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【マイルCS × 過去データ分析】
前走東京重賞で3着以内だった馬に注目!
【データ分析】
今週は土曜に東京で2歳重賞の東京スポーツ杯2歳S、日曜に京都でマイルCSと2鞍の重賞が組まれている。マイルCSは2020~22年にかけて阪神競馬場で施行され、京都競馬場で4年ぶりに行われた昨年は牝馬のナミュールが優勝。阪神開催を含めた過去10年のデータから今年馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
4歳馬、なかでも前走G1組が好成績
■表1 【マイルCS近10年の年齢別成績】
表1は年齢別成績。4歳馬については前走クラス別成績も示している。4歳馬が昨年のナミュールら最多の4勝をあげ、勝率・連対率・複勝率いずれもトップだ。なかでも前走G1だった4歳馬は20年グランアレグリアら2勝をあげ、複勝率55.6%と非常に高い。
出走数最多の5歳馬は16年ミッキーアイルら2勝も、連対率・複勝率で4歳馬に差をつけられている。3歳馬は一昨年のセリフォスら3勝。3着以内馬6頭はすべて前走5着以内に入っていた。6歳馬は14年ダノンシャークが勝利するも、16年以降は好走馬が出ていない。なお、7歳以上の馬からは3着以内馬が出ておらず、不振傾向にある。
前走G1・G2で3番人気以内だった馬をチェック
■表2 【マイルCS近10年の前走人気別成績】
表2は前走人気別成績。勝ち馬10頭はすべて前走で3番人気以内に支持されていた。この中で前走1番人気馬よりも前走2番人気馬の方が連対率・複勝率が高い点には注意したい。
前走3番人気以内の前走クラス別成績では前走G1組が連対率・複勝率46.2%と非常に高いのだが、今年は該当馬がいない。前走G2組は4勝をあげ、複勝率28.9%。昨年は1着ナミュールが該当し、16年を除いて毎年1頭は3着以内に入っている。この組の3着以内馬13頭中12頭は前走で5着以内に入っていた。
連対馬は前走4番人気以内におさまっており、前走5番人気以下は3着止まり。なお、前走10番人気以下の馬からは好走馬が出ていない。
前走東京のG1・G2で3着以内の馬に注目
■表3 【マイルCS近10年の前走競馬場別成績】
表3は前走競馬場別成績。出走数の半数以上を占める前走東京組が19年インディチャンプら大半の8勝をあげている。昨年は1・3着馬が該当しており、毎年1頭は3着以内に入っている。黄色で強調した前走3着以内馬が【6.6.2.28】で近3年続けて勝ち馬が出ており、複勝率33.3%。前走東京のG1・G2組に限ると【6.4.2.18】で複勝率40.0%と優秀だ。今年もこの範囲を中心に狙っていきたい。ただし、前走東京組は前走4着以下の馬も8頭が馬券に絡んでおり、見逃せない。
他では前走中山組が16年ミッキーアイル、20年グランアレグリアの2勝。両馬はともに前走スプリンターズSで連対を果たしていた。
乗り替わり組が7勝と優勢、5~9番人気に注意
■表4 【マイルCSにおける前走から継続騎乗か乗り替わりかの比較】
表4は騎手が前走から継続騎乗か乗り替わりかでの成績比較。両者86頭ずつで、前走から乗り替わりの馬が昨年のナミュールら過半数の7勝をあげ、優勢となっている。乗り替わりの馬では、上位4番人気以内と5~9番人気の馬で勝率互角、複勝率もほぼ変わらないという成績となっている。乗り替わりの馬は5~9番人気の穴目を狙っていきたい。
逆に継続騎乗の馬で好走したのはほぼ上位5番人気以内。こちらは乗り替わり組の4番人気以内よりも複勝率で上回っている。
【結論】
ブレイディヴェーグが軸、ナミュールとの牝馬ワンツーも
■表5 【今年のマイルCSの注目馬】
これまでのデータから人気でも軸はブレイディヴェーグとしたい。4歳馬、前走2番人気、前走東京のG2府中牝馬Sで1着、ルメール騎手が継続騎乗の予定とデータ的には欠点がない。昨秋にはエリザベス女王杯を制しており、京都外回りコースも経験済。スムーズなレース運びができれば、勝機はかなりありそうだ。
**ナミュール**も推奨したい一頭。前走東京G1の安田記念で2着。前走安田記念は4番人気だっただけにデータ上は優勝の可能性は薄いが、それでも末脚は強烈。昨年のように展開がハマればマイルCS連覇があっておかしくない。これら牝馬2頭のワンツーも十分にある。
他では近2年勝ち馬を出している前走富士S組から1・2着のジュンブロッサム、ソウルラッシュ。外国馬チャリンも今回ムーア騎手へ乗り替わる予定で、注意しておきたい。大穴ならば**オオバンブルマイ**。4歳馬で前走G1組、前走スプリンターズSは追走で手一杯だったが、距離が伸びて末脚が生きる展開になれば激走があっておかしくない。
【エリザベス女王杯 × 過去データ分析】4歳馬優勢で今年は波乱も!?
【データ分析】
今週は秋の女王決定戦・エリザベス女王杯が行われる。昨年の覇者で、前哨戦の府中牝馬Sも制したブレイディヴェーグが連覇に挑むレースになるかと思いきや、ここは回避して次週のマイルCSへ向かうことになった。ディフェンディングチャンピオンが不在となった一戦で新女王の座に就くのはどの馬か。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向から分析してみよう。
1、3番人気が好成績も、穴馬の激走を警戒
■表1 【人気別成績】
過去10年の人気別では、1番人気が【2.2.2.4】で複勝率60.0%、3番人気が【4.0.3.3】で同70.0%をマーク。しかし2、4番人気は振るわず、その分穴馬の好走も少なくない。特に9~12番人気が計【1.4.1.34】複勝率15.0%と人気の割に健闘しており、穴馬への警戒は怠れない。
4歳馬が中心に
■表2 【年齢別成績】
年齢別では4歳が【7.4.5.44】と7勝を挙げ、複勝率も26.7%でトップ。毎年少なくとも1頭は3着以内に入り、2020年を除く9回では連対を確保しているため軽視は禁物だ。次いで3歳が2勝で、複勝率は4歳に迫る23.5%。5歳以上は劣勢だ。
前走G2組が10年で9勝
■表3 【前走クラス別成績】
過去10年の3着以内馬はすべて前走で重賞に出走しており、好走馬30頭中29頭は前走G2以上。特に9勝を挙げているG2組への注目は欠かせない。なお、表2で好走が多かった4歳馬のうち前走がG2だった馬は【7.4.3.20】で複勝率41.2%を記録している。
4歳馬は前走ひと桁着順ならチャンスあり
■表4 【4歳の好走馬】
表4は4歳の好走馬16頭である。一見すると前走3着以内馬が良さそうにも見えるが、4歳の前走1~3着馬は計【5.3.4.28】複勝率30.0%・複勝回収率89%、前走4~9着馬が計【2.1.1.12】同25.0%・181%、前走10着以下は【0.0.0.4】。前走ひと桁着順であれば複勝率にさほど大きな差はなく、むしろ馬券圏外だった馬のほうに配当妙味がある。
秋華賞組以外の3歳馬なら前走、今回とも1番人気
■表5 【3歳(前走秋華賞以外)、5歳以上の好走馬】
最後に表5は3歳と5歳以上の好走馬だが、今年は前走秋華賞組の登録がなかったため、この表でも秋華賞組は除いている。まず3歳の2頭は前走、エリザベス女王杯ともに1番人気で、どちらも前走では連対していた。5歳以上の6頭は前走5着以内。また表には記していないが、6頭ともG2以上の優勝実績があった。
【結論】
4歳・前走G2のコンクシェル、モリアーナが激走か!?
