運命に翻弄された三人の関ヶ原浪人…「デウスの城」 (original) (raw)
こんにちは、ちわぷ〜です!
最近、力を入れて調べている天草四郎関係。
今回は、天草四郎が主役ではないのですが、あの時代に翻弄された人々を描いた良作を読みましたので、ご紹介させて頂きます☆
「デウスの城」 伊藤潤(著)
あらすじ
キリシタン大名の小西行長は、関ヶ原で敗れて斬首されてしまう。
行長の三人の若き家来たちも、それぞれの道を進み運命に翻弄される。
そして、運命の島原の乱へと至る…
一番運命に翻弄されたのは、天草四郎ではなく小西家家臣だったのかも知れない。
秀吉の朝鮮出兵で加藤清正と共に海の向こうで戦ったという印象くらいしかなかったのですが、島原の乱を調べるに当たって切っても切り離せないのがこの小西行長。
島原の乱以前に、この地域を治めていた小西行長の事を理解すると、また島原の乱に対する理解も変わってきます。
秀吉に大層可愛がられ、キリシタン大名でありながらも、秀吉による禁教令が出された後も何だかんだ見て見ぬふりをされていた感じだった様で、長くなるので割愛しますが、小西家が治める以前からキリスト教が根付いていたこの地域は更に民衆のキリシタン化が進んでゆきます。
そして関ヶ原の乱で、秀吉に対する恩義から小西行長は豊臣家の為に西軍に付き、本来武士は敗れたら潔く切腹するものですが、それはキリスト教の教義に反するという事で斬首されてしまいます。
小西家が滅んだ事により、小西家の家臣は路頭に迷い、土地を持っている武士は庄屋となりその地域の豪農となってゆき、もちろん小西家家臣は大半がキリシタンなので、島原の村では家康、秀忠のキリスト教弾圧の時代でもキリスト教は根付いてゆき、
そして島原の乱で立ち上がるに至ります。
神の子とされた少年、天草四郎と百姓キリシタンの一揆であるイメージが強い島原の乱ですが、戦闘を指揮していたのは旧小西家家臣。天草四郎の父も小西家家臣。
長くなりましたが、この辺りを押さえておくと島原の乱の深みを感じる事ができるかと思います。
本作は、三人の小西家浪人が運命に翻弄されてゆく様が描かれておりますが、
他の天草四郎関係の作品では端折られがちな上記の背景が濃密に描かれており、関ヶ原〜島原の乱までの長い年月が描かれています。
故に、少しマニアック。天草四郎に興味を持つ方って、その神秘性に惹かれるのであって、小西家という武士にはあまり興味を持たない印象。
また、きっちりとした骨太な時代小説といった印象で、普段時代小説を読んでいない方だと読みにくいかもです。時代小説ビギナーでも読みやすいというのが、天草四郎関連の一つの特徴だと思うので、今まで小西家視点で描かれた作品にあんまり出会わなかったというのも納得。
なので、時代小説を読み慣れていない方、天草四郎に興味を持ち始めた方の一冊めとしては、まとめに貼ってある作品が良いんじゃないかなぁと思いますが、
島原の乱にガッツリ興味を持ったという方は是非!と言いたい骨太な小説でした☆
まとめ
小西家浪人視点で関ヶ原〜島原の乱までを描く骨太な時代小説です。
仏教とキリスト教の対比、人々の信仰心など、弾圧されたキリシタンの単なる悲劇として語られがちな島原の乱をしっかりと掘り下げてきて、考えさせられる作品でした!
天草四郎が登場するのは後半の方からになりますので、天草四郎が主人公の作品が良い!という方は、下記に貼る作品がオススメです!
何冊か天草四郎関連作品を読んで時代背景をより深く知りたい、何となく骨太時代小説もイケそう!という方は「デウスの城」も是非ご検討してみてください(^ω^)
天草四郎初めましての方、時代小説はあまり読まないけど島原の乱には興味があるよ〜という方は、以前オススメしたこちらの作品もオススメです☆
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こんな人にオススメ
小西家に興味のある方
島原の乱に興味のある方
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