すごもりシネマ (original) (raw)

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雑踏の中に迷い込んだ気分で…今は映画に向き合えず…

2024年になってあっという間に2ヶ月が過ぎます。

今年もたくさん映画を観て思いの丈を語りたい!と、思っていたものの、生活のリズムが少し変わり、歳のせいか気力が長続きせず…映画に向き合う気持ち自体が若干弱まっています。

某映画レビューサイトで2019年から月に数本のレビュー記事を書いていましたが、去年の夏ごろから映画を観るのが精一杯で、すぐに執筆に取り掛かれない…そんな状況でした。

生業ではありませんがサイトの管理運営をしているメンバーは、映画に対する思いが遊びではありません。とても真摯に向き合っている人達ばかりです。

そんな方々がど素人の私にも誠意をもって対応してくださり、感謝するとともになんとなく申し訳ない気持ちに陥りました。

そしてその反面、私には私なりの映画の愛し方があるのでは?と思うようにもなりました。自分が見たい映画を好きなタイミングで観て、感じたことをブログに書く…本来の私に帰ろうかなと思っています。

すこし去年観た作品を振り返ります。

【2023年観た映画のベスト監督】

イ・チャンドン(韓国)監督です。

8月に『イ・チャンドン アイロニーの芸術』というドキュメンタリーと、期間限定で監督作品が上映されました。

その中で私が鑑賞したのが、『ペパーミント・キャンディー』(1999)、『オアシス』(2002)です。

イ・チャンドン監督はその時代でタブー視されている社会問題に切り込んできた監督です。監督は自国内の社会問題を取り上げつつ、世界共通の認識に立って“人”としての在り方や人生について作品に落とし込んでいます。

多様性への肯定を求められる昨今に理解と共感、生き辛さを抱える人たちには力強く生きるヒントが描かれていました。

cinemarche.net

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【2023年観たアニメのベスト作品】

関連記事は書いていません。2023年視聴したアニメのベストは、Netflixで配信された『PLUTOプルートウ)』がとても印象深く、AI技術の発達が目まぐるしくなっている現代で、そのAI(ロボット)と共存する近未来の地球の危機を描いたものです。

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原作は浦沢直樹のマンガですが、内容は手塚治虫の『鉄腕アトム』に登場する、世界最大のロボットPLUTOに焦点をあて、より人間に近い形となったアトムが登場します。

とある陰謀で世界各国で誕生した有能な“ロボット”が次々と破壊され、ロボット刑事であるゲジヒトが、謎の巨大ロボットが関係している情報をつかみ、やがてAIとは別次元の能力によって、アトムや妹のウランも関わっていきます。

【2023年ベスト作品:邦画】※順位ではなく鑑賞順

ネタバレレビューを読みたい方は作品名をクリック

  1. せかいのおきく
  2. 658km、陽子の旅
  3. アンダーカレント
  4. 愛にイナズマ
  5. 花腐し
  6. 市子

【2023年ベスト作品:洋画】※順位ではなく鑑賞順

  1. イニシェリン島の精霊
  2. The Son/息子
  3. 生きる LIVING
  4. EO イーオー
  5. CLOSE クロース

2023年もすてきな映画に出会えました。そういう出会いはこれからも続きます。

男の子?女の子?なりすましの夏休み

(C)Hold-Up Films & Productions / Lilies Films / Arte France Cinéma 2011

夏休み中(春休み中)に引越してしまった子、新学期に転校生が来たことってわりと多くあります。

親の仕事の都合だったり、郊外に家を買った(建てた)家族だったりですが、親の仕事都合だと春休みが多かった気がします。夏休みに引っ越すことを視野に家を購入する家庭も多いですよね。

かくいう我が家も夏休みになったら引っ越せるよう、家をオールリフォームしたくちでございます。ご近所のマンションを借り住まいにしたので、遠くに引越ししたことはないんですけどね。

さて、今回ご紹介する映画『トムボーイは**セリーヌ・シアマ監督**の フランス映画です。欧米では夏休み後が新学期(進級)ですが、その夏休み中に家族が増えるため、郊外の大きめの家に越して来た10歳の主人公のお話です。