エリザベス女王杯は表2、表3で記したように、4歳馬や前走G2出走馬が多数好走している。今年の登録馬のうち4歳で前走がG2だったのはコンクシェル、ハーパー、そしてモリアーナの3頭だ。このうち昨年3着のハーパーは表4から前走府中牝馬S15着が負けすぎの感があり、同レースで9着だったコンクシェル、8着だったモリアーナの2頭に特に注目したい。表1で触れた9~12番人気の範囲に入るようなら一層おもしろい存在になる。
4歳に次いで好走馬が多い3歳馬はレガレイラ1頭の参戦。ローズS1番人気で今回も恐らく1番人気の支持を受けそうなことは好材料だが(表5)、前走5着は減点材料となり、上記4歳勢には及ばない印象だ。そして5歳以上ではシンティレーション、ルージュリナージュが前走5着以内。ただ2頭ともG2以上の優勝実績がなく、やはり少々の割引が必要だろう。
日本調教馬初Vを目指すフォーエバーヤング、ダービー馬シャフリヤールらが参戦 ブリーダーズカップ4レースを展望
ケンタッキーダービーで3着に入ったフォーエバーヤング 【Photo by Getty Images】
【ブリーダーズカップクラシック】話題の中心はシティオブトロイも、先行激化なら日本の3頭に勝機到来
開催地のアメリカが中心なのはもちろん、それに対抗する勢力も長らくヨーロッパ勢のみだったブリーダーズカップに、今年は日本から19頭もの出走希望馬が遠征。しかも、メインレースのクラシックに挑む3頭は勝利も望める実績馬ばかりで、本丸を落とせばBC開催における第三極として存在感は確かなものになる。絶好の機会を生かし、是非とも日本馬の存在価値を示してほしい。
今年のBCクラシックは英芝戦線の王道をまい進してきたシティオブトロイが初のダート挑戦を克服し、A.オブライエン調教師に待望のタイトルをもたらすかが最大の呼び物となっている。父は米三冠馬のジャスティファイで、スピードの持続力を持ち味とするスタイルはダートに合いそうなうえ、歴代最多の英ダービー10勝を誇るオブライエン師をして最高傑作と認めるほどの能力の持ち主。結果はさておき、どのようなレースを披露してくれるのか注目を集めるのは当然だろう。
これを迎え撃つアメリカの大将格はフィアースネス。昨年はBCジュベナイルを制した2歳王者で、それを含むG1レース3勝と3歳世代をリードする存在といえる。ただ、軽快な先行力を武器とする一方、1番人気に推されたケンタッキーダービーで15着に大敗したように、早めに競られるなど他馬のプレッシャーに対して脆い面がある。一方でシティオブトロイは初ダートに向け英国のオールウェザーコースで僚馬たちと予行演習を行ってきたが、本場の砂つぶてを浴びて耐えられる保証もない。オブライエン師も先行策を明言しており、両雄が前々で運べば厳しい流れになることは必至だ。
両雄の共倒れもあり得る状況だけに、日本の3頭にも少なからずチャンスはあるはず。デルマソトガケは昨年のBCクラシックで2着(1馬身差)、フォーエバーヤングはケンタッキーダービーで3着ながら勝ち馬との着差(ハナ+ハナ)がさらに小さく、それぞれに米ダート競馬の最高峰で勝利に肉薄した実績がある。また、ウシュバテソーロは昨年のドバイWCで実際に世界を制し、昨年のBCクラシックもデルマソトガケに2馬身少々の5着。その後の3戦は全て先着と互角以上に戦っている。3頭とも2強との比較では注文がつかないタイプだけに、流れに乗れさえすれば上位争いを期待できるだろう。ただし、矢作芳人調教師が「最悪」と認めるように、最内枠のフォーエバーヤングは課題の残るゲートに失敗すると、次々と前に入られて苦しい位置に追いやられるリスクが生じた。
G1を3連勝中のジャスティファイ産駒シティオブトロイ 【Photo by Getty Images】
フィアースネス以外のアメリカ勢ももちろん強力で、日本勢との比較ではKYダービーでフォーエバーヤングと叩き合ったシエラレオーネ、サウジCとドバイWCでウシュバテソーロと互角のセニョールバスカドールが気になるところ。両馬とも春以降に勝てていないものの、追い込み脚質で展開に左右される影響が大きく酌量の余地はある。それでも、シエラレオーネはKYダービー以降の3戦とも3着以内を確保し、セニョールバスカドールもドバイからの帰国初戦(1400m)を含めデルマー競馬場でのレース経験が豊富。最強の相手関係で流れが厳しくなる今回は勝ち負けに絡んでも不思議はない。
枠順抽選後に主催者が発表した想定オッズではネクストの評価が高めだが、ダートのステイヤーというアメリカでは異色の存在。直近7連勝で2着につけた着差は合計91馬身以上とワンサイドではあるものの、相手関係が大幅に強化してペースも上がる今回は試金石だろう。
ハイランドフォールズとアーサーズライド、タピットトライス、ピレニーズは9月のジョッキークラブGCで直接対決し、2番手追走のハイランドフォールズが並ぶように先行したアーサーズライド、3番手のタピットトライスを蹴散らして4馬身差の完勝。2着のピレニーズはさらに後ろからで展開の利があった。3月のサンタアニタHではニューゲートに敗れたが、当時のハイランドフォールズは二の足がつかず最後方からのレース。これらの馬たちは7番人気以下の評価だが、ハイランドフォールズはジョッキークラブGCのように先行し、フィアースネスにプレッシャーをかけられるようなら勝機がめぐってくることも。
昨年のBCターフで3着の実績があるシャフリヤール 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
【ブリーダーズカップターフ】レベルスロマンスの強力先行に挑むシャフリヤール、展開を利したいローシャムパーク
2年連続のシャフリヤールに加えてローシャムパークも挑戦するBCターフは、例年通り欧州からの遠征馬が中心の戦いになりそう。2年前にBCターフを制し、今年は3か国でG1勝ちしているレベルスロマンスが、強力な先行力で主導権をにぎる展開となるはずで、追走する各馬の地力が問われる。
2年前のキーンランド開催では追い込みに近い差し切りでBCターフを制したレベルスロマンスだが、不振から立ち直った今シーズンは初戦のアミールトロフィーで逃げる作戦に出て覚醒。続くドバイシーマクラシックでは今回も対戦するシャフリヤールとエミリーアップジョンを寄せつけずに完全復活を印象づけた。唯一の黒星を喫したキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでも、先行勢が沈む厳しい展開に耐え抜いて後の凱旋門賞馬ブルーストッキングに1馬身差の3着。余程のことがない限り大崩れは考えにくい。
レベルスロマンスを負かし得る筆頭候補はシャフリヤールと信じたい。ドバイでは直後を追走も最後に2馬身差をつけられたが、当時のレベルスロマンスは復活の兆しを見せていた段階で、英ブックメーカーの人気も20倍台の伏兵評価。シャフリヤールのC.デムーロ騎手としては、後ろのリバティアイランドやオーギュストロダンらの人気馬にも注意しておく必要があっただろう。シャフリヤールにも昨年のBCターフで3着の実績があり、相手を1頭に絞れる今回が決着戦だ。
エミリーアップジョンはドバイの段階でレベルスロマンスとシャフリヤールより高い人気だった。結果は完敗の5着も、当時は8か月ぶりの実戦。プレエントリーで第一希望のフィリー&メアターフではなく、あえてレベルスロマンスとの再戦を選択した点が不気味に映る。陣営は距離適性を理由としているものの、両レースでは200mしか違わない。牡馬が相手になっても、賞金が2.5倍高いターフで勝ち負けの自信があるのだろう。前走のヴェルメイユ賞で小差の上位2頭が凱旋門賞でもワンツーを決めた事実も後押しする。今年は6戦未勝利だが、厩舎の主戦に抜てきされたK.シューマーク騎手が今ひとつ振るわず、昨年まで主戦だったL.デットーリ騎手との再コンビが決定している点も見逃せない。
今年は3か国でG1勝ちしているレベルスロマンス 【Photo by Getty Images】
主催者発表の想定オッズで2番人気の3歳馬ジェイアービーは2歳時以来のG1挑戦だが、直近2戦ではG1ホースたちと好勝負しており、一線級相手にも目途を立てている。ただ、先行力がある一方で距離経験はなく、レベルスロマンスと真っ向勝負の形になった場合、スタミナがもつか未知数の面もある。
2頭出しのA.オブライエン厩舎は主戦のR.ムーア騎手がルクセンブルクを選択。もう1頭のウイングスパンは前走の英チャンピオンズフィリーズ&メアズ Sで2着に逃げ粘ったものの、重賞未勝利の3歳牝馬で実績的に不足している。援護射撃に回る作戦だとしても、一線級相手に完敗続きのルクセンブルクが応えられるか。
この辺りにならローシャムパークも引けは取らないはず。2400mは今回が初めてだが、血統的にはむしろ合っていそうな感がある。ゲートに課題がある現状で最内枠に決まり、後方からのレースを織り込む必要はあるが、大阪杯では2番枠から捲り気味の仕掛けで勝利に肉薄し、オールカマーと函館記念での重賞勝利を含めて小回りコースは好相性。レベルスロマンスをめぐって先行勢に厳しい展開になるようなら台頭のチャンスも。
5年ぶりの勝利を狙うアメリカ勢の総大将ファーブリッジは、2400mに距離延長を図った直近2戦でG1連勝。8月のソードダンサーSは逃げ切り、9月のジョーハーシュターフクラシックは勝負所で鞍上が手綱を引く不利を受け、最後方に下がりながらの差し切りと自在性がある。ただ、どちらも5頭立ての少頭数で今回は2倍以上、大幅強化の相手関係で真価を問われる一戦となる。
これより評価の低いアメリカ勢ではなお苦しそうだが、ゴールドフェニックスは昨年のBCターフで単勝52.6倍の8番人気(現地発売)ながらシャフリヤールに続く4着。西海岸がベースで2200mのデルマーハンデキャップを3連覇と、昨年のサンタアニタパーク競馬場よりさらに地の利があり侮れない。
ヴィクトリアマイルでG1初制覇を飾ったテンハッピーローズ 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】
【ブリーダーズカップマイル】ゴドルフィンの4連覇なるか、日本の2頭を含めライバルは多士済々
地元のアメリカ勢が牙城を築くダート戦、欧州勢が強い芝の中距離や2歳戦と明確な傾向があるブリーダーズカップ開催において、芝のマイルには地域や性別、年齢に目立った偏りが見られない。今年もいずれ劣らぬ実力馬が顔をそろえ、どの馬にもチャンスがありそうな難解な組み合わせとなった。
デルマー競馬場の芝コースは最終コーナーからゴールまで約250mしかなく、2ターンのコース1周で争われるため外枠ほど不利になる。また、スピード優先で距離適性が短めな馬でもこなせてしまう。近年のBC開催地は似たような感じだが、こうした難しい舞台で3連覇中なのがゴドルフィン。C.アップルビー調教師とW.ビュイック騎手を擁すチームは、夏場も積極的に馬を送り込むなど、米国の芝で勝つ術を心得ている。
今年のノータブルスピーチは1月のデビューから7戦ともマイル戦で、良馬場の英2000ギニーとサセックスSを強烈な瞬発力で制している。2つの黒星には発馬直後の不利で折り合いを欠いたセントジェームズパレスS、道悪のムーランドロンシャン賞と明確な敗因があり、馬群から一瞬にして抜け出す末脚の回転力からも、実力発揮は高速馬場でこそと思わせる。
強敵となりそうなのが牝馬のポータフォーチュナで、こちらは前走まで英愛の牝馬G1を3連勝中。いずれも先行策から満を持しての抜け出しと、牝馬のマイル路線では敵無しの感がある。2着に敗れた4戦前の英1000ギニーは仕掛けが早すぎた展開のアヤでしかなく、小回りコースの今回は前々で運べる脚質もアドバンテージになるだろう。
