アルミニウム合金 (original) (raw)

アルミニウム合金(アルミニウムごうきん、: aluminum alloy)は、アルミニウムを主成分とする合金である。アルミニウムは軽いという特徴がある一方軟らかい金属であるため、(Cu)、マンガン(Mn)、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)などを添加して合金にすることで強度などの特性の向上が図る。アルミニウム合金を加工する場合は大きく分けて展伸法と鋳造法が採用される。

アルミニウム合金の軽さと強度を応用した例として、航空機材料としてのジュラルミンの利用が挙げられる。ジュラルミンはAl-Zn-Mg-Cu系のアルミニウム合金である。

アルミニウム合金は高い強度を持つ反面、溶接溶断が難しく、アルミ合金製品の用途変更に応じた改造や、修繕での溶接・溶断作業はなどに比べて困難である。

なお、近年ではリチウムを添加した合金も実用化されている[1][2]

一般に展伸法で利用されるアルミニウム合金には、4桁の数字からなる国際アルミニウム合金名が使用されている。日本工業規格(JIS H 4140)においても、国際アルミニウム合金名がアルミニウム合金名の一部に取り入れられ準用されている。名称としては、例えばA3003P-H12 のようにアルミをあらわすAの後に合金の種類を示す4桁の数字が続き、ハイフン以降は加工硬化熱処理などの調質記号である。

1000番台

アルミニウム 加工性、耐食性、電気伝導性熱伝導性はよいが強度が低い

用途:アルミ箔化学工業タンク類、導電材・航空機

2000番台

Al-Cu系合金

3000番台

Al-Mn系合金 加工性、耐食性、強度が良好

用途:航空機・ビール・ジュースボディ部

4000番台

Al-Si系合金 耐摩耗性が良好

5000番台

Al-Mg系合金

用途:船舶車両、航空機・自動車アルミホイール、建築用内外装、圧力容器、ビール・ジュース缶蓋部分

6000番台

Al-Mg-Si系合金 強度、耐食性が良好

7000番台

Al-Zn-Mg系合金・Al-Zn-Mg-Cu系合金 高強度材でありCu系はアルミ合金中の最高強度である

8000番台

それ以外の合金。

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アルミニウム合金の成分表

合金番号 化学成分(wt%)
ケイ素 マンガン マグネシウム クロム 亜鉛 チタン その他 アルミ
1050 0.25以下 0.40以下 0.05以下 0.05以下 0.05以下 - 0.05以下 0.03以下 V 0.05以下 99.50以上
1060 0.25以下 0.35以下 0.05以下 0.03以下 0.03以下 - 0.05以下 0.03以下 V 0.05以下 99.60以上
1070 0.20以下 0.25以下 0.040以下 0.030以下 0.030以下 - 0.040以下 0.030以下 V 0.050以下その他 0.030以下 99.70以上
1080 0.15以下 0.15以下 0.03以下 0.02以下 0.02以下 0.03以下 - 0.03以下 - 99.80以上
1100 Si+Fe 0.95以下 0.05-0.20 0.05以下 - 0.10以下 - - - 99.00以上
1145 Si+Fe 残り 0.05 0.05 0.05 - 0.05 0.03 - 99.45
1199 0.0060以下 0.0060以下 0.0060以下 0.0020以下 0.0060以下 - 0.0060以下 0.0020以下 V 0.0050以下Ga 0.0050以下その他 0.0020以下 99.99以上
1200 Si+Fe 1以下 0.050以下 - 0.0060以下 - 0.10以下 0.050以下 その他 0.15以下 99.0以上
2011 0.40以下 0.7以下 5.0-6.0 - - - 0.30以下 - Bi 0.20-0.6Pb 0.20-0.6 残り
2014 0.50-1.2 0.7以下 3.9-5.0 0.40-1.2 0.20-0.8 0.10以下 0.25以下 0.15以下 - 残り
2017 0.20-0.8 0.7以下 3.5-4.5 0.40-1.0 0.40-0.8 0.10以下 0.25以下 0.15以下 - 残り
2024 0.50以下 0.50以下 3.8-4.9 0.30-0.9 1.2-1.8 0.10以下 0.25以下 0.15以下 - 残り
2117 0.20-0.8 0.7以下 2.5以下 - 0.3以下 0.10以下 0.25以下 0.15以下 - 残り
2219 0.20以下 0.3以下 5.8-6.8 0.20-0.40 0.02以下 - 0.10以下 0.02-0.10 V 0.05-0.15Zr 0.10-0.25 残り
3003 - - - 1.0~1.5 - - - - - 残り
3004 0.30以下 0.7以下 0.25以下 1.0-1.5 0.8-1.3 - 0.25以下 - - 残り
5005 0.30以下 0.7以下 0.20以下 0.20以下 0.50-1.1 0.10以下 0.25以下 - - 残り
5052 0.25以下 0.40以下 0.10以下 0.10以下 2.5以下 0.25以下 0.10以下 0.03以下 0.05以下(計0.15以下) 残り
5056 - - - - 5.0以下 0.25以下 - - - 残り
5086 0.40以下 0.50以下 0.10以下 0.20-0.7 3.5-4.5 0.05-0.25 0.25以下 0.15以下 - 残り
5652 0.4以下 0.4以下 0.04以下 0.01以下 2.2-2.8 0.15-0.35 0.1以下 - 0.15以下 残り
6063 0.20-0.6 0.35以下 0.10以下 0.10以下 0.45-0.9 0.10以下 0.10以下 0.10以下 - 残り
7075 0.40以下 0.50以下 1.2-2.0 0.30以下 2.1-2.9 0.18-0.28 5.1-6.1 0.20以下 - 残り
7204 0.30以下 0.35以下 0.20以下 0.20-0.7 1.0-2.0 0.30以下 4.0-5.0 0.20以下 V 0.10以下Zr 0.25以下 残り

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Vはバナジウム、Zrはジルコニウム、Pbは、Biはビスマス、Gaはガリウム

AC・・が鋳物用、ADC・・がダイカスト用、AJ・・が軸受鋳物用となる。

アルミニウム合金のろう材は、単体のほか、心材となる合金の片面もしくは両面に融点の低い合金を張り合わせたクラッド材としても供給される。

純アルミニウムは極めて柔らかく、完全焼きなまし状態での強度は約50N/mm2であるが、加工硬化、固溶硬化および析出硬化によって適当な硬さにすることができる。

日本工業規格(JIS)[3]によって、アルミニウム合金の展伸材及び鋳物の質別について規定されている。


  1. JIS H 0001「アルミニウム,マグネシウム及びそれらの合金−質別記号」に規定されている。