2024年7月に読んだ本と近況 (original) (raw)

半死半生!

先月の。

2024年6月に読んだ本と近況 - 宇宙、日本、練馬

印象に残った本

励起 上――仁科芳雄と日本の現代物理学

一冊選ぶならこれしかありえません。『励起――仁科芳雄と日本の現代物理学』(上下分冊だから2冊だけど)。浩瀚というしかない、科学史的伝記。刊行からおよそ1年、まだ同業者の書評は出てないんじゃないかと思うのだけど、それも納得できる、すげえ本です。

読んだ本のまとめ

2024年7月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3156ページ
ナイス数:127ナイス

https://bookmeter.com/users/418251/summary/monthly/2024/7

超ヤバい経済学

■超ヤバい経済学
本書の日本語版が出たのは2010年。好著『ヤバい経済学』と同様本書もたいへんおもしろいが、行動経済学的な発想ってこの15年でだいぶ人口に膾炙した感もあり、その意味では初出の時ほどのインパクトは感じられないかも。とはいえ、突飛とも思えるハリケーン防止策や地球温暖化防止策など、おもしろく読みました。
読了日:07月03日 著者:スティーヴン・D・レヴィット,スティーヴン・J・ダブナー
https://bookmeter.com/books/645188

励起 上――仁科芳雄と日本の現代物理学

■励起 上――仁科芳雄と日本の現代物理学
不世出の物理学者、仁科芳雄と、日本の現代物理学の発展をたどる科学史的伝記。江戸時代の親族関係や土地の風土を描く冒頭から只事ではないと感じられるが、周辺人物も含めた伝記的記述がとにかく微に入り細を穿つようで、圧倒される。コペンハーゲンから仁科がその精神を持ち帰ったのみならず、日本列島にもそれを受け入れる素地が着々と準備されていた、と要約すればシンプルだが、それを具体的な個人の研究歴を辿って実証してしまうのだから驚くばかりである。
読了日:07月07日 著者:伊藤憲二
https://bookmeter.com/books/21381060

アメリカ大統領選 (岩波新書)

アメリカ大統領選 (岩波新書 新赤版 1850)
おもに2016年、2020年のアメリカ大統領選に取材し、アメリカの選挙制度から予備選、本選での選挙運動などなど概説する。選挙制度のイントロダクションとしても簡便でありがたいが、2010年代後半のアメリカを映したルポルタージュとしてのおもしろみが勝る。分断がいよいよ深まり、相手陣営を貶めるネガティブ広告が氾濫するという状況、わたくしたちの言論空間と地続きという気がしました。
読了日:07月10日 著者:久保 文明,金成 隆一
https://bookmeter.com/books/16699064

励起 下――仁科芳雄と日本の現代物理学

■励起 下――仁科芳雄と日本の現代物理学
下巻では日本での物理学研究の発展、戦中の核エネルギー研究、そして戦後の科学政策へのかかわりのなかで死を迎えるまでが扱われる。とにかく抑制した筆致で、事実を丹念に積み上げていく、まさしく労作。そうしてこそ、仁科芳雄現代日本の物理学の基礎をつくる、というおおよそ個人の業績としてはほとんど異様ともいえる事績を成したのだと説得的に語り得たというもの。10年かけて書かれた本をおよそ一月かけて読むのはまさしく贅沢でした。
読了日:07月17日 著者:伊藤憲二
https://bookmeter.com/books/21381061

財政・金融政策の転換点 日本経済の再生プラン (中公新書)

■財政・金融政策の転換点-日本経済の再生プラン (中公新書 2784)
財政政策および金融政策にかかわる基本的な事項や主流とされる学説を概説し、両者が一体となって高圧経済を目指す必要性を説く。「国家財政が破綻する」とはいったいいかなる事態を想定しているのか?国債の発行は将来世代に負担を先送りしているのか?等々、素朴な疑問に対して理路整然とアンサーしてくれるのがありがたい。啓蒙されました。
読了日:07月19日 著者:飯田 泰之
https://bookmeter.com/books/21669595

いま、映画をつくるということ 日本映画の担い手たちとの21の対話

■いま、映画をつくるということ 日本映画の担い手たちとの21の対話
黒沢清是枝裕和など、著名かつ書籍も出している作家に加えて、西谷弘や大友啓史など、テレビ出身で娯楽映画をつくっている監督のインタビューも収められているのがおもしろい。三宅唱など、全体として若い作家が少なくないのもおもしろかった。三宅の語る「役に立つ」ことにかかわるくだりがいちばん印象に残った。
読了日:07月19日 著者:是枝裕和,土田環,安藤紘平,岡室美奈子,谷昌親,長谷正人,藤井仁子,青山真治,芦澤明子,大九明子,大友啓史,大林宣彦,奥寺佐渡子,菊地健雄,岸善幸,空族,富田克也,相澤虎之助,黒沢清,周防正行,諏訪敦彦,関弘美,想田和弘,冨永昌敬,中島貞夫,西谷弘,深田晃司,丸山昇一,三宅唱
https://bookmeter.com/books/20921351

アインシュタイン相対性理論の誕生 講談社現代新書

アインシュタイン相対性理論の誕生 講談社現代新書
映画『オッペンハイマー』のサブテクストになるかと思い、物理のパートは流し読みで伝記部分を読む。物理パートが難解でつらいよ!来日講演についてかなり詳細に書いてありおもしろく読む。
読了日:07月23日 著者:安孫子 誠也
https://bookmeter.com/books/1120374

最高の任務 (講談社文庫)

■最高の任務
『旅する練習』がよかったので手に取ったが、こちらもロードムービーなんですね。従姉妹との儚いロマンスを描く「生き方の問題」、大学卒業式のあとの突然の旅を描く表題作も。手紙と日記、それらを書くわたしがわたし自身を追い越していくような息遣いが強く印象に残る。
読了日:07月23日 著者:乗代 雄介
https://bookmeter.com/books/15014985

日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)

■日本人は民主主義を捨てたがっているのか? (岩波ブックレット)
2013年刊行。ここからおよそ10年、橋本フィーバーは今は昔、安倍晋三も射殺されたが一向に世の中はよくなっていない。本書の3章で示された、自由を守るための「不断の努力」の必要性はいや増しているのを痛切に実感するところではあります。
読了日:07月26日 著者:想田 和弘
https://bookmeter.com/books/7697018

カール・マルクス ──「資本主義」と闘った社会思想家 (ちくま新書)

カール・マルクス: 「資本主義」と闘った社会思想家 (ちくま新書)
本書の入門書としてのおもしろみは、3章で近年の草稿研究の進展で明らかになりつつある、マルクスと物質代謝エコロジーとの関係性について記述があることだろう。マルクス自身の体系だった叙述ではなく、研究のために残した抜き書きのメモからその思想形成をたどってみせるのは、贔屓の引き倒しでは…と思わなくもないが、いまどのようにマルクスの可能性を読みうるかという点では大変刺激的でおもしろく読みました。斎藤『大洪水の前に』を読むための助走に…なればよいなと思う。
読了日:07月26日 著者:佐々木 隆治
https://bookmeter.com/books/10784333

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