この主人公はロールという名の女の子なのですが、以前の家では近所の男の子とばかり遊んでいたため、髪も短くし服も動きやすい格好ばかりしてました。

引越し先でもサッカーをして遊ぶ男の子たちと、すんなり仲間になって遊べますが・・・。そこで彼女がとった行動は、偽名まで使って男の子になりすますこと。それが新学期直前までバレない話です。

この引くに引けなかった夏のできごとは、夏休み最大の思い出になったことでしょう。

お題「忘れられない夏、夏休みの思い出ありますか?」

★ネタバレ記事を読みたい方は↓↓↓

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男の子に間違えられてばかりだった幼少期

私も10歳の頃はよく男の子に見間違えられました。女の子と手を繋いで歩いていると、「最近の子供は手つないでデートするんだ!ませてるよね」と後ろから声をかけられて、顔をまじまじ見られて、「あれ?もしかして女の子?」と聞かれたことがあります。

「女の子です!」と強めに言いつつもちょっと傷ついたりして・・・。でも、この映画の主人公ロールのように、近所に同世代の女の子がいなかったわけでもなく、おままごとやお人形遊びもしましたけど・・・。

でも、見た目が男の子っぽいということでいえば、生まれた時からそうだったみたいです。母は女の子らしい色のベビー服を着せてくれましたが、散歩していると「最近は男の子でもピンクを着せるのね」と言われたとか・・・。

今では着ている服の色で性別を・・・なんて考えられなくなりましたが、まして半世紀以上も昔なら“ピンク=女の子”でしょ?なぜ、男の子と言った?疑問しかないけど(笑)母も笑うしかなかったらしい。

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セリーヌ・シアマ監督と出会ったきっかけ映画

セリーヌ・シアマ監督は自ら同性愛者を公言していて、10代の頃にはLGBTの自覚はあったようです。同監督の第79回カンヌ国際映画祭脚本賞クィア・パルム賞を受賞を受賞した**『燃ゆる女の肖像』**でも、同性愛を扱った内容の作品です。

私は『トムボーイ』をきっかけにセリーヌ・シアマという監督を知り、シアマ監督の魅力に引き込まれ、のちに秘密の森の、その向こうの記事を書くにあたり、初監督作品の**『水の中のつぼみ』**を観ました。

『水の中のつぼみ』は思春期の少女が、上級生の少女に恋をするストーリーで、シアマ監督にも同じシチュエーションの思い出があり、それがモチーフになっています。

このように彼女の監督作品は自身の体験も活かしながら、とりわけ“少女”を愛らしくミステリアスに、思春期の頃の繊細な心の機微を描くことに秀逸していると感じます。

まとめ

(C)Hold-Up Films & Productions / Lilies Films / Arte France Cinéma 2011

“夏休み”とは引越しが多くなる時期でもあり、新しい恋が始まるきっかけの季節でもあります。その相手が必ずしも異性とは限りません。

ようやくセクシャルマイノリティーを理解し、寛容な見方もされてきましたが、見えない部分での無理解は残っているのが現状です。

そんな中、こうして段階を踏むような映画がいくつも撮られ、私もいくつかそうした“機微”に触れ、「人が人を愛することは美しいこと」と思わせてもらえてます。

皆様にもぜひこの夏、観てほしい映画です。きっと、引くに引けなかった夏の思い出を思い出す事でしょう。

お題「ゆっくり見たい映画」

トムボーイ【日本語字幕版】【Blu-ray】

忘れられない夏・・・といえば、2022年の夏。

(C)2022「SABAKAN」Film Partners

お題「忘れられない夏、夏休みの思い出ありますか?」

ちょうど一年前くらいになりますが、家族4人全員が新型コロナに感染し家がカオス状態になったことですねぇ。

子供(成人男子)2人が先に発症し、1日遅れで私が発症して夫がさらに2日後に発症しました。だいたい同じ時期に集中してだったので、隔離期間中は大の大人が4人家の中で・・・カオスとしか言いようがない(笑)。

隔離してる意味もなくなり動けるようになると、家の中は自由に行き来してましたが、時間はあるのに倦怠感で好きな映画(配信)も観る気にならず辛かったです。

しかも、映画館で公開中の映画記事を書かなければならず、ちょうど公開日と重なって鑑賞できなかったという事例もあり…記事の執筆を初キャンセルするという事態に・・・。

そんな去年の夏から1年。新型コロナウィルスが消滅したわけではないし、感染者の状況が今どんな風なのかもわかりませんが、ようやく5類に引き下げられ今年の夏はイベント関係も復活、映画も以前のようにたくさん公開され、生活自体は日常を取り戻して嬉しい限りであります。