フランスのラマチュエルはポータフォーチュナに英1000ギニー(短アタマ差)、コロネーションS(2馬身1/2差)と連敗しているが、前走のフォレ賞では好位から3馬身突き抜ける圧勝でG1初制覇を飾った。通算9戦で全て3着以内の堅実性があるうえ、デルマー開催の2021年にBCマイルを勝ち、ゴドルフィン3連覇の口火を切ったスペースブルースも前走でフォレ賞勝ち。スピードを生かせる舞台で逆転しても不思議はない。
英2000ギニーとサセックスSを制しているノータブルスピーチ 【Photo by Getty Images】
格下ながら距離短縮に活路を見出したA.オブライエン厩舎のディエゴヴェラスケスを加えた欧州勢が強力で、テンハッピーローズとジオグリフはあくまでチャレンジャー。テンハッピーローズは1400mで実績を積み重ね、ヴィクトリアマイルも人気薄での勝利だが、前出のスペースブルースはフォレ賞まで15戦連続で1400m以下に出走していた。適性自体に問題はなさそうな一方、外目の枠で乗り方が難しくなってしまっただけに、ヴィクトリアマイルのような末脚を引き出せるかがカギになる。
また、ジオグリフは長らく白星から遠ざかっているが、今年は中山記念と札幌記念で入着。大阪杯でも2馬身圏内の5着と小回りコースで復活の兆しを見せている。直線の長い安田記念(6着)で先行策から粘ったようにマイルのスピードにも不安はなく、3番枠を利して上位争いに加わることも。ちなみに前回、2021年のデルマー開催では枠番3番までの馬が上位4頭に収まった。
地元のアメリカ勢も実力馬が顔をそろえたが、実績上位が欧州勢よりも軒並み外の枠になってしまった。最も期待できそうなのは9番枠のヨハネスで、今年は余力を感じさせる内容でG1を含む無傷の重賞4連勝と破竹の勢い。西海岸がベースで2走前にはデルマー競馬場でもG2勝ちと、地の利を含めて対抗可能な材料はある。
カールスパクラーも今季5戦4勝で重賞3連勝中と好調。BCマイルと好相性のフォースターデイヴハンデキャップ、クールモアターフマイルで直近2連勝と実績面では筆頭といえる。ただ、前走は逃げ切り、2走前も2番手からという先行脚質に大外枠は痛い。その2戦とも2着で連敗のモアザンルックスには、8番枠で逆転の目も出てきた。昨年のBCマイルでは12番枠から6着で、5着のソングライン(10番枠)とは3/4馬身差だった。
チリフラッグとカナダのウィンフォーザマネーにもG1勝ちがあるが、前者は牝馬限定戦、後者は8頭立ての6番人気と、G1未勝利のゴリアドを含めて北米勢では一枚落ちの感がある。2019年のユニはファーストレディSとBCマイルを連勝しており、同2着から臨むチリフラッグは、2番枠からの立ち回り次第でチャンスがあるかもしれない。
カナディアンS、E.P.テイラーSを連勝中のフルカウントフェリシア 【Photo by Getty Images】
【ブリーダーズカップフィリー&メアターフ】支配的傾向の欧州勢に傑出馬が不在、今年は北米勢にもチャンスあり
BCフィリー&メアターフは出走希望のアリスヴェリテがプレエントリーの段階で補欠待機となり、BCディスタフに回ったため日本調教馬が不在となってしまった。近年は欧州からの遠征馬や移籍馬が支配的なレースだが、今年は小粒な印象で北米勢にも勝機がありそうな情勢だ。
主導権をにぎるのは2走前のG2カナディアンS、前走のG1E.P.テイラーSを逃げ切りで連勝し、2番枠を引いたフルカウントフェリシアとなるだろう。2走前は引きつけて終盤ペースアップのオーソドックスな内容だったが、前走は大逃げで今回も対戦するモイラらを寄せつけなかった。ただ、1200mを1分11秒81というラップで通過しながら19馬身差の大逃げになったのは、後続が消極的すぎた影響も少なからずあったはず。I.オルティスJr.騎手とのコンビでは昨年暮れの重賞初制覇時に差し切りを決めており、今回は折り合い優先で行くかもしれない。
逃げ切りを許したモイラはライバルのフェヴローバーをマークしているうちに離されてしまった格好だが、そのライバルは捕らえて2着を確保している。昨年のBCフィリー&メアターフで3着、2022年にはカナダの年度代表馬にも選ばれた格上の存在で、フルカウントフェリシアに再び楽をさせることはないだろう。
枠順抽選後に主催者が発表した想定オッズで、モイラより評価が高いのは3頭。1番人気のウォーライクゴッデスは北米芝路線で牡馬にも引けを取らない実力があり、2年前のBCターフではレベルスロマンスの3着に善戦している。この馬に2000mはやや短いため、ここ2年は2400mのターフで牡馬と戦ってきたが、今年はデルマー競馬場でラヴズオンリーユーの3着に敗れた2021年のフィリー&メアターフより相手関係も軽そう。これで引退となる可能性も報道されており、ラストチャンスをものにしたいところだ。
2年前のBCターフで3着に善戦したウォーライクゴッデス 【Photo by Getty Images】
2番人気はゴドルフィンが所有する英国調教馬のシンデレラズドリームで、7歳のウォーライクゴッデスとは対照的な3歳の有望株。夏場にアメリカ遠征も経験済みで、G1ベルモントオークス、G3サラトガオークスを着差以上の内容で完勝と、古馬との初対戦も難なく克服しそうな魅力がある。また、同じC.アップルビー厩舎の3歳馬ビューティフルラブも侮れない。重賞勝ちは2走前のG3ジョッキークラブオークスのみだが、距離は今回と同じ2200m。大逃げを追い掛ける集団の後方から長く脚を使って突き抜けた。
A.オブライエン厩舎も2頭出しの予定だったが、イランイランが枠順抽選後に取り消してコンテントのみとなった。近年は凱旋門賞とも関連が深いヨークシャーオークス勝ちの実績に加え、現在は米西海岸を拠点とするL.デットーリ騎手を起用とあれば、シンデレラズドリームに続く3番人気も納得。ただ、10月6日のオペラ賞から中1週続きで3戦目という強行軍は気になる。大きな着順で連敗したのは道悪の影響で、良馬場を期待できる今回は変わり身の余地があるものの、主戦のR.ムーア騎手はオペラ賞ともどもイランイランを選択していた。
ディディアは昨年10着からの雪辱を期す。当時は9番枠で後方に置かれ、最終コーナーから大外を回るロスが大きかったが、最後まで伸びて5着とは2馬身もなくゴールしている。G1ホースとなって迎える今年は枠順も6番に改善し、勝ち負けに絡む可能性もあるだろう。
アニセットは英国デビューで昨年からアメリカ西海岸に移籍。2戦目から前走まで重賞を8連戦し、デルマーオークスとアメリカンオークス、ゲイムリーSでG1レース3勝、デルマー競馬場でも4戦3勝など、全て3着以内と抜群の安定感を誇る。前走のジョンCメイビーSは伸び切れずに移籍後初の連逸を喫したが、それでもディディアには先着した。
外枠の3頭は南アフリカから移籍のビーチボムにアメリカでの実績が不足しており、サンセットグローリーは明らかに格下。ソプラノは愛G1メイトロンSの3着に光るものがあるが、前走のクイーンエリザベス2世チャレンジCは2着ながら6馬身差の完敗だったうえ、当時の1800mがキャリア最長距離だった。
【天皇賞・秋×過去データ分析】
前走JRA・G1での人気馬に注目!
【データ分析】
今週は東京競馬場で天皇賞(秋)が行われる。過去2年、1番人気に応えて優勝を果たしたイクイノックスが引退したことで、今年はやや混戦模様だろうか。皐月賞馬ジャスンミラノが故障で回避となったのは残念だが、ドウデュースやリバティアイランドを中心に役者は揃った。いつものようにJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、過去10年のデータを分析した。
前走JRA・G1組が強く、海外組は割引
■表1 【天皇賞・秋の前走クラス別成績、過去10年】
過去10年の前走クラス別成績(表1)を調べたところ、前走JRA・G1の成績が【6.7.4.19】・勝率16.7%、連対率36.1%、複勝率47.2%と優秀だった。単・複の回収値はそうでもないが、好走率はJRA・G2やG3組を遥かに上回っている。また、前走海外の成績は【0.0.0.5】と不振。サンプル数は少ないが、他のG1では海外組の成績がかなり良い場合が多いだけに意外な感じがする。2016年はエイシンヒカリが12着、22年はシャフリヤールが5着、23年はドウデュースが7着と、2番人気に支持された馬が3頭いたが好走できなかった。
前走JRA・G1で3着以内が有力
■表2 【前走JRA・G1組の前走着順別成績、過去10年】
前走JRA・G1組の前走着順別成績(表2)を調べたところ、前走1着【1.2.1.3】、前走2着【3.0.1.0】、前走3着【1.2.0.3】の成績が良かった。前走4~5着は連対例がなかったが、前走6~10着【1.1.0.3】や前走10着以下【0.2.0.5】の巻き返しはあった。前走レース別では宝塚記念や安田記念、日本ダービー組の成績が良く、天皇賞(春)や大阪杯組からの好走例もあった。
前走JRA・G1で1番人気だった馬の成績が超優秀
■表3 【前走JRA・G1組の前走人気別成績、過去10年】
前走JRA・G1組の前走人気別成績(表3)を調べたところ、前走1番人気の成績【5.2.2.1】が圧倒的に良かった。23年1着イクイノックスら9頭が好走し、4着以下に敗れたケースはわずか1回(18年スワーヴリチャード10着)。勝率50.0%、連対率70.0%、複勝率90.0%、単勝回収値108、複勝回収値131という素晴らしい成績だった。前走2番人気の成績【1.3.1.1】も良く、複勝率83.3%をマーク。前走3番人気の成績【0.2.0.5】はまずまずだが、前走4番人気以下の成績【0.0.1.12】はかなり悪かった。前走JRA・G1組は前走着順だけでなく、前走人気もチェックした方が、有力馬の絞り込みに役立つだろう。
前走JRA・G2組はG1好走実績が必要
■表4 【前走G2組で好走した馬、過去10年】
前走JRA・G2組で3着以内に好走した13頭(表4)を調べたところ、とある実績に注目すべきことがわかった。13頭中9頭には、国内外の芝1600~2400m・古馬G1で3着以内に好走した実績があった。天皇賞(秋)はG1の中でも特にハイレベルな一戦だけに、前走G2組もG1組同様の格・実績が求められる。残り4頭の好走馬を調べたところ、14年1着スピルバーグは東京芝で5勝、同年3着イスラボニータは同年に重賞3勝、18年2着サングレーザーは同年に重賞2勝という実績があった。G1実績がない場合は、替わりに何か別の目立つ実績が必要だ。
【結論】
前走宝塚記念1~2番人気馬の巻き返しを警戒
上位人気が予想されるリバティアイランドは前走ドバイシーマクラシック3着以来の休み明け。昨年、3歳牝馬三冠を達成し、ジャパンCは2着と実力・実績は申し分ないが、このローテーションがどうでるか。ダノンベルーガも前走ドバイターフで3着と好走しているが、前走海外G1組である点がデータ的にはマイナスだ。
中心となりうる前走JRA・G1組はジャスティンパレス、ソールオリエンス、タスティエーラ、ドウデュース、ベラジオオペラ。このうち宝塚記念で好走を果たしたのはソールオリエンスとベラジオオペラだが、同レースで1番人気だったのはドウデュースで、2番人気はジャスティンパレスだ。実際、レース結果は重馬場の影響が強く反映されたことを考えると、ドウデュースと**ジャスティンパレス**の巻き返しを期待してみたい。
前走JRA・G2組の注目馬はレーベンスティール。過去にG1好走実績がない点はマイナスだが、エプソムC→オールカマーと重賞を連勝中。今秋のG1シリーズ好調のC.ルメール騎手が乗る予定である点も見逃せない。
【菊花賞 × 過去データ分析】
京都芝3000mの菊花賞で求められる条件は!?
