32の味わい (original) (raw)
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7/19(金)、早稲田大学大隈記念講堂にて。
英語能「青い月のメンフィス」はUCLAと早稲田大学の共同連携事業として発足した柳井イニシアティブによる、全編が英語で演じられる70分の能である。
物語は八月十六日の夜、エルヴィスの命日に彼が眠るメンフィスのグレイスランドの優美の聖堂を目指して車を走らせる40歳のファンガール・ジュディによる語りで始まる。一万人のファンが詰めかけているため、管理人からは瞑想の庭には入れないと言われたジュディの前にブルースの男が現れ、エルヴィスの様々な在りし日の姿について語る。男が消えたあとにジュディがブルームーンを歌っているとエルヴィスの幽霊が現れる…。
このあらすじを聞いただけで幽霊あるいは概念としての偶像が好きなので、あまり深く考えず鑑賞申し込みをした。なんといっても無料なのがすごい。文化資本!
ブルースの男として登場する前シテ(精霊のような存在)が、どのエルヴィスが好きだったかジュディに尋ね、ジュディがエルヴィスは一人だけだと言うと「いや、たくさんいた」と答える。ミシシッピの貧しい白人の少年だったエルヴィス、軍隊に所属していたエルヴィス、ハリウッド映画に役者として出演したエルヴィス…。それに対してジュディが「私の知っているエルヴィスは孤独のエルヴィス」と答える。
男がその孤独のエルヴィスはここ(墓)には眠っていないと答えるとアイである管理人オスカーのコミカルなパートをはさみ、いよいよエルヴィスの霊がジュディの前に現れる。
エルヴィスは「死の中で人生の寂しさがなつかしい」と歌う。一人メンフィスまで歌いながら車を走らせてきたジュディと死せる大スターのエルヴィスはここで共鳴する。
「青い月のメンフィス」の前に日本語による舞囃子「高砂」、英語による狂言「梟」で観客の期待が高まる構造になっていたのもよかった。日本人の狂言方もいるが外国籍の演者がほとんどである。シアター能楽メンバーの紹介を読んでいたら、今はフランス語能やスペイン語能もあるらしい。すごいね。
印象的だった観客の反応として、笑いの質の変化がグラデーションのように感じられた。ちなみに観客の割合は7~8割日本人と思われるが、外国籍の観客も多かった。
英語のセリフで「梟」が始まったとき、どっと笑いが起きた。やはりそれは英語で能が演じられている「シュールさ」「驚き」によるものだったのかもしれない。というのも、弟が病気で困っているのだと訴えるセリフがの内容が特に面白いわけではないから。
そこから少しずつコミカルな演劇としての「梟」への称賛、楽しみとして、ほんとうになだらかなグラデーションで笑いの質が変わっていったように思う。最初の笑い声も、当然嫌な感じの笑いではもちろんないのだけど、この変化は印象的だった。
「青い月のメンフィス」は70分があっという間に感じられる濃密さで引き込まれた。特にジュディ役のローラ・サムソンの声が素晴らしくてずっと聞いていたい魅力があった。あまりにも良すぎて終演後もぼーっとしてしまった。熱中症になりかけながら早稲田まで行ったかいがある。
また、2,200円で販売されていた『エルヴィスの幽玄 能が英語になったとき』もデザインから装丁から、対談、インタビュー、能面や衣装制作の話もすべて素晴らしくて感動。
こちらはHPから通販できるようです。
https://www.waseda.jp/culture/news/2024/05/04/23727/
東京と京都の能楽堂で1度きりの上演なのがまたにくい。素晴らしい時間でした。
7/24 19:30追記
やっと『エルヴィスの幽玄』を読み終わったので備忘録の一言。
こちらの冊子の最後に寄稿されている児玉竜一氏によるエッセイ「英語能をめぐって」では、日本において西洋で発展したオペラやバレエ、ジャズやロックを演奏し、鑑賞し、楽しんでいる一方で日本の歌舞伎や能を外国人が同じように演ずることはできないという偏見について論じる前段階として、以下のようにまとめている。
…従って、義務教育によって身につける音楽的素養、知らず知らずの内に耳にする音楽的感覚において、現代日本人は、日本音楽ではなく西洋音楽を体得する。とすれば、「日本では西洋音楽はわかるが、西洋には日本音楽がわかるはずがない」という「偏見」には、重要な要素を付け加えなくてはならない。すなわち、「日本では西洋音楽はわかるが、日本人にすらわからないのであるから、西洋に日本音楽がわかるはずがない」とあるべきなのだ。そして悲しいことに、これは決して偏見とは言い切れない。
自分自身も近年、三味線や箏など日本音楽について学習する機会があり、こんなにも自分が知らないことを知ってわくわくしている。が、児玉氏が語る例に及ばず西洋音楽をかじってきた一人として、日本音楽がこれほどまでに浸透せず、体得できていない原因とは何なのかを知りたいと思ったのが昨年のことであった。
経済的に比較的裕福な家庭の多くの子どもが、西洋音楽をピアノを通して学ぶことをジェンダーの観点から追った一冊、玉川裕子『「ピアノを弾く少女」の誕生 ジェンダーと近代日本の音楽文化史』が思い出される。
特に面白かったのが前半の近代日本で形成された「ピアノを弾く女性」というイメージがどのようにできたのかを夏目漱石などの知識人たちの作品での描かれ方や、明治末期に興り始めた「都市中間層」が西洋型の家庭生活を営み始めたことに結び付けて迫っていく歴史的背景である。百貨店の売り出し戦略もあったらしいね。ジェンダー的な読み解きとしても初めて知ることが多く、その末端に曲がりなりにも自分がいることを考えるとかなり面白い。
風の音や鳥の声といった自然の音に寂寥感や愛情表現を託した歌詞、序破急の流れ、謡の声の使い方を説明するときの徒労感や伝わり切れなさは、他人に説明してわかることではなく、また、私自身が無知で何も理解しておらず、説明も表面的で下手であることをのぞいても、児玉氏が述べる「日本人にすらわからない」現状をしみじみと感じずにはいられない。