今回ご紹介する映画『サバカン SABAKAN』(劇場公開日2022年8月19日)は隔離機関が明けて、最初に映画館で観た映画になります。

公開初日舞台あいさつ付の会に行ってきました。この時、主演の番家一路くんも新型コロナに感染してしまい欠席でした。

(C)2023.からさわゆみこ

1980年代の夏・・・小学生の夏休み

舞台は1986年、夏の長崎です。キン肉マン消しゴム“アイドル全盛期”の80年代に小学生だった人には、懐かしく感じる時代でしょう。

私的には・・・作中に登場する高校生と同世代でして、ヤンキーや流行っていたアイドルとも同世代なので、懐かしく観ることができました。

それと同時に貧困家庭の子供の生活状況や貧困家庭に対する地域の気配り、そういう場面が出てくるのですが、1980年代の後半ころは今ほど支援制度があまりよくなくて、生活保護くらいしかなくても、“ご近所”からの助け合いや見守りが普通にあって、家族も結束力がある時代だった気がします。

今は支援制度も整っているし、学校も高校無償化とか恵まれていると感じますが、それでも「足りない」という不満の声もあり、あの頃の大人や子供の我慢強さや努力する姿勢は今とは違っているのだなって感じます。

時代が違うと一括りには言えない、人としての質も随分変わったのだと思います。困っている人をさりげなく助けたり、精神的に負担をかけないそういう優しさがなくなっているのか、必要としていないからなのかわからないけど、人はずいぶん弱くなりました。

★ネタバレを知りたい方は↓↓↓★

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思い出・・・小学校時代の夏休み、友達のこと

時代は少し遡りますが1970年代、私も小学生の頃は小さな冒険をするような子供で、大人達とバスで行ったことのある場所へ、2歳下の弟や近所の友達と一緒に徒歩で出かけてみたり、小銭をいっぱい持ってバスや電車を乗り継ぎ動物園に行ったり、今思い出すと・・・ちょい悪な行動もしていたと・・・、今じゃシステム上できない悪さもあのころは、度胸でできたんだなぁみたいな💦

サバカン SABAKAN』を観て自分にも身に覚えのある、冒険のドキドキとワクワク、親に叱られる・・・という恐ろしさそんなことを思い出すのですが、それは全部夏休みのできごとだったなぁと・・・思い出しました。

そして、自分も子供の頃にずいぶんとご近所の人たちに助けていただいたし、父子家庭、母子家庭で貧しい家庭の友達がどこかへ引っ越してしまうのを見てもきました。

病気がちのお母さんが亡くなって、身の回りの世話をしてもらえなかった友達が、お父さんと突然越していったこと。兄弟が多くお父さんが日雇いで、貧しい暮らしをしていた友達は、仕事中の事故でお父さんが亡くなり、保険金と労災で一気にお金持ちになって越して行った子もいました。

お別れの日、毎日同じ服しか着ていなかった子が、真新しいフリルの付いたワンピースを着てきて、満面の笑みでサヨナラを言った日の光景を思い出します。

皆さんはそんなドキドキワクワクの出来事や、訳ありの友達の思い出などありませんか?そんなことも含めて、ぜひこの映画を観ていただきたいです。

2023年7月現在はNetflixで配信中

www.youtube.com

サバカン SABAKAN

お題「ゆっくり見たい映画」

生活水準の基準は映画鑑賞にあり

お題「始めるVS続ける 得意なのはどっち?」ということで、結論から言いますと私は“始める”方が得意だと思います。

根が好奇心旺盛なので興味を持ったことはまずやってみる、始めてみるという感じです。そして、その始めたことを継続して続けられているものがどのくらいあるのか?そこが私の課題です(笑)

(C)2022「銀平町シネマブルース」製作委員会

映画『銀平町シネマブルース』は某ジャンルではそこそこ名の通った映画監督が、あることをきっかけに映画への情熱を喪失し、放浪生活をして金策が尽き、気づけば思い出の土地に来て、映画館の支配人をはじめ街の住人たちの情けで立ち直っていく物語です。

この映画の中に映画好きで、月2本は映画を観ると決めている、路上生活者の男性が出てきます。その日食べるにも困る彼がなぜ、月2本の映画を観るためにお金を捻出するのか?