【データ分析】
今週は土曜に東京で富士S、日曜に京都で3歳三冠最終戦の菊花賞と2鞍の重賞が組まれている。今回は京都芝3000mを舞台に行われる菊花賞をピックアップ。昨年は春のクラシック実績馬を破って上がり馬のドゥレッツァが勝利している。今年はどういった結末となるか、2021・22年の阪神開催を含めた過去10年のデータから探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
前走2着馬が好成績、前走1着馬はG2・G1組!
■表1 【菊花賞近10年の前走着順別成績】
表1は前走着順別成績で、前走1着馬に関しては前走クラス別成績も示している。前走1着馬を勝率・連対率・複勝率いずれも大きく上回っているのが前走2着馬で、一昨年のアスクビクターモアら3勝をあげ、複勝率は43.5%と非常に高い。前走3着馬は19年ワールドプレミアら2勝をあげ、連対率・複勝率25.0%。出走数最多の前走1着馬は昨年のドゥレッツァら最多の4勝も、複勝率20.3%は前走2・3着馬を下回っている。これら前走3着以内馬で大半の9勝をあげており、例外は21年タイトルホルダー(前走セントライト記念13着)のみ。勝ち馬のみならず、好走馬はほぼ前走3着以内馬が占めている。
前走1着馬の前走クラス別成績を分析すると、前走条件クラスから勝利したのは昨年のドゥレッツァ(前走3勝クラスの日本海S)のみ。前走2勝クラス組は2着1回、3着4回。前走重賞組では前走G2組が20年コントレイル(前走神戸新聞杯)ら3勝をあげ、複勝率35.7%。前走G1組は昨年タスティエーラ(前走日本ダービー)が2着に入っている。
前走2200m戦で連対した馬に注目
■表2 【菊花賞近10年の前走距離別成績】
表2は前走距離別成績。好走馬はほぼ前走2200mもしくは2400mから出ている。この両者で大半の9勝をあげており、残る1勝は前走1800mの18年フィエールマン(前走ラジオNIKKEI賞1着)があげている。
出走数最多の前走2200m組は前走1・2着馬が好成績で、ともに複勝率は40.0%と高い。これら前走連対馬が好走馬16頭中12頭を占めている。
前走2400m組の好走馬11頭中10頭は前走神戸新聞杯組で、残る1頭は昨年2着のタスティエーラとなっている。
京都開催の菊花賞では上がり2位以内が好走条件
■表3 【京都開催の菊花賞における上がり順位別成績(2014~20年、23年)】
表3は京都競馬場で施行された過去8回の菊花賞における上がり順位別成績。上がり1位の馬が昨年のドゥレッツァら5勝をあげ、連対率69.2%・複勝率76.9%と非常に高い。上がり2位も20年コントレイルら2勝をあげ、連対率62.5%・複勝率75.0%と上がり1位に引けをとらない。上がり3位は19年ワールドプレミアが勝利しており、京都での過去8回は上がり3位以内の馬から勝ち馬が出ている。
その中でも上がり2位以内が特に好成績で、速い上がりを繰り出せる馬を見つけることが菊花賞攻略のカギといえるだろう。なお、前走における上がり別成績でも京都開催の過去8回中7回で上がり2位以内の馬が勝利している。
ルメール騎手が最多の3勝で見逃せない
■表4 【菊花賞近10年の騎手別成績(抜粋)】
表4は騎手別成績で、抜粋したデータとなっている。**ルメール騎手が昨年のドゥレッツァら最多の3勝をあげており、連対率62.5%・複勝率75.0%と非常に高い。ルメール騎手といえば芝中長距離戦における安定感が特長だが、中でも菊花賞では好結果を残している。2020年以降、京都芝2400m以上で行われた2勝クラス以上では【3.1.1.0】となっており、京都の長距離戦では非常に優秀な成績を残している**。
他ではM.デムーロ騎手、武豊騎手、横山武史騎手が1勝ずつ。中でも横山武史騎手はルメール騎手に次ぐ高い複勝率を残している。一方、川田騎手、戸崎騎手は3着1回ずつ。池添騎手、坂井騎手、横山典弘騎手はいずれも4着以下に敗れている。
【結論】
ルメール騎手が騎乗予定のアーバンシックが軸
■表5 【今年の菊花賞の注目馬】
(表5は10/16時点、除外対象馬なし)
日本ダービー1着のダノンデサイルが出走予定で人気になりそうだが、昨年同じローテーションだったタスティエーラは2着。ダノンデサイルは日本ダービーでは直線で内ラチ沿いを突き抜けて2着に2馬身差をつける快勝だったが、上がりは4位タイ。今年は前走日本ダービー組が前哨戦で上位を占めた。その日本ダービー勝ち馬だけに二冠も狙えると思うが、アタマ鉄板とはいえないだろう。
軸として挙げたいのがアーバンシック。前走セントライト記念を差し切り勝ち、前走上がり1位、ルメール騎手が継続騎乗と買い条件が揃っている。メイショウタバルが逃げる流れも合いそうで、差し切り勝ちの可能性は十分にある。
前走セントライト記念で勝ちに行って2着のコスモキュランダが相手上位。前走2着、前走上がり2位も強調材料だ。あとは昨年優勝のドゥレッツァと同じ前走日本海S1着のヘデントールも相手候補として注目しておきたい。
多士済済がエントリーしてきたG1・秋華賞を展望する
【データ分析】
今週は牝馬三冠の最終戦・秋華賞が行われる。桜花賞馬・ステレンボッシュ、オークス馬・チェルヴィニアのいずれかが二冠目を手にするのか、それとも新星が誕生するのか。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向から分析してみよう。
優勝馬は4番人気以内
■表1 【人気別成績】
過去10年の人気別では1番人気【4.1.1.4】と3番人気【4.1.2.3】が4勝ずつを挙げ、連対率や複勝率も上々。残る優勝馬2頭は4番人気から出ており、5番人気以下の勝利はない。加えて2着馬は9頭が5番人気以内で、連対馬20頭中19頭は5番人気以内だ。8~10番人気が【0.1.4.25】と5頭好走しており、穴を狙うならこのあたりから選びたい。
近年は前走オークス組が主力
■表2 【前走クラス別成績】
前走クラス別では重賞組が【9.9.8.107】と好走馬の大半を占める。オープン特別組の好走馬1頭は重賞昇格前の紫苑Sで、このオープン・重賞組はオークス【5.1.2.16】、ローズS【1.4.6.48】、紫苑S【4.4.0.41】からしか好走馬が出ていない。特に2018年以降はオークス組が6年で5勝と優勢だ。なお、条件戦組の好走馬3頭はすべて前走で1番人気に支持され、2着に2馬身以上の差をつけて勝利していた。今年は該当馬不在のため、狙いは上記のオークス組、ローズS組、紫苑S組に絞っていいだろう。
オークス好走からの直行馬は安定感抜群
■表3 【前走オークスからの好走馬】
前走オークス組の好走馬は表3の8頭で、いずれも**オークス4番人気以内かつ3着以内、そして秋華賞では4番人気以内。また8頭はすべて桜花賞にも出走しており、オークスの着順が桜花賞より悪化した馬はいなかった**。さらに、8頭のオークスでの脚質(Target frontier JVによる分類)は中団または後方で、逃げ・先行だった馬は【0.0.0.5】に終わっている。
なお、**オークス3着以内から秋華賞に直行した馬は【5.1.2.3】複勝率72.7%。馬券圏外に敗れた3頭のうちウインマリリン(15着)とユーバーレーベン(13着)はどちらも桜花賞不出走で秋華賞は5番人気だった。秋華賞4番人気以内にかぎれば【5.1.2.1】複勝率88.9%**と非常に優秀だ。馬券圏外の残る1頭・ラッキーライラック(2番人気9着)は桜花賞2着→オークス3着とオークスで着順を下げていた。
ローズS組は同レース優勝馬か春のG1連対馬
■表4 【前走ローズSからの好走馬】
ローズS組は3着以内の好走馬で最多の11頭を誇るが、【1.4.6.48】と1勝しか挙げられておらず、特にオークス組の好走が目立ってきた過去6年では【0.1.3.24】と好走しても3着止まりが多い。この組の好走馬11頭中8頭はローズSで優勝するか、桜花賞・オークスのいずれかで連対を果たしており、2017年以降の6頭はすべてこれに該当している。
紫苑Sなら優勝馬かオークス連対馬
■表5 【前走紫苑Sからの好走馬】
最後に紫苑S組。こちらは【4.4.0.41】と好走すれば連対まで届いている一方、複勝率17.3%は主要3競走で最も低いため、買うなら1~2着候補としたい。好走馬の傾向はローズS組と似ており、2017年以降の5頭中4頭は紫苑S優勝馬かオークス連対馬だった。
【結論】
オークス馬・チェルヴィニアの二冠達成か!?
