お呼びでないのに そこにいる (original) (raw)
先日読書習慣を身に付けたいという記事を書きました。
以後、ちょっとでもいいので毎日読む、本を開くだけでもいい、というルールのもとでなんとか1週間以上読書ができています。正直にいうと1日抜けたりもしましたが気にしない。
その甲斐もあり先日読みかけだと言った『蠅たちの隠された生活』は読了しました。購入したのが去年の1月だったようなので、かなり時間をかけてしまいました。
昆虫学者であり大英自然史博物館の双翅目(ハエ目)担当キュレーターである著者が自分の経歴もそっちのけで繰り広げるハエ目のユニークな生態、習性、容姿に関するエピソード。
序章から10章まで延々とハエやカやアブらの話を紹介しているにも関わらず、終章で全体をまとめるどころか語り足りなかった話を駆け足で突っ込んでいく勢いと熱量に最後わらってしまうくらいの、読み応えたっぷりな1冊でした。
それはそれとしてこれも読みました。
タイトルには神話としか書かれていませんが、神話のほかに民俗や文学などの虫にまつわるものを集めた書籍です。資料として興味がある所をさくっと読んだだけなので通読したとは言い難いのですが、とはいえこの本を開くのも、もう何度目か……。
正直なところこの本のやや焦点が絞れていないような文章が少々読みづらく、過去も調べ物をしたくて開いては要点を掴み切れないまま徒労に終わってしまうことが多かったのです。今回はかろうじてほしい情報のメモを残してみたので、これが今後の役に立てばいいのですが。
内容としては虫にまつわる神話・逸話・伝承などが紹介されています。ただ本当に軽い紹介程度なので、詳しく知りたければ参考文献などに自らあたるべきなのでしょう。私は「これだけじゃあよくわからんな!」と言いながらうっかり参考文献に載っている本を2冊ほど追加で取り寄せてしまいました。数日中に届きます。
なんなら別件で1冊注文しているので、3冊増えます。
おかしい。積んでた本も読んだはずなのに、積読が減らない。
とにかく、1ページでも本を読めればいいという習慣は続けられているのでこの機に乗じて積読をさくさく消化していきたいところです。まあ、きっと積読の塔は一生崩れないでしょう。塔の素材である本が増減するだけで。
窓の外がやたらにぎやかだなと思ったら、ヤマガラが10匹ほどのグループで庭の木を飛び交っていました。
木を叩くような音もしたのであれっとよく見てみると、コガラも一緒に付いてきていた模様。
ヤマガラと一緒になってケヤキの枝の上でときおり何かをついばんでは、木の幹をくるっと一周してみせたりして、そのあまりのスムーズな移動に感嘆させられたりなどしました。
その集団が去っていったあと、まもなくメジロも数羽やってきて同じように木の間を飛び回っていきました。
集まって鳴く小鳥たちをそっと窓から眺める至福の時間。
こういうときに、そういうのを撮るカメラが欲しい。
語彙力をちゃんとはたらかせて言うなら、突然庭に鳥や虫や動物がきたときにバシッとした写真を撮れるカメラが欲しい。
つくづくそう思うものの、カメラを持ったところで使いこなせなかった経験しかないのが悲しいところです。
かつてはコンデジを持っていたのですが、使いこなせないまま、使いそびれたまま、そのうち何かの拍子に落としたりして壊したりしてしまい、先日も諦めて処分したばかりです。
立派なカメラを持てたところで使いこなせなければ意味がないしなあ……
と言いながら、スマホでさくっとカメラを撮れるのはやはり手軽でいいものです。
あまり見かけない蝶だなと思って撮った写真。よく調べてみたらというか、よく調べなくてもウラギンシジミのメスでした。
先月ウラギン幼虫のキュートな容姿に惹かれてわざわざ写真を撮りに出るなどしたときに成虫の写真もさんざん見ていたのだから、撮る前に気付くべきだったのですが……撮ってるときは全然気づけませんでした。