“人として”の尊厳を保つためのモチベーションなのだと私は思いました。路上生活者なので普段は恥も外聞も捨て、地べたを這うような生活をしつつ、好きな映画を観ることで、人間の魂は失わないようギリギリのところで踏ん張っているようでした。

私が“月2本は映画館で映画を観る”と決めた理由

私が映画ライターとして活動を始めたのは2019年からです。

最初は既に公開されている映画のレビューが中心で、テレビや映画配信サイトの放映に合わせ作品を紹介したり、逆に鑑賞したあとに考察できるよう、テーマに沿った考察記事などを書いていました。

そして、そのうち新型コロナのまん延によって、映画館での上映作品が減り、まさに動画配信サイトでの鑑賞者に向けられたレビューが中心になりました。

もともとは映画館での鑑賞が好きな私でしたが、徐々に配信サイトで鑑賞することに慣れ、制限付きで映画館での上映がされても、外に出ることも億劫になりつつ・・・、このブログ名も「すごもりシネマ」としたわけです(笑)

ただ、2022年の夏、外出を制限していても私はコロナに感染しました(夫や息子が感染)。家にいる生活に慣れていたはずなのに、病気で家にいることの苦痛を味わった私、映画館で見る予定にしていた映画も観に行けず「これではダメになる」と強く思いました。

自由になるお金が少ないという現実はあるものの、できるだけ外に出て歩くことが人間らしさを保てるのだと実感しました。

2023年2月『銀平町シネマブルース』を観て

実は2023年の私のスローガンも「月2本は映画館で映画を観る」と決めて始まりました。それをさらに後押ししてくれたのが『銀平町シネマブルース』です。

路上生活者の男性が「意地で月2本は映画館で映画を観る」と言った気持ちが、私の気持ちにリンクしないわけありませんでした。

月2本の映画を観るための自由な時間とお金・・・こんな些細な習慣でも心は豊かになり、健康を保てると実感できました。

現状では月何本も映画館では映画を観れませんが、映画配信サービスは契約しているので、なんとかサイトの方でも紹介できれば・・・と、思っている次第です。

(※大人の事情で旧作はあまり取り扱っていない)

まとめ

20230210_銀平町シネマブルース.karasawa

『銀平町シネマブルース』は主人公だけではなく、老舗映画館の存続の危機も描いています

ようやく行動規制が解除され、映画館を訪れる人も徐々に戻ってはいますが、そもそも映画館で映画を観る人が減っているので、良い作品を良い形で紹介し、少しでも興味を持ってもらえるよう、映画ライターとして頑張りたいと思った作品です。

また、文化や社会の違う国の映画には解釈がわからなかったり、日本人の感覚で理解されず、敬遠されてしまっている作品も多く見受けられます。

ホラーなどもわりと敬遠されがちなジャンルだと思いますが、私なりの解釈で紹介し壁を取り払えたらいいなと考えています。

『銀平町シネマブルース』は私にライターとしての意欲をかき立ててくれた作品であります。そして、「月2本は映画館で観る」これは引き続き続けていきます♪

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“わたし”の中にある“おかあさん”という螺旋

(C)2022「わたしのお母さん」製作委員会

今週のお題「おとなになったら」

2023年5月14日日曜日は母の日ですね。

私の母は亡くなってもういません。義理の母も亡くなっています。私には二人の息子がいて、私が母の日に労ってもらう対象者です(笑)

でも、なんというか・・・労ってもらったり感謝されたり、行動や態度で何かしたりしてもらうことに、若干違和感を感じている天邪鬼です。

子供の頃は小銭を貯めて母親にプレゼントを買ってあげたこともありますが、毎年そうしていたわけでもなく、だからといって感謝していなかったわけでもありません。

おとなになって結婚して子供ができたら、「自分はどんな母親になっているだろう?」そんな考えから導きでたのが、“母のようにはならない”でした。

感謝しているのに、愛情という感情が沸かない

この映画を観たとき、主人公の夕子に感情移入してしまい、夕子の母寛子が自分の母親と重なり、なんともいえない気持ちになりました。

観たい作品を決める時はあらすじを見て決めます。なので、なんとなくそんな気分になることはわかっていたのですが…。

『わたしのお母さん』は夫に先立たれて、3人の子供を育て上げた母と“長女”ということで、我慢を強いられ“忙しい”母から気にかけてもらえず、むしろ母のサポートをしなければならなかった娘の話です。

