を殺害するつもりだったようで、実はギャンブルの行動で最低限の被害に収まっていたという見方もできる。
- ^ 『特別狙撃隊S.W.A.T.』では「ホンド」と表記されているが、本作での表記は「ホンドー」となっている。
- ^ ちなみに妹は28歳。
- ^ 曰く、5年以上の付き合い。
- ^ ただし、能力は認めている。
出典
- ^ a b “S.W.A.T.”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年1月14日閲覧。
- ^ 2003年興行収入10億円以上番組 (PDF) - 日本映画製作者連盟
- ^ 突入班発足を祝うパーティの場面で、「明日からはSWATだ」というセリフの後、このテレビシリーズのテーマ曲「反逆のテーマ」("Theme from S.W.A.T.") を口ずさむシーンがある。
- ^ “S.W.A.T.”. ソニー・ピクチャーズ公式. 2020年6月26日閲覧。
- ^ テレビシリーズ『特別狙撃隊S.W.A.T.』に“ホンド”隊長役で出演。
- ^ “8月1日放送『S.W.A.T』のテレビ欄やEPG、データ放送での情報において吹き替え声優の情報が誤っておりました。”. 『水曜プレミアシネマ』公式Facebook (2012年8月2日). 2012年8月9日閲覧。[_リンク切れ_]
- ^ “『S.W.A.T.』中1“映画館デビュー”応援キャンペーンの実施のお知らせ”. CINEMATOPICS (2003年9月17日). 2022年12月7日閲覧。
外部リンク
SWAT (CCPD SWAT)
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固有名詞の分類
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