もちろん、特に深く憂えているわけではないのだけども。そもそも自分の国の文化を理解して説明できないといけないわけではないし、エスニック・アイデンティティとは何ぞやという話にもなる。巷でよく聞くような異文化交流で自分の国の伝統文化を伝えようといった試み自体が短絡的すぎるのかもしれない。そんなことをつらつらと考えたりしたのでした。
2023年の映画や舞台、漫画などを色々振り返る。
別枠グランプリ『進撃の巨人』
これはもう別枠。2023年はなんといっても進撃を色んな角度で楽しんだ。
振り返ると今年の初めに撃ミュを映像で観ている。全肯定タイプの方には申し訳ないのだけど、正直にいうと楽曲や演出、キャストの歌唱力などに様々な課題を感じながら観た。もちろん成功しているシーンもある。2.5次元のミュージカルを観たのが初めてだったのでよい経験だった。
この距離感と姿勢で観たので、いわゆる原作となる漫画をあとで読んだときにいい意味で打ちのめされた。春先から夏までは仕事が忙しすぎて顔にずっと諫山線が入っていたのだけど、夏休みに一気読みをして以来、進撃関連を満喫しすぎるくらい満喫している。ビッグコンテンツなので色んな角度から楽しめるし、関連作品や映像も多い。
大体、自分が一気読みをして絵を描いて秋には日田旅行をして冬に感想本を出すなんてジェットコースターになるとは思いもしなかった。めちゃくちゃ楽しんでいる人になった。
以下順不同でよかったものを。
〇映画
THE FIRST SLAM DUNK
フォール/FALL
ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り
さらば、我が愛/覇王別姫
パール
ナイアド
ベネデッタ
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映画は配信ふくめて。というか、印象に残ったものはほとんど配信。この中では『ナイアド』が今年のベストかもしれない。Netflixで観られます。アネット・ベニングとジョディ・フォスターという強すぎる布陣にリス・エヴァンズの一歩下がって付き添う感じがとてもよかった。実在のレズビアンの水泳選手・60代・すごく困った人というガッツのある中年女性の話なんだけど、ロマンスに走らないところもとても好みだった。
〇ドラマ
キラービー
夏目漱石の妻
デッドロック 女刑事の事件簿
グッド・オーメンズS2
セックスエデュケーションS4
アッシャー家の崩壊
ブラッシュアップライフ
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ドラマが苦手だったのに、こんなに堪能できる人間になって…!『The Last of Us』ep3は伝説になるんじゃないかな、むちゃくちゃ泣いた。この中だと『デッドロック 女刑事の事件簿』にベストをあげたい。レズビアンの刑事が大活躍で下品で面白くてとても良かった。
〇舞台映像
METライブビューイング『めぐりあう時間たち』
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これはぜひ実際の舞台を観にNYに行きたいですね。ただ、ルネ・フレミングが全然編集者に見えないところは気になっている。ジョイス・ディドナートのウルフがたいへんよかった。キャスリン・オハラがあんなに素晴らしいソプラノだと認知していなくて驚きました。
……とここまで書いて気づいた。全部レズビアンの活躍する話ばかり選んでいる! 実際どれも素晴らしかったんだけどね。というか、私がエンタメで求めているのは男の話よりいろんな女(といろんな性の人間)の話だからこうなっているというのもあるな。
〇舞台・コンサート
コリン・カリーグループ「18人の音楽家のための音楽」
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コリン・カリーグループはたまたまTLで見かけてなんで見逃していたんだと慌ててチケット取ったのだけど、ほんとうに行けて良かった。ねじまき鳥は舞台として面白かったし原作も愛しているけど、やはりどうしたって女性への暴力と客体化は立ち上り方が残酷だと感じた。
〇展示
アーティゾン美術館 ジャムセッション石橋財団コレクション×山口晃「ここへきて やむにやまれぬ サンサシオン」
MOT豊嶋康子「発生法─天地左右の裏表」
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展示自体の良さはもちろん、観られた環境もよかったのかもしれない。山口晃、あまりにも絵がうますぎて観ている間、脳みそからへんなものがドバドバ出ていた気がする。オリンピックと自分(=美術界)の関わりへの逡巡がとてもよかったです。
〇本
河出書房新社編集「7.8元首相銃撃事件 何が終わり、何が始まったのか」
金川晋吾「いなくなっていない父」
石牟礼道子「苦界浄土」
小田原のどか「モニュメント原論」
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小田原さんの「モニュメント言論」、北は北海道から南は沖縄までモニュメントにまつわる人間の歴史と今も続く課題が読めてめちゃくちゃ面白いです。いろんな展覧会の寄稿記事もまとめて読めるのうれしい。あとやっぱり「苦海浄土」ですね。
記録、それなりに取って良かったのだけどたぶん書かなくても印象に残るものは変わらないかも。2024年も備忘録でやるか検討してもいいかもしれない(惰性で続けるかもしれないが)。
12月
★は再鑑賞、再読
〈配信〉
春のめざめ-名作ブロードウェイ再結集の舞台裏-
PIGGY
ブラッシュアップライフ
アニメ進撃の巨人 シーズン2、3、最終章
ルパンVS人造人間★
脱出おひとりさまS3
いりびと-異邦人-
ヴィーガンズハム
モグラはダレだ?