羽の裏がまっしろなことまでちゃんと見ていたくせに……
そしてボケボケの写真。
▼幼虫を探しにいったときの話はこちら
読書について最近おもうところがあり、今日はその話。
結論を先に言うと、「習慣化したいならそれはとにかく毎日やるべきっていうアドバイスに従ってみようかな」というところです。
読書の習慣化くらいできると思っていた
実はこのブログの一番最初に取り上げたヌカカの話の参考資料である『蠅たちの隠された生活』、まだ読み終えていません。
この本、正直めちゃくちゃ面白い。
合間にちょくちょく出てくるでかでかと拡大して写されたハエおよびハエ科の写真に最初はワーッ!と内心怯えまくっていたのですが、見慣れるとそれもかわいい怪獣のよう。
そして本文を読んでいくと以前取り上げたチョコレート生産の根源を担うヌカカの存在の他にも、「極寒の地でハエに授粉を手伝ってもらうために自らの温度を周辺より高くしてハエに暖をとらせる植物」の話や、「羽を広げると8.5センチもある木バエ(木を食する種類)の幼虫の咀嚼音が数メートル先から聞こえてくる」みたいな経験したことのないような話など……日本で暮らすだけでは知り得なかった不思議なハエ科の生態がどんどん明かされる、これはそういう本なのです。
おもしろすぎていまも勢いで個人的におもしろかった箇所を語ってしまいました。そのくらいおもしろい。
ところがそんな面白い本だというのに、実際読みながらここもこれもおもしろい!と付箋を貼りたい放題しているにも関わらず、なぜか私はこれをまだ読み終えていないのです。なぜか。
答えはかんたん、本を読む習慣がついてないから。
読書は好きです。ただ、どうやら最近自分は「読書が得意ではない」のだと気付きました。
本をさくさく読んでいけるかと言われると、絶対にちがう。結構つまづきながら、すっとばしながら、理解しないままなんとなく全体をさら~っと……
つまりちゃんと読めてない。極端に言えば不得意です。
不得意だけど楽しい。この「楽しい」のせいで長年簡単に読書を得意だと勘違いしていました。得意なら習慣化できるものだろうと思って、数十年生きてきました。
出来てない人間に限って、おれだって本気出せばそのくらいできる!などと言うものですが、出来る人はそんな話をする前にやっています。つまりそういうことです。
明らかに私は出来てない側です。
「朝の読書」を通して得た勘違い
学生時代は学校に朝の読書がありました。
読書に没頭して、朝の読書時間のみならず休憩時間も昼休みも帰宅後も読む、クラスメイトに話しかけられてもとにかく本を読む、みたいな日々を送っていました。
この「朝の読書」という時間が、私のこの読書習慣形成不全において厄介な存在な気がしています。もちろん学校でのこの取り組みそのものを否定する気は毛頭ありません。
朝の読書は「朝の読書推進協議会」によって四原則が定められています。すなわち「みんなでやる、毎日やる、好きな本でよい、ただ読むだけ」。
朝の読書を学校で取り入れた結果、静かな環境と集中する時間を持つようになった学生たちが生活面でも落ち着いたみたいな話もあるようです。学生たちが自主的に好きな本を選び、それを読む時間を作るというのは、非常に意義があることだと思います。
それはそれとして私の場合、残念ながら朝の読書では自主的に読書をするという習慣が身に付かなかったと言わざるをえません。
「朝の読書」という取り組みによって担保される自主性というのは「自分が読みたい本を選ぶ」という点のみなのではないでしょうか。いつ読むかは、学校側によってもう朝だと決められているし、時間も確保してもらっているので。
学生を卒業し、仕事や通勤、家事、他の趣味の時間との間に自主的に本を読む習慣というのは、意識的に身につけていかなければ消えていくものだったのだなとやっと気付きました。しかも「私は読書が不得意だ」とわかると、じゃあ本を読みはじめること事体じつは億劫だったんじゃん! ということも自覚できます。