父親の代わりにがむしゃらになって働き、家事もこなす母親に感謝しない子供はいないと思います。

3人兄弟の妹と弟は苦労した母への感謝が深いのに対し、主人公の姉はどこか違いました。たぶん、いつでも「お姉ちゃんなんだから」と後回しにされ、忙しさの中に彼女の寂しさは報われず、埋没させられてきたからだと・・・理解できました。

しかし、そのことを苦労している母親にぶつけることもできず、主人公は「早くおとなになって、家を出たい」と思ったに違いないのです。

なぜなら私がそうだったから・・・。

主人公の母は仕事がセールスレディだったからか、社交的で高度力もあり明るい性格ですが、どこか無神経なところがありました。

世間体や人当たりを気にするあまり、身内に厳しいイメージがして、その部分が自分の母親とも重なって、一層主人公が自分と重なり嫌悪感となりました。

主人公はこの母と心を通わせられず、ある日険悪なムードのまま別れ、数時間後には母は帰らぬ人となってしまいます。

母の葬儀が終わり、主人公が実家の母の部屋で、泣きながらつぶやいた一言が心に沁みます。私はさすがにそこまで言うことはなかったけど…心情的には理解できました。

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私のお母さんとお母さんの自分

主人公は自分の気持ちを話したり、伝えることを諦めてしまったタイプですが、私は折に触れ数年に一度、思いの丈を母にぶつけていたから、母の最期に感じる気持ちに若干違いはありましたが、ものすごく理解できたのです。

うちは母子家庭ではなかったけど、父親の事業が失敗し借金があったり、父が脳血栓で何度か倒れ、仕事があまりできなかったので、母親も必死に働いていました。

子供はそういうことを理解していますが、子供には処理できない寂しさや苦しさがあって、親に優しくしてもらいたいと願うんですけど、親はそんな余裕がないんですよね。

でも、母は外に向けての愛想がとてもよく、他人には何でもよく面倒をみれる人だったので、その余裕をもっと子供に向けてほしいと思ったものです。この映画にもそう感じるシーンがでてきて、余計に主人公の気持ちに傾きました。

私はおとなになったら、経済的に苦しい家庭にはしたくないと思いました。夫になる人も尊敬できて健康で、節度を守れる人と決めていて、ある程度その理想に叶った人と結婚しました。

経済的なことや健康であることは気持ちに余裕を生み、子育てにも余裕ができると実感としてわかりました。息子たちは私に対して反抗的ではないし…優しく素直に育ちました。

つまり、主人公の妹や弟は“姉”がいてくれたおかげで、グレずに素直に成長したのだともとれます。母親への感謝も大事ですが、姉への感謝がもう少しあってもいいのに・・・そんな気持ちになります。

また、主人公の母も子供を育て上げ、経済的にも精神的にも余裕ができた時期と重なり、主人公が幼い頃味わえなかった、母性を見てしまいモヤモヤを感じました。

姉だけがなんだか損している・・・だから、妹や弟の面倒から解放され、結婚することで母親からの要求からも・・・。我慢を強いられてきた子供は、その環境から逃げ出すことを考えます。

ひとつ主人公と私の違うところは主人公には子供がおらず、母親になっていないところです。妹弟の面倒をみてきたから子供はいらないのか?子供ができれば母への感情が少し変わるのか・・・。

湯を沸かすほどの熱い愛』この映画には、血を分けた親子関係以上の“愛”が描かれ、境遇に関係なく人を深く思えることを伝えていました。

私自身も母への感情を歪ませたまま、看取るのは人としてどうなのか?そう思っていたので、母との最期の数か月を書き残しました。

yumcha-low.hatenablog.jp

まとめ、悔いを残さないお母さんへの想いを・・・

20221111_わたしのお母さん_karasawa

母の日によせてお手本にも反面教師にもなる親との関係。特に母と娘というのは反面が多いような気がしますが、結局DNAとは恐ろしい・・・そう思う瞬間もあります。

母の癖や話し方が似てくるのです。母の嫌だった部分は見習わず、お茶目で優しかった部分が時々顔出してくる感じです。

なので、これから先も母の影というものはつきまとうのだな・・・と、おとなになったから忘れるものでもないと思うので、ぜひお母さんがご健在の方は特別なことはしなくても、優しくしてあげる日にしてください。

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お題「ゆっくり見たい映画」

“宗教”の教義的な概念の違いを感じた映画

(C)2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights reserved.

