人間開発指数 (original) (raw)

人間開発指数(にんげんかいはつしすう、英語: Human Development Index, HDI)とは、各国を人間開発の4段階に順位付けするために用いられる平均余命、教育、識字及び所得指数の複合統計である。1990年にインド人経済学者のアマルティア・セン及びパキスタン人経済学者のマブーブル・ハックが開発し[1]国際連合開発計画が毎年「人間開発報告書」を刊行する[2]

0.050刻みの人間開発指数カテゴリー別の国の世界地図(2021年のデータに基づく、2022年に公開)。

≥ 0.900(とても高い) 0.850–0.899 0.800–0.849 0.750–0.799(高い) 0.700–0.749 0.650–0.699 0.600–0.649 0.550–0.599(中) 0.500–0.549 0.450–0.499 0.400–0.449 ≤ 0.399(低い) (データなし)

2010年の人間開発報告書では、不平等調整済み人間開発指数 (IHDI) が導入された。通常のHDIがなお有用である一方、IHDIは不平等を主要因とした人間開発の実際の水準を示し、HDIは「潜在的な」人間開発の指数又は不平等さえなければ実現可能な最大値のIHDIとして見なすことが可能である[3]

男女格差に限定した類似指標としては、世界経済フォーラムが発表しているジェンダー・ギャップ指数が存在する。

広義の人間開発指数

人間開発報告書では以下の指数をまとめて人間開発指数といっている[4]。これらは「人間開発報告書」の中で国連開発計画によって毎年発表されている。

狭義の人間開発指数

この指数はパキスタン経済学者マブーブル・ハックによって1990年に作られた。

19902021年の間のHDI値推移

2010年以降の算出方法

各側面指数には最小値 (min) と最大値 (max) が設定されている。各側面指数は次式で計算され、1以下の正の数値になる。

側面指数 = x − min ( x ) max ( x ) − min ( x ) {\displaystyle {\frac {x-\min \left(x\right)}{\max \left(x\right)-\min \left(x\right)}}} {\displaystyle {\frac {x-\min \left(x\right)}{\max \left(x\right)-\min \left(x\right)}}}

側面指数には、次の3つがある。

人間開発指数は、上の3つの側面指数の相乗平均(3つを掛け合わせたものの立方根)である。

上で用いている各変数は、次のとおりである。

LE: 出生時平均余命(歳)

MYS: 平均修学年数(25歳以上の人の平均修学年数。最小値:0年、最大値:15年)

EYS: 期待修学年数指数(留年をした場合を含め、子供が学校に在籍することが期待されている推定年数。最小値:0年、最大値:18年)

GNIpc: 購買力平価で計算した1人当たりGNI(2017年USD購買力平価ベース)

2010年より前の算出方法

HDI 1975 - 2004

人間開発指数は、下の3つの側面指数の相乗平均である。

上で用いている各変数は、次のとおりである。

LE: 出生時平均余命(歳)

ALR: 成人識字率(15歳以上)

CGER: 複合初等・中等・高等教育総就学率

GDPpc: 購買力平価で計算した1人当たりGDP(USD

不平等調整済み人間開発指数 (IHDI) は、所得格差のような国内の不平等を加味した人間開発の基準値の尺度である。

2021年

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2020年

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2010年代後半

下の表は、2019年時点で「非常に高い人間開発」の国家・地域の2010年代後半の推移を記載している[5]

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2010年代前半

下の表は、2014年時点で「非常に高い人間開発」の国家・地域の2010年代前半の推移を記載している[5]

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2021年

2020年

2010年代後半

下の表は、2019年時点で「非常に高い人間開発」の国家・地域の2010年代後半の推移を記載している[5]

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2010年代前半

下の表は、2014年時点で「非常に高い人間開発」の国家・地域の2010年代前半の推移を記載している[5]

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2000年代後半

下の表は、2009年時点で「非常に高い人間開発」の国家・地域の2000年代後半の推移を記載している[5]。但し、2007年2008年にアンティグア・バーブーダが0.8以上あったため、表中に追加している。

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2000年代前半

下の表は、2004年時点で「非常に高い人間開発」の国家・地域の2000年代前半の推移を記載している[5]

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1990年代後半

下の表は、1999年時点で「非常に高い人間開発」の国家・地域の1990年代後半の推移を記載している[5]

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1990年代前半

下の表は、1995年時点で「非常に高い人間開発」の国家・地域の1990年代前半の推移を記載している[5]

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19位/191か国(2021年時点での日本の順位)[5]

24位/193か国(2023~2024年)[6]

年はその指数の算出年である。

不平等調整済み人間開発指数(IHDI)

人間開発指数(HDI)

HDIと一人当たりの消費ベースのCO₂排出量との関連性 人間開発指数(HDI)は、技術開発や人間文明への貢献への考慮の欠如[citation needed]、国の実績とランキングにのみ焦点を当てること、グローバルな視点からの開発への注目の欠如、基礎統計の測定誤差、そして国連開発計画(UNDP)の式の変更、これにより「低」「中」「高」「非常に高」の人間開発国の分類において重大な誤分類が生じることなど、多くの点で批判されている[16]。

データエラーの原因 経済学者のHendrik Wolff、Howard Chong、Maximilian Auffhammerは、HDIを構築するために使用される基礎的な健康、教育、所得の統計におけるデータエラーの観点からHDIを議論している。彼らはデータの更新(i)、式の改訂(ii)、国の開発状況を分類するための閾値(iii)に起因する3つのデータエラーの源を特定し、これらのデータエラーの原因で11%、21%、34%の全国が開発ビンで現在誤分類されていると解釈できると結論づけている。著者らは、閾値が恣意的であること、公式統計の報告において戦略的な行動を奨励する可能性があること、HDIを広く利用する政治家、投資家、慈善団体の寄付者、一般大衆を誤導する可能性があるため、国連は国々を開発ビンに分類する慣行を廃止すべきだと提案している[16]。

2010年、UNDPはこの批判に応じ、低、中、高の人間開発国として国々を分類する閾値を更新した。2011年1月初めに『The Economist』誌へのコメントで、Human Development Report Officeは2011年1月6日の同誌の記事[18]でWolffらの論文を議論することに応答した[17]。Human Development Report Officeは、HDIの計算のための使用方法の体系的な修正を行ったと述べており、新しい方法論はWolffらによる批判に直接対応しており、式やデータの改訂が行われるたびに人間の開発カテゴリを継続的に更新するためのシステムを生成するものである。

2013年、Salvatore MonniとAlessandro Spaventaは、GDP対HDIの議論において、これらが社会的福祉の定量化の基準として異なる基準を優先する外部指標であることがしばしば忘れられることを強調した。より大きな問題は、政策の焦点を競合するパラダイム間の戦いから、人々の幸福に関する情報を直接得るためのメカニズムにシフトすることが可能かどうかである[19]。

中国開発研究財団が中華人民共和国台湾の人間開発指数 (HDI) を、行政区分ごとに発表しているものが存在する。