言いかえれば朝の読書はこんな私のような読書の習慣化が苦手な人間にも継続的に読書させることで、好きな本を選ぶ機会、読書の楽しみを味わう機会、文章に集中して思考を深める機会などを作ってくれる……ということでもあり、やはり結構有意義なのではないかと思います。得るもの自体はたくさんありました。
つまり、私が、私が自分のことを読書できる人間だと勘違いしてしまっただけで……朝の読書は何も悪くないんです……
でも朝の読書が楽しかったから私は読書出来る奴だと思ってしまっていまこんなことに……という気持ち、ちょっとあります。あると思ってた読書習慣、全然身についてなかったなんてそんな……だって読書楽しいのに……
そういえば冒頭に例として出した『蠅たちの隠された生活』、最近たくさん読み進めたのですがいつやったかというと病院の待ち時間。
他になにもやることがないときにしか手を付けないというのは、どう考えても習慣じゃない。暇つぶし。暇つぶしです。
やるなら「毎日」一択らしい
ということで、これから自分は「無」から読書習慣を身に付けていくつもりです。だって習慣ついてないんだから、何も無いです。無。
何曜日に読むとか決めてやろう……みたいな生ぬるいことを考えていましたが、習慣化で検索すると大概「毎日の継続が大切」とあります。
曰く「何曜日だからこれをやろう」「今日は何曜日だからこれをやろう」といちいち決断に思考のエネルギーを浪費するよりも、一度「毎日やる」と決めてその後はその通りやる。決断により消費する一日の脳のエネルギーを省く。これが大切なようです。
読書を毎日するという決意を思い出すのにも労力使いそうなので、事前にアラームをセットするとか……やり方はいくつか試す必要がありそうですが。
とりあえずハードルを地面すれすれに下げて、一日一回本を開くところから。
▼積読本の一部
▼うっかり今日買ってしまった本
ここ数日の間にスマホでむりやり撮影した身近な虫たちをまとめました。
何かの付録で手に入れたスマホ用のマクロレンズを取りつけて撮ってみたものの、なかなかうまいこと映せなくてもどかしいところもあります。
なにより、こういうレンズを今後スマホと一緒にどうやって携帯しようかという悩みどころが大きい。気軽に出先で虫を撮ってみたいけれど、鞄にしまい込んでしまってはそのまま存在を忘れてしまいそうですし。
まあそんな悩みはさておいて、撮った虫の話をば。
酔芙蓉周辺
たまたま家の近所の道端を歩いていたクマバチ。
連れ帰り庭の酔芙蓉に乗せて、写真を撮らせてもらいました。
元気に羽ばたいてはいたのですがどうも羽の具合がよくないらしく、一晩を芙蓉の側で過ごしたあと、翌日芙蓉から降りて(落ちて?)どこかへ行ってしまいました。
ところでこの酔芙蓉にはなにやらカイガラムシがひしめいており、アリもたくさん来ていました。
写真を撮ったときは気に留めてなかったのですが、いまブログを書くにあたって画像検索をかけてみたところどうも「クロテンコナカイガラムシ」に似ているのでは……?などと。
クロテンコナカイガラムシは中南米原産の侵入害虫で、世界的に拡大しており日本にも南西諸島をはじめとして九州、本州へと進出しているとのこと。農作物への被害も相当なようです。園芸好きな家族に聞いてみたところ、既にこのカイガラムシに取りつかれて色々な花をダメにされている模様。それでも普通のカイガラムシかと思って放置していたようです。
素人目でみたものなのでこれが本当にクロテンコナカイガラムシで合っているのかはやや不安ですが、まさか中南米の虫だとは思いませんでした。今後気を付けて見てみよう……。
葉や茎をヒョイヒョイ移動していたシマサシガメの幼虫(多分)は、アリを捕まえていました。
サシガメってアリもいけるんですね。
カタバミ周辺
よく見ると、恐らく卵とみられる白いものが。
撮影を試みるものの、ちっっっちゃすぎて……
幼虫らしき存在も見つけはしたのですが、写真がこのありさまです。