表3本文などで記したように近年の秋華賞はオークス3着以内からの直行馬が優勢で、今年はオークス1着のチェルヴィニア、同2着**ステレンボッシュ**の2頭が該当する。どちらもオークス4番人気以内で「中団」からレースを運び、今回も4番人気以内必至と、オークス組の好走条件の大半を満たしている。2頭で差がつくのは桜花賞とオークスの着順で、チェルヴィニアは桜花賞13着→オークス1着、ステレンボッシュは桜花賞1着→オークス2着。ステレンボッシュのほうが安定していて良さそうに思えるが、秋華賞で好走しているのはオークスでの着順が桜花賞よりも上位か桜花賞と同じだった馬。2頭の比較では着順を上げてきたチェルヴィニアが優位に立つ。
オークス組以外ではローズS優勝馬のクイーンズウォークと、紫苑Sを制したクリスマスパレードがデータをクリアしてくる。特にクイーンズウォークは上記2頭とさほど差のない支持を集めそうだ。ただ、表4、5にあったようにローズS組は勝率が低い上に近年は3着止まりが多いのに対し、紫苑S組は好走すれば連対まで届いている。今年は人気サイド中心の狙いになるため、このあたりの傾向も踏まえて3連単の買い目を絞っていきたい。
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【毎日王冠×過去データ分析】
距離や競馬場の実績が重要!
【データ分析】
今週末から秋の東京・京都開催がスタートする。今回取り上げるのは日曜の毎日王冠。東京芝1800mで開催される伝統のG2戦を、過去10年のデータから展望していこう。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
過去10年で1番人気が7勝
■表1 【人気別成績】
過去10年で1番人気が7勝を挙げ、延べ30頭の1~3着馬のうち25頭を1~5番人気が占めるように、基本的には上位人気馬が強い。ただし、過去10年でもっとも荒れた14年はG1未勝利馬が1~5番人気に推され、8→11→5番人気の決着だった。G1馬の登録がなかった今年は、14年と少し似た様相にあることは頭に入れておいていいかもしれない。
芝1800mでオール連対なら好走率4割超
■表2 【芝1800m連対率別成績】
芝1800mの実績について調べたのが表2。すると、芝1800mで連対率100%だった馬が5勝を挙げ、複勝率は4割を超えることがわかった。なお、芝1800m未出走で好走した20年1着のサリオス、21年1着のシュネルマイスター、23年2着のソングラインにはG1馬という共通項があるが、前述したように今年はG1馬の登録がない。
東京芝で連対率7割以上なら好走率6割弱
■表3 【東京芝連対率別成績】
東京芝の実績について調べたのが表3。すると、東京芝で連対率70%以上だった馬が5勝、複勝率6割弱を記録していることが判明した。そして、この条件で連対率70%未満だった馬とは、勝率や複勝率で大きな開きがある。なお、東京芝未経験で好走した唯一の馬である23年1着のエルトンバローズは、芝1800mで4戦4連対と距離実績は十分だった。
前走G1で巻き返すなら芝1600m以外のG1から
■表4 【前走G1出走馬に関するデータ】
前走G1の場合、その前走が芝1600mで1~3着だった馬は有望、4着以下だった馬は苦戦という傾向が出ている。もっとも、今年は前走芝1600mG1出走の登録馬がなく、このデータを活用できるのは来年以降ということになる。
では、前走が芝1600m以外のG1だった馬はどうかといえば、1~3着だった馬が有力となることは同様。また、4着以下から好走した馬が3頭おり、前走で芝1600mG1のケースより巻き返しの可能性を秘めている。
前走G2・G3出走馬は前走距離と着順に注目
■表5 【前走G2・G3出走馬に関するデータ】
前走G2・G3の場合、好走は「前走芝1600~2000mで1~9着」だった馬に限られる(表5)。これをクリアできなかった馬の好走例はないから、絶対条件と言っても大げさではあるまい。なお、前走が重賞以外だった馬では14年3着のスピルバーグが唯一の好走例で、同馬はメイSまで東京芝1800mで3連勝中というコース巧者だった。
【結論】
ダノンエアズロックの巻き返しに期待
表2の項で述べた「芝1800mで連対率100%」にはオフトレイル、シックスペンス、ダノンエアズロック、ニシノスーベニア、ホウオウビスケッツ、ヨーホーレイクの6頭が該当。また、表3の項で述べた「東京芝で連対率70%以上」にはダノンエアズロックとローシャムパークの2頭が該当する。となると注目すべきはダノンエアズロックで、同馬は東京芝1800mで2戦2勝のコース巧者である。
前走G1(海外を含む)組は、5頭とも「芝1600m以外」「前走4着以下」に該当する。前述したダノンエアズロックのほか、芝1800mもしくは東京芝の連対率条件を満たすシックスペンス、ローシャムパークの名前を挙げておく。
最後に前走G2・G3組は、絶対条件とも言える「前走芝1600~2000mで1~9着」を満たすのが8頭中6頭。そのうち芝1800mもしくは東京芝の連対率条件をクリアするオフトレイル、ニシノスーベニア、ホウオウビスケッツ、ヨーホーレイクの4頭を、前走G2・G3組の注目馬としたい。
【スプリンターズS×過去データ分析】
前走着順別の狙い筋を探る!
【データ分析】
今週は日曜日に「秋の電撃の6ハロン戦」、スプリンターズSが行われる。今年は香港から2頭の外国馬も加わり、非常に楽しみなメンバーが揃ったので、秋のG1シリーズ開幕にふさわしい一戦になりそうだ。果たして勝利するのはどの馬か? いつものようにJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用。2014年は新潟芝1200mで行われたので、15年以降の過去9年のデータを分析した。
前走1~2着が好成績
■表1 【スプリンターズSの前走着順別成績、過去9年】
過去9年のスプリンターズSの前走着順別成績を調べたところ、前走1着の成績が4勝、2着2回、3着4回で最も好走馬が多かった。また、前走2着の成績は2勝、2着3回で連対馬が5頭と、シンプルに前走着順が良かった馬が好成績だった。
前走3着の成績は少し下がり、前走4着は連対率25.0%、複勝率37.5%、複勝回収値137と優秀。前走5着は3着2回ながら複勝回収値310だった。
前走6~9着、前走10着以下の間には大きな差がないのが特徴で、むしろ後者の方が成績は良かった。ただ、前走5着以内に比べた場合は割引が必要となる。
前走セントウルSとキーンランドC組に注目
■表2 【前走1~2着馬の前走レース別成績、過去9年】
表2は前走1~2着馬の前走レース別成績。具体的に前走どのレースで連対した馬が有力なのかを調べた。**セントウルS【3.3.0.12】が最も出走数が多く、2018年ファインニードルや19年タワーオブロンドンが勝利を飾っている。2番目に出走数が多い北九州記念【1.0.0.11】は23年ママコチャだけが好走している。キーンランドC【0.1.3.7】**は複勝率36.4%、複回収値114が優秀だが、勝ち馬が出ていない。19年はダノンスマッシュ、23年はナムラクレアが1番人気で3着に敗れている。
マイルG1組ならば前走6着以下でも
■表3 【前走6着以下の前走レース別成績、過去9年】
同じように前走6着以下の前走レース別成績を調べてみると、安田記念【0.1.1.4】、ヴィクトリアマイル【0.1.0.1】とマイルG1組の巻き返しが目に付く。具体的な例を挙げると15年はサクラゴスペルがオーシャンS1着→高松宮記念8着→京王杯SC1着→安田記念17着→スプリンターズS2着、17年はレッツゴードンキが高松宮記念2着→ヴィクトリアマイル11着→スプリンターズS2着という成績を残した。このように元々芝1200mの重賞で実績があり、マイルの距離は少し長いというタイプは前走大きく負けていても狙いやすい。
一方、セントウルS【0.0.0.20】やキーンランドC【0.0.0.21】は厳しく、6着以下に敗れたら巻き返すのは相当厳しいとみた方がいい。
前走3~5着馬は内枠に入るとチャンスか
■表4 【前走3~5着の枠番別成績、過去9年】
最後に前走3~5着の枠番別成績を調べてみたところ、1枠【1.0.2.1】など内枠に入った馬の好走が目立つ。18年ラインスピリット(前走セントウルS5着)は1枠1番から13番人気3着、21年シヴァージ(前走パラダイスS5着)は1枠1番から10番人気で3着と激走した。前走3~5着馬は人気の盲点になりやすく、好走できた場合は高配当になる可能性が高い。有利に立ち回れそうな枠を引けた場合は、思い切って狙ってみるのもいいだろう。
【結論】
セントウルS連対馬とキーンランドC勝ち馬
今年のスプリンターズS出走予定馬のうち前走1~2着馬は、ウイングレイテスト、ウインマーベル、エイシンスポッター、サトノレーヴ、トウシンマカオ、ママコチャ、ムゲン。中でもセントウルS1着トウシンマカオ、同2着ママコチャ、キーンランドC1着サトノレーヴが最有力だろう。ただし、キーンランドC勝ち馬は3着のケースが多いので注意したい。
前走3~5着馬はオオバンブルマイ、ナムラクレア、モズメイメイ。この中では内枠を引き当てた馬が穴候補として面白そう。
前走6着以下の馬は複数いるが、マイルG1組は見当たらない。それでも強いて注目馬を挙げるとすればマッドクールとルガル。前者は23年スプリンターズS2着、24年高松宮記念1着など明らかに実績上位。後者は休み明けだが、今年の高松宮記念で1番人気に支持された馬だ。
【神戸新聞杯 × 過去データ分析】
前走ダービー組&条件戦組の狙いどころ!
