読み方:もうふ寝具などに用いる、厚地で縮絨(しゅくじゅう)・起毛を施した毛織物のこと。Weblio国語辞典では「毛布」の意味や使い方、用例、類似表現などを解説しています。">

「毛布(モウフ)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

防寒具としての使用。毛布にくるまった男性

ロートレック画、題 "_Le Lit_(英語版)(ル・リ、「ベッド」の意)で知られる一連の作品の中の1枚。愛し合う二人はベッドの中で毛布にくるまれて眠っている。

毛布(もうふ、: blanket ブランケット)は、ウールなどを厚く織って(あるいは編んで)起毛などの処理を施した製品[1]日本語では、「ブランケット」を短縮して「ケット」と呼ばれることもある[2]

概要

欧米では、防寒具にも寝具にも使う。

日本へは明治時代初頭に寝具というよりも防寒具として導入された[1]

体温を保持し命を護るために有効な道具であり、どこかの国で天災が起きた際には被災者を救うために現地に《緊急支援物資》として大量の毛布を送り届けるということが世界各国で行われている。

現在の日本の家庭での主な用途は寝具であり、睡眠中の暖かさを保つことである。掛け毛布としても敷き毛布としても使え、寒い場合は複数枚を使用する方法もある。家庭の外ではさまざまな使い方をされている。スタジアムで観戦する人は、欧米同様に身体をくるむ防寒具として(小さめの毛布を)使うこともあり、運送業者などは家具などを運ぶための緩衝材として使うこともある。

素材に関しては近年では天然のウール以外にも合成繊維のものもあり、種類が増えており、フリース素材の毛布もある。

歴史

毛布の古い形は、古い記録としてはKambalaという名で記述が残っている。7世紀の中国の僧で旅人であった玄奘は、629年から645年にかけて行ったインドへの旅についての日記でKambalaという道具に言及しており、ヒツジもしくはヤギの毛でできた素材だと書いており、彼はそれを身につけるものと分類していた[3]。(なおサンスクリット語でKambalaとは、ウール素材の毛布のことである[4][5]。)

用途

本来のウールの毛布には次のような用途がある。

種類

製造方法で分類する場合は、織毛布(おりもうふ)と編毛布(あみもうふ)に分類されている[2]

そのほか、特殊な用途の毛布を分類するための用語もある。

織毛布

羊毛毛布

羊毛を用いたもの。暖かく弾力性がある[1]カシミアアルパカキャメルなどの獣毛を混ぜた製品は最高級品とされる[1]

アクリル毛布

アクリル繊維を用いた毛布。機能性付与が容易であるとされる[1]。軽い、耐久性に富む、染色性が良いなどの特徴がある。なお、アクリル製のアクリル毛布には編毛布のものもある[2]

綿毛布

綿(超長綿)を用いた毛布[1]。軽くて吸湿性がある。洗濯が容易。

シルク毛布

を用いた毛布。他の繊維に比べて軽くて保温性が高く、静電気も起きにくい。

編毛布

マイヤー毛布

長い立毛を持つ最高級の毛布。ドイツ製のカールマイヤー編み機によって作られるニット毛布。

タフト毛布

基布にアクリルのパイル糸を起毛した毛布。縦糸の代わりに綿布が用いられる。災害用として使用される。

加重毛布

ウェイトブランケットともいい(正しくは weighted blanket)、一定の圧迫感(圧迫刺激)によって安心感を得る感覚過敏の子供などのために、ガラスペレットなどで敢えて重量を増した毛布。Weighted blanketを参照。近年では一般向けの安眠グッズとしても販売されている。

電気毛布

電熱線を内蔵し、加熱・保温を行う毛布。

袖付き毛布

袖付き毛布

袖付き毛布(en:sleeved blanket スリーブド・ブランケット)は、毛布にの形状の部分を足したものである。通常の毛布で身をくるんでいる場合、何か手を使った作業をしたくてもしづらい。また寝具として使う場合でも、読書などしたくて腕を出すと腕や肩まわりが冷えてしまうが、毛布に袖の形状の部分があると、腕や肩も暖かく保ったままでも簡単な手作業ならでき、寝転がって腕や肩も暖かく保ったまま読書をすることもできる。欧米では最近、寒い時期のスタジアム観戦を袖付き毛布を身につけてする人も増えている。ネット通販などでも「袖付き毛布」または「着る毛布」で検索すると多数表示される。

特殊なブランケット

ウールを使ったものではないので、普通の意味でのブランケットではないが、シート状で形状的にはブランケットと似ていて何かを包むのでブランケットと呼ばれているものもある。

歴史的な逸話

メキシコにおけるフランス干渉戦争に参戦したフランス外国人部隊の、1863年の制服と装備品一式。兵士の足下に背嚢が置いてあり、その上辺部に毛布がぐるりと巻き付けてある。