ノーホェア:漂流
悪魔の計略~デビルズ・プラン~
〈映画館〉
ナポレオン
ゲゲゲの謎 鬼太郎誕生秘話
〈美術館〉
MOT豊嶋康子『発生法─天地左右の裏表』
府中市美術館 白井美穂『森の空き地』
〈本〉
高田晃太郎『ロバのスーコと旅をする』
関東大震災絵図 揺れたあの日のそれぞれの情景
アンドリュー・シャルトマン『「スーパーマリオブラザーズ」の音楽革命 近藤浩治の音楽的冒険の技法と背景』
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12月はわりと色々楽しめた。なんといってもアニメ『進撃の巨人』のすばらしさが理解できてよかったと思う。とりあえず2023年の印象に残った作品について別エントリで少し書いて、鑑賞したものを4月から記録してみたのは初めてだったのでその効果も確かめたい。
ふじおです。これははとちゃん(@810ibara)主催で企画されている『ぽっぽアドベント2023』の21日目の記事です。
2019年、2020年、2021年に引き続き4回目の参加。はとちゃん、いつも参加させてくれてありがとう。みんながそれぞれの人生について書き綴っているものを読むの楽しい。最高の企画です。今年のこれまでのぽっぽアドベントの記事は以下のリンクから読むことができます。
昨日はチグリスさんの手話を始めた話でした。ほんとうに素晴らしくてチグリスさんの書く文章が好きだな~と感服しました。奇しくも、知らないことを知るという意味では似通ったテーマを勝手に感じて嬉しい。私も近所の公民館で手話の講座をやっていることは知っていて、行きたいなと思っているのだけど今のところ思うだけで終わってしまっている。習いたいな。以前読んだこちらの本が面白かったので、チグリスさんの記事を読んで関心を持った方がいたなら冬の読書におすすめしておきます。
先月、5年ぶりくらいに九州へ旅行に行きました。『進撃の巨人』の作者である諫山先生の故郷である大分は日田市でイベントがあるので行きませんかと誘いを受けたのがきっかけです。4人で行く日田旅行はものすごくものすごくものすごく楽しかった。けど、そっちはSNSでさんざんはしゃぎたおしたので割愛します。
実は、観光を目的とした国内旅行をまともにやるのはほとんど初めてでした。若いころは、ちょっとでもまとまったお金と休みが手に入るとすぐ海外にすっ飛んで行って舞台を観るのに費やしていたのでした。やっと国内のことに関心を持つようになった頃にコロナ禍が始まってしまい、引っ越し・保護猫を迎え…と国内旅行どころではなくなってしまった。
この記事のメインは2日目に別行動をとらせてもらい、熊本県津奈木町と水俣市を訪れた記録です。お昼に着いて夕方に帰るというトンボ返りだったのですが、非常に印象深い一日となりました。
今回のぽっぽアドベントのテーマはNEW WORLDです。私にとっては新しいことであったけれど、当然ここで生活している人々、この地の歴史や今現在も続く物事に寄り添っている方や自分の人生を通して現状を変えようとしている方々にとっては当たり前のことでしょう。
とにかく自分がなにも知らない恥ずかしさと、知ったことの喜びとが入り混じる4時間となったのでした。お付き合いいただけたら幸いです。ここまでが前置き。
注※ 最初に言っておくのですが訪れたところも見るもの聞くもの全てがパワフルすぎて省略することができず、長くなってしまいました。お時間のあるときに読んでいただけると嬉しいです! すみません!