【データ分析】
今週は日曜に中山でオールカマー、中京で神戸新聞杯と芝2200m重賞が2鞍組まれている。今回は菊花賞トライアルの神戸新聞杯をピックアップ、過去10年のうち中京競馬場で行われた2020~22年のデータから今年馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
好走馬9頭中8頭は上がり3位以内
■表1 【中京芝2200mで行われた神戸新聞杯過去3年の3着以内馬】
表1は中京開催だった2020~22年の3着以内馬。2021年は不良馬場だったために勝ちタイムが遅いものの、良馬場の20年が2分12秒5、22年は2分11秒1と速めの時計が出ている。上位好走馬の上がりに着目すると最速でも34秒3で、33秒台はいない。上がり順位別成績では、1位【1.1.1.0】、2位【2.1.0.0】、3位【0.1.1.1】と好走馬9頭中8頭が上がり3位以内だった。つまり上がり3位以内の脚を使える馬を探すレースといえる。
4コーナー通過順で見ると、逃げた馬が1頭も3着以内に入っておらず、良馬場の20年・22年では10番手以下の馬が2・3着に入っている。不良馬場の21年でも10頭立てで9番手だったステラヴェローチェが勝利しており、4コーナー後方からでも届くレースだ。
人気別成績を見ると1番人気馬で3着以内に入ったのは20年コントレイル1着のみ。5番人気以下が5頭好走しており、うち10番人気以下が2頭。22年には3連単45万3670円と波乱となっており、人気薄の激走に注意しておきたい。
好走馬の前走は日本ダービーと1・2勝クラス
■表2 【中京開催の神戸新聞杯過去3回の前走クラス別成績】
前走クラス別成績を見ると、好走馬はG1組と1・2勝クラス組から出ている。G1組はすべて前走日本ダービー組で連対馬6頭中5頭と大半を占めている。その他前走G2・G3・オープン特別組は不振傾向で、1・2勝クラス組から2・3着馬が出ている。過去3回とサンプル数が少ないとはいえ、傾向はハッキリしている。
日本ダービー組の連対馬5頭中4頭は2走前皐月賞
表3には前走日本ダービー組の連対馬5頭について前走成績と2走前成績を示した。2021年2着のレッドジェネシスを除く4頭は2走前に皐月賞を使われていた。2走前皐月賞、前走日本ダービーとクラシック2戦を使われた馬を中心に考えた方が良いだろう。ただし該当4頭は、皐月賞、日本ダービーとも一ケタ着順に入っていた。
1・2勝クラス組は中京芝連対実績に注目
■表4 【前走1・2勝クラス組好走馬の中京芝連対実績】
表4には前走1・2勝クラス組の前走成績と中京芝連対実績を示した。2・3着に好走した4頭中3頭は中京芝2000~2200mで連対した実績があった。22年2着ヤマニンゼストは前走札幌の藻岩山特別で6着敗退も、今回2着と巻き返している。またこれら好走馬4頭はいずれも前走で上がり3位以内の脚を使っていた。1・2勝クラス組は中京芝連対実績のある馬ならびに前走上がり3位以内の馬を狙っていきたい。
【結論】
前走日本ダービー組中心も、穴で注目はヤマニンステラータ
■表5 【今年の神戸新聞杯の注目馬】
(表5は9/18時点)
出走予定馬16頭中7頭がキズナ産駒という今年の神戸新聞杯。前走日本ダービー組はジューンテイク、ショウナンラプンタ、ビザンチンドリーム、ミスタージーティーの4頭だが、表3からすると**ビザンチンドリーム、ミスタージーティー**の2頭を上位に狙ってみたい。
ビザンチンドリームは前走日本ダービー17着、2走前皐月賞13着とともに2ケタ着順に敗れているが、新馬戦・きさらぎ賞と連勝した素質馬。夏を休養に充てて立て直されていれば、いきなりから走れてもいい。**ミスタージーティー**も前走日本ダービーは16着と大敗しているが、上がりは2位タイの脚を使っている。今回中団で脚を溜められれば、一変も十分にありえる。
先日のセントライト記念では前走日本ダービーで6着以下だった馬たちが上位3着以内を独占。スローの瞬発力勝負となった日本ダービーで後方のまま敗れたジューンテイクとショウナンラプンタだが、この2頭も当然評価しておきたい。
前走1・2勝クラス組からはヤマニンステラータ、オールセインツの2頭を評価。ヤマニンステラータは前走中京芝2200mの1勝クラス・揖斐川特別を差し切り勝ち。前走では上がり2位の馬(34秒6)を0秒7上回る33秒9の脚を使っている。重賞初挑戦でまだ格下の存在だが、穴で狙って面白い。オールセインツは前走新潟芝2000mの2勝クラス・月岡温泉特別を勝利、上がり最速タイの32秒3で差し切っている。デビュー戦となった今年3月の中京芝2200mの未勝利戦を勝利しており、中京芝実績もある。1・2勝クラス組ではこの2頭、とりわけ人気薄のヤマニンステラータの激走に期待したい。
【セントライト記念 × 過去データ分析】
今年は前走日本ダービー出走馬の争い!
【データ分析】
今週の中央競馬は3日間開催。日曜には中京でローズS、そして月曜(祝)には中山でセントライト記念と、3歳G1へ向けたトライアル競走が組まれている。ローズSは中京での代替開催となるため、今回は例年通り中山で行われるセントライト記念を取り上げたい。菊花賞へ向けはずみをつけるのはどの馬か、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向から分析してみよう。
上位人気が安定
■表1 【人気別成績】
過去10年の人気別では、1番人気が【3.5.0.2】で複勝率80.0%、2番人気が【2.3.2.3】で同70.0%。そして3番人気は1連対ながら【1.0.4.5】で複勝率は50.0%と高く、上位人気が安定した結果を残している。過去10年のうち4回はこの1~3番人気が1~3着を独占しており、一昨年は3→1→2番人気、昨年は2→1→3番人気の決着だった。
前走はJRA重賞組が中心
■表2 【前走クラス別成績】
前走クラス別(中央)の成績は、G1組【5.7.6.26】とG3組【3.1.1.12】で好走馬30頭中23頭を占め、好走確率も高い。条件戦組の好走はほぼ人気馬ばかりで、**セントライト記念4番人気以下かつ前走がJRA重賞以外だった馬は【0.0.1.71】**と苦戦している。ちなみに本競走の前日に行われるローズSでは、4番人気以下の好走馬17頭中14頭が前走2勝クラス以下だった。同じ3歳G2戦でもまったく異なる傾向を示している点には注意したい。
日本ダービー組は大敗馬の巻き返しも
■表3 【前走日本ダービー組の各種成績】
前走G1組の好走馬18頭のうち、2021年3着のオーソクレース(前走ホープフルS2着)以外は前走で日本ダービーに出走していた。その**日本ダービー組**について前走着順、前走人気、前走4コーナー通過順別の成績を調べたのが表3である。
前走着順は5着以内なら複勝率63.6%だが、前走10着以下でも同42.1%と大敗からの巻き返しも多い。前走人気は高いほうが好結果を残しやすい。また前走の4コーナー通過順をみると、3番手以内だった馬が【4.3.2.3】で複勝率75.0%を記録している。
ラジオNIKKEI賞組は人気と着順、実績をチェック
■表4 【前走ラジオNIKKEI賞からの好走馬】
前走G3組の好走馬はすべて**ラジオNIKKEI賞に出走していた。この組は同レースで1番人気または1着だった馬が好走馬5頭中4頭。また同レースで馬券圏外だった2頭はともに、G2での連対実績を持っていた。前走も含め少なくとも重賞3着以内**の実績が必須だ。
皐月賞好走馬も見逃せない
表2~4では前走との関係を見てきたが、セントライト記念は皐月賞との関連性も強いレースだ。**皐月賞で3着以内に好走した馬がセントライト記念に出走すると【4.3.1.1】複勝率88.9%**で、2021年のタイトルホルダー(皐月賞2着、本競走13着)以外はすべて馬券に絡んでいる。皐月賞4~5着馬も連対率40.0%と上々の成績だ。
【結論】
前走日本ダービー組3頭の争い
今年のセントライト記念は前走JRA重賞組が上位人気を占めそうで、条件戦組やオープン特別組は4番人気以下になってしまうと苦しい(表2)。また、前走ラジオNIKKEI賞組の2頭はともに同レース2番人気以下かつ2着以下で、重賞連対実績も持たないため減点が必要(表4)。よって前走日本ダービー組のアーバンシック、エコロヴァルツ、コスモキュランダの3頭による争いになりそうだ。
この3頭はそれぞれ好材料を持っており、アーバンシックは日本ダービー4番人気(5番人気以内なら複勝率87.5%)で、11着という着順も悪くない。エコロヴァルツは日本ダービーでハナを切り、4コーナーを2番手で通過(3番手以内なら複勝率75.0%)していたことが大きなプラスになる。そしてコスモキュランダはダービーの内容にこそ特筆すべき点はないが、皐月賞2着(3着以内なら複勝率88.9%)の実績は見逃せない。当日の人気は恐らくコスモキュランダ、アーバンシックが1、2番人気で、やや離れてエコロヴァルツとなりそう。過去10年の1、2番人気の安定感(表1)を重視する方ならコスモキュランダとアーバンシック、配当妙味重視ならエコロヴァルツを軸に考えるといいだろう。
【京成杯AH×過去データ分析】
古馬は前走のタイム差が鍵!
