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11月10日(日)~13日(水)、三泊四日の北陸三都巡り旅行を決行。五月は四国三都(徳島除く)巡りで、県庁所在地に止まり、食事は外食スタイルを経験したが、今回もそのパターンで、大人の休日倶楽部北陸パスを利用した旅。

初日は富山の宇奈月温泉からトロッコ列車で紅葉を眺め、富山市内のホテルにチェックインして、夕食は中華料理のコースを堪能。お店は「富紀(とき)」という名で、コスパ最高、味最高でした。

2日目は富山市内観光で、富山城址公園、池田安兵衛商店などをめぐり、市電で岩瀬浜へ。3年連続でここに来て、名産の“白エビのかき揚げ丼”を食べる予定が、残念ながら「政太郎」というお店は閉店していました。今白エビ漁が中止されているということで、大変残念でした。

2日目の異動は富山から福井へ。私の道案内がまずかったためホテルまで遠回りしてしまい、つくのが遅れたため、2日目はホテルで風呂に入ってから、すぐに予約してある「吉野寿司」さんへ向かう。予約時間より15分ほど早かったのですが、店の暖簾出ておらず、看板の照明も消えている状態。少し近辺を歩いて再び来ても暖簾は出ていない状態。時間なので扉を開けると、店内は満員状態。カウンターの2席は空いていました。このお店は相当に人気店らしく、予約の電話がしょっちゅうかかってきていました。このお店でもコースを頼んでいましたが、人気店であることに納得。大変なコストパフォーマンスとお味でした。福井に来たら必ず立ち寄りたいお店でした。

三日目は福井の観光名所、恐竜博物館へ。福井駅前からエンタメバスが出ていることからこれを予約して50分のバス旅行。しかし、その内容についてはいまいちで、損した気分。これも経験と諦めました。平日ながら入場者は多く、展示物も相当手間暇かけていることが分かりましたが、興味のない私も妻も簡単に見て回った程度でした。

3日目の異動は金沢へ。ホテルにチェックインして夕食はフレンチレストランへ。こちらもコース料理で、お安いコースながら大満足の内容でした。

翌日は最終日。今日は全て歩いて金沢めぐりしようと二人で話し合い、主計茶屋街、ひがし茶屋街、金沢城武家屋敷跡を歩き、15:02のもかがやき号で帰路につきました。

金沢のホテルは外国人が80%以上いたのではないかと思うくらいの人気。観光地にも多くのインバウンド効果。富山、福井とは段違いの様相でした。

今日はこの辺で。

阿部曉子さんという作家は初めて聞く名前で、新聞か何かの書評欄で評価が高かったことから読んだ作品「カフネ」読了。

カフネとはポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」というような意味。本作では、とき子さんという女性の方が経営している家事サポートサービス会社の社名となっています。

主人公は法務局に勤務する公務員の40歳の薫子さんと、カフネの従業員の28歳のせつなさん。

薫子さんは妊活に励んできたがアラフォーとなり、未だに子供が授からない。そんな薫子さんに弁護士の夫の申し出を受け離婚。おまけに親よりも信頼していた一回り歳が離れた弟の春彦さんが突然亡くなる。離婚と弟の死が重なり、落ち込む薫子さんはアルコール中毒寸前の状態。春彦さんが法務局に遺言書を残していたことが分かり、そこにかつての恋人だったせつなさんにも遺産を残すと記されていたため、せつなさんと会い、交流が始まる。せつなさんとは一度春彦が連れてきたときに実家であっていたが、はっきりものをいう人で、遺産のことを聞くと、もらう理由がないと突っぱねられる。そこから二人の心の交流が始まる。せつなさんはカフネで料理担当として働いており、「チケット」という会社の無料サービスを薫子さんも手伝うことに。二人で掃除もできず、料理もできないような家庭に行き、薫子はせつなの人柄に親近感を抱いていく。せつなは自分の家庭などを話さないが、とき子さんに聞いて、病気を持っていること、家族に恵まれないことなどを聞き、自分をアルコール漬けから救ってくれたせつなさんを何とかサポートしたいと思い、出しゃばりとは思いながら、部屋に尋ねていくことが多くなる。せつなさんも心を開いていくが、春彦さんが実は恋人ではなく、男の人と付き合っていたこともわかる。薫子さんは何も知らなかったが、教えてくれなかったせつなを一時拒否するような時期もあったが、せつなの境遇を知り、病状も悪いことから、“カフネ”したい気持ちが強くなり打ち明けるのだった。

本作には悪い人は登場せず、薫子さんの元夫の公隆さんんも、過去の自分の生育段階のトラウマから子供を持ちたくないことから離婚を迫ってしまったこともわかる。

本作に登場するせつなさんの作る料理は、本当に美味しそうで、初めて聞く“卵味噌”は早速作りたいと思った次第。「孤独のグルメ」は人気テレビ番組だが、料理の出てくる小説も心が和らぐ作品が多くあると感じた次第。

