スモーキーかつ軽やかなアイラのシングルモルト!多くのブレンデッドウイスキーを支えていた カリラ蒸留所 Caol Ila Distillery | Yaffee’s whisky blog (original) (raw)

目次

カリラCaol Ila蒸留所について

カリラはアイラ島の北で作られているシングルモルトウイスキーです。

ゲール語で「アイラ海峡」という意味。

アイラ島のウイスキーは「北はライト、南はヘビー」と表現されることがあります。

カリラはまさにアイラ島の「北のライト」タイプの代表格

スモーキーでありながらライトな味わいは多くのファンを虜にしています。

さらにこのカリラ蒸留所はアイラ島で最大の生産量を誇る蒸留所

その生産能力は100%アルコール換算で年間650万ℓ製造できるほど!!(仮にアルコール度数50%のウイスキーなら1300万ℓということ)

実際の年間ウイスキー生産量は660万ℓ前後ぐらいだそうですが、それでもすごい量ですよね。

ただそんなに大量にウイスキーがつくられているのに、同じアイラ島でもボウモアやラフロイグよりメジャーではないの、不思議じゃありませんか??

実はカリラは、2002年までほとんどすべての原酒がブレンデッドウイスキー用でした。

蒸留所からオフィシャル12年のシングルモルトが定番リリースされたのが、2002年

それまでは知る人ぞ知る蒸留所でした。

カリラが使われていたブレンデッドウイスキーで最も有名なところでいうと、「ジョニーウォーカー

ジョニーウォーカーのスモーキーフレーバーはカリラが支えていたといってもいいと思います。

また、スコッチブレンデッドウイスキーでアイラモルトが入っていないものはないといわれていますが、そのほとんどを担っているのがカリラ蒸留所の原酒です。

多くのブレンデッドウイスキーを支え、縁の下の力持ちのような存在だった「カリラ」

今回はそのカリラ蒸留所に注目してご紹介しようと思います!!

カリラCaol Ilaのストーリー

カリラは1846年、ヘクター・ヘンダーソンが設立しました。

しかし、その六年後アイラ海峡を隔てた反対のジュラ島にあるジュラ蒸留所のオーナー、ブキャナンに売却

さらにまた5年後にはブキャナンがグラスゴーの大手ブレンダー「バロックレイド」に身売り

という散々な扱いを受けます。

1920年、DCL(現ディアジオ社)の傘下になり、ようやく落ち着きました。

大戦後も創業と停止を繰り返していましたが、1972~74年にかけて熟成庫以外の設備を建て替え、近代的な蒸留所へと変貌を遂げます。

長い歴史のあるカリラですが、シングルモルトとして知られるのはだいぶ先になってからでした。

当時のカリラはほとんどがブレンデッドウイスキー用で、さらにジョニーウォーカーの大切なキーモルトの一つでした。

シングルモルトとして出回ったのは「花と動物シリーズ」という限定リリースのウイスキーぐらい。

モルトファンに人気の高いシリーズで、

この時のカリラはアザラシが描かれていたそうです。

(見てみたいし、飲んでみたかった。。。)

この当時、ディアジオ社でアイラのシングルモルトといったらラガヴーリン

カリラは定番リリースされることはなかったそうです。

そんなカリラに転機が訪れたのは2002年になってから。

2002年にヒドゥンモルトシリーズ(隠れたモルトシリーズ)の一つとして12年、18年、カスクストリングスの3つがリリースされました。

同じ時期にヒドゥンモルトシリーズでリリースされたクライヌリッシュ、グレンエルギン、グレンオードの中で3種類もリリースされたのはカリラだけでした。

当時のアイラモルトブームがわかりやすい結果ですね!!

