不眠時の対応 (original) (raw)

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「知りたいこと」

睡眠薬の使い分け(非BZD、BZD、その他抗うつ薬等)

睡眠薬中断方法

・睡眠衛生指導方法

睡眠障害をもたらす薬剤

【薬物治療】

睡眠を促す受容体はGABA受容体、メラトニン受容体、オレキシン受容体をはじめ、H1受容体、α受容体、5-HT2A受容体がある

ベンゾジアゼピン受容体作動薬

分類

「長短時間作用型」

・非ベンゾジアゼピン系薬のゾピクロン、エスゾピクロン、ゾルピデムがある。

半減期は2-5時間→持ち越し効果がおきずらい

エスゾピクロン:**半減期が5時間と長め**。中途覚醒にも効果がある。

ゾルピデム半減期が2時間と非常に短い。入眠障害に使う。肝機能障害で著しいAUCなどの増加がみられたため、BZD系薬の中で唯一重度の肝機能障害に対して禁忌に該当している

トリアゾラムは第3種で金庫管理。(ゾルピデムも第3種向精神病薬の分類だがこれは金庫管理じゃなくていいのか?)

作用発現が10-15分とかなり早い。しかし中途覚醒や日中不安が起きやすいことに注意。

併用禁忌にCYP3Aを強力に阻害する薬剤がある(その他BZD系薬ではリトナビルぐらいあるが、ここまで大量にあるのはトリアゾラムだけ)

・非BZD系薬は反跳性不眠や退薬症状が起きにくい。

「短時間作用型」

半減期は6-10時間→持ち越し効果がまだ起きずらい

「中間作用型」

半減期は20-30時間→4-5日連用で定常状態に。

・反跳性不眠や退薬症状が出た際には作用時間の長い薬に変更して徐々に減量したりする

「長時間作用型」

半減期は50-100時間→1週間連用で定常状態に。日中も高い濃度を維持する。

使い分け

・不眠のタイプ(入眠障害中途覚醒、早期覚醒)で分けるのが一般的。

ex.入眠障害には超短時間、短時間作用型など

不眠症は持続期間で3タイプに分けれる。

→一過性不眠:旅行による時差ぼけや手術時などの一時的な緊張で数日間のみ現れる不眠。入眠障害多い。薬は基本使わないが、症状により超短時間型、短時間型を使用

→短期不眠:長時間のストレスなどが原因で1-3週間ほどの不眠。不眠のタイプで使用する薬剤を使い分ける

→長期不眠:1か月以上の不眠。精神疾患、身体疾患、加齢などが原因。抗精神薬や抗うつ薬などは睡眠を深くする作用がある。精神疾患によって不眠が続く際は鎮静作用の強い抗精神薬などを併用したり、中間・長時間作用型を使用するケースが多い。

睡眠薬の離脱方法

漸減法:徐々に容量を落としていく

隔日法:量は同一だが、服用間隔を徐々に伸ばしていく

上記の併用:徐々に減量しながら服用間隔も伸ばす

・病院での離脱プロトコールの例(以下写真2つ)

または以下の資料参考

不眠症の診断・治療(京大病院資料)

解毒薬

フルマゼニル

注意点

・アルコールもベンゾジアゼピン系と同じ作用部位に作用するため、併用はしないこと。死亡例あり。

睡眠時無呼吸症候群による不眠に対して使用すると無呼吸症状悪化のリスクがある(添付文書に禁忌や注意の項目なし)

受容体

ω1:催眠、鎮静作用

ω2:筋弛緩、抗不安、抗けいれん作用

BZD系薬は非選択的作用なものが多いが、ω2への作用が大きいものは抗不安作用を示す。その代わり筋弛緩作用による転倒に注意が必要

非BZD系薬はω1に比較的選択的なため、抗不安作用は弱いが転倒リスクは低い

メラトニン受容体作動薬

MT1受容体:入眠促進作用、睡眠持続作用

MT2受容体:概日リズム調整作用

BZD系薬のような副作用を起こしずらい。

ヒスタミン

・ヒドロキシジン(アタラックスP)

