『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』 宇宙の5人 (original) (raw)

ジェームズ・ガン監督、クリス・プラットゾーイ・サルダナデヴィッド・バウティスタブラッドリー・クーパー (声の出演)、ヴィン・ディーゼル (声の出演)、ジョシュ・ブローリン (声の出演)、リー・ペイスカレン・ギランマイケル・ルーカージャイモン・フンスージョン・C・ライリーグレン・クローズベニチオ・デル・トロ出演の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』。

1988年、母親を病気で亡くしたばかりのピーター・クイル少年は、突如現われた異星人の宇宙船に連れ去られる。26年後、彼は銀河を飛び回るトレジャーハンター“スター・ロード”(クリス・プラット)になっていた。惑星モラグで謎の球体“オーブ”を手に入れるが、ザンダー星人の根絶を目論むロナン(リー・ペイス)の配下たちに追われて辛くも脱出する。オーブを売り損ねたピーターにサノス(声:ジョシュ・ブローリン)の養女ガモーラ(ゾーイ・サルダナ)が襲いかかる。さらに賞金稼ぎのロケット(声:ブラッドリー・クーパー)とグルート(声:ヴィン・ディーゼル)も交えて混戦状態に。結局4人は逮捕されて刑務所送りになるが、そこで出会った“ドラックス・ザ・デストロイヤー”(デヴィッド・バウティスタ)も加えた5人で銀河の危機を救うために戦うことになる。

宇宙よ、これがヒーローか。

2011年に日本で公開された『スーパー!』のジェームズ・ガン監督の最新作。

IMAX3Dで鑑賞。

アメリカでは大ヒットだそうで日本でも好調のようですが、最初に劇場で予告篇を観た時は数あるマーヴェル・コミックス実写化映画の中の一つ、ということぐらいで特に気にもしていませんでした。

でも監督があの『スーパー!』の人、ということを知って急に興味が湧いてきた。

『スーパー!』は一応ヒーロー物、というか、ヒーロー物を現実にやっちゃったイタい人の話で(公開時にはよく『キック・アス』と比較されていた)、しかもハリウッド映画としてはかなりの低予算だった。

そんな“スーパーヒーロー”へのツッコミみたいな映画を撮った人が、その次には完全な「アメコミヒーロー物」をそのまんまビッグバジェットのブロックバスター映画として撮った、というのが実に面白いというか、どんな作品になったんだろう、と。

『スーパー!』はいまだに「知る人ぞ知る」みたいなマイナーな作品に留まってるけど(内容が内容だけに致し方ないが)、この『ガーディアンズ~』の方はというと「今年観た映画の中で一番!」みたいに絶賛してる人たちもいる。

ジョージ・ルーカスの「スターウォーズ」第1作目(エピソード4)を引き合いに出して褒めてる人もいる。

ハン・ソロ的な主人公が仲間とともに銀河を駆け巡るSFアドヴェンチャー映画って感じだし、「IMAX3Dでの鑑賞がお薦め」と言ってる人がいたので奮発したんですが。

IMAXではいつも座ることにしてるスクリーンがちょうど視界一杯に広がるF列の真ん中で観たんだけど、最初に報告しとくと2Dでよかったかな…と^_^;

ちょうどトム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』の時と同じで、評判の良さに騙されちゃったような。