いまから卵や幼虫の状態で、冬はどうするんだろうか……と思ったら、冬越しは幼虫のままいくようです。
職場にて
職場内に入ってきたヒカゲチョウを見かけて、こちらも撮影してみました。
ときおり窓や扉を開け放つとその間にいろいろな虫が入ってくるのでこういうときは絶好の撮影チャンスなのですが、いままで網の中に捕獲した状態で写真を撮るのは難しいな……と思いすぐに逃がしていました。
ですが先日セリアで昆虫観察ケースを購入したので、網でつかまえたヒカゲチョウはケースに移してから落ち着いた状態で撮影できました。
ケースはかっちり蓋が閉まるタイプではないので長時間確保しておくには心もとないところがありますが、一時的に観察するにはちょうどいい感じです。
大きさが見られるように目盛りも刻まれていて便利。
家庭菜園。あこがれました。
家族が園芸を趣味としており、花を植えるついでにミニトマトやゴーヤやオクラなどちらほら育ててくれていたこともあって、収穫した野菜を食べながら「農業いいじゃん……!」「家庭菜園いいじゃん……!」と思うことがちらほらありました。
でも自分がやるとなると、性質・性格的に野菜作りが向いてなさすぎるということに近年気が付きました。
農業やってる人はすごい。特に昨今の異常気象の中でも野菜・果物・米づくりのために毎日必至で畑や田んぼに向かい作業をして、出荷の為にもこちらの想像を超えたかなりの手間をかけてくださっている。頭があがらない。
一方私は、種を買っても苗を買っても、それを植えるためのプランターや鉢を用意するところ辺りからめんどうくさくなり……たとえ頑張って植えるところまでいったとしてもその後プランターの様子を見ることを忘れ……
去年は白菜を花まで育て上げました。勝手に育った。
一番だめなのが、虫対策です。
ごめん。正直虫がかわいい気持ちに負ける。
キャベツにアオムシが付こうものなら、それにそのままキャベツをあげてしまう。
かわいい! よく食べてる! がんばって成長してモンシロになってくれ! ……そうしてキャベツは目も当てられないほどズタボロになり、私の口には入りませんでした。
そんな私も最近ようやく気が付きました。
よく聞く、台所で豆苗を育てるやつならいけるのでは……?
豆苗なら日光も無理に当てなくていいし、室内なので害虫が飛んでくることもないし。
ということで、買った豆苗をばっさり切った残りの株を、水に浸けて再生させるいわゆるリボーンベジタブルを2週間前から始めてみました。
私は「何でも目の前にないと忘れる」という自分のクセを自覚しているのですが(目の前にないプランターの世話ができないのも多分コレ)、台所なら毎日見る場所だし、忘れないなら毎日の水替えもせっせとできます。
水替えしていれば日当たりの悪い台所でも育ってくれる豆苗くん、正直ありがたい。リボベジはじめてから2回ほど収穫しました。3回目はむりかもしれないけどいま様子見中です。
肉炒めに豆苗を入れればそれで一品できてしまいますからね。うれしい。おいしい。
ところで、100均で買ったのとまったく同じ豆苗プランターが400円以上でamazonにもある。なんでだろう…。
なにはともあれザル付き2層なのでこのプランターだと結構お世話がラクです。水替えのたびに株を触らなくていいし。
豆苗を育てるついでに、たとえばニンジンもリボベジできるよな…と切り落とした頭の方を水に浸けて芽を出して見たり、小松菜の根元やネギの根元も取っておいて水に浸けて根をださせみたりしています。
こっちは豆苗ほどうまくいくか不明ですが、まあ軽くチャレンジというノリで……。
で、リボベジやってみて、今まで捨てていた切れ端を「捨てなくてもよい」という感覚が自分にとってすごくしっくりくるなという不思議な気持ちを味わっています。
食べられない切れ端の方ですらなぜか捨てるのがもったいない…と罪悪感を抱いていたようです。これ、日常生活で物を捨てられない人間の悪癖出てない……?
