星条旗とダビデの星:親イスラエルと親パレスチナ 「主戦場」のSNSを巡る攻防 | 毎日新聞 (original) (raw)

中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」には、パレスチナ自治区ガザ地区の窮状を訴える動画が多数投稿されている=2024年9月12日、松井聡撮影

中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」には、パレスチナ自治区ガザ地区の窮状を訴える動画が多数投稿されている=2024年9月12日、松井聡撮影

パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘をめぐり、ソーシャルメディアは現実世界の分断を可視化し、加速させている。激しさを増す「攻防」の背景には何があるのか。

パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘を巡り、米国とイスラエルの親密な関係が注目されています。米国内では若者を中心に変化を求める声があり、米大統領選への影響も指摘されます。米ユダヤ系社会の動きを中心に両国関係をひもときます。
第1回 米ユダヤ系団体が仕掛ける「落選運動」 涙のむ親パレスチナ候補
第2回 ホワイトハウスで政権幹部に直談判 ユダヤ教指導者が語る舞台裏
第3回 ユダヤ系市民に広がる「分断」 ガザ紛争が拍車
第4回 「イスラエルは真珠湾と同じ」 米キリスト教右派が共鳴する理由
第5回 パレスチナ学生と「財布」 板挟みになる米有力大
第6回 親イスラエルと親パレスチナ 「主戦場」のSNSを巡る攻防

大量のアカウントから一斉投稿

「UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)職員の1割とテログループとの衝撃的な関係が暴露された」

2月1日、X(ツイッター)で80以上のアカウントが米連邦議会の議員やジャーナリストに返信する形で、一斉に同じ内容を投稿した。

いずれも3日前に米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが掲載した記事の見出しのスクリーンショットをリポスト(再投稿)する形で添えていた。ガザにいるUNRWA職員の10%に相当する約1200人がイスラム組織ハマスとつながりがあるとするイスラエル情報当局の見方を伝えた記事だ。

米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」のデジタルフォレンジック研究所(DFRLab)の分析によれば、これらの投稿はほぼ同時刻に行われていた。

別の投稿では米国の大学における反ユダヤ主義への対応やハマスに対する批判などを拡散していた。特定されたアカウントは、作成日やストック画像を使った架空のプロフィルなどに共通点があり、英語圏の世論に影響を与えるための「連携した不正行為」の踏み台になっていた疑いがある。

拡散に生成AIも利用か

DFRLabの調査をきっかけに、チャットGPTを開発した米オープンAIは、自社の生成AI(人工知能)が外国勢力による「影響工作」に使われていないか内部調査を始めた。浮かび上がってきたのはイスラエル企業の影だ。

オープンAIのインテリジェ…