いや、大きなスクリーンで観れば迫力は増すのは確かだから、IMAXだったらより楽しめるでしょうけど。

宇宙アライグマが手前に飛んできたり3D用の効果を考慮したショットはあるんだけど、あまり立体感もなかったし、多分、疑似3Dですよね、これ。

そこそこ楽しめたけど、一部の人たちが褒めそやしてるほどのものとは思わなかった。

映像そのものもかつてスターウォーズがもたらした驚きや技術的革新というものはなくて、目新しさを感じさせるものも特にない。

同じ監督の前作『スーパー!』の方が僕は好きですね(キッパリ)。

なので、ちまたのこの映画に対するテンションとはだいぶ違ってしまうんで前もってご了承のほどを。またストーリーやエンドクレジットで出てくるオマケ映像についても

ネタバレ全開ですから、これからご覧になるかたは映画の鑑賞後にお読みください。

それと、いつもお断わりしているように僕はアメコミの原作についてはまったく知らないので、これはそういう人間が映画だけ観て理解したことを基に書いた感想です。

さて感想の前に、先ほども挙げた『オール・ユー・ニード~』もそうなんだけど、どうやら多くの人たちと僕とでは特にこの手のSFアドヴェンチャー映画、またはアメコミ映画に対する「面白さ」の感じ方が異なるようだ、と最近ようやく気づきました(ファンが多い『アベンジャーズ』や『マン・オブ・スティール』も初見時に面白いと思わなかった)。

だから僕の意見は少数派なので、ほとんどの人には参考にならないかもしれません。せいぜい「あぁ、こーゆー感じ方をする奴もいるんだ」ぐらいに思っていただければ。

Blue Swede - Hooked on a Feeling

映画の公開日から観るまでに何日かあったんだけど、珍しくすでに観た人たちの詳しい感想は読まず、内容についてはほとんど予備知識がないまま(町山さんの解説だけ聴いた)臨みました。

観る前は、スターウォーズや寺沢武一の漫画「コブラ」みたいな世界観なのかな、って思ってたけど、わりとその通りでしたね(そーいえば「コブラ」もハリウッドで実写映画化されるといわれてからかなり経つけど、どうなったんだろう)。全体的に懐かしい雰囲気がある。

スペースコブラ」(1982~83) 声の出演:野沢那智 榊原良子 小林清志

ゾーイ・サルダナが演じる緑色の肌のガモーラなんて、SWやコブラに登場してても全然おかしくないキャラだもの。

まぁ、SWやコブラの方がアメコミの影響を受けてるわけですが。

ゾーイ・サルダナはJ・J・エイブラムスの「スター・トレック」シリーズでも主要キャラの一人を演じてるから、実際エイブラムスが監督するスター・ウォーズの最新作に出演してても不思議じゃない。

アバター』では青い肌の巨大なおねえさんを演じてたけど、次は何色の肌の宇宙人を演じるのだろうか。

SWの世界的な大ヒットのあとに作られた『スタークラッシュ』や『宇宙の7人』『スペース・レイダース』辺りを現在の技術で作ったようにも見えるし、ジョン・C・ライリーやグレン・クローズがいるノヴァは「スタートレック」の惑星連邦そのまんまだったり。

あと、マイケル・ジャクソン主演の『キャプテンEO』やヴィン・ディーゼル主演の『リディック』にも似てる。

『リディック』(2004) 監督:デヴィッド・トゥーヒー
出演:コルム・フィオール タンディ・ニュートン カール・アーバン ジュディ・デンチ

ちなみに今回、ガーディアンズのメンバーの一人として登場する木人グルートを見ていて、その佇まいがなんだか『アイアン・ジャイアント』のロボみたいだなー、と思ってたら、声が同じヴィン・ディーゼルだったというw


女の子には花をあげて、誰も見てないところでフラワーロックみたいに踊るよ!

この曲を聴くとお笑い芸人の“あかつ”の「すもササイズ」を思い出してしまうw

グルートは台詞の種類が2つぐらいしかありませんが(^o^; 気のいいデカブツ(でも怒ると強い)の声はヴィン・ディーゼル、みたいなルールができつつあるのか(^o^)

そして大人気の宇宙アライグマ、ロケットの声はブラッドリー・クーパー。


チンポジ気にすなっ

ロケットは機械いじりが得意で、刑務所からの脱出も彼が計画する。

小動物やペット扱いされるとキレるけど、みんなを守って粉々になったグルートの姿に泣くところがキュート。

しかし、主演級のスター2人が顔出さずに声のみの出演、ってのも贅沢というかなんというかw

スターといえば、ベニチオ・デル・トロがオーブを買い取るコレクター役で出演。

ハッキリいってデル・トロ兄貴の無駄遣いみたいにどってことない役なんだけど、こういうタイプの映画で顔を見るのは珍しいんでちょっとお得感はあるかも。エンドクレジットではオマケキャラの“あいつ”に出くわしてました。