今日はこの辺で。

ポーランド・フランス他合作「人間の境界」を10月に下高井戸シネマにて鑑賞。数年前ベラルーシが難民を中継地として受け入れ、ポーランドに難民として簡単に入国できるという宣伝をして、実際にそれに騙された人々が押し寄せ、ポーランドは受け入れを拒否した事件があったが、それを実写映画化した作品。ベラルーシがロシアと相談してやったのかは不明ですが、当時人間爆弾とも呼ばれ、国際的に非難がベラルーシにあったが、それの犠牲になった中東やアフガンからの難民は、大変な目にあい、死者も多く出た模様。

本作はモノクロ映像で何組かの家族が藁にも縋る思いで国境を越えた、そしてポーランドからは追い出され、国境の森の中で夜を明かし、また歩いて国境に向かい、また追い出され、という繰り返しがあり、その悲惨な姿が描かれます。タイトルの「人間の境界」とは、国境に翻弄される難民たちを、自分たちは人間として生きていける境界をさまよっているというような意味を込めたものに感じた次第。救いはポーランド側で活躍する難民支援団体。何とか難民を助けようとする姿が描かれていました。

今日はこの辺で。

下高井戸シネマにて日本映画「シザム」鑑賞。アイヌをテーマとした“史実に基づくフィクション”という説明書きが最初の画面に出てくる。実際に映画にあるような、松前藩アイヌの間で戦闘があったのかどうかわかりませんが、アイヌの人たちの苦労がよく描かれている作品。幕末の北海道は、松前藩が全域を任されていおり、アイヌとも公益を重ねているが、次第に不平等な取引が増えていき、その怒りが爆発して戦闘が始まる。

本作は松前藩士が津軽藩の密使に襲われ大けがをしてアイヌに助けられ、その人間としての尊厳を感じ取り、理解を深めていき、アイヌを最後は庇って、更にアイヌの実態を調べ上げていくというドラマ。

アイヌ民族が法律的に先住民族として認められたのが2019年4月で、5年前。全く信じられないことだが、江戸時代から今日に至るまでの物的・精神的に苦難を強いられた人々がいたことを、我々は忘れてはならない。

今日はこの辺で。

米澤さんの「本と鍵の季節」に続く、堀川次郎と松倉詩門の高校生コンビが謎を解いていくシリーズ第二弾「栞と嘘の季節」読了。前作はいくつかの事件を二人で協力して解決していったが、本作はトリカブトという毒草を使った本の栞の謎を追う一つの事件がテーマ。

二人は高校2年生で、図書委員を務めるが、ある事から返却本の中から一枚の栞を見つけ、その栞に毒草のトリカブトの花が使われていたことを発見。果たしてこの栞はだれが何のために作ったのかを探り出すが、そんな折も折、横瀬と言う口やかましい教師が生徒指導室で倒れる事件が発生。どうやらトリカブトの毒で倒れたのではないかと二人はにらみ、栞を作った瀬野という2年生の女生徒が作ったことを突き止めるが、彼女の仕業ではないこと、そして彼女が二人に協力を求めてくる。その栞を作った理由が、親友の女性徒と二人で“切り札”を持つためだったことを打ち明けられる。その親友は義父にひどい目にあわされていたというのだった。作った栞は2つだけだったが、どうやら何枚かがコピーのように作られ、同じ学校の生徒に配られており、このままでは犠牲者が再び出ることを恐れた堀川と松倉は、瀬野と一緒に探索して行き、噓の証言を見破り、真実に近づいていくというストーリー。ただ、横瀬という教師が倒れた原因がトリカブトである可能性が強いにもかかわらず、命にかかわることがなかったからなのか、警察のけの字も本作では出てこないのは、そんなのありか?と思いたくなるが、このシリーズは高校生二人の主役の物語であり、難癖付けてもしようがないので、是としましょう。

今日はこの辺で。

米澤さんの直木賞受賞作「黒牢城」をようやく読了。戦国時代の信長が天下統一直前の時代、摂津の国、今の大阪北部地方の有岡城の城主、荒木村重を主人公として、信長の臣下でありながら謀反し、有岡城を堅牢にして信長軍を迎え撃つ村重の、約10カ月間の展開を、推理小説風に描いた得意な作品。村重自体は実在の人物で、有岡城での籠城作戦も事実であるが、四章に分かれた城内での出来事はフィクション。

村重が謀反したことから、信長側から説得をしに来るかつての仲間がいたが、その一人が黒田官兵衛。官兵衛は村重に勝ち目がないことをるる説得するが、翻意できず、村重は逆に官兵衛を地下の土牢に閉じ込める。その間の9カ月の間に、場内で不審な殺人事件が発生し、犯人を特定しないと場内の疑心暗鬼が広がり、士気に差し支える状況が生まれていくことを恐れた村重は、その都度官兵衛に相談に泥馬で相談に行くことになる。

440Pの長編で、時代考証も事実とフィクションを重ねる難しさがあったはず。読み応えのある作品でありました。

今日はこの辺で。

米澤さんの飛びっきり楽しい連作短編推理小説「本と鍵の季節」読了。高校2年生の二人の図書委員、堀川次郎と松倉詩門が、鋭い観察力と勘で、五つの問題に見事な推理力を発揮する展開。

各作品がそれぞれ興味を引くものばかりで、大変楽しく読ませていただきました。

今日はこの辺で。