白波が立つ不知火海。いつもは鏡のように静かだという。
石牟礼道子『苦海浄土』を読む
どうも水俣病をテーマにした小説らしい、くらいの知識しかなかった。
2023年は仕事がますます忙しく、やっと落ち着いた10月に石牟礼道子『苦海浄土』を初めて手に取った。ずっと気になっていたものの、よりにもよって河出書房新社から出ている全集を借りたため、物量として私の手に重かった。たぶん読み切れないだろうなと思った。
電車で数ページを読んであまりの文章の凄まじさに自分の何かがページに吸い込まれていく気がした。作者の見守る中、水俣病患者の目の見えない少年がたった一人で野球の練習をする描写。環境と道具と自らの肉体に抗う魂。
はじめて読む日本語だった。これは手元に置かないといけないと思い、翌日に持ち歩きやすい文庫を買って数日かけて読んだ。
もっとも有名な第3章「ゆき女きき書」の最後を引用する。患者である坂上ゆきの聞き取り、という体で綴られた文章である。
どのようにこまんか島でも、島の根つけに岩の中から清水の湧く割れ目の必ずある。そのような真水と、海のつよい潮のまじる所の岩に、うつくしかあをさの、春にさきがけて付く。磯の香りのなかでも、春の色濃くなったあをさが、岩の上で、潮の干いたあとの陽にあぶられる匂いは、ほんになつかしか。
そんな日なたくさいあをさを、ぱりぱり剥いで、あをさの下についとる牡蠣を剥いで帰って、そのようなだしで、うすい醤油の、熱いおつゆば吸うてごらんよ。都の衆たちにゃとてもわからん栄華ばい。あをさの汁をふうふういうて、舌をやくごとすすらんことには春はこん。
自分の体に二本の足がちゃんとついて、その二本の足でちゃんと体を支えて踏んばって立って、自分の体に二本の腕のついとって、その自分の腕で櫓を漕いで、あをさをとりに行こうごたるばい。うちゃ泣こうごたる。もういっぺん──行こうごたる、海に。
『苦海浄土 わが水俣病』は『神々の村』『天の魚』と合わせて三部作だ。
無知な私はほんとうに石牟礼道子が患者やその家族から聞き取った内容なのだと最初は思い込んでいたが、そうではない。言語障害、聴覚障害がある患者がこのようになめらかに話すわけではない。実際に石牟礼は患者と寄り添って生きた文学者だが、『苦海浄土』は創作であるという。石牟礼は水俣病患者とその家族の苦しみ、海とそこへ生きるものへの愛、水俣病をめぐる顛末を石牟礼道子が自ら引き受けるものとして石牟礼自身の言葉でつづられている。
そこからとりあえず関連本や文芸誌を買いあさって読んだ。
石牟礼道子が暮らした水俣はどんなところなんだろうと考えていた。私は東北の海に近い田舎育ちで、毎日海辺を走る電車に乗って通学し、海辺の町で働き、東日本大震災も体験した。九州の海は見たことがない。
折しも福島の海では処理水の放出が始まろうとしていた。連日のニュースやドキュメンタリーを見ていて他人事ではないのだと思った。
水俣に行きたいと思ったきっかけは実は『苦海浄土』を読む前からいただいていた。
水俣市の隣にある津奈木町のつなぎ美術館で、友人で彫刻家・美術評論家の小田原のどかさんが2年間の招聘によるプロジェクトをやっているというので、こちらに行きたかったのである。
それが『苦海浄土』を読んで決定的なものになった。小田原さんに美術館を訪問することをお伝えした。
土地勘もないために色々と相談させていただいたところ、なんとその日にちょうど滞在しているのでよかったらご案内しますと申し出てくださり、全部おんぶにだっこで水俣市周辺を見て回ることになった。
新水俣駅へ降り立つ
11月18日。土曜日のお昼。日田から久留米まで出て、新幹線で新水俣駅へ。正直、全然人がいなくて驚いた。新幹線が通る駅で土曜の日中だというのに私がすれ違ったのは3人ほど。閑散としている。喫茶店などもなく、駅周辺にはコンビニ一軒。それなりに大きいだけに、私の地元にある無人駅より物寂しく感じる。
駅に隣接して、みなまた観光物産館があったので、小田原さんを待つ間にさっそく入り、伝統漬物の寒漬(かんづけ)を買う。ここも人はいなかった。あとで食べたら大根の小さく刻んだのを甘辛くした漬物でとても美味しい。ごはんによく合う。乾燥したとろろ昆布も買う。到着して5分で欲張り人間。
川内から八代までを結ぶおれんじ鉄道。海を一望できるらしいので今回乗れなくて残念!