2023年2月に公開されたばかりですが、U-NEXTで早速配信(有料)されていたので、視聴しました。

他の映画を観た時の予告でカニバリズムの映画だと知っていましたが、普通の人間社会に暮らしながら、“生理的に人が食べたくなる”人食い人種が登場します。

調べてみると実際に南太平洋の島“イロマンゴ島”では、部族同士の争いの果てに負けた相手を喰い、人間を食用として家畜していたという話もありました。

これは生き残ったその末裔のDNAなのか?そんな悲劇の中のラブストーリーでした。

人を食べることが“タブー視”されはじめたのは、宗教的な観点や文明の発達により、人間に理性や秩序が生まれたからです。

この映画の中ではラジオからキリストの説法が流れるシーンがあったりしますが、どんな話なのかまではわかりませんでした。

ただ、ストーリーの中で人食して神に許しを乞うたり、苦しみから解放を祈るシーンなどはなく、ただ本能が優先していきます。

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問題作となったアニメ『アシュラ』

飢餓や犯罪心理的な行為による人食は、信仰や秩序だけでは防げませんでした。そのことを思い出させたのが、数年前に鑑賞したアニメ『アシュラ』です。

原作はジョージ秋山の漫画(『週刊少年マガジン』(講談社)に1970年32号から1971年22号まで連載)です。

漫画自体も人食などの過激な描写から、非難が殺到し大問題作となりました。アニメは「眼を、そむけるな。」をキャッチコピーに2012年に公開されています。

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『アシュラ』は飢餓や疫病で苦しむ平安時代末期が舞台です。貧しい女性から生まれたアシュラは、飢えのあまりに母に焼かれ喰われそうになりながらも生き延びます。

母は死にアシュラは「獣(ケダモノ)」のように成長していきます。 獣化したアシュラは動物のように俊敏で、野生の生き物はもちろん、「人」をも殺しその肉を喰らっていました。

人の手で育ったわけではないので、「言葉」は発せず「心」も育っていません

飢えによって心を失くし、我が子を食べようとした母親でしたが、遺体はそこら中にあった世の中です。人としての一線を越え、それらの人肉を食べながらアシュラを育て、やがで疫病か何かで息絶えたのですね。

アシュラにとって人間は生きていくために、捕食する対象となっていました。ある日、アシュラは念仏を唱えながら歩く法師を捕食しようとし、逆に倒されてしまいます。

法師はアシュラに人の心を諭そうとしますが、焦土化した乱世が生んだアシュラの姿を通し、命の営みを観念ではなく実感として体得します。

アシュラは法師の他に傷ついた自分を助け、食べ物を与えてくれる村娘と出会い、人の心を学びますが、ある事件をきっかけに娘から「ひとでなし」と呼ばれてしまいます。

そして、唯一心を開いた娘も飢餓と病で苦しみます。そして、飢えの苦しさから人食をしたアシュラの気持ちになっていきます。

それでも彼女は「人肉を食うものは犬畜生よりも劣る…人肉を食べるくらいなら死んだ方がまし。」という信念を貫き死んでいきます。

アシュラは愛おしい娘の最期の姿を通し、真の人道を垣間見て仏道の道を歩むようになります。

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この物語はケダモノと化したアシュラが人の心を持つまでのお話で、残酷で悲惨な状況も描かれていても、一筋の救いの光が見える作品でした。

『ボーンズ アンド オール』に感じる無慈悲感

映画『ボーンズ アンド オール』にはなぜ、カニバリズムになってしまったのかまでは描かれておらず、生まれつき食人だったという苦悩から、抜本的に救われないモヤモヤが残ります

キリスト教にもカニバリズム的な描写のある、教義があったりしますが、解釈によってさまざまな考えも生みます。キリスト教を広めようと入植した宣教師が、食人族に捕食された事件もあります。