このリリースで多くのファンを獲得し、カリラは一躍有名なシングルモルトとなっていきました。

カリラCaol Ilaのこだわりの製法

カリラの年間生産量はアイラ島No.1 であり、スコッチ全体で見てもかなり多い生産量です。

今でもディアジオ社だけでなく、他社のブレンデッド用原酒も多く製造しています。

そのためかなり大きい生産規模ですが、シングルモルトとして出回る量はそこまで多くないです。

カリラで使われる麦芽はラガヴーリンと同じ、ポートエレン製のピーデット麦芽(フェノール値34~38ppm)

しかし、ラガヴーリンとは全く違った方向のモルトウイスキーを作っています。

ラガヴーリンは重厚感のあるリッチなアイラモルトですが、カリラはスモーキーかつ軽やかなアイラモルトを目指しています。

それもブレンデッドウイスキー用原酒として使いやすいさを目指した結果だと思います。

カリラではポートエレン製の麦芽を1回の仕込みに12.5tも使います。

その麦芽をピートの色が濃いナムバン湖の水と一緒にし、糖化させていきます。

糖化槽は最新鋭のブリックス社製で5万8000ℓもの麦汁を一気に抽出。

これを1基の発酵槽に移して発酵させていきます。

発酵槽は全部で10基(木製が8基のステンレス製が2基だそうです)

この時に使用される酵母はラガヴーリンと同じリキッドイーストだそうです。

最低55時間かけてアルコール度数8~10%のモロミを作っていきます。

カリラでは1999年からにノンピート麦芽でも仕込みを行っています。

その量は全体の30%ほど。

ピートが特徴のアイラモルトでは珍しい存在です。

ただカリラのノンピートタイプ、意外とすっごく美味いです!!(笑)

下のラインナップでご紹介させていただきます!

カリラのポットスチルは全部で6基ですが、一つ一つがかなりの大きさだそうです。

背の高く、すべてがストレートヘッド型

またラインアームが水平で、ラガヴーリンとは違った軽やかな酒質はこのポットスチルから生まれているそうです。

またミドルカットも75~65%とアイラモルトの中でもかなり前寄り。

そのため、軽やかなフレーバーを多く抽出できます

ただ蒸留後のカリラはタンクローリーに詰めて、本土で熟成させるそう。

アイラ生まれですが、育ちは本土の熟成庫だそうです。

またカリラの熟成には、個性が出やすいファーストフィルの樽は基本的に使われないそうです。

カリラには所々に「軽やかさ」を目指したこだわりが詰められています。

そのためでしょうか。

個人的にですが、アイラモルトで最も様々な料理やカクテルに使いやすいモルトウイスキーだと思います。

カリラは魚介系のおつまみにも合いますし、肉系のおつまみにも合いやすいです!!

もしかしたらブレンデッド用だったためにいろんな味わいになじみやすいのかもしれないですね!!

ラインナップ

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カリラ 12年 Coal Ila 12yo

ピーティでスモーキーかつ華やかでライトなカリラで最もスタンダードな一本。

初めて飲まれる方はスモーキーさで分かりにくいかもしれませんが、

慣れてくるとその奥にある軽やかでフルーティなニュアンスにとりつかれていくと思います(笑)。

前記したように様々な料理に合いやすいというのも魅力の一つです!!

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カリラ 15年 アンピーデット Coal Ila 15yo

アイラ島のモルトでは珍しいノンピートタイプのウイスキー。

僕はこのカリラ15年を飲んでカリラにはまっていきました!(笑)

今までスモーキーさの陰に隠れて感じにくかった味わいがわかりやすいです!

レモンや塩水につけたリンゴのような味わいがはっきりと現れてくると思います。

多分仕込み水由来ですが、ややスモーキーでピーティなフレーバーも残っていてすごく面白い一本だと思います!

ちょっとお値段がお高いですが、おすすめしたい一本です。

ボトル買いするのは……と思いの方は、バーでよく置いてあるので、ぜひ見かけたら飲んでみてください!

蒸留所データ

創業……1846年

創業者……ヘクター・ヘンダーソン

オーナー会社……ディアジオ社

年間生産能力(100%アルコール換算)……650万ℓ

仕込み水……ナムバン湖

使用麦芽……ポートエレン製34~38ppmのピーデット麦芽がメイン。30%ほどノンピート

発酵槽……オレゴンパイン製8基、ステンレス製2基

発酵時間……最低55時間(モロミAlc8~10%)

ポットスチル……初留釜3基、再留釜3基

ミドルカット……Alc.75~65%

生産区分……アイラ

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この記事を書いた人

香りづけに使用したことからウイスキーにどっぷり嵌ってしまった料理人です。
調理師の仕事をしつつ、ウイスキーと料理の魅力を紹介するためにブログ・メディアを作成。
様々な視点からウイスキーを解説しています。

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