野良猫がいたので声をかけたけどガン無視される。
そうこうするうちに小田原さんが到着し、つなぎ美術館のスタッフの方の車に乗せていただく。美術館がこれまで招聘したアーティストの関連作品をご案内しますと言われる。
旧赤崎小学校・入魂の宿
まず旧赤崎小学校。弁天祭りを五十嵐靖晃さんが住民参画型で再構築したアートで有名な場所である。海の上に浮かぶように立っている学校と島から赤い糸が何本も結ばれている写真は私もみたことがあった。もちろん海渡りの時期じゃないと赤い糸はないのだけど。この小学校は海の上にあるので教室の窓から釣り竿を垂らせば魚が釣れたのだという。
曲がりくねった海岸沿いらしい道路をゆく。海が見えて私ははしゃいだ。
不知火海はいつも鏡のようにぴたりと水面が静かなのだという。なのに私が訪れたこの日は白波が立つくらい荒れていた。そうして、不思議なくらい海の色が美しい青緑なのだった。白波が立つ様子も美しかった。私は東北の灰色の海しか知らず、なんとなく昔訪れたクロアチアのドブロヴニクの海を思い出していた。
旧赤崎小学校。2010年に廃校になった。
柳幸典『入魂の宿』
小学校の敷地内には柳幸典『入魂の宿』が建てられている。石牟礼道子の詩「入魂」からインスピレーションを得た場所だという。
黄昏の光は凝縮され、空と海は、昇華された光の呼吸で結ばれる。
そのような呼吸のあわいから、夕闇のかげりが漂いはじめると、 それを合図のように、海は入魂しはじめる。
私は、遠い旅から帰りつくことの出来ないもののように、 海が天を、受容しつつある世界のほとりに、茫然と佇っている。
そしてみるみる日が昏れる。
いつもの、光を失った海がそこにある。
海と天が結びあうその奥底に、わたしの居場所があるのだけれども、 いつそこに往って座れることだろうか。『入魂』 石牟礼道子(一部抜粋)
小学校のプールがビオトープになっている。
閉じられた湾である不知火海にみたて、多種多様な生き物に思いを馳せる場所。
ビオトープをゆっくり観察する時間はなかったが、スロープを奥に行くと目線が水面に浮かぶ生き物になった気持ちになれそうだ。こういうところで読書をしたら気持ちよいだろう。
入魂の宿、期間限定で宿泊できるらしいので泊まりたい。目の前の海を眺めたい放題である。『海渡り』もぜひ実際のお祭りを見てみたい。
www.tsunagi-art.jp
海…と未練がましく思ったが、さくっと車に乗って次の地へ。
石霊の森・達仏
『石霊の森』と『達仏』の看板。
津奈木町役場近くの森のアートスポット。柳さんと西さんがそれぞれの作品を置いている。『石霊の森』は「柳幸典つなぎプロジェクト成果展2021 Beyond the Epilogue」によるもの。
でっかい石が並ぶ。ほんとにでかい。
石の隙間から音がする仕組み。葉は自然に生えたもの。
石の隙間から聞こえてくるのは老若男女による水俣病被害者の語りや石牟礼道子の詩の朗読、「郷土民謡」平国六方踊りのお囃子。雲は多いものの美しい昼間なのに少し肌寒く、あたりには私たち以外は誰もいない。風の間に切れ切れに石から声が聞こえてくる。ちょっとすごい雰囲気である。
「これ…24時間流しているんでしょうか…夜聞こえてきたらちょっと怖くないですか…」と失礼ながら私がスタッフさんに聞くと「たしかに夕方の散歩をする町民の皆さんから怖いという声もあがったので9時から17時に流しています」と教えてくれた。ほっ。
さらに奥に進むとうねうねとした林の中に金色に光る仏さまが…。
仏が三十三体あるんだって。
直接木に彫っているのすごい。
なんかもう圧倒されてヒエ~となってしまった。声なきものの声を聴き、拾い上げる営みがこういう風に眼前に迫ると人はヒエ~としかなれない。
そして、これらのプロジェクトを行っているつなぎ美術館へ向かう。小田原さんは写真家の金川晋吾さんを迎えに行かれたので30分くらいを一人で過ごす。
つなぎ美術館 小田原のどかプロジェクト
小田原のどかプロジェクト。公共彫刻選挙!
気合が入った広告。本物の選挙ポスターみたい。
公共彫刻は私と小田原さんの出身地・仙台にもあふれている。
公共彫刻ってよく見ると題材として裸婦像が多いこと(「裸にならなければ女性は美術館には入れない?」byゲリラガールズ)、そして大体がそこに住む住民に制作の合意や経緯が説明されずブラックボックス化されていること、コンペが開かれずトップダウンで決まってしまうこと、住民は最終決定権を持たないこと。
これらについて問題提起している彫刻家・評論家が小田原さんである。書くものが面白いので私はただのファンです。
津奈木町にも公共彫刻がこんなにたくさんあるのだそう。申し訳ないくらい簡単に説明すると、これらの作品に私たちのような市民も投票してみようというのがプロジェクトの企画である。むろんこの地に住んでいる人だけでなく、訪れた人が投票してよいことになっている。面白いのは投票にあたって選ぶ基準に好き・嫌いは問わないし、一人何票でも投票していいらしい。
というわけで私も清き一票を(?)投じてみた。どれに入れたでしょうか?
これを読む皆さんはどんな理由でどれに入れますか?
つなぎ美術館の背後にはものすごい断崖があるので、ここに上る。
重盤岩というらしい。
国旗がたなびく。台風の日は命綱をつけて旗を降ろすらしい。怖すぎる。
モノレール。つなぎ美術館のスタッフである婦人会の方が乗せてくれる。
眺めが素晴らしい。山の形が柔らかく丸い。
足元がカタカタ震えるような高さ。お天気に恵まれ、風は強いが美しい日。
遠くに不知火海がみえる。
小田原さんが写真家の金川晋吾さんを連れて戻ってきて合流する。金川さんは実父との関わりを記録したエッセイ『いなくなっていない父』を今年の春に出版し、それがむちゃくちゃに面白かったのでお会いしたいと思っていたら会えたのである。ラッキー。ただのファンです。
金川さんはお会いしてすぐに大事なカメラがないないと慌てていたので妙に親近感を持つ。そういうこと、私もよくある。カメラはありました。よかった。
CINRAの記事が面白かったのでぺたり。
湯の児スペイン村福田農場
今から水俣スペイン村に行きますと小田原さんが仰るので、頭が???になってしまったのだが、ほんとうにスペインみたいなところに着いた。それが湯の児スペイン村福田農場である。スタッフさんとはここでお別れ。
湯の児は温泉地ということで、宿泊できない自分が恨めしくなった。また絶対来るからな…と誓う。
スペイン村だ!!