宗教によって人道的な精神を育むのも難しく、まずは文明を強制的に植えつけ、そのあとに宗教的概念を諭すという流れで、食人文化は絶滅しました。

映画の解説等によるとカニバリズム”は社会的に排除されたり、疎外されている人を象徴的するためのメタファーでした。

なるほど…と、それは理解できたのですが、やはりどうしたら人を排除したり疎外する意識が変わるのか、あと一歩踏み込めていない感じは否めません。

実際に食人族が絶滅させられたように、力業で消滅させられているとでもいうのでしょうか?そんな無慈悲感を受けました。

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【参考図書】

ボーンズ・アンド・オール (ハヤカワ文庫NV NVテ 15-1)

アシュラ(上) (幻冬舎文庫 (し-20-2))

◆趣味が活かせた映画の紹介

私は趣味でハーブや季節の花を育てたりしています。趣味が高じてメディカルハーブアドバイザーやアロマテラピーなんかの民間資格も取りました。

誰かに講義したりするわけではなく、自然由来の物で“未病”を緩和したり、ゆるーいけれどもスローライフを少し、生活の中に取り入れることでちょっとした「おばあちゃんの知恵」的に、役にたつことがあるのではないか?そんなふうに思って、コロナですごもり生活が増えた時期に勉強をし試験を受けました。

人生何があるか分からないけれども、50代になってから文章で何かを表現したいと思って、Webライターになってどうせなら好きな映画のことで書いてみたいと思い、今は映画レビューサイトで記事を書いています。

基本は毎月公開される新作映画の記事になるのですが、たまにテレビで放送予定の映画についても書く機会があって、2023年1月にBSシネマという番組で西の魔女が死んだという映画の放送予定を知り、概要を読んで自分の趣味がこの映画の記事に活かせそう・・・そんなことを思って取り組みました。

(C)2008「西の魔女が死んだ」製作委員会

この映画には原作があって、100万部を超えるロングセラーになっていまして、レビューが公開されると愛読者の方が私の記事を読んで、

「ハーブの意味や花言葉を知って、より深く理解できた」

という感想をいただきました。

そうなのです!ハーブの効能や花言葉などをストーリーに関連付けて紹介できたので、おばあちゃんが孫や娘に抱いていた思いをより深く伝えることができたのです。

観ながら私もこの映画のおばあちゃんのようになりたいと思ったし、映画の中のおばあちゃんの家に住みたい!などと、理想が一気に膨らみました。

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◆生き辛さを抱えているのはティーンエイジャーだけではない…

この映画の主人公は中学校に入学して間もなく不登校になってしまった少女です。とはいえその主人公には自分の“意思”がしっかりあり、親もそんな子供に無理強いすることなく、様子を見ていく余裕がある家庭でした。

なので、不登校”の理由や“生き辛さ”が見えにくいという状況ではありませんでした。こういった問題を抱える本人や親は、何が原因なのか?という答えに悩みもがきます。

本人を追い詰めたり親が自分を責めたり・・・短絡的になってしまう事例が多いですね。もし、自分を知る者がいない逃避できる場所でのびのび暮らすのも、解決策の一つになると思えます。

しかし、生き辛さを感じているのは子供だけとは限らず、解決できぬまま大人になったり、大人になってから気づく場合もあります…。

大人だと「大人なのに…」というプレッシャーも加わり、ますます追い込まれてしまい、状況は改善されないことが多くなるのではないでしょうか?

この映画を観て感じたのは子供であれ大人であれ、「逃げる」ことは悪ではないということです。どこでもいいから環境を変え、過去を知らない誰かに話すことができれば、先に進むきっかけをつかめるのだろうと感じました。

コロナ禍では多くの人が強制的に孤独を強いられ、自己をみつめなおす機会もできました。私もご多分にもれず自問自答し、文章を書いたりスローライフに興味を持って、それらに時間を費やしたことで今に至っています。

自分で解決策を探すのはとても難しいことですが、自分に興味のあることを誰かに話すことは、その興味を広げるヒントになると知ってほしいです。

話せる人がいなくても映画を観たり読書する中で、導く何かがあると私は信じています。

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【参考書籍】

西の魔女が死んだ(新潮文庫)

メディカルハーブ事典

お題「私が持っている資格」