エノコログサ/狗尾草を詠んだ短歌 今,鎌倉の空き地では狗尾草がかなり優位になっています.古来から愛されてきたこの雑草が粟の祖型.知りませんでした. ゑのこ草おのがころころほに出でて秋おく露のたまやどるらん 藤原為家 コ… (original) (raw)
今日も曇り空の江の島.夕方雨は止んだのですが----
昨日訪れた鎌倉.空き地にはヒメジョオン.そして,ヒルガオかと思ってよく見たらペチュニアも.
2カ所行き当たった空き地で,一番優勢だったのがエノコログサ.2カ所目は海岸にかなり近い場所だったので,変種のハマエノコログサかとも思いましたが---
エノコログサは,漢字で狗尾草.時として乱暴につけられてしまう雑草の名前ですが,これはとても良い名だと思います.古来愛されてきた草なのかなと思います.
「狗尾草」(子犬の尻尾の草)は漢名ですが,日本語の意味からすれば,ほとんど使われていないもう一つの漢字「狗児草」(子犬の草 **日本国語大辞典**)が日本語名と合っているように思います.
別名にエノコグサ(日本国語大辞典). よく知られた別名ネコジャラシも良い名ですね.
アジア原産とされますが,ヨーロッパにも広がっていて,アメリカ大陸にも帰化しているとのこと.
英語でも動物の尾や毛に例えられていて:
green foxtai(緑のキツネの尾),green bristlegrass(緑の逆立った毛の草)またはwild foxtail millet(野生の「”キツネの尾のmillet”=粟」).**https://en.wikipedia.org/wiki/Setaria_viridis#cite_note-GRIN-1**
最後のfoxtail milletは,「粟」を意味する英語にもなっています.「野生の粟」がエノコログサの別名ということで,実は,これは植物学的に正しい名前!
「エノコログサは栽培品のアワの祖型とみられており,形態的にはコアワを経てアワへつながっている」(改訂新版世界大百科事典)
エノコログサが,少なくとも歴史的にはとても重要な穀物で,多くの人類が命をつないできた粟の元の姿とは!私は全く知りませんでした.
https://ja.wikipedia.org/wiki/アワ
エノコログサ/狗尾草を詠んだ短歌
(古今短歌歳時記より)
ゑのこ草おのがころころほに出でて秋おく露のたまやどるらん 藤原為家 夫木集
くさむらのしげみ離れて二三本(ふたみもと)狗尾草の穂はなびくなり 岡麓 小笹生
コップにゑのころぐさの若き穂と露草をなげて朝の食卓 結城哀草果 まほら
秋はやく枯れはじめたる草の上にゑのころ草の穂はぬきいでぬ 長谷川銀作 木原
涙こらへこのしづかさもまもるなるゑのころ草のをさな穂の花 福田栄一 この花に及かず
猫じやらしの淡(うす)き黄の穂の相寄りてひかりのなかに皆顫(ふる)ひつつ 宮柊二 晩夏