今回、ピーター・クイルたち宇宙の5人と直接戦うことになる敵ロナンを演じているのは、『落下の王国』のリー・ペイス。

あの映画では心に傷を持つ青年役で今回のヴィランとはまったくキャラが違うんで(特殊メイクもしてるし)、映画観終わってキャストを確認するまでわかりませんでした。

思った以上にデカい人だったんだな(身長191cm)。

ロナンの部下コラス役はジャイモン・フンスー。『グラディエーター』をはじめSFやアクション物など数々の映画に出演している俳優さんだけど、残念ながら本作ではろくに見せ場を与えられずあっけなく倒されてしまう。

ガモーラとともにサノスに娘として育てられたネビュラ役のカレン・ギランは、この役のために頭を剃ってアクションの特訓をしたんだそうな。

ネビュラは最後に死なないので、続篇には再登場しそうですね。


笑うと可愛いネビュラちゃん

青い顔したネギ星人みたいなヨンドゥ役は、ジェームズ・ガン作品の常連マイケル・ルーカー。

子どもの頃のピーターを宇宙に連れ去った張本人だが、ちょっとこのキャラの立ち位置がよくわかんなかった。

ピーターとはこれからも敵になったり仲間になったりするんでしょうか。

最大の敵サノス(CGキャラ)の声はジョシュ・ブローリン。『グーニーズ』のあのお兄ちゃんも悪役が似合う俳優さんになりました。

このサノスは『アベンジャーズ』のエンドクレジットにも登場してドヤ顔でこっちを見てたけど、このおっさんがこれからのマーヴェル・シネマティック・ユニヴァースの共通の敵になるんでしょうかね。

顔や身体のバランスが完全にアニメキャラなんだよな。

僕はサノスの顔がテリー・ギリアムにしか見えなくて吹きそうになったんですが。

ガモーラの裏切りはこいつが彼女を養女にしていたからなのに、ロナンに「つまらん。お前の作戦はつまらん!」とまるでキンチョールのCMの故・大滝秀治みたいな言いがかりをつけて責任転嫁したり、スゴいんだかショボいんだかよくわからない。

僕はこの映画の悪役たちを見ていたら、永井豪原作のアニメの悪役たちを思い出したんですよね。

『アベンジャーズ』に登場したサノスの手下の兵士たちは人類とは意思疎通ができないようなエイリアンとして描かれていて、敵側のドラマが一切描かれないために僕はそこが不満だったんですが、この『ガーディアンズ~』では同じ敵を描きながらも下っ端の兵士たちまでちゃんと喋るし、敵側にもそれぞれのキャラに思惑があって中には仲間を裏切る者もいる。

ロナンもサノスに従ってはいるものの、オーブを手に入れた途端に案の定反旗を翻す。

そういうところが永井豪の「マジンガーZ」とか「デビルマン」の悪役たちを彷彿とさせるなぁ、と。

惑星1つを一瞬にして消滅させるほどの力を持ちながら椅子にふんぞりかえって手下に命令を下してるだけのサノスとか、お前が真っ先に出張っていけばすぐ決着つくじゃねーか、って思うんだけど、その辺なんか実に往年の巨大ロボアニメや石ノ森章太郎原作のヒーロー物などの悪の親玉っぽい。