熊本県下初の観光農園、それも17ヘクタールの丘陵ということで広大な敷地が温かな地中海の雰囲気である。1ヘクタールが3000坪ということなのでもう規模がよくわからない。広すぎる。
こちらのレストランで水俣在住の社会学者であるHさんとお会いする。Hさんの取り組みやお仕事のことなど拝聴しながら、パエリアのコースをいただく。美味しいオレンジジュースと柑橘のぽんすやドレッシングに感動してもりもりご飯を食べた。柑橘が好きな人にはたまらない場所なのである。
パエリア。これに福田農場の柑橘ぽん酢をかける。むちゃくちゃうまい。
金川さんはお仕事として来ているが、私は研究者でも芸術家でもないのにお時間を取らせてしまっていいのかな…と恐縮してしまったのだけど、Hさんはとても気さくに「実際に見てもらうことが大切なので」と仰ってくださり優しいのである。16時の新幹線でお暇する予定だったので、2時間という短い時間で市内を車で案内していただく。ほんとうにありがたい。
福田農場の帰り際には大興奮しながらポン酢とか柚子胡椒ペーストソースをしっかり買う。実はふだんどこに行ってもあんまり観光名産などのお土産を買わない私なのだけど、とにかく美味しいので思わず手が伸びてしまう。オレンジジュースも2~3本ほしかったのだけど持ち歩くには重すぎるので涙を飲んであきらめた。
チッソ工場の壁を見る
水俣病はチッソ株式会社の化学工場などから海や河川に排出されたメチル水銀化合物(有機水銀)により汚染された魚介類を摂取することで発症する中毒性神経系疾患である。その他の公害病とともに小学校の歴史の授業で習った、という記憶が私にとっていちばん古い記憶だ。当時は病の恐ろしさを強調するかのように患者のモノクロ写真が載っていたことを覚えている。
多くの犠牲者を出したチッソはJNC株式会社(ジェイエヌシー)へ生産事業を移し、元のチッソという会社は主に患者への賠償を請け負っている。
Hさんが運転する車は市内に入る。「ここがチッソの工場です」と言われる。灰色の高いコンクリート塀が現れる。
車を走らせてもなかなかコンクリート塀は終わらない。あまりの広さに驚いてしまった。住宅街の中心部にこれほどの規模で存在するとは知らなかった。壁の動画はあるけど容量の関係でこちらに貼れないので割愛。
工場の壁はあまりにも人を拒絶するような、ものものしい雰囲気である。もちろん企業秘密のための壁なのだろうけれど。
今も裁判は続いている。実は関連書籍を読むまでは私は愚かなことにすっかり終わったのだと思い込んでいた。50年経っても解決はしていない。
県や国やチッソと被害者団体とのやり取りは原一男監督によるドキュメンタリー『水俣曼陀羅』にも登場するのでその対応を是非観てもらいたいと思う。
「近くに小学校があります。水俣第二小学校の校歌は歌詞にチッソ工場を称えるような歌詞があります」。たしかに調べると「街のいらかのはるかな空で うすくれないに華咲く煙」とある。今も小学生はこの校歌を歌っているという。そのことにも驚きを隠せなかった。
市内にはたくさんの工場がある。すべてJNCの関連会社だという。
チッソ工場
こちらが旧の方の入り口らしい。厳重な雰囲気。
「遠見の家」に行く
次に患者さんたちの憩いの場であるNPO法人水俣病協働センター「遠見の家」に連れて行っていただいた。ここは胎児性・小児性の水俣病患者さんの地域生活を支援している。高齢になった支援者の皆さんも日常的にいらっしゃるそう。
胎児性・小児性の患者さんはご家族が面倒を見ることが多いけれど、一日中つきっきりというわけにもいかないだろう。NPOは患者さんとその家族のさまざまな生活の支援や行政手続きの支援を行っている。
月の浦の「遠見の家」。田中実子さんの生家の目の前。
この日は患者さんは3名集っており、みんなでテレビを観ていた。1969年から訴訟提訴活動に関わっている支援者の伊東紀美代さんがいらっしゃり、お話を伺った。私たちにお茶と果物を手早く出してくださる。
伊東さんは27歳のときに石牟礼道子の本を読んで翌年に水俣へ引っ越し、それからずっと患者さんに寄り添って生活していると伺った。
「水俣病の患者さんたちの闘いは自分のものとしてとらえられると思ったので」とかみしめるようにゆっくりと仰った。そして今、81歳だという。矍鑠として非常に明晰である。圧倒されてしまった。どうしたらこういう人になれるんだろう。
私たちが歓談している間も伊東さんは常に患者さんたちの様子から目を離さない。40分ほどの短い滞在の間に何度も立ち上がり、動いている。
私は浅薄に世間話に参加していた。へらへらすることしかできなかった。ただ自分が強烈に恥ずかしかった。恥ずかしく浅はかな人間であることを知っていたはずだけど、久しぶりに自覚した。不思議なことに落ち込むような心情ではなく、奇妙に清々しかった。