→個体差が大きく全く効かない症例も

抗精神病薬

精神疾患の不眠に対して使用する。

・フェノチアジン系(レボメプロマジンヒルナミンレボトミンクロルプロマジンコントミン

→H1、α-1ブロック作用あり強力な鎮静作用を持つ。血圧低下や錐体外路症状に注意が必要。

・MARTA(クエチアピン:セロクエル

→不眠に対して1回25㎎を眠前に投与。DM患者に禁忌

抗うつ薬

・うつのない人には原則使用しない。

抗うつ薬による催眠作用

→①抗コリン作用によるレム睡眠の抑制 ②H1、5-HT2A,2Cブロック作用による睡眠維持作用、睡眠深度維持作用

「薬剤」

クロミプラミン(アナフラニール)、イミプラミン(トフラニール

→強力なレム睡眠抑制作用があり、ナルコレプシーなどでも使用。睡眠後半の中途覚醒増加や夢に関連した夜尿など、レム睡眠の抑制を目的とする場合に使用する

→眠前10-25㎎内服。耐性は気にしなくてよい。効果も抗うつや作用と異なり初日からでる

・アミトリプチン(トリプタノール

レム睡眠抑制作用は強くないが鎮静催眠作用は強い。睡眠導入・維持、睡眠深度増強の目的で使用。

→適応は、BZD系薬の効果不良例、熟眠障害、睡眠前半での高頻度中度覚醒

希死念慮などに注意(積極的に提案しない方がよいかも)

・ミアンセリンテトラミド

→アミトリプチンと同様の鎮静催眠作用。しかし抗コリン作用は小さいため安全に使用可能。

→適応は、BZD系投与でせん妄や意識障害が誘発されるような場合(あまり使う場面はないか)

・ミルタザピン

→ミアンセリンと同様の鎮静催眠作用。強い抗うつ作用を持ち個体差も大きいため精神科医以外での処方は控えた方がよい(眠剤としては提案不可)

睡眠時無呼吸症候群の無呼吸症状の悪化リスクあり。

トラゾドンデジレル

→アミトリプチンやミアンセリンと同様の作用だが、強さはそこまでない。比較的安全に投与可能。

→眠前に25-50㎎程度を投与。依存性、耐性は問題にならない。

睡眠障害の対応と治療ガイドライン第2版(本)

https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1200070570.pdf(不眠症治療における鎮静系抗うつ薬)

https://drive.google.com/file/d/1LApAVnvoAhrVVy-kR6kr-yvagu3i8cOh/view(薬局2018 69-4 統合失調症)

実際の使用例

・ADL自立。ICUへ緊急入院の患者。

→ラメルテオン、デエビゴ

解説:ICUではモニター音や光なども多く、環境変化によるせん妄を起こしやすい環境だといえる。そのためBZD系薬は使いづらい。

COPD治療中に、合併する間質性肺炎が増悪。ステロイドパルス目的で緊急入院

トラゾドン25㎎ 1錠/回 眠前 、 トラゾドン25㎎ 1錠/回 頓服

解説:COPD患者ではCAMが使用されるケースが多くデエビゴも2.5㎎までしか使用できない(容量の調節ができない)。トラゾドンは5-HT2ブロック作用が強く抗コリン作用や筋弛緩作用も弱いため25-50㎎で開始する。100-150㎎までは比較的安全に使用可能。本患者もステロイドパルスでせん妄リスク高いためBZD系薬は避けたい。

【睡眠衛生指導(入院中のみ)】

睡眠障害の対応と治療ガイドラインにはこれといった内容は記載なし

日本睡眠学会が出している「睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン(以下URLのP9)」に睡眠衛生指導の内容がある

https://www.jssr.jp/files/guideline/suiminyaku-guideline.pdf

【レストレッグ症候群】

レストレッグ症候群も不眠の原因として挙げられる。

何かあれば適宜調べる

レム睡眠行動異常症】

適宜調べる