最初にお断わりしたように僕はその方面に不勉強なんで、永井先生がアメコミの影響を受けたのか、それとも逆なのか、たまたま似たような世界観になったのかは知りませんが。

この映画が子どもだけでなく大人も夢中にさせるのは、そういう「いつか観たヒーロー物」を思い出させるからでもあるんじゃないだろうか。

敵の野望が「銀河の征服」だったりハンマー一振りで星一つ消し飛ぶとか、誇大妄想というか、発想が幼稚で(;^_^A

だってやってることは、地面を殴ったら地球が割れるアラレちゃんと同じだものw

“強さのインフレ”ということでは、同じ鳥山明原作の「ドラゴンボール」っぽくもある。

何事も大きければ大きいほど、強ければ強いほど存在価値がある幼児にとっては楽しい世界でしょうね。

一方では、そのように敵の力があまりに強大なために戦いの規模がデカくなりすぎてしまって、観てるうちにだんだんどーでもよくなってしまう部分もある。

ロナンとの決着のつけ方なんかもちょっと何が起こったんだかよくわかんなくて、みんなで仲良く手をつないだら相手が勝手に死んでくれる。

もちろん、それには物語上の理屈があるのはわかるんだけど、絵的にはちっとも面白くなかった。

ピーターがクライマックスでいきなり「ダンス対決しよーぜ!」と言いだすところは可笑しかったけど。

ただ、あの“オーブ”という究極のアイテムについてはモヤモヤが残った。

特殊なアイテムで最後に勝利する、というのはありがちだけど、描き方によっては物凄い感動を呼ぶはずなんだよね。

“スター・ロード”ことピーターは幼い頃に地球から連れ去られて以来、携帯していたカセットタイプのウォークマンをずっと愛用している。

26年前のカセットテープが今でも聴けるのかどうか疑問だけど(僕が持ってたテープは現在ではことごとく伸びちゃってうまく再生できなくなってます)。

まぁそれはいいとして、そのウォークマンを取り上げて聴いてる看守がいたり、ガモーラがそのミックステープの曲に心動かされる場面があったり、「音楽」に強い意味が込められている。

で、さっきの「ダンス対決しよーぜ」の場面で、もしもピーターが亡き母から贈られた「最強ミックスVol.2」の曲によって敵に勝利を収める、といったような展開だったら(なんかマク○スみたいだが)僕はこの映画が大好きになってたと思う。

カセットテープに入ってるお気に入りの音楽が銀河を救う、という大逆転、価値観の転倒があれば、僕は本気でこの映画に泣いたかもしれない。

たとえば「銀河鉄道999」では“本物のラーメン”が希少で物凄く高価な食べ物だったり、「21エモン」でゴンスケが作っていた巨大イモで宇宙に脱出したり、そういう荒唐無稽の中のファンタスティックな発想にこそ面白さを感じる。

だから年代物のあのカセットテープの中に収められた懐かしい曲たちには実は銀河を救うほどの力があった、というオチが実現していたらとても感動的だったんじゃないかなぁ。

オーブなんていう、意味のない“マクガフィン”じゃなくてさ。

『スーパー!』でスーパーヒーロー物をメタ視点で描けたジェームズ・ガンなら、そういう結末も可能だったんじゃないかと思うんだけど。

このように「惜しい」と感じさせるんだけど、登場するキャラクターたちは魅力的だし、クリス・フォスがデザインした宇宙船はカッコよくて『ホドロフスキーのDUNE』でも語られていたように未完に終わった大作の一要素がこうして新たな作品で復活したことにもなって、そこんところは観る価値は大いにあるんじゃないでしょうか。

熱帯魚みたいなピーターの持ち船やロナンが乗るネジリン棒みたいな形の巨大戦艦ダークアスターの威容は迫力満点で、最後に墜落するところなんかもいろんな日本アニメの名場面を思い出させた。

スタン・リーおじいちゃんもカメオ出演してます。

エンドクレジットには、ドナルドではない方のあの喋る宇宙アヒル(声:セス・グリーン)が。


お、お前はっ

2017年には続篇が公開される予定だとか。

この映画は今までのマーヴェル映画を観ていなくても単体だけで理解できるし楽しめるので、これを手始めにシリーズにハマる人もいるかもしれないですね。

今回“スター・ロード”ピーター・クイルの父親は宇宙人だったということが判明したけど、両親の馴れ初めや父親のことはほとんど触れられていないので、それは次回作以降に描かれるのでしょうか。

5人の“銀河の守護者”の今後の活躍が楽しみです。

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