今日、ここにいてよかった。50年、と思う。全然実感がわかない。患者さんたちはゆったりとテレビを観る。特別ではない静かな時間。途方もない時間。
金川さんが皆さんの写真を撮り、続いて伊東さんおひとりの写真を撮る。庭の木々を背景に背筋を伸ばす伊東さんは美しかった。私はいただいた果物を撮った。すごく美味しい柿とオレンジだった。
食べやすい大きさに切られた果物。やってくる人にさっと出せるようにしてある。
立派な庭にはつくばいがある。中で蟹が脱皮していた。
月の浦。橋の下は集落で、人々は目の前の海から魚をとって食べていた。
「遠見の家」の窓からも海が見える。
「遠見の家」は月の浦にある。初めての患者といわれる田中実子さん(ユージーン・スミスが写真を撮っていた)の生家のすぐそばで始めたとHさんと伊東さんが教えてくれた。
庭のつくばいの溜め水に蟹がいた。蟹は死んでいるのかと思ったが、よく見るとゆっくり動いていて脱皮している。蟹の脱皮ははじめて見た。ここは海が目の前にあり、こういう小さな生き物たちが人の、日常の中に息づいている。
月の浦へ向かう途中、きれいな芝生でならされたエコパーク水俣を通った。家族連れが喜んで訪れそうなクリーンな印象である。整然としている。バラ園もあるらしい。ここはもともと水俣湾で、汚染されたヘドロや魚をぜんぶドラム缶に入れて一部を埋め立てたのだという。1992年に完成した場所だ。
「この土地の魚や貝や蟹などの生き物もすべて生き埋めになったんです。コンクリートは50年しかもちません。」と小田原さんが言った。
百間排水口
最後に百間排水口に連れて行っていただいた。お坊さんが一人地面に座ってお経をあげているのが見える。「Nさんです。毎日座っているんですよ」とHさんが言う。Nさんにご挨拶をし、百間排水口を眺める。金川さんはばしばしと排水口の写真を撮る。
百間排水口は最初に汚染された水が流された場所である。排水口には木製の桶門がつけられていたが老朽化し、取り外された。Hさんは「市に被害者団体が保存を訴えたが、まったく取り合ってもらえなかった。門が外されるときにNさんは足場に座り込みをして反対したんです」と教えてくれた。
ここには水俣病の患者の運動体『チッソ水俣病患者連盟』の委員長を務めていた川本輝夫さん(映画『MINAMATA』で真田広之が演じていた役)が建てた水俣病巡礼の礼所がある。
「八十八箇所とあるということは他にもあるんですか?」とHさんに訊ねると「ここしかないんです。川本さんがそのあと亡くなってしまって、他にどこに作ろうとしていたのかわからないそうです」と答えてくださった。きっと見るべき場所がたくさん川本さんの頭の中にはあったんだろう。それは私がこれから見なきゃいけない場所だよなと思う。Nさんはほとんど毎日ここにいてお経をあげているらしい。すごいことだ。
百間排水口の看板。
今年の夏まで桶門があったそう。今は取り外されている。
白い野良猫が2匹いた。1匹は人懐こく、そばに寄ってくる。
私の新幹線の時間がせまる中で、最後に駅に向かう途中で水俣市の美味しい名物、蜂楽饅頭のお店があるのを教えてもらう。いわゆる回転焼きとか大判焼きに似ているけど、小ぶりで食べやすいサイズ。
いつもすごく並んでいるそうだ。せっかくなのでみんなで食べましょう!ということになり、わちゃわちゃと車から降りてダッシュで4人分を購入した。さっそく車内でいただくとはちみつを使っているのでほんわりと甘い。
蜂楽饅頭。白あんと黒あんがある。私は黒あんにした。めちゃうま!!
そのまま新水俣駅へ送っていただき、皆さんとお別れした。寂しかった。たった4時間しかいなかったのに濃密すぎる時間を駆け抜けた気がした。
終わりに
小田原さんに丁寧にセッティングしていただき、Hさんや金川さん、出会った人たちのおかげでとても素晴らしい時間を過ごした。
水俣病のことを知るためにいかなきゃと思ったけれど、何よりそこで毎日を暮らしている人たちと知り合えたことがうれしい。そしてとにかくごはんが美味しい。海が美しい。今も理不尽に対して抵抗を続けている人たち、そして毎日を生きようとしている人たちがいる。
もっと色んな体験をしたいし、しなければならないと思う。つなぎ美術館での小田原さんのプロジェクトは来年も続くのでぜひ行きたい。
ぽっぽアドベントにかこつけて自分用の旅行記を書かせていただいた。とりとめもないのだけど、これを読んで水俣に行ってみたいと思ってくださる方が1人でもいればうれしい。
不知火の海。また来るよ!
ぽっぽアドベント、明日はokiさんの家を建てる話らしい。とても楽しみです!