でも無意味にため込む部屋の小物やゴミとは違って、リボベジできる野菜の切れ端は育てばちゃんと野菜になってくれますからね。おまけに、もしたとえば枯れたり腐ったりして失敗したら、本来捨てていた部分なわけだし今度こそ捨てればいいだけの話で……
これならかなりお手軽にお野菜育成ができちゃうな……とちょっとおもしろくなってきています。
私は虫が好きな方です。
ただ、大っぴらに「虫が大好きです!」「虫を愛好しています!」「虫を大事にしています!」と言うことは、正直できません。なぜなら私は時と場合と相手により虫を駆除することに心を痛めないからです。
つまりは、虫を選り好んだうえで「まあ割と虫が好きな方」というポジションについているわけです。
「方」です。
どちらかといえばという感じです。
虫によって態度を変えている
虫が嫌いな人にもこの話はわかってもらいやすいと思うのですが、つまり「ゴキブリは嫌いだけどちょうちょやテントウムシは好き! かわいいグッズも持ってる!」みたいな、そういう態度を虫好きな方である私も取ってしまうわけです。
自分の場合だとチョウ、ガ及びその幼虫、アリ、ムカデ、ダンゴムシ、バッタやコオロギ、クモ、ナナフシ、ハチあたりは平気な範囲です。カメムシも大丈夫。
一方で、蚊やハエ、ゴキブリ、シロアリ、ナメクジあたりは容赦なく駆除します。
ダンゴムシやクモやナメクジは厳密には虫じゃない? そうですね。
とりあえずこのブログでは広義の虫として含めさせてください。
駆除の基準は「こちらの生活に直接利益をもたらすか/害をもたらすか」。
ハチは、庭の花を穴だらけにするさまざまなイモムシやバッタを狩ってくれるうえ、こちらが刺激しなければ攻撃してくることもないので駆除はしません。さすがにキイロスズメバチあたりが家に巣を掛けるようであれば被害を受けかねないため早急に殺虫スプレーを噴射せざるをえませんが、庭に大人しく巣を作っているアシナガバチや、単に山から飛んでくるだけのキイロスズメバチやオオスズメバチは見逃しています。
今の時期は庭のノダケ↑にオオスズメバチが集う。
重低音の羽音は恐ろしいが彼らは蜜を集めに来ているだけ。
さすがにノダケに寄って来ているスズメバチの写真を撮るのはまだ怖い 笑
なんのきっかけでハチが刺してくるか、ムカデが噛んでくるかといえば、基本的には虫が虫自身を敵から守るためです。うっかり敵と認識されてしまわないようにふるまう必要はありますが、基本的には平和に付き合える相手のことは、駆除しません。
いわゆる衛生害虫への容赦ない駆除
ハチは蜜を集めたりイモムシ捕りしててえらいね、ムカデも害虫駆除してくれるので益虫だからかわいいね、とか言ってるそばで、ゴキブリは容赦なく駆除します。我が家にはゴキブリキャップが欠かせません。あれを置いていてもふらふら…と歩いて出てくる黒い彼らを見ようものなら、備えている殺虫スプレーの出番となります。
単純に不衛生だから。それ以外の理由はないです。
勝手に食べ物をかすめとっていき、あまつさえ病原菌をばらまいていく。いくらこちらが虫に好意的にふるまおうと思っていても、それはさすがに困ります。
ここ数年大きめのハエが我が家の中で湧いて出てくることはありませんが、あたたかい季節はショウジョウバエとの闘いの連続です。よく考えたらゴキブリよりコバエ系との遭遇回数の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。作ったばかりの晩御飯に寄ってこようとする厚かましさ、本当に許せません。
蚊やダニはいわずもがなです。お前たちにやる血はありませんよ、こちとら貧血気味なんですから。痒みとかいう置き土産が本当に余計。
虫がこの世界を支えている!…とわかっているけど
ということで、衛生害虫をつい目先の害だけ見て勢いで殺してしまう自称・虫好きです。
ここまで言うとまったく虫好きには思えない文章になってきました。
しかしながら害虫と呼ばれる虫たちの、その害をもたらす側面は彼らの生態の一部にすぎません。広い目で見ればゴキブリもハエも蚊もシロアリもナメクジも、地球の上ではそれぞれ大事な役割を担っています。