【データ分析】
夏競馬が終わり、今週末から秋競馬が開幕する。重賞は土日で計3レース。その中から日曜中山の京成杯AHを分析する。なお、通常は過去10年のデータを対象としているが、今回は新潟開催の2014年を集計から除外し、中山開催の過去9年分(15~23年)を対象とする。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
前走1~3着の3歳馬は半分が好走
■表1 【3歳・前走着順別成績】
まずは3歳馬に限ったデータを最初に見ておきたい。着目したのは前走着順で、過去9年の**京成杯AHで好走した3歳馬4頭のうち3頭は前走でも1~3着に入っていた。一方、前走4着以下だったのは16年1着のロードクエストだけ。同馬は前走が2400mの日本ダービーで、適距離に戻って巻き返したかたちである。また、京成杯AHで好走した3歳馬4頭は、いずれも芝1600m重賞をすでに勝っていた**ことも記しておきたい。
前走G3出走馬が中心となる
■表2 【4歳以上・前走クラス別成績】
表2~5では、4歳以上馬に関するデータを確認する。前走クラス別成績の通り、古馬の主力となるのは前走G3出走馬。具体的には、前走中京記念組や前走関屋記念組の出走が多い。どちらもサマーマイルシリーズに組み込まれており、転戦する馬が多いのも自然だろう。そのほか、前走G1組の複勝率37.5%や、前走3勝クラス組の勝率28.6%も優秀な数値だが、今年は該当する4歳以上馬の登録がない。
中京記念負けでも0秒5差以内なら複勝率5割以上
■表3 【4歳以上・前走中京記念出走馬のデータ】
「前走中京記念の4歳以上馬」は【3.1.2.9】と好相性。ただし、中京記念で1着馬からタイム差が0秒6以上離されると【0.0.0.3】、4角通過順が10番手以降だった馬も【0.0.0.3】と好走例がない。これらを除き、**前走中京記念で敗れたものの、4角通過1~9番手かつタイム差0秒5以内だった古馬**に限れば【3.1.2.3】という優秀な成績が残っている。
関屋記念負けでも0秒2差以内なら複勝率4割
■表4 【4歳以上・前走関屋記念出走馬のデータ】
「前走関屋記念の4歳以上馬」は【1.3.1.34】という成績で、絞り込みが欠かせない。ここでもタイム差は参考になり、**関屋記念で負けても0秒2以内だった古馬は【1.2.1.6】と巻き返しを期待できる。しかし、タイム差が0秒3以上に広がると【0.1.0.26】と厳しくなる。前走人気については、関屋記念で1~4番人気だった古馬はすべて凡走し、5~9番人気に好走例が集中**していることを押さえておきたい。
その他の前走G3出走馬にも高回収値の条件あり
■表5 【4歳以上・中京記念と関屋記念以外の前走G3出走馬のデータ】
最後に、「前走で中京記念・関屋記念以外のG3に出走した古馬」に関するデータを見ておきたい。この場合も前走のタイム差は参考になり、**0秒9以内だった古馬は【1.2.2.7】の好成績。また、前走の上がり3F順位が1~4位だった古馬**も【1.1.2.2】と高い確率で好走を果たしている。
【結論】
2歳女王アスコリピチェーノはデータ面も文句なし
3歳馬は前走1~3着であることと、芝1600m重賞で1着の実績を持つことが重要だった。今年登録の3歳馬5頭で両方の条件を満たすのは、阪神JF1着かつ前走NHKマイルC2着の**アスコリピチェーノ**のみである。
4歳以上馬は3パターンに分けて見ていこう。前走中京記念組は、そこで「タイム差0秒5以内」と「4角1~9番手」が基準。しかし、登録馬2頭はいずれも前走で1秒以上敗退。好相性の前走中京記念組は、残念ながら今回のデータ分析からは強調しづらい。
前走関屋記念組は、そこで「タイム差0秒2以内」と「5~9番人気」が基準。これを満たすのが、関屋記念が8番人気で0秒2差(2着)だったディオである。
その他の前走G3出走組は、そこで「タイム差0秒9以内」と「上がり1~4位」が基準となるが、これを満たす馬の登録はない。前走リステッドまで目を広げると、カシオペアSで0秒2差(5着)かつ上がり4位を記録していたのがエアファンディタである。
【新潟記念×過去データ分析】
8枠と左回り重賞実績に注目!
【データ分析】
今週は日曜日に新潟記念が行われるが、台風が接近しているため、本稿執筆時点では今週末の開催がどうなるかわからない状況だ。仮に開催できても道悪競馬は避けられないかもしれない。それでも一応、いつものようにJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、過去10年のデータを分析した。
3枠と8枠の成績が優秀
■表1 【新潟記念の枠番別成績、過去10年】
過去10年の新潟記念の枠番別成績を調べたところ、3枠と8枠の成績が優秀だった。脚質で見ると3枠は逃げ・先行、8枠は中団・後方から好走馬がよく出ている印象。夏の新潟開催最終日に行われる一戦なので、外からの差し・追い込みが決まりやすい馬場になりやすく、おのずと8枠は恵まれる。加えて道悪になれば、一層外枠が有利になっても不思議ではない。
3歳の成績が優秀
■表2 【新潟記念の年齢別成績、過去10年】
続いて年齢別の成績を調べたところ、出走頭数は二けたに満たなかったものの3歳は勝率・連対率22.2%、複勝率33.3%と最も優秀だった。4歳と5歳の比較では、勝率・連対率はあまり差がなかった。6歳と7歳以上の比較も連対率や複勝率は互角だった。3歳が強い一方、ベテランの馬も割と活躍している印象だ。
過半数に左回りの芝重賞実績
■表3 【新潟記念の主な好走馬、過去10年】
表3は過去に左回りの芝重賞(2歳戦は除く)で好走・善戦実績があった馬をまとめた。まず、18年1着ブラストワンピースと23年ノッキングポイントは同年の日本ダービーで5着だった。16年3着ロンギングダンサーは前年の新潟記念で4着に善戦。また、ジナンボーやユーキャンスマイルは本競走で複数回好走したリピーターだった。同じ新潟芝2000mで行われる新潟大賞典も本競走とのつながりが強く、パッションダンスやトーセンスーリヤは両重賞で連対した。
それから14年1着マーティンボロや15年2着マイネルミラノは同年の中日新聞杯で好走。22年1着カラテは前年の東京新聞杯を勝っていた。このように、**新潟記念好走馬30頭中18頭は、過去に左回りの芝重賞(2歳戦は除く)で好走・善戦した経験があった。**
【結論】
ライトバックの取捨選択が鍵
今年の新潟記念の予想で鍵になるのは、3歳牝馬ライトバックの取捨選択だろう。本競走は3歳の成績は優秀だが、実は牝馬の成績は良くない。21年3着クラヴェルしか好走しておらず、23年は1番人気サリエラが7着に敗れた。こうした点を考慮すると、ライトバックは「狙い目」「危険な人気馬」どちらにもなりうる存在だろう。
ライトバックは重賞未勝利だが、桜花賞・オークス両方で3着に好走しており、過去の新潟記念で好走した3歳馬(ブラストワンピースやノッキングポイント)と遜色ない実績を持っていると判断しても良さそう。ちなみに3歳馬のうち前走5着以内だった場合は【2.0.1.3】という成績だ。また、17年に10番人気で4着と善戦したウインカナドルは前走ラジオNIKKEI賞2着だった。3歳馬は前走5着以内かどうかが、取捨の目安となりそう。
新潟大賞典2着のキングズパレス
前走芝2000mの重賞で連対しているレッドラディエンス(七夕賞1着)、キングズパレス(七夕賞2着)、アリスヴェリテ(マーメイドS1着)、エーデルブルーメ(マーメイドS2着)も有力視されそう。この中では今年の新潟大賞典でヤマニンサルバムとハナ差の2着と好走したキングズパレスを推奨したい。あと道悪になった際は、重馬場成績【2.0.0.0】のゴールドプリンセスをマークする。
【キーンランドC × 過去データ分析】牝馬と前走コースに注目!
【データ分析】
今週は日曜に新潟競馬場で新潟2歳S、札幌競馬場でキーンランドCと平地重賞2鞍が組まれている。今回は札幌芝1200mで行われるキーンランドCをピックアップ。昨年はナムラクレアが勝利しており、2014年以降・過去10年で過半数の7勝をあげている牝馬が今年も好走するのか、注目ポイントだ。それでは過去10年のデータから今年馬券で狙える馬を探っていきたい。なお、データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
勝ち馬はすべて7番から外の馬
■表1 【キーンランドCの馬番別成績(過去10年)】
表1は馬番別成績。14番に入った馬が昨年のナムラクレアら最多の3勝をあげており、複勝率も44.4%でトップだ。これら外の11~14番で過半数の7勝と目立っており、勝ち馬はすべて7番から外の馬だった。
黄色で強調した7・8番、11~16番はいずれも複勝率20%以上。その中間の9・10番は勝ち星がなく、複勝率も10.0%と低い。また、内の1~6番は勝ち星がなく、4番を除いてすべて複勝率10.0%以下。なかでも1~3番からは連対馬も出ていない。平坦芝1200m重賞で内有利がイメージされるが、決してそんなことはなく、「勝ち馬は7番より外から出ている」ことは覚えておきたい。
牝馬が好成績、期待値が高い4~6歳牝馬
■表2 【キーンランドCの性別年齢別成績(過去10年)】
表2は性別年齢別成績。牡馬・セン馬より出走数の少ない牝馬が昨年のナムラクレアら過半数の7勝をあげており、連対率・複勝率でも牡馬・セン馬を大きく上回っている。牝馬の年齢別では4歳の複勝率が42.1%と一際高く、続いて5歳→6歳→3歳の順となっている。4~6歳牝馬はいずれも複勝回収率が100%を超えており、期待値が高い。なお、3歳牝馬で勝利した16年ブランボヌール、21年レイハリアはともに斤量51キロだった。
牡馬・セン馬の複勝率では4歳の26.7%がトップ。次いで3歳の21.4%となるが、6歳は17頭すべて4着以下と不振傾向にある。
前走函館芝1200m組は前走3着以内
■表3 【キーンランドCの前走コース別成績(過去10年)】
表3は前走コース別成績。出走数が多いのは函館芝1200m組と札幌芝1200m組だ。
それぞれを前走着順別で見ていくと、函館芝1200m組の好走馬はいずれも前走で3着以内に入っていた。対して、札幌芝1200m組は前走1着馬の複勝率こそ36.4%と高いものの、前走2~5着馬はいずれも今回4着以下と不振。札幌芝1200m組の勝ち馬2頭はともに前走UHB賞で7着に敗れていた。
全体として、前走で好走した馬の比較においては函館組が複勝率で大きく上回っている。
その他では中京芝1200m組が連対率30.0%・複勝率50.0%と優秀で、複勝回収率でも100%を大きく超えている。
前走4歳以上のG1だった馬が好成績
■表4 【キーンランドCの前走レース条件別成績(過去10年)】
表4は前走レース条件別成績。前走3歳以上のレースだった馬が大半を占めるが、複勝率17.6%。この中では前走で上がり2位以内だった馬の成績が良い。
前走3歳限定レースだった馬からは連対馬が3頭出ているが、そのなかで21年1着レイハリア、22年2着ウインマーベルはともに前走中京開催の葵Sで1着だった。
前走4歳以上のレースだった馬は昨年のナムラクレアが勝利し、複勝率35.7%。この組の3着以内馬5頭中4頭は前走G1組で、「前走4歳以上G1」という馬の複勝率は50.0%と非常に高い。
【結論】
洋芝巧者モリノドリーム、安定ナムラクレアの牝馬2騎に注目!