(12/22 18:20訂正)
私の勘違いで、町のアートプロジェクトをご案内してくださったのはつなぎ美術館の「学芸員」さんではなく「スタッフ」さんだったことが判明したので該当箇所を修正しています。よろしくお願いいたします。
11月
★は再鑑賞、再読
〈配信〉
ザ・ニックS1、S2★
トゥモローワールド
イカゲーム★
ブルーアイサムライ
イカゲームチャレンジ
バービー
アシスタント
ナイアド
ノートルダムの鐘★
ベネデッタ
〈美術館〉
つなぎ美術館 小田原のどかプロジェクト『近代を彫刻/超克する 津奈木・水俣編[序]』
〈舞台〉
〈本〉
宮崎わたる『ブラック・ジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~』
小田原のどか『モニュメント原論』
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ザ・ニックなんで続きがないんだ!ってくらいおもろのドラマ…そして『トゥモローワールド』をちゃんとみたらかなり面白かった、クライヴ・オーウェンの良さがやっとわかるようになってきた。遅すぎる。
そしてなんといっても『進撃の巨人』の世界を堪能した11月でした。
2年と半年ぶりの着道楽日記です。
さて、突然の古着フィーバー。いや、もともと古着は大好きで大学生くらいの頃から色々購入していたのですが、昨今の物価高で新品の質が落ち、いいものはどんどん値上がりしている中でやはり古着って良い。いいものにあんまり新旧は関係ないので、いいなーと思ったら買っています。
古着は特にメンズのスラックスが好きでハイウエストでタックが入っているのを集めています。今は積極的にお気に入りの店舗を増やしている最中です。
ところで10月の初旬まで26℃なんて、季節感がめちゃくちゃですね。やっとまともに服が着られるようになって嬉しい。夏は汗を吸う布、ということしか考えられない。
adidasの古着めちゃくちゃ人気らしい、と聞いた。キャッチーだしね。
『ロイヤル・テネンバウムス』でベン・スティーラーのキャラクターが赤ジャージ着てたの懐かしい。大好き。Salomonは表参道のお店行ったことないのでそのうち行きたさある。とても歩きやすいです。レースとかスパンコールのアイテムを合わせてジャージを着たいな。
季節めちゃくちゃと思ってたらいきなり寒いじゃん。冬だ。というわけでボア付きのパンツも履いたりできますね…幸か不幸か…。関東ではこのくらいの時期にアウターなしでニットで外に出られるのでうれしい。東北ではニットでおしゃれするのは無理だった。ニットって風通すから寒いじゃんという長年認識でした。
カレッジスウェットも新品より断然ヴィンテージがかわいいよね。もう一着くらいほしいけど、恐竜のとかあればいいな。ところで本当にこの1年で太ったので履けなくなったスカートだのパンツが多い! 中年て大変。
スウェット着るときは学生ぽくならないようにアクセサリーとか小物できれいにしたいですね。とかいって中学生みたいになってることもあるんですが…。
すごいかわいいお店を見つけて楽しかった日の思い出。あまり柄物を持っていないのです。このベストは色んな色が入っていてとてもかわいい。オーラリーのメンズパンツは4年履いてるので飽きた感もあるんですけどなんだかんだで時々活躍する。しばらく寝かせておくのもいいかもしれない。tukiの赤いコーデュロイパンツやドリスヴァンノッテンのイエローゴールドスカートで合わせてもよさそう。
ボーダー好きだけどジャストサイズだとダサくなる悩み。フレンチシックという人間じゃないんだよな。思い切ってビッグサイズのラガーシャツなどほしいです。
STOP MAKING SENSEジャケットと名付けた(長い)マーガレットハウエルはさすがのきれいなシルエットと色合いで春先にも活躍していました。
古着を着るときはきれいなアイテムや小物と合わせるとバランス取れていいのかも。逆にきれいめの上下だったらスポーツアイテムを足したりします。BOWTEさんはスタンダードアイテムしかもってないけどそれだけに良さがしみじみわかる。
全然服装が相変わらず落ち着かない大人です。仕事忙しいと虚無の無彩色になっちゃうからカラフルでいたいですね。おしまい。
10月
★は再鑑賞、再読
〈配信〉
イエロージャケッツS2
パール
フローズン
宮廷画家ゴヤはみた★
NT Live 夏の夜の夢★
NT Live アマデウス★
ゴシカ
リベンジャー
アッシャー家の崩壊
〈映画館〉
イコライザーThe Final
NTlive『善き人』
〈美術館〉
アーティゾン美術館 ジャムセッション石橋財団コレクション×山口晃「ここへきて やむにやまれぬ サンサシオン」
〈本〉
ちくま文学の森「おそろしい話」★
石牟礼道子『苦界浄土』
坂本龍一『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』
皆川博子『ジャムの真昼』★
小松原織香『当事者は嘘をつく』
KAWADE夢ムック『追悼 石牟礼道子』
大白小蟹短編集『うみべのストーブ』
石牟礼道子『椿の海の記』
キャサリン・レイシー『ピュウ』
エドガー・アラン・ポー『黒猫・アッシャー家の崩壊』
エドガー・アラン・ポー『黒猫/モルグ街の殺人』
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ストレス値が高い10月でしたが、石牟礼道子とフラナガン作品を堪能しました。けっこう色々触れられたなー。
月末はポーユニバースみたいなアッシャー家にぜんぶ持っていかれてしまった。楽しかった。