ル・ブーダン

詳細は「ル・ブーダン(英語版)」を参照

ル・ブーダンLe Boudin )は、フランス外国人部隊軍歌行進曲の題名である。直接的には、フランス料理の一つである「ブーダン」、すなわちブラッドソーセージの一種を指す名称であるが、彼らにとっては自分たちに支給されていた青い毛布の愛称であった。兵士にとって欠かせないその毛布の、往時の携帯方法として、円筒状に巻いてカバーをし、背嚢(リュックサック)の上辺部に沿わせて縛り付けておくのが常であったが、円筒状に巻いたその形をの詰め物であるブーダンになぞらえたわけである。

赤ゲット

幕末期に日本に毛布をもたらしたイギリス貿易商は、赤い毛布を導入した。日本と同じくイギリスからみれば東国であるインドでは赤色が好まれたからである。これを戊辰戦争の兵士が防寒用に用い、明治時代になって一般市民も用いるようになり、「赤ゲット」と呼ばれるようになった。地方から上京する際に、この赤い毛布を角巻(四角い形をした毛布の肩掛け)のように身にまとう者が多く、そこから転じて「おのぼりさん(お上りさん;都会に出てきた田舎者)」や「田舎者」を指す言葉になり[7]随筆などにおいては1970年代まで使われている[8]。赤ゲットをまとう「おのぼりさん」は、2019年(平成31年/令和元年)に放映されたNHK大河ドラマいだてん〜東京オリムピック噺〜』の第3話にも描かれた。主人公である金栗四三と親友・美川秀信はともに赤ゲットをまとった出で立ちで東京行きの汽車蒸気機関車)に乗り込むが、ナレーションでも「(赤ゲットは)おのぼりさんの証である」と紹介された。

毛布と人間心理

英語で "security blanket"、日本語で「安心毛布」と呼ばれるのは、主に子供が、不安感を解消し安心感を得るために持ち運ぶモノ[9]を総じて比喩的に指すための心理学用語である。毛布や柔らかい布でできた人形類が、子供にこのように使われるモノの典型なのでこう呼ばれるようになった。漫画『ピーナッツ』の登場キャラクターであるライナス・ヴァン・ペルト(en:Linus Van Pelt)が肌身離さず毛布を持っていることから「ライナスの毛布」とも呼ばれる。(ライナス・ヴァン・ペルトが毛布を肌身離さず持っている絵は英語版記事 en:Linus Van Pelt に掲載されているので参照のこと。ちなみにライナスは指しゃぶり(en:Thumb sucking)もしており、これも子供が不安感をやわらげ安心感を得るためにする行為の典型である。)

比喩

「ブランケット」を比喩として用いている例や、ブランケットに見立てている例。機能がブランケットに類似していると、比喩的にブランケットと呼ばれることがある。

なおblanket(毛布)の機能である「全体を大きく包み込む」という機能は、比喩的な意味も生じさせることになっている。辞書で2番目の意味として「包み込むもの」や「包括的なもの」が掲載されており、3番め目の意味としては「無差別の」という意味も掲載されている。

"Impact ejecta" とあるのが隕石衝突によって生じる噴出物ブランケット。

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ムラサキダコ属

ツルメヒシバ

ブランケットリーフ

ブランケットにちなむ固有名詞

固有名詞に使われた例

他 「ブランケット」が名称に織り込まれているもの

脚注

出典

  1. ^ a b c d e f 『繊維の百科事典』丸善 p.982 2002年
  2. ^ a b c 繊維総合辞典編集委員会『繊維総合辞典』繊研新聞社 p.586 2002年
  3. ^ Thomas Watters M.R.A.S. (1904) (English). On Yuan Chwang'S Travels In India, 629-645 A. D.. pp. 149. https://archive.org/details/OnYuanChwangsTravelsInIndia629645AD. ""The third group is the kambala. This word, which denotes “woollen cloth” and “a blanket”""
  4. ^ Turner, R. L. (1999) (英語). A Comparative Dictionary of the Indo-Aryan Languages. Motilal Banarsidass Publishe. pp. 139. ISBN 978-81-208-1665-7. https://books.google.com/books?id=UX_AeDYzhBQC&dq=Kambala+blanket&pg=PA139
  5. ^Sanskrit Dictionary”. sanskritdictionary.com. 2022年2月5日閲覧。
  6. ^ [1]
  7. ^赤ゲットとは”. コトバンク. 2020年12月24日閲覧。
  8. ^その65 「赤ゲット」は、こうして残った。”. 株式会社三省堂 辞書ウェブ編集部 (2009年4月29日). 2020年12月24日閲覧。
  9. ^ [2]
  10. ^ 日立デジタル平凡社世界大百科事典』第2版. “ブランケット湿原”. コトバンク . 2023年1月11日閲覧。
  11. ^Bedfordia arborescens Hochr.” (英語). Global Biodiversity Information Facility (GBIF). 2023年1月11日閲覧。

関連項目

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