■表5 【今年のキーンランドCの注目馬】
(表5は8/21時点)
人気を集めそうなのは前走高松宮記念で僅差2着だったナムラクレア。昨年のキーンランドCの勝ち馬であり、芝1200m戦では非常に安定している。斤量も昨年勝利時と同じ55キロ。5歳牝馬、前走中京1200m、前走4歳以上のG1と条件も良く、軸としての信頼度は高い。
もう一頭、これまでのデータからモリノドリームを推奨したい。前走函館芝1200mの青函Sを勝利し、過去5勝すべてを函館と札幌の芝1200m戦であげている洋芝巧者。5歳牝馬、前走函館芝1200m戦1着、前走3歳以上のレースで上がり2位タイと買い材料が揃っており、注目したい一頭だ。
牡馬では前走函館スプリントSを勝利して本格化しているサトノレーヴ、今回は相性が良い坂井瑠星騎手に手が戻る予定のビッグシーザーを相手上位にあげておきたい。
【札幌記念 × 過去データ分析】
夏の頂上決戦は前走G1組が優勢!
【データ分析】
夏のローカル唯一のG2競走・札幌記念。実績馬でも斤量が重くならない定量戦で行われていることもあり、秋の大レースを見据えたG1馬がここで始動するケースも多く見られる。今年も好メンバーが揃ったが、どの馬が勝利を手にするのか。JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して過去の傾向から分析したい。
近6年の優勝馬はすべて2~3番人気
■表1 【人気別成績】
過去10年の人気別では、1番人気が【0.4.3.3】で複勝率は70.0%と高い一方で勝利はなく、2012年から12連敗中。2番人気は【5.1.0.4】で、5勝中4勝を近6年にマークしている。そして3番人気【2.0.0.8】の2勝は2019年と22年で、2018年以降の6年間では2番人気と3番人気しか勝っていない。穴馬の好走も見られるが、2~3着候補までにとどめるのが妥当だろう。
5歳馬・牝馬に注目
■表2 【年齢別、性別成績】
今年の札幌記念は3歳馬の登録がなく古馬同士の争い。年齢別では5歳馬が【3.6.5.29】で複勝率32.6%と、3歳馬を除けば群を抜いている。性別では牡・セン馬【7.9.6.96】複勝率18.6%に対し、**牝馬が【3.1.4.18】同30.8%**と牝馬への注目は欠かせない。
前走は海外含むG1組が中心に
■表3 【前走クラス別成績】
以前は函館記念など前走G3組の好走も多く見られたが、過去6年のG3組は【0.0.2.29】と好走しても3着止まり。ここ6年は中央G1組【4.5.3.17】、海外組(すべてG1)【1.1.1.8】が中心になっている。表2で好成績だった5歳馬にかぎると、前走G1組(海外含む)は過去10年【2.6.3.9】複勝率55.0%、過去6年【2.4.2.5】同61.5%になる。なお今年は前走オープン特別以下や、前走G2からの登録馬はなかった。
前走G1なら8着以内が目安
■表4 【前走G1からの好走馬(海外含む、過去6年)】
海外を含む前走G1組の好走馬は過去6年で15頭。このうち前走で連対していたのは3頭、14着以下だった馬が2頭で、残る10頭は前走4~8着だった。前走が2桁着順だったペルシアンナイトとトップナイフはともに、札幌記念と同距離2000mのG1連対実績馬だ。また、この組で最長優勝距離が2200mを超えていたのは4頭のみで、古馬になってから2200m超のレースを勝っていたのはフィエールマンとウインマリリンの2頭しかいない。なお前走海外G1組の3頭は、2000mのG1で3着以内に入った実績があった。
G3組は前走着順不問も距離実績に注目
■表5 【前走G3からの好走馬(過去10年)】
表5は過去10年の前走G3組の好走馬7頭で、表4のG1組と比較すると少し穴っぽい馬が多い。札幌記念はG1級の実力馬が相手になるが、前走のG3で馬券に絡めなかった馬でも警戒が必要だ。ただG1組が優勢になった近6年の2頭にかぎると、ペルシアンナイト(2021年)はマイルCSの優勝馬で、この距離では皐月賞、大阪杯、前年の本競走で2着。そしてソーヴァリアントは芝2000mのチャレンジC2連覇中だった。G3組を買うなら距離実績を重視したい。
【結論】
5歳馬・ジオグリフにチャンス到来
札幌記念は5歳馬(表2)、特に前走G1組(表3)に注目したいレース。今年は6歳以上のベテラン馬の登録が多く、前走でG1に出走していた5歳馬はジオグリフ1頭だ。2022年の皐月賞優勝後は勝利から遠ざかっているが、今年は中山記念3着、大阪杯5着、そして前走の安田記念6着と悪くない走りを見せている。重賞初制覇を飾った2021年札幌2歳S以来となる札幌参戦で久々の勝利を挙げられるか注目したい。もう1頭の5歳馬・モズゴールドバレルは実績面からは厳しそうだが、今年唯一の牝馬(表2)だけに穴で買う手はあるだろう。
その他では、前走G1組ではクイーンエリザベス2世C2年連続2着などの距離実績を持つプログノーシス、G3組なら2022年ホープフルS2着のトップナイフという、昨年の本競走1、2着馬に今年もチャンスがありそうだ。
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【関屋記念×過去データ分析】
今年は前走G1出走馬に注目
【データ分析】
今週から中京がスタートし、3場開催が再開する。重賞は日曜に関屋記念と小倉記念が予定されており、当欄では前者の関屋記念の傾向を過去10年のデータから分析していきたい。データ分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。
今年は前走G1出走馬に注目したい
■表1 【前走クラス別データ・平地戦のみ】
前走クラス別では、前走G3組が出走79頭、1~3着16頭でどちらも最多を記録。しかし、このうち出走43頭、1~3着馬11頭を占める前走中京記念出走馬が、今年の登録馬には見当たらない。なお、前走中京記念を除いた前走G3組の成績は、【2.1.2.31】、勝率5.6%、連対率8.3%、複勝率13.9%、単勝回収値54、複勝回収値42となる。このデータを踏まえると、2番目に多い1~3着8頭を送り出した前走G1組に今年は注目すべきか。これら以外のクラスは、いずれも好走例が2頭以下にとどまる。
前走G1でひとケタ着順が目安
■表2 【前走G1出走馬に関するデータ】
前走G1出走馬は、その前走の着順と人気をチェックしたい。「前走着順」については、2~5着なら【2.1.1.4】の好成績で、6~9着でも複勝率30.0%と悪くない。前走のG1でひとケタ着順に入っていれば有力だ。もうひとつの「前走人気」は、1~4番人気だった馬がまさかの【0.0.0.4】と好走なし。前走のG1で5番人気および6~9番人気だった馬は【2.1.3.4】という成績で、むしろ好走しやすいことを押さえておきたい。
今年は前走東京に注目したい
■表3 【前走競馬場別成績・前走G1およびダートは除く】
では、前走がG1以外の馬はどのあたりに着目すべきかといえば、前走の競馬場が参考になりそうだ(表3の集計に前走G1とダートは含まない)。好走例が多いのは前走中京だが、大半を占める前走中京記念を除くと【0.0.1.4】となる。2番目に好走例が多いのは前走東京で、その前走で1~4番人気に推されていれば【3.0.2.14】と、この組の好走馬6頭中5頭が該当する。ほかに複数の好走馬を出しているのは前走阪神だが、今年は該当する登録馬がいない。
芝1600mで凡走なしだった馬の成績が案外
■表4 【出走時・芝1600m複勝率別データ】
表4は、芝1600mにおける複勝率別成績を表したもの。この通り、過去に出走した芝1600mで複勝率50~70%台の馬が比較的優秀な成績を収めていることがわかる。そして、より複勝率が高い100%や80%台の馬は、かえって好走率が下がってしまう。芝マイルで一定以上の実績はあったほうがいいが、凡走なしのスペシャリストはそこまで信用できない。そんな傾向が表4のデータからは読み取れる。
芝1800mでも走れるタイプの馬が好成績
■表5 【出走時・芝1800m複勝率別データ】
表5は、芝1800mにおける複勝率別成績を表したもの。表の通り、複勝率80%台や60%台の好走率が高く、その間の70%台の成績も悪くない。しかし、複勝率100%だった馬の成績は振るわず、芝1800mのスペシャリストは好走しづらいことが読み取れる。以上、表4と表5を合わせて考えると、芝1600mと1800mの両方で一定以上の複勝率を記録している馬を狙ってみる手はありそうだ。
【結論】
前走G1の好走データふたつを満たすディスペランツァ
登録馬19頭のうち、前走G1出走は4頭(注:表1、表2のデータに海外G1は含まないが、今回は同様に扱う)。前走がひとケタ着順だったのはNHKマイルC7着のディスペランツァだけで、6番人気だった点もちょうどいい。そのほか、安田記念で6番人気のパラレルヴィジョンは、前走人気のほうは好走データに合致する。前走香港G1のサンライズロナウドは判断が難しいところだが、JRAの発売では9番人気だったため圏内としておく。
前走東京出走馬は、そこで1~4番人気に推されていた馬の好走が多い。今年の登録馬では、前走メイSで1番人気の**プレサージュリフト、前走パラダイスSで1番人気のロジリオン**の2頭が該当する。
上記以外の馬では表4と表5のデータを参考に、芝1600mと1800mの両方で一定の実績(芝1600mで複勝率50~70%台、芝1800mで複勝率60~80%台)を収めている馬を探していくと、これに合致する唯一の馬がジュンブロッサム(芝1600mで複勝率57.1%、芝1800mで複勝率75.0%)である。