人の生活圏に出てくるゴキブリよりも、自然界で分解者として森の朽ちた木や動物のフンなどを分解し、土に返し、循環させているゴキブリの方が実は圧倒的に多いのです。シロアリも同様に、家ばかり食べているわけではなく、自然の中で消化しにくい朽木を食べて処分してくれているわけです。
ハエは動物の死骸や植物の分解のみならず、送粉者としての役割も持ちます。ハエに授粉を手伝ってもらうために悪臭を放つユリ科バイモ属の高山植物であるクロユリは有名ですね。
そして蚊の幼虫であるボウフラは汚水の中で有機物を食べるため、結果的に水を浄化しているといいます。
そういった虫たちの役割に目を向けていくと、害虫として嫌われ避けられ駆除されがちな彼らも、もっと注目され、大事にされる必要もあるのでは……とも思えてきます。
思えてきたりもします、が。
それはわかってはいるんだけど、結局家の中に出てこられるととても困るんですよね……。
葛(クズ)はその強い繁殖力から「グリーンモンスター」と呼ばれ、世界の侵略的外来種ワースト100に選定されている、つる性多年草です。
どこまでも蔓を伸ばし葉を茂らせ、あらゆる土地を覆いつくさんとするそのすさまじい広がり方は、なるほどモンスターだなあと思わされるものです。
この葛の花は夏から秋にかけて咲くのですが、これがまたグリーンモンスターとしての側面からは意外なほどかわいらしいもので、豆の花が房状に連なったような姿をして上向きに咲きます。
さすが、秋の七草として昔から親しまれてきただけのことはあります。
さて、先日から私の中で突然ウラギンシジミブームがきてしまい、いままであまり気に留めていなかった葛の花を見に何度か足を運ぶことになりました。
ウラギンシジミとは、その名の通り羽の裏が銀色のシジミチョウです。
裏が銀なら表はなにかというと、オスの場合は濃茶と明るいオレンジ色、メスの場合は濃茶と青っぽい白色の羽になっています。
リバーシブルな蝶というだけでもちょっと特別なのに、なんとこのシジミチョウは幼虫もユニークです。
Twitter(X)を見ていたところ、たまたま流れてきたウラギンシジミ幼虫の動画を見てしまい、えっ…かわいいじゃない……。と衝撃を受けたのがはじまり。
どうやらウラギンシジミの幼虫は藤や葛などのマメ科植物の花やつぼみ、若い芽などを食べているとのこと。
大きな特徴としては以下の2点があります。
・ウサギの耳のような2本の角をそなえ、外部からの刺激に対して角からブラシ状の突起物を出して相手を脅かし身を守る習性がある。
・花に擬態したときは体色がピンクっぽい
角がかわいくて色が緑とか茶色じゃなくてちょっとピンク……?
これはいま葛が咲いているこの時期に、ぜひともお会いしたい。
いままで一度も探したことがないが、ぜひとも、今……!
……と、ろくすっぽ調べもしないまま、ちょっと動画で見ただけの知識と勢いで近隣の葛の花を片っ端から探してまわりました。
いた!
ちっっっっさ!
あとから調べたら終齢幼虫が大体20mmほどの大きさだということなので、このサイズの幼虫はまだ成長途中なのでしょう。
こちらはちょっとわかりにくいですが画像真ん中あたりにいます
なお画像下部にはクモも映っています
いままで葛の花もウラギンシジミのこともスルーしてきたけど、こんな身近にこんなかわいい子がいるなんて……としみじみしながら写真を撮って帰りました。
突起からのブラシ攻撃も見てみたかったところですが、威嚇を強要するにはあまりにも小さかったのでやめました。もっとぶりぶりに大きくなった子を見つけたら試させてもらいたいですね。
葛の花の周りには、意外に色んな虫が来ています。
マルカメムシは成虫と幼虫が並んでいました。幼虫にちょっと毛が生えているとしったのもごく最近です。
こちらはムカデの幼虫かな?
ところで勢いで写真を撮りに出て、帰宅してからやっとウラギンシジミについて家の図鑑で調べてみました。
ちょうどこの本の表紙の右上がウラギンシジミ幼虫です
この本では幼虫のかわいい2本の突起について、次のように説明がありました。
尾部に突起をそなえる特異な姿のワラジ型イモムシ。
第8腹節背面に1対の筒状突起があり、刺激を受けると上端からブラシ状の突起を出す
これ、おしり側だったのか。
図鑑のウラギンシジミ幼虫も角が奥側向いてるから、手前が顔……なんですね……そうか……