日本の運動圏の学生・青年層にオススメの吉本隆明五選(著作四選+解説書一選) (original) (raw)

日本の運動圏の学生・青年層にオススメの吉本隆明五選(著作四選+解説書一選)

Recommended books written by Takaaki Yoshimoto(1924-2012) for young revolutinaries in Japan.

①「擬制の終焉」(『吉本隆明全集6』晶文社、収録)

→56年スターリン批判、55年日本共産党第六回全国協議会決議を受けてゆらいだ日本共産党の唯一の前衛党という神話が60年安保闘争を経て決定的に崩壊する過程を書き決定づけた著作。

②「転向論」(『吉本隆明全集5』晶文社、収録)

コミンテルンから日本の共産主義革命家に対して出されたいわゆる32テーゼに直面して日本封建性への屈服を果たした転向者らについて論じる。日本において革命運動に取り組むにあたって本書や周辺知識の学習は必須であろう。

③「「前衛」的コミュニケーションについて」(『吉本隆明全集6』晶文社、収録)

→60年安保闘争においてブント全学連に同伴した吉本隆明は一次ブントの四散後一部が革共同(革命的共産主義者同盟)へと転身していったことが気に食わなかった。革共同的政治運動スタイルに対する吉本的立場からのポレミカルな批評文。

④「過去についての自註」(『吉本隆明全集7』晶文社、収録)

→吉本自身の敗戦体験や職場での労働組合運動(当時就職していた東洋インキで吉本は労働組合長に就任し一大闘争を闘っている)の経験をもとに「敗北するとはどういうことか」について述べられる重要著作。

⑤『吉本隆明1968』(平凡社ライブラリー鹿島茂)

吉本隆明全共闘運動を担った68年世代の当時の青年層にどのように受容されたのか、どういう意味で革命運動への思想的影響力を持ったのかということが、『共同幻想論』などの現在では代表作とされる著作ではない初期から60年安保闘争前後に至るまでのポレミックな批評作品に焦点を絞って解説されます。反スタ(60年安保まで)、そして反・反スタ(68年に至るまで)としての吉本隆明の革命運動に随伴した批評シーンにおける思想的営為を、当時の左翼学生の受容の仕方に沿って追体験